「はぁ〜〜〜……堪能したぁ……」
汗が染みたブルマの匂いを嗅いで、幼女3人の匂いを肺に浸透させた俺は、残り二分ほどの短い休み時間を謳歌しようとフワフワした気分のまま職員室に向かった。
「戻ったよ慧音〜……」
「遅いぞ、何をしてたんだ?体操着を集めるのが遅れてしまうじゃないか」
「あーすまん……ちょっと野暮用があってだな」
「お前の事だし、生徒達に頼んで体操着の匂いを嗅がせてもらってたんだろう。バレバレだ」
「バレてたかー。ま、そうだよ。その通りだよ。イイ匂いでしたわマジで」
「お前のその幼女趣味、いずれどうにかした方がいいんじゃあないか?」
「大丈夫さ、無理矢理にはしないから」
「どうだか……」
ミスティアと響子の時は、酔った勢いに任せて襲ったんだったか。……相手があの子だったから助かったようなものだ。もし他の人が相手ならば死んでいたかもしれない。
「ところで、次の弾幕って授業は?」
「そのままの意味だよ。総当たりで弾幕ごっこをするんだ。いつもトップは巫月、次点でチルノ、その次にルーミアかミスティア、かな。巫月には退屈させてしまっているかもしれないが……」
「いいよいいよ。巫月には少しガマンってモンを覚えさせた方がいいと思ってるし」
「それはお前もだな」
それもそうだったなぁ、と苦笑いを返す。我慢すべきときには我慢できる俺だが、普段は我慢ができない……いや、我慢をしない。きっとそれが問題なんだろうとは思うが。
「マンネリ気味なのを考えると、たまには何か、ご褒美とかを用意した方が皆もやる気出たりするのかな?」
「そうだと思うよ」
つい先程、ご褒美を提示してやる気を出させることに成功しているので、慧音のこの目論見は、綺麗に当たっていると言える……と思う。問題は肝心なご褒美の内容だが……。
「でもご褒美だけじゃな……。指導しようにも、私は戦闘向きの能力じゃないし……エスカルゴ、皆に指導してやってくれないか?」
「2位なんて順位の俺じゃ力不足だわ」
「その前は優勝してるんだろう?なら大丈夫だ、指導してやってくれ」
「俺の戦法は慧音も知ってるだろ?ゴリ押しだ、そんなのアイツらに教えられるかよ。最近じゃあ巫月までゴリ押しになってきちまったしよ……」
「しかしチルノと巫月には指導してるんだろう?ならそれでいいじゃないか、そんな感じで授業をやってみてくれ」
「〜〜〜〜〜〜ッ……」
やがて休み時間は終わり、また外に出る。この自然の中でのびのび運動できるのだから、本当にこの子達は幸せだと思う。
「えーと……今日の弾幕の授業は、俺が担当することになった。ゴリ押しでも武器でもなくただの弾幕の授業なので、えー……まぁ、何だろうな、色々指導したいと、思う。……慧音先生、マジで何をすりゃいいの?」
「戦闘を通して回避の練習、とかはどうだろう?先生も昔はそういう練習をしていたんだろう?」
「してたしてた。フランの弾幕を避けまくって、散々笑われてきたな……ふへへ」
「じゃあ今日は、回避の練習も兼ねてエスカルゴ先生と一騎打ちだ。先生の弾幕に被弾せず先生に弾幕を当てられたら合格。私はその間にご褒美を考えておく」
「わーいご褒美だー」
「えらく棒読みだなぁ。ルーミアはエスカルゴが考えたご褒美の方が良いかな?」
「……まー、内容によるけど……」
「じゃあ私は……エスカルゴ先生からのご褒美がいいです♪」
「あっ……じゃあ私も……」
「大妖精、ミスティア……なんだかなぁ。じゃあチルノはどんなのがイイんだ?」
「んー……あたいはもう、ご褒美要らないかな。ご褒美目当てじゃないし〜……一緒に遊ぶのでもすっごく楽しいし!でも勝ちたいから頑張る!」
「チルノっ……なんて純粋な子ッ……!!」
「違う、違うぞエスカルゴ先生……これが年相応というものだ……。年齢は知らないがな」
「それにしても可愛すぎる……。最初はチルノにしようか」
「やった!頑張るね!」
◆
「初めて行うエスカルゴ先生の為に、改めて説明するぞ。一度でも直接被弾したら負けだ。掠り、武器や防具への被弾はノーカウントとする」
成程、このルールなら巫月やチルノに有利だ。巫月は剣も鎧も使えるし、チルノも剣くらいなら常用している。欠陥ルールだとまで言うつもりは無いが、一部の者達に有利なルールだと言える。
「スペルカードの指定は無し、か。OK、把握。皆、離れて。慧音先生、合図お願い」
「それでは始めよう。…………始めッ!!」
皆がある程度距離をとってから、慧音は合図を送る。弾幕の発射は、俺よりチルノの方が早い。流石、あの大会でそれなりに残っただけのことはある。
「やっぱり当たんないよねっ……簡単には……」
「来いチルノ、
「氷剣『アイシクルソード』!やぁぁぁっ!!」
「!?」
地面に剣を突き刺した。何が起きるかと思えばそこを起点に、猛スピードで氷が広がり始めた。冬の霧の湖の如く、スケートリンクのように光を反射するほどになると、チルノはその上を滑って剣で攻撃を仕掛けてくる。
「うわっとと……す、滑るっ……」
「もらったぁ!!」
滑ってしまうので足は全く使い物にならない。となれば飛ぶしかないので、剣を避ける為に空に逃避する。ひんやりした冷気が上空2mほどまで感知できる。どれだけ強力なんだか……。
そして広範囲を凍らせたという事は、それだけ熱を奪ったという事であって、バーニング化時の強さ、持続時間がその分延びたという事である。シンプルに厄介だ。厄介と言わざるを得ない。
俺が逃げてばかりだと判断すると、剣を振り、弾幕を追加で発射してくる。あれは俺が教えた事だが、あの子にしては割と器用になったと思う。おかげで今の俺が回避に苦労するハメになった。
「霊魔『封・
「ッ……!?」
妖魔雷霊剣を取りだし、微弱ながら封印効果のある斬撃を、逆五芒星に準えて放った。チルノはそれを剣で防御したが、それこそ俺の狙い。剣は封じられ、そこからは弾幕が出せなくなる。
剣が使い物にならないと気付くとそれを地面にポイ捨てし、再び弾幕のみでの攻撃に移行する。
「隙だらけだぞ!武器を失った後の動きは教えたはずだ!一閃『Mishap of Thunder』!!」
「隙でもなんでもないもん!防備『グレイシャーアーマー』!!」
魔法陣をそれなりに拡大させたあと、容赦なくチルノに叩きつける。しかし彼女は墜落しない。何故だろうと目を凝らすと、彼女からパラパラと崩れ落ちる何かがあることに気が付く。
「脱皮……!?」
「違うよ、あたい虫じゃないもん。あたいの氷の鎧が、今の一発で壊れちゃったの」
「鎧……ッ!!」
さっき、ちらりとアーマーと聞こえたのはそれだったのか。鎧生成前に当てたと思ったのだが、ピンピンしているチルノを見ると、そうではないことがよく分かる。
チルノはまだ電撃に耐性が無い。だから、もし被弾していたらこうして浮遊することすら難しいはずだ。
「エスカルゴも美鈴も巫月も、あたいがよく戦う奴らは
「流石チルノ。吸収力はピカイチだな」
「えへへっ♪」
「……かと言ってそう簡単に引き下がるワケにはいかないけどな!」
「あたいもだよ!そう簡単には負けてあげないんだから!もう一回だっ……防備『グレイシャーアーマー』!!」
「雷銃操法『スパークショット』ッ!!」
グレイシャーまたはグレイシアは、氷河を意味する言葉。確かに、チルノの纏う氷は氷河の如く分厚い。先程のあの攻撃なら一発で破壊できるのかもしれない、が……雷銃でなら何発で壊れるか試してみたい。
「へへんっ、そんなんじゃーあたいには効かないからねっ!」
「それはどうだろうな、同じ所に当て続けりゃあいずれは……ッ!!」
氷に弾かれて、ピキュンピキュンと音が鳴る。チルノの弾幕を回避しながらの連射はそれなりにキツイ。しかし弾幕の小ささと速さ、威力はまだ俺の方が上回っている。もっと連射すればいずれヒビ割れるだろう。
「うわわっ、ヒビが!」
「あッ……分厚くしやがった!?」
酷いことをするものだ。折角ヒビが入ったのにそれを修復させてしまったばかりか、厚さを倍増させてしまった。空気中の水蒸気を凍らせて鎧を作っているのだろうが、あまりに厄介すぎる。
「なら、一気に撃ち抜くまでだ!次の攻撃で……チャージショットでキメてやんよ!!」
両手の銃に、銃が壊れそうになるほどの電力を注ぎ込む。そしてトリガーを引きっぱなしにするだけで弾丸が連続で発射され、先程よりも激しい攻撃を与えることができる。
難点としては、前に集中しすぎるあまり背後の防御が手薄になりがちなところだろうが……。
「わわわ、壊れる壊れるっっ……」
「終わりだ、チルノッ!!」
度重なる集中攻撃によって、鎧の修復と増強も間に合わずに破壊される。同時に被弾したチルノだったが、それと同じタイミングで俺の背中にも激痛が走り、翼の付け根が凍り────。
「そこまで!両者被弾により引き分け!」
「……ちぇっ、引き分けか」
「むー、惜しかったな〜。でもでも、後ろからも襲うってのは良い考えでしょ!」
「そうだな。もう少し早かったら俺が負けてた」
「もっと早く思い付いてたらな〜……」
◆
「リグル……もしかしてダンゴムシか?」
「蛍ですって!!」
次にリグルの相手をした俺だったが、ある事に気が付いたことで一分も経たずに決着がついた。その内容があまりに「ダンゴムシすぎた」ので、あんな発言をしてしまったのである。
「それは分かる、分かるけどさ……。蛍に交替性転向反応あるなんて聞いたことないぞ。あるモンなの?……無さそうだな」
「こうたいせい……何ですって?」
「
「うえぇ、そんな習性が私にぃ……」
「動きを予測できたなら、避けた先に弾幕を配置するだけで十分だからな」
「ですね……何とかして直さないと……」
「……どうだろう、直す必要は無いと思うぞ?」
「でも、直さなきゃこうして当てられるし……」
「抗えぬ本能っていうヤツなんだろうし、無理に直す必要は無いと思うなぁ、俺は。カバーできるようにすりゃあ良いんだ。例えば回避を速くするとかさ。とにかく、色んな奴らと戦って、経験を積んでみるっつーのはどうかな?」
「……あのっ……私も、チルノみたいに指導してもらうことって……できます、か……?」
「まー俺は構わないけど、弾幕指導じゃないよ?剣とか弾幕を交えた、さっき見せた戦いみたいな特訓ばっかだけど……それでもいいならな」
「私は剣とか使わないけど……それでも頑張って特訓したいです!」
「チルノは?リグルと一緒の特訓でも大丈夫か?それともバラバラがいい?」
「んー……一緒でも大丈夫、かなぁ?」
「……っていうことだから、チルノと大ちゃんと一緒に来てくれ。俺が紅魔館に行く大体の周期は俺、美鈴、チルノ、大ちゃんに聞けばわかる」
「わかりました!お願いします!」
「一緒に強くなろーなリグル!」
「うんっ!頑張ろ!」
チルノがどこまでも真っ直ぐすぎて辛い。直視できないほど、チルノが眩しく見える。
とは言っても、リグルの能力自体があまりよく分からないので、どういう指導をしたらいいのかパッと思いつくものはない。
「流石に、ロリコンという抗えぬ本能を持ってるエスカルゴは言う事が違うね。そこはどうやってカバーしてるのかな?」
「そうだな……ロリコンだってのを皆にも知ってもらう為に、公言する事かな?少なくとも、慧音先生からは理解を得られたし。ね、慧音先生?」
「まぁ、(仕方なく)な……」
「ちょい待て何だ今の間は」
「ふーん……慧音先生も苦労してるねぇ。悩みの種とか多そう」
「ルーミア、お前も悩みの種の一つだからな」
「こりゃー心外」
「……ロリコンはまぁ置いといて、リグルは……どんな特訓がいいのかなぁ」
一先ずある程度マシになるまでは回避の練習をさせるのがいいだろう。リグルも、いずれは俺達吸血鬼の天敵足り得るほどに強くなってくれれば嬉しい。
尤も俺は、教える側じゃなくて教わる側の方が性に合ってると自分では思っているのだが……。
「一部とはいえ他の虫の習性も備えてるのかな?だとすりゃ、まずは不明な習性を発見する事から始めないといけないかもしれないな。自覚症状は何かある?」
「よく分からないですけど……発情期はあんまり無いですよ」
「もしかして年中発情期なんじゃないの?虫ってどんな季節でも粘り強く存在してるし。冬でさえ冬眠せずに活動する虫はいるからな」
「年中発情期だなんて、そんな、エスカルゴ先生じゃないんですから」
「わーお……言うねぇ〜。なんだ、リグルといい大ちゃんといい……交尾して一皮剥けると口まで達者になるのかな?」
「そうかも……ですね?」
ズバズバ言ってくれる子は嫌いじゃない。ただそれにしたって、ヤる前と後で変わりすぎな気がしなくもないが……。
◆
「今日の授業はこれで終わるぞ。皆、エスカルゴ先生に挨拶を」
「「「「ありがとうございましたー!!」」」」
「こちらこそありがとう。今日は楽しかったよ。慧音先生に呼ばれたら、また来るよ」
楽しい時間は早く過ぎる。生徒達全員と戦い、慧音とも戦って見せ、もう一度全員と戦った所で4時間目が終わってしまった。
名残惜しくもあるが、これからは放課後という楽しい時間が始まるので、次はそれを楽しむ事にしよう。
「先生、これから紅魔館前で特訓しよ!もちろんリグルも一緒に!」
「悪いなチルノ、今日これからってのはダメだ。ちょっと……放課後には予定があるからな」
「そっかー、ざんねーん。じゃあ、エスカルゴが紅魔館行く日に行くね!」
「ああ」
そう、今日はダメだ。3時間目の体育で言った巫月と大ちゃんへのご褒美があるし……そもそも今日の放課後は大ちゃんと「遊ぶ」約束だ。
何処でナニをシて遊ぶことになるのやら……。
今日(9日月曜日)は偶然にも進撃とチェンソーマンの更新が重なる日。
なので明日の更新は多分お休みです。
放課後編……書く予定は無いです。だってどうせエロだもの。
因みに、氷を纏って防御するのはジョジョ5部のギアッチョが元ネタですね。だから、久しぶりに雷銃操法『スパークショット』出したんです。
ギアッチョvsミスタみたいな。
ギアッチョよりはチルノの方が強いっていう脳内設定ですけど、ああいった能力の使い方は面白いですね。流石は荒木先生。