※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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Dブロック決勝 〜最強vs究極〜

 ボロボロになりながらも、咲夜さんは拡張した空間を元に戻し、それから弦月姫と席に戻った。その時また目眩がしたが、先程よりは楽だった。とはいえ、もうあまり空間拡張・縮小の現場には居合わせたくないものだ。

 

「いよいよやってきたわね、Dブロック決勝戦!今回は魔法使い対決になるのかしら?どちらにも魔法を使える者がいるわね!」

 

「自称・普通の魔法使い霧雨魔理沙!!そして、師匠の魅魔!お相手は地獄の女神へカーティアと地獄の妖精クラウンピース!ようやく力の一端を見せ始めた……かなッ!?」

 

「どう、なのかしら?私には、まだまだ一端にも満たないように思えてならないわ……」

 

「それにしても、どうしてこうも魔法というのは広い種族間で使われているんだろうね?そんなに親しみやすいのかな?」

 

「そうなのかもね。だから、使う人は多いし……だからこそ強い魔法使いは憧れられるのよ」

 

「う〜ん、ドッカンドッカン荒れそうだねぇ!」

 

「よーしっ、ここで勝って次に行くぞ!魅魔様、ここは確実に勝ちたいから、魅魔様も頼む!」

 

「よしきた。私に任せな。何なら、魔理沙はもう休んでても構わないよ」

 

「へカーティアは強い。私らが組んでようやく、強気のへカーティアに勝てる感じだろう。多分」

 

「相手の力を見誤るな。もし、あの神が少しでも強気になったなら……私達は勝てない。それほどあの神は強い。誇張抜きでね」

 

「っ……魅魔様がそう言うんなら……そう、なんだろうな。悔しいがな。だが、クラウンピースが居るのが最高にイヤらしく思えるな……」

 

「あの妖精、弾幕は大した事なさそうだけど?」

 

「月で戦ったアイツはかなり強かったんだ。多分一時的に強化されてたんだろうけど、つまりは、それだけの力を秘めてるって事だ。へカーティアくらい油断ならない」

 

「ふーん、じゃあ気を付けるかねぇ」

 

 悠々とした魅魔の態度は変わらない。しかし、これで魅魔の戦い方が見れる。へカーティアより力があるなんてことは無いだろうから、そこまで警戒しなくてもいいとは思うが……魔理沙のあのドラゴンメテオにも余裕で耐えるバリアなんかがかなり脅威に思える。敵には回したくない。

 

「勝ちましょうご主人様!」

 

「んー、そうねぇ。でも、もし勝ったら次は決勝トーナメントよ?しかも、次の相手は日本の神様コンビ。負けたらどうしましょ?」

 

「大丈夫です!ご主人様もあたいも、強いので!他の神様には負けたりしません!!」

 

「嬉しいこと言ってくれるわねぇ」

 

 ぽふぽふとピースの頭を撫でるへカーティア。ピースはというと、主人に撫でられてニマニマと顔をほころばせている。とても可愛らしい。

 

《ピースちゃんったら本気で魔理沙と魅魔に勝つつもりだわ。どうしましょ?》

 

《「どうしましょ?」って、そりゃあ……勝つんじゃないの?わざと負けるの?》

 

《魔理沙は本気であなたをこの舞台で倒すつもりだし、魅魔もそれを応援してる。魔術の神である私としては、魔法の道に心血注いでる者、本気の者を応援したくなるのよねぇ〜……》

 

《……俺が本気じゃないって?》

 

《やーねぇ、そうは言ってないわよ?あなたも、この一週間だけ(・・)見れば魔理沙と同レベル、いや、彼女以上に頑張ってたとは思うわよん。それに、あの魔理沙の事だからここで私に負けても大した挫折はしないだろうけど……でも、だからこそ、私を倒して少し自信を付けさせた所で、あなたに負けて、更に挫折を体験させたいのよねー……。そうすればもっとあの子は努力するだろうし?》

 

《魔理沙を成長させたいってことか》

 

《ま、端的に言えばそうなるかもしれないわね。それに、あなたが何度も死んで無理矢理会得したあの技、実戦の初使用は魔理沙が良いんでしょ?なら、この舞台がピッタリじゃない?》

 

《そう……だけどさ。もう、そんなことばっかり言ってられる時期じゃあないと俺は思うんだよ》

 

《と、言うと?》

 

《俺は、幻想郷で二番目に強く在りたい。霊夢の下に俺がいる、その構図こそが俺の理想なんだ。霊夢以外の全員を、俺が倒す。賢者も神も全て。だけど実際は、俺には超えるべき壁が多すぎる。だから俺は、へカーティアを倒して、それ以外(・・・・)の壁を超えることに決めたんだ》

 

《あらあら、私のこと経験値扱いしちゃうのね?でも私は、今は魔理沙のことを成長させたいわ。だから、もしも私を倒したいのなら……いいえ、私と戦いたいと言うなら、私を振り向かせて?》

 

《それ、って……どうやって?》

 

《や〜ねぇ、それを聞いちゃう?まぁ〜、教えてあげてもいいけどね、それだったらあなたは所詮その程度の器(・)ってことね♪》

 

《ッ……!!》

 

 所詮その程度の器ときたもんだ。悲しいかな、目をかけてもらっていたと思っていたが、切る時にはスッパリ切るらしい。しかしそれもそうだ。へカーティアほどの力を持つ神が、無能な野郎に手を貸すはずが無かった。

 

「……器……」

 

 器、器、器。俺は、数柱の神の器として、神の力をこの身に受けてきた。まさかへカーティアは器をやめろとでも言うのか?そうして、魔法の道だけを歩めとでも……いや、へカーティアは他の神とも仲良くやっていたし、そんな事は考えないだろうし、言わないだろう。

 それともこんなのは俺にとって都合のいい解釈なのやら。しかし本当に、彼女が何を求めているのか、分からない……。

 

《まぁとりあえず、さっさと答えを出すことね。この戦いの決着がつく前に。それまで私は遊んで待っててあげる♡》

 

《…………》

 

「よーしっ、じゃあそろそろDブロック決勝戦、始め〜〜っ!!」

 

 揃いも揃って、四人共星弾幕を発射し始めた。特にピースは、魔理沙を挟み込むようにレーザーまで放って左右の動きを制限しているようだ。

 

「オラオラオラァ、手出しはさせないぜーっ!!今回のあたいはサポート役だぁ!!ご主人様っ、今のうちに────」

 

「その程度でサポートと言えるのかい?」

 

 魅魔は杖を地面に刺して、そこからレーザーを放ち、ピースのレーザーを軽く押し返し始めた。魅魔のレーザーはかなりの出力らしい。ピースのレーザーの出力は俺もよく知っている。なのに、それを容易く返すなんて、見てるだけなのに俺が悔しくなってくる。

 

「くっ、そぉぉぉっ……!ご主人様、一枚だけ!使わせてくださいっ!!」

 

「4枚は構わないわよん。私は非スペルで十分。トドメに使えれば構わないわ」

 

「はいっ!!『フェイクアポロ』ッッ!!」

 

 三つの巨大な満月を出し、魅魔、魔理沙、更に自分とへカーティアの弾幕も掻き消しながら回転させる。滅茶苦茶だ。どうしてあんなにも弾幕を消せる弾幕を出せるのか。相殺ではなくあくまで一方的に消し続けている。あれは凄い力だ。俺の破壊のレーザーと似た性質をしてるのだろうか。

 

「それならさっきも見たよ、対策してないとでも思ったかい?」

 

「対策なんてしたところで意味無いさ、使い方が違うんだからな!喰らえ、超高速回転を!!」

 

「!!」

 

 満月がそれぞれの月を追いかけるように、三つ纏めて回って、魅魔のレーザーをガリガリと削りながら前進し始めた。これにはあの魅魔も余裕の表情を崩し、更に出力を上げて月を押し返そうとする。しかしレーザーは削れるばかり。

 

「うーんまずいな、これは少しまずい。魔理沙、あの月は消せるかい?」

 

「無理だ、アレは絶対消せない!前に試したが、あの月だけは消せない……!あれはそういう弾幕(・・・・・・)なんだ!」

 

「成程、そうか……。少ないがそれで十分な程の強さがあるな……これは優秀なサポートだなぁ。味方の弾幕さえ消さなければ言う事無しだ……」

 

「魅魔様なら真似できるか?」

 

「いや無理でしょ。見様見真似なんて無理無理」

 

「え……だ、だってさ、あのエスカルゴでさえ、見様見真似なのに結構できるんだぜ?魅魔様なら簡単だろ?」

 

「あぁ、それはきっとアイツがバカだからだね。まともに術式も組めてないクセに、形だけを真似するから、そう思えるだけだ。そう見えるだけ。けど、ちゃんと術式を組めていないという事は、魔力を無駄に消費してしまう……ということだ。私はそんな無駄なことはしない」

 

「あ……成程……」

 

「まんま真似するにはちょいと時間がかかるな。即興の手抜きは私の信念に反するんでね。悪いね魔理沙」

 

「いや、いいんだぜ!むしろその方がいい!」

 

 公衆の面前で、滅茶苦茶にバカにされた俺は、ただ黙って顔を赤くする他ない。そばに娘も居るというのに、よくもまぁあんな事を言ってくれたものだ。もし決勝戦でブチ当たったら、その時は魔理沙より魅魔を狙ってやる。もう一度死ぬほど弾幕でタコ殴りにしてやる。

 巳年おとめ座メンヘラ男の執念、復讐心は伊達ではないということを思い知らせてやる。

 

《あ、そう?じゃあ私、そろそろ負けるわよ?》

 

《……!いや……もしもの話だから。てか、まだへカーティアに対する答えは出してない》

 

《そう?ふーん?ならさっさとしなさい》

 

《はい……》

 

 見様見真似、即興はちゃんと術式を組めない。特に魔法に精通しているわけでもない俺は特に。言われなくてもわかってるんだ、そんなことは。無駄になってるということもわかっている。

 

「…………ッ!!」

 

 ……いや、もしかして魅魔はバカにするような言い方をしておきながらも、サラッと俺に助言をしてくれていたのではないか。

 魔力の無駄になっているのは俺も知っている。しかしそれを矯正するために新たに時間をも消費している。つまり俺が無駄にしているのは魔力と時間、この二つなのではないか。

 ならば俺は、これまでにどれだけ無駄な時間を過ごしてきたのだろう。見様見真似、即興だと、開発より矯正の方が遥かに時間が掛かっている。頭を抱えたくなるような現実だ。

 有効に時間を使っていたとばかり思っていた。しかしその実、見様見真似な魔法を開発する事によって、無駄な時間を過ごしていたのである。

 

「……畜生、そういう事かよクソッタレ……」

 

「エスカルゴ、あの幽霊の人ムカつくね。あとで倒すの?」

 

 心底イラついているような声で、巫月が言う。しかし今の俺は、魅魔に対するイラ立ちなどは、とうに消え失せていた。

 

「魅魔は倒さないよ。……俺が倒すべき相手は、きっと他にいるから」

 

「ふーん……?」

 

 そうだ。へカーティアが求めていたのは、俺がもっと真剣に魔法に取り組む姿勢だ。推測だが、魅魔のように魔法に対する自分なりのポリシーを持つことだ。魔理沙も、自分なりの信念を持って魔法の道を進んでいる。だから人間であることを辞めてまで魔法に励んでいるんだ。

 俺だけなのだ。不真面目で、遊び半分で魔法に取り組んでいるのは。仮に伸び代あったとしても俺がこんなではいつか目をかけて貰えなくなる。今はその瀬戸際だったのだ。

 魔理沙を成長させたいと言ったのも、魔理沙は特にその辺の心得が既に出来上がっているから。パチュリーの技を真似ているのも、見様見真似や即興ではなく、自分なりに昇華させていた。俺と魔理沙の決定的な違いは、きっとそこだ。魔法に対する姿勢だ。

 

「さーてっ!そろそろ私も本格的に遊んじゃおうかしらねっ!なんだか今日は気分がイイわぁ♪」

 

「────ッ!!来るぜ、魅魔様ッ!!」

 

「ああ、気張りなよ魔理沙!!簡単に気絶するんじゃないよ!」

 

 物思いに耽っていると、膠着状態だとも言えた戦況が大きく変化した。ピースの満月が消えて、そしていよいよ、へカーティアが動き出す。

 

「今日は3.5割くらいで遊んであげるわ!前回より0.5割増しよ♡」

 

「嫌な予感がするねぇ。魔理沙、防御の準備!」

 

「言われなくても!」

 

「『冥府の川』」

 

 へカーティア曰く「非スペル」を発動させた。つまり「ただの技」ということなのだが、とてもそうは思えない。三つの球体から放たれる綺麗な青い弾幕は、巨大な一本の川になり……やがて、二人を囲むように五つの川に別れた。

 するとその中の一つは深紅の炎の弾幕に変わり周囲を明るく照らし始めた。目が痛くなるほどに眩しく、そして熱い。

 一見、ゆったりと進むレーザーにも見えるが、そうではない。レーザーに見えるほど超高密度な弾幕らしい。流石は地獄の女神だ、高密度の域を遥かに超えている。

 

「熱ッ……」

 

「ほう、寒暖の差を大して感じない魔法使いでも熱を感じるんだね。凄いな、地獄の女神……!」

 

 五つに別れているのは、ギリシャ神話モチーフなのだろう。ギリシャ神話の「冥府」は、五つの川で囲まれている。包囲、つまり今の魔理沙達の状態だ。

 五つの川とは即ち、ステュクス、コキュートス、レテ、アケロン、プレゲトンを指している。俺の記憶が正しければ、プレゲトンが炎の川のような気がする。

 

「川の流れは移り変わるもの。囲まれただけだと思ったらそれまでよ!」

 

 炎の川、プレゲトンが流れを変えた。急カーブして、囲みの中の二人を攻撃する。包囲によってあまり動けない二人に更に追い打ちとは流石だ。

 

「さぁ、もっと荒れ狂うのよ!コキュートス!」

 

 へカーティアが声高々に叫ぶと、魔理沙は顔を青ざめさせ、川のような弾幕を掻い潜りながらも空中に逃げ出す。比較的密度が薄い地面よりも、敢えて濃い空中に逃げた意図は分からない。

 

「魔理沙っ!?どうしたんだ急に!」

 

「魅魔様も逃げろっ、そこはヤバい!!」

 

「一体何を言って────うっ!?」

 

「魅魔様ぁッ!!」

 

「触れたわね(・・・・・)?コキュートスに……!」

 

 魅魔は背中に何発か被弾。すると、被弾した所からパキパキと氷が広がり始めた。杖にも当たり危うく手も凍りそうになった魅魔は、慌てて手を離す。

 

「仕方ない、こうするしか……!」

 

「!」

 

「ダメだ魅魔様、氷なら私が溶かすからっ!!」

 

 背面が凍りつつある魅魔は、炎の川に身を委ね無理矢理に氷を溶かした。当然彼女がダメージを受けてしまうのは言うまでもない。

 

「甘く見るな魔理沙、神の力はそう簡単には解除できない……。ましてや、今の魔理沙じゃ絶対に無理なことだ」

 

「……!」

 

「だからこうして、神の力は神の力で打ち消す。それしか、方法は無い……ッ!!」

 

 魅魔の全身が燃え上がった。本当の炎なのか、それともそうではないのか……パッと見では全く見分けがつかない。

 

「へぇ〜、随分と思い切ったことをするのねぇ。じゃあ、これならどうかしらァ?」

 

 パチンと指を鳴らすと、氷の川コキュートスと炎の川プレゲトンが、前後から魅魔を挟むように動き始めた。炎の川に身を委ねていた魅魔はすぐ動こうとするも、燃え盛る炎の中では、そう思うようにはいかない。

 

「参った、本当に参ったな……。まさか、死ぬ程感覚が鈍っていた弊害がこんなとこで表れるとは思わなかったよ……!」

 

「私より感覚が鈍っているなんて、どんだけだよ魅魔様っ……!」

 

「気が遠くなるほどの永い刻を、魔法使いや悪霊だので過ごしているとね……感覚が狂ってるのが普通になる。やがて、感覚は無になる。だから、私には分からなかったんだ。なんで魔理沙が急に飛び出したのかがね……」

 

「逃げろ魅魔様っ、挟まれる!!」

 

「逃げたいのは山々だが、どうもこの中では少し動きが遅くなるようだ……。それもそうだ、川の中で楽に動けるのは魚くらいのものさ……」

 

「クソッ……魔砲『ファイナルスパーク』!!」

 

 流れる川を断ち切ろうとファイナルスパークを放つ。すると思惑通りに魅魔の居る炎の川は寸断され、弾幕に揉まれていた魅魔は、何とか脱出ができた。

 

「助かったよ魔理沙、ありがとう」

 

「へへっ……そろそろ奴らにトドメ刺そうぜ!」

 

「あぁ……そうだね」

 

「させない!あたいとご主人様が勝つぜっ!!」

 

 魅魔の元に向かう魔理沙の背後から二人を挟むようにレーザーを放つ。しかも、左右だけでなく上下にも張り巡らされている。まるでレーザーの網だ。すると当然、被弾しないように間に入った二人だが、それがいけなかった。

 

「……!それはナイスすぎるわ、ピースちゃん!いくわよ、『紅蓮地獄(ハドマ)』!!」

 

 ピースのレーザーは全て凍り、へカーティアの合図で一斉に爆ぜた。二人は全身に礫を喰らい、所々に裂傷を負い流血する。

 

「何のこれしきィ!!私の火力の方がっ、絶対、上なんだ!!変身ッ!!」

 

 滅紫の柱が立ち上り、魔理沙は魔力を解放させ悪魔のような方の翼を生やした。こちらは、あの白い結晶の翼よりも強力なので、彼女の本気度が窺える。

 

「い゙ぃ゙っ!?ご、ご主人様ぁっ!アレ、本気でヤバいですってぇ!!」

 

「あれこそ真の奥の手って感じね……!OKよ、魔理沙!4割でお相手するわ!」

 

「このッ……何割だの何だのと……!!私を……舐めるなあああああああああぁぁぁッッッ!!!喰らえ、本気のォ……魔砲『ファイナルマスタースパーク』ッッッ!!」

 

「やっぱり、安定して火力が出せるのはマスパ系なのよねぇ……!けど、だからこそこちらも対策しやすいってモンなのよ!」

 

 魔理沙は光線を放つ。これまでに見た事が無いほどの超絶火力、圧倒的魔力の奔流。全ての力を使い果たすような勢いで放つ。

 太さもそうなのだが、それに付随する星弾幕の密度も、それだけで一つの耐久スペルかと思えるほどの高密度さだった。

 

「う、ぐっ、もう、当たってっ……んがっ……!ちく、しょおっ……!!」

 

「ピースちゃん!?」

 

 慌ててピースに魔法を掛け、すぐに回復させるへカーティア。一応ダメージは回復したものの、すぐにまた凄まじい密度の弾幕に撃たれる。

 

「まずい、これはまずいわね。……魅魔は?」

 

「ここさ」

 

「……ッ!!」

 

 へカーティアが振り返るよりもはやく、背後に回り込んでいたらしい魅魔は光線を放った。まだピースの方も気がかりであったへカーティアは、魅魔の光線に押され、そのまま魔理沙のマスパに突っ込んでしまった。

 

「今だ魔理沙!!本気を出し尽くせッ!!」

 

「わかったぜ!うおおおおおおおおぉっ……!!勝つのはァ……私達だァァァァァァァッッ!!」

 

「ご主人、様ぁぁぁっ!!」

 

 魔理沙のあの光線は、ついに観客席を保護する母さんの結界にも大きなヒビを入れ、今にも破壊せんとばかりに力を込めている。そこに居た客はワラワラと逃げ惑い、運営の河童達が避難誘導を始めているようだ。

 やがて、少しずつ彼女の魔力は弱まっていき、翼も消した魔理沙は、フラフラしながらも地面に降り立った。

 光線のあったところにへカーティアはおらず、ピースは松明を持ったまま地面に墜落している。

 

「勝った、と考えていい……のかな……?いや、消してしまったから負け、なのか?」

 

「へカーティア達に勝っちゃった。うふ、うふ、うふふふふ………………ふふふ…………」

 

「ま、魔理沙……」

 

「ま……まだ、だ……私は……負けて、ない!」

 

 ピースがヨロヨロと立ち上がる。それを見て、すぐさま構えた魅魔と魔理沙。しかし倒れるのも時間の問題に思えた……そんな時。

 

「成程ねぇ。魅魔は魔理沙の膨大な魔力に隠れて行動してたのねぇ……そりゃあ私の背後を取れるワケだわ。でなければ私が背後を取られるはずが無いものねぇ……」

 

 余裕綽々な態度で、へカーティアが出現した。まさに瞬間移動のような、そんな現れ方だった。

 

「な、へ、へカーティアっ……お前は、もう……倒した、はずだ……ッ!!」

 

「そんなわけが無い、私はまだ倒されてないわ。まだ戦いたい相手がいるから、負けられないの♡さぁピースちゃん、一緒に終わらせるわよ♪」

 

 もう一度回復魔法を掛け、復活したピースは、松明をブンブンと振り回しながら主人の元に駆け寄る。

 

「どこいってたんですかぁ!」

 

「姿を消して様子を伺ってたのよ、ごめんねぇ。でも大丈夫、次で終わるから頑張りましょうね」

 

「はいっ!!」

 

「させるかァ……!私が、私達が勝つんだッ……負けて、られるか!!」

 

(参った、さっきのバリアで魔力が……!?これ以上は私の存在事態が不安定に……!)

 

 力が入らないのか、ガクガク足を震わせている魔理沙。魔力はかなり枯渇しているようだ。更に魅魔も、魔力は明らかに少なくなっていた。

 

「いーや、今回ばかりはあたい達が勝つっ!獄符『フラッシュアンドストライプ』!!」

 

「ゆっくりと休んで、よーく修行に励むことね。月『ルナティックインパクト』!!」

 

 そして、二人同時にスペルを使ったことで……魔理沙と魅魔は二人揃ってノックダウンされた。しかし魅魔に限っては、何やら“枷”があるのか、この一連の戦闘で、あんまり活躍が見れなかった気がする。いつか機会があれば、個人的に戦闘を申し込んでみようと思う。

 

「さーてと……♪」

 

 へカーティアは観客席に居る俺を見、ニヤリと笑って見せた。その直後に、俺に彼女からの呼び出しが掛かったのである。




魅魔様、霊体なだけあって戦闘に使える魔力とかあんまり無さそう。智霊奇伝を見るに、人外だと存在維持に魔力がかなり関わってるようなので。
でも、ドラゴンメテオに耐える為にめっちゃ魔力消費しちゃってそう……。
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