リアルが忙しいのもあってかモチベが低下しつつあります
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「ただいまー。降参しちゃった〜」
「悪かったわよ、捕まって……」
「んーん。お腹重いし、仕方ないね。どーせまた似たような大会あるんだろうから、その時にでもリベンジするから。……なんならプライベートで倒せばいいし」
巫月は、負けたのを案外根に持っていそうだ。そういう執念深いところは俺に似てしまったかもしれない。尤も優秀な巫月のことなので、そんな危ないことにはならないとは思うが。
「そういえば次は私達ね、永琳」
「あら、もうそんな所まで進んでいたのね。どう戦おうかしら」
「相手は確か……サグメ、あなたよね?」
輝夜の問いに黙って頷くことで答えるサグメ。サグメの相方はさとりなので、意思疎通に言語を介さない分、俺が関わらなくとも、運命は正常に機能してくれるはずだ。
「……いってくる」
「おう、頑張ってな!応援してる!」
「……ありがとう」
「んもー、エスカルゴにばっかり返事してぇ〜!妬けちゃうわー。あなたのその綺麗な声、私にももっと聞かせてほしいわ?」
「……は……はいっ……///」
サグメが照れた。輝夜に照れた。輝夜の奴め、持って生まれたその美貌で女性すらも照れさせるなんて、とんでもない姫だ。もしサグメが両刀になったら、どう責任を取るつもりなんだろう。
だから俺は、何でサグメを照れさせてるんだと目で訴えかける。すると輝夜は、ニヤニヤ笑ってそれに応えた。
「エスカルゴもまだまだね♪」
「ちっ……」
したり顔で見てくる。俺なんかじゃ到底輝夜に適わない。あらゆる意味で、彼女は強すぎる。
そして、背伸びした輝夜は席を立つ。
「お次は、またもや永遠亭からの出場者だっ!!永遠亭の主、月の姫!竹取物語にも出るかぐや姫その人!蓬莱山輝夜様〜〜〜っ!!パートナーはやはりこの人!姫の従者と言えばこの人を置いて他にない!月の頭脳、超絶天才!だけど少しだけお茶目な一面も!?八意永琳〜〜〜〜!!!」
「
「こちらも元・月の賢者!英雄に惚れて月を脱出してしまったのだとか?超が付くほど長年仕え、長年暮らしてきた月を捨てるだなんて、どんだけ惚れ込んでるんだ!稀神サグメっ!」
「気軽に話せないらしいそんな彼女をこの場にてサポートするのは、これまた英雄の彼女!旧地獄管理者、11点のお姉ちゃん!古明地さとり!!」
「11点ネタ、まだ使われるんですねぇ。まぁ別に構いませんけど。……ええ、11点というのは自己評価です。10点満点中の、ね」
「…………」
「『自己肯定感高いのは羨ましい』……ですか?そう言われたのは久しぶりです。……そうです、前に言ってくれたのはエスカルゴさんでしたよ。彼、ああ見えて自己肯定感は少し低めなんです」
「……流石、心を読めるだけある……」
「あなたは素直なんですねぇ。賢者とは、揃いも揃って隠し事ばかりの胡散臭〜い連中ばかりだと思っていましたよ。こんな私で良ければ、仲良くしましょう?」
「勿論」
そして、優しく微笑み合って握手した。俺にはよく分からないが、あの二人は案外馬が合う……らしい。仲良くしてくれるなら良かった。
「英雄が紡いだ彼女の縁、まさか、こんな所でも繋がると思わなかったね!やっぱり人脈は広いに越したことはないのかもね!それじゃ、そろそろ始めっ!」
こうして輝夜&永琳vsサグメ&さとりの戦いが始まった。とはいえ流石にボス級二人が相手ではサグメとさとりでも太刀打ちは難しかったのか、結果的には年長者二人の勝利で終わった。
珍しく俺も声援を飛ばしていたからか、負けたときは酷く悔しかったが……相手が相手だけに、仕方ないと割り切るしかない。輝夜と永琳なんて組み合わせ、俺も対策が思いつかない。
「ごめんなさい、本当にごめんなさい……。折角応援してくれていたのに……」
「仕方ねーさ、相手が相手だもんな。あの二人は流石に鬼畜すぎるって」
「……まぁ……そう言ってしまえばそうだけど、もう少しやりようはあった……はずなのに……。どうにも浮き足立ってしまって」
「ありゃ。初めての出場だし緊張したんでしょ。ま、次があるって」
「あると、いいけれど……」
シュンとしている彼女を慰めようと、フワリと頭を撫でてみる。すると黙ったまま顔を赤らめ、何も言わずに翼をバッサバッサと動かす。するとそこに輝夜が割って入ってきて……。
「楽しかったわサグメ♪」
「……それなら、よかったです」
「あなたの弾幕、綺麗ではあるけどばらまき弾が多いのよね。彼みたいに……とは言わないけど、もう少しだけ攻撃的でもいいかもしれないわね。あなたの弾幕の大半が牽制向きだもの」
「成程」
「そうは言うけどねぇ、輝夜……弾幕には本人の性格がよく表れてるんだし、そう簡単に改造とはいかないわ。寧ろ、あのままの路線で練習すると良いでしょう」
「んー、そんなものかしらね?」
「そうよ。それに、それだと彼女までエスカルゴみたいになっちゃいそうで不安になるわ。賢者が脳筋の単細胞では困るわ」
「サラッと俺をディスんないでくれません?」
「大丈夫よ、サグメだもの。ね?」
「……善処します」
見事にスルーされた俺は、何も言えなくなる。というか、さり気なくディスるのはやめてほしいものだ。内容によっては割と傷付くこともある。永琳は一応そこも考慮してるのかユルいディスりだったが、どうせならディスるなと言いたい。
「さて。次は地獄の女神へカーティアの出番ね。純狐の共犯者の彼女がどんな戦い方をするのか、今後の為にもよく覚えておきたいわね」
「へカーティアの事ですし、永琳先生いる前じゃ大して見せないっすよ、戦い方とか能力とかは。ましてや、隠岐奈も紫さんも居るんですし」
「そうね、簡単には手の内は見せないでしょう。けど、彼女の相手はあの地獄鴉。もしかするかもしれないじゃない?」
「ま、お空も神の力を持ってますからねぇ。けどへカーティアは強いっすよ〜、俺なんかじゃ全然太刀打ちできねぇくらいにねぇ」
「……何やさぐれてるの?まかか、さっきのまだ怒ってるの?……ここまで気にするとは……」
「エスカルゴは執念深いですから!もし怒ったら永琳せんせー相手でも食べちゃいますよ?」
「食べないから。変な事を言うな巫月」
「食べたら永遠に殺すわよ」
ニッコリ微笑みながらそう言ってのける永琳。この人だったら永遠に殺してきそうだから怖い。稀代の天才永琳は、有言実行、不言実行、不可能なんて無いのではと思わせられるだけの強さや、確かな実績を兼ね備えている。
そんな永琳なら、きっと不老不死者が相手でも永遠に殺せるような、ゲームで言うハメ技なども持っているに違いない。
「それじゃー次に行ってみよ〜!今回戦うのは、先程登場した地霊殿の主・古明地さとりのペット二人!まるで姉妹のように、常に一緒にいる姿を目撃されまくっているらしいこの二人!そうっ、霊烏路空&火焔猫燐〜〜!!」
「そんな二人の相手は……幸か不幸か、これまた地獄関係者!というより地獄の神そのもの……!へカーティア・ラピスラズリ&クラウンピース!地獄の女神と妖精の主従がここに来て登場ッ!!二人が組むと、どんな戦いをするのかっ……!?凄く楽しみね!!怖いけど!!」
《さぁ、いよいよ楽しい
《永琳にへカーティアの戦い方を見せないような戦いが見たい》
《あら、優しい。私の手の内を隠すのに協力してくれるの?
《いつもへカーティアは俺に協力してくれるし》
《それもそう……かしら?》
《お空が倒されるのは不本意だが、へカーティアだって、負ける気はサラサラ無いんだろうしさ。そんなら、ついでと言っちゃアレだけど、永琳に一泡吹かせたいかなって》
《んもー、相変わらず執念深いわねぇ……。別にそこまで根に持たなくてもいいんじゃ〜ないの?楽しいから構わないけどね》
規格外な強さを持つへカーティアの戦い、実は内心とても楽しみにしていた。俺は、中国神話や日本神話より先にギリシャ神話に興味を持った。それは名前の覚えやすさもそうだが、ブッ飛んだエピソードがかなり多いからだ。
ちなみに、ギガースを一人だけで倒したのは、オリンポス12神以外ではへカーティアとモイライという神だけ。よって、へカーティアがどれだけ規格外の強さなのかというと「ギリシャ神話中のトップ12と並ぶ強さ」だと言えるだろう。
しかもゼウスからは海洋、地上、天界で好きに活動して良いと許可されているから尚更驚きだ。普通ギリシャ神話の神は活動範囲が決まっているものなのに、冥府の神であるへカーティアの行動範囲の中にその三つが含まれたら、こんなの殆ど全世界で行動可能みたいなものではないか。
更には、へカーティア相手には性豪ゼウスすら手を出していない。ゼウスは内心へカーティアのことを恐れているのでは……。
「地獄組は地獄のパワーを見せつけてくるのか?旧地獄組は意地を見せられるのかっ!?新旧地獄対決、始めっ!!」
合図が出されると、お空、お燐、ピースはすぐ弾幕を発射し始める。そんな中、へカーティアはあの言葉を呟き、魔法陣を手元に描く。
「
きた、へカーティアの松明だ。まるで十拳剣のような特別な力さえ感じるあの松明は、火炙りも殴打も何でもござれだ。
アレで、お空とお燐のどちらを倒すのかは不明だが、どたらにせよあんまり傷付けないで倒してほしいのが本音だ。
「ご主人様!お空達ブッ飛ばす前に、久しぶりにアレやりましょアレ!」
「アレね、いいわ!来なさいピースちゃん!」
「はーいっ!『フェイクアポロ』ッ!!」
月を模した大きな弾幕を三つ出したピースは、それを一つずつへカーティアに向かって放った。何をしているんだと思ったが、舌舐めずりをして松明を構えるへカーティアを見て察した。
「いっくわよ〜ん!それっ♪」
ハジけるような明るい笑顔と共にまるで野球のように弾幕を打った。ピースの月はお空とお燐を目掛けて真っ直ぐに飛んでいき、突然の事に反応できなかったらしい二人は、一発目は残念ながら被弾。しかし二発目はグレイズで回避、三発目は余裕で回避することができていた。
「速いことは速いけど……まだ避けられないほどじゃないかもしれないねぇ。攻撃は任せたからねお空!」
「任せて!爆符『ペタフレア』!!」
「ゲッ……ご主人様ぁ!」
「大丈夫、焦らないで」
制御棒に光が集い、溢れ出す。メガフレアよりずっとずっと太いレーザーは、へカーティア達を飲み込む勢いで突き進み……やがて地獄組の姿が見えなくなる。
「ふぅん、思ったより凄い威力しているのねぇ。神綺さんの結界にもヒビを与えるほどとは……。八咫烏の権能のおかげかしら」
「久しぶりの瞬間移動だぜ!Fooooo!もう三発カマしちゃってくださいご主人様っ!『フェイクアポロ』!!」
「ピースちゃんったら相変わらずコレ好きねぇ」
「お空、お空!上だよ、アイツら上に居る!!」
「分かったよお燐!!」
時間を止めるでもない、シンプルな瞬間移動。俺が苦労してやっと手にした技術を、誰かがこう簡単に使っているのを見ると……改めて格の違いというものを思い知らされ、無力感に苛まれる。
へカーティアが松明で月の弾幕をかっ飛ばしている頃、お空は制御棒を上に向け、もう一度ペタフレアを放つ。三つの満月はアッサリ消されて、ピースは衝撃を受けたようだ。
そしてついに、地獄の女神がついに力の一端を見せた。
「『
万物を問答無用で凍結させる、地獄の最下層の冷気を召喚。それはお空のレーザーをも凍らせ、巨大なタワーのようにしてしまった。
時間を
「あっ……これは……」
「ま、まずい……よねっ……」
「落ちなさい♡」
薪割りをするかのように、松明を真上から振り下ろすへカーティア。するとレーザーだった氷の塊はバキバキと砕け散り、氷の弾幕と化して下の二人に降り注いできた。
「ゔに゙ゅっ……」
「お空っ!大丈夫かい!?……あ゙うっ……」
そして、真下のお空はもちろん、彼女を助けに向かったお燐は体のあちらこちらに被弾し、共にステージへ落下していく。その後は、ピクピクと動くばかりで立ち上がる様子は無い。
「と、とんでもないものを見せられたねっ……!レーザーって凍るもんなの?自分の目が信じられないよ!時間を止める能力の方がまだ納得できるくらいだよ!でも、レーザーを止めるのは納得も何も無いよね!?あんなカチーンってなる!?」
「なるのね……」
「そうはならないでしょ!」
「なってるでしょ!」
「うーん、これが神の力かぁ!!というわけで、地獄組ことへカーティア&クラウンピースペアの勝利〜〜〜っ!!!」
強すぎる。まさかアレが凍るなんて予想もしていなかった。もしかしたらパチュリーでも難しいのではなかろうか。
「………………」
「あれ?永琳先生、頭押さえてどうしました?」
「いや、何というか……松明で殴る光景は前にも見たけれど、未だによく分からなくて……。松明って鈍器だったかしら?というかそもそも、武器というカテゴリなのかしら……」
その顔が見たかった。困惑するその顔が……。本来なら武器ではない松明を、敢えて武器として利用することで永琳を困惑させようとは、成程、へカーティアは凄い事を考えるものだ。
中々、レアな顔だった。
《あの子の事はあんまり傷付けてないけど大丈夫よね?許してくれる?》
《すぐ母さん治したし大丈夫。それに、その気になればもっと強気な攻撃できたんだろうし……》
《まぁねぇ。月の頭脳さんも困惑したようだし、こんな感じで良いかしら?》
《うん。……へカーティア、決勝戦まで来てね。俺は萃香達にも勝つし、決勝進出は確定だから》
《へぇ……。決勝戦で私達と戦おうってことね?魔理沙達じゃなくて?》
《正直俺はどっちでもいいよ。俺は最近魔理沙に勝ててねーし、へカーティア相手でも勝てるとは思えない。けどまぁどっちが相手でも本気出して戦うだけだしな》
《ふむふむ、そうねぇ。ま、決勝トーナメントに入ったら考えるわ。魔理沙を倒すか、負けるか》
魔理沙と戦って雪辱を晴らすのもいい。しかしへカーティアと戦ってみるのもいいと思う。勝つ可能性はどちらも低いが、練りに練ってきたあの作戦があれば、どちらが相手でも、仮に負けても善戦はできるはずだ。
さて、次は魔理沙達vs咲夜さん達だ。どちらが勝ってもおかしくないような気はする。ただし、咲夜さんには悪いが魔理沙の方に分があるように思える。魅魔の底が読めなさすぎる────。
ふと気になったんですけど、エスカルゴが結婚を「より強く縛ること」と捉えてるのって予想とかできましたか?
独占欲だけは凄いってのは結構前から示唆してた気はしますけど、所詮は作者目線ですからねぇ。あんまアテになりませんし。
強い独占欲、つまり束縛……。