「あぁ居た。エスカルゴ、
「結果?……あぁ、はい、分かりました……?」
巫月が寺子屋へ、鈴仙が薬の行商へ行っている間、珍しく暇を持て余している俺が適当に家事をしていると、永琳が俺を呼び出した。
彼女から部屋に呼ばれるなんて、嫌な予感しかしない。こんなことだったら輝夜と喋っていれば良かった……と思ったのだが、いざ行ってみると何やらカルテを持って俺を待ち受けていた。
結果とは一体、何のことだろうか。俺は特に、永琳に何も検査してもらっていないはずだが。
「失礼します。永琳先生、話って一体?」
「まぁ、座って。話はそれからよ。別に、取って喰おうってワケじゃないから安心なさい」
「ええ、それは分かってますけど」
「あらそう。じゃあ、本題に入るわね。あなたの精液の詳細を調べた結果なんだけど……」
「……はい?え?どういう事……え、何でそんなワケわからん事……」
藪から棒に意味不明な事を言う永琳。予想だにしなかったそのセリフに、思わず目を見開いた。けれども当の永琳は、俺を見て首を傾げている。
「……?輝夜から聞いてないの?私の研究の為に輝夜を通して精液をもらうって話」
「聞いてないですけど……」
「あららら……それは悪かったわね。忘れるとは考えにくいし……わざと伝えなかったのかしら?質問を質問で返すようで悪いんだけどどうやって精液を輝夜に渡してたの?」
「輝夜、なんか『搾るの楽しいから搾らせて♪』とか言ってたので、定期的に……」
「あぁ、じゃあそれだわ。あなた、何も知らずにまんまと搾精されてたのね……」
「姉と弟って設定で絞られるの、結構楽しくて」
「聞いてないから。……じゃあ、あなた、研究の意図も知らないわけね?」
「知らないです。教えて下さい」
「分かったわ」
カルテを置き、足を組み直してコホンとひとつ咳払い。医者みたいだな……と思ったが、永琳は本物の医者だった。
何だか、精液を調べられていたというのは少し別な意味で興奮しそうだ。
「今から約1年前、私はふと疑問に思ったのよ。
『どうして、多くの女性とヤッているはずのエスカルゴの子供はこんなに少ないの?』ってね」
「もう10人をゆうに超えてるんですけど……」
「どう考えても少ないでしょう。ヤッてる回数、人数、頻度を考えてごらんなさい」
「……確かにめっちゃ少ないですね?」
「魔法を使える者ならね、魔法で避妊できるとか思ったんだけれど……。でも、あなたのセックス相手の大半は魔法使いじゃないでしょ?ましてや生理がキてるかどうか分からない子も多いしね。なんなら、隠し子がわんさかいてもおかしくない状態よね。そうでしょ?」
「うっ……」
「だけど、現実はそうでもないみたい。ウドンゲなんて次で2人目でしょう?霊夢は次で3人目。しかも、間に何年も空いているわよね。その間、ずっとレスだったワケじゃないでしょ?」
「そりゃもちろん。行ったらほぼヤッてますよ」
「そうよね。永遠亭でそうなんだもの、博麗神社でも変わらないわよね。でも、霊夢もウドンゲも毎年出産してるワケじゃないでしょ?咲夜も文も妖夢も、その他の皆も。つまり私はそこに疑問を抱いたわけよ」
「成程……そりゃ気になりますね」
「でしょ?でも私はあなたの陰茎なんて見たくも触りたくもないから、ちょうどタイミング良くセックスフレンド?……ってやつになった輝夜に頼んだってわけなの。ウドンゲも巫月ちゃんも、すーぐ飲んじゃうんだから……。今思えば、輝夜じゃなくて直接あなたに頼めば良かったかもね。トイレで自慰してきて……って」
「精液を渡す方法は置いといて、そういや輝夜の搾精プレイが始まったのって、多分それくらいの時期だった……かも……?」
「そうでしょうね。そこであなたの精液を調べた結果、意外な事が判明してね」
「何です?まさか種無し……いや、めっちゃ薄いなんて……」
「薄いってわけじゃないんだけど、なんていうかその……濃度の変化が極端なのよね」
「……はい?」
「1発目に特化しすぎって感じね。問題無く射精できていても、強い精子が減るのが早いのよね。3発目くらいからは薄いのよ。それで、どうしてそんなことになってるのかっていうと、あなたに亜鉛が不足しているからみたいなのよ」
「はぁ……亜鉛ですか」
「不足しているというのもね、射精回数が無駄に多いからなのよ。精液はそれなりに多くの亜鉛を含んでいるのだけど、射精回数が多くなればなるほど、あなたの体内の亜鉛も不足してくるわね。かといって、失った亜鉛は簡単には補えないわ。つまり、大量に射精した日や次の日の精液は弱い精子ばっかりで、膣の中で死にやすい。だから、女性を孕ませた人数も少ないってわけ」
「1発目特化、なんですよね。てことは1発目が超濃いってことですよね?」
「そうね。1発目のはかなり濃かったわ。だけどあなた、1発目や2発目は口に射精する事が多いらしいじゃない。そのせいよ」
「あ〜……なーるほど……」
「そこで、亜鉛のもう一つの役割が重要になってくるわ。よく聞いてね」
「はい」
「亜鉛はね。女性の生殖器の発育に必要不可欠なミネラルなのよ。ちゃんと発育させ、正常に機能させ、正常な卵子を作るの」
「それなら知ってますけど……」
「知ってる?知っててやってるの?」
「えと……何を……?」
「巫月ちゃんへの口内射精よ。フェラチオからの口内射精、よくやってるんでしょ?」
「そうですけど……」
「巫月ちゃんは生理もまだでしょう?つまり生殖機能が未完成ということ。そこにあなたの精液によって、より多くの亜鉛が彼女に投与されると、生殖機能の完成が早まるの。つまりこのままではあなたと巫月ちゃんの間に子供ができてしまう。それなりの確率で死産か奇形児か、まぁ、遺伝子異常になるわね。あくまで人間基準で言うなら、だけどね」
「…………」
「だから、巫月ちゃんを想うならもうこんな事はやめなさい。分かったわね?」
「…………分かりました。もうやめます……」
「そう……素直に聞いてくれて良かっ────」
「1発目を巫月に口内射精するのは」
「……はい?」
俺が、素直に巫月との行為をやめるはずがないだろう。しかし永琳はこんな俺に期待してくれていたのか、驚きの表情を見せる。
「要は、濃いのを口内射精するから巫月の身体に亜鉛が投与されるんですよね。だから、性機能の成熟が早まる。つまり膣内射精なら逆に安全ってことですよね。生殖機能が未完成だから……」
「あなた……自分がどれだけ倫理を無視した事を言っているのか理解できてるの?正直引くわよ」
「いやまぁ……引かれても仕方ないですけど」
使うつもりは無かったが、反撃のカードを使うときが来たらしい。これさえ使えば、永琳でさえ黙らざるを得ないはずだ。
「依姫だって甥っ子に手を出したのに、そっちは無視するんですね。永琳先生ってば、相変わらず身内に甘いんですから……」
「ッ!?」
「この俺が何も知らないとでも?知ってますよ、それくらいは。俺の情報網は、遥かお月様にまで及んでるんだ。……依姫と甥っ子くんは、子供を4人は作ってるんですよね。なのに、俺ばっかりそんなに言われる謂れは無いと思うんですけど」
「…………」
「綿月姉妹って永琳先生とは親戚なんですよね。いや、身内を庇うのは別に構わないんですけど、それを棚に上げて俺に注意するっていうのは……なんか違うんじゃないかなー……って……」
「…………」
「調べてくれたのは、ありがとうございました。巫月にはあまり口内射精しなきゃいいんですね。わかりました。危うく禁忌を犯すところでした。最後の一線を越えてしまいそうだったんですね。これからあの子には、膣内射精ばかりしますね。お互いが満たされるまで……ね」
立ち上がり、部屋を出ようと背中を向けると、永琳は焦ったような声で引き止めてくる。しかしその後に続いた彼女の疑問は、極めて当たり前な疑問であった。
「待ちなさい。あなた、依姫の事をどこで……」
「外の日本人なら誰しも疑問に思うことですよ。
『天皇家のルーツって何だろう?』……ってね。稗田家の資料でも調べたりしましたが、まさか、依姫が経産婦だったなんて驚きましたよ。子孫が天皇様ってこともね。まぁ、老いも死にもしない月人だったら不可能な話じゃあないですもんね。どの世界でも、近親相姦はあるモンなんですね。では、失礼します」
「……」
そう、天皇家は依姫の子孫なのだ。天皇様も、自らのルーツが近親相姦によるものだとは調べもしなければ分からないだろう。
日本列島が生まれたのもイザナミとイザナギの近親相姦によるものらしい。全く、日本は昔からこんなのばっかりなのか。……と思ったりしたがかのゼウスも己の子孫を孕ませたりしているし、どこの神様も大して変わらないのだろう。
「巫月は色んな意味で可愛いもんな、犯さずにはいられないな……。もう歯止め効かねーかもな」
ともかく、俺は巫月の事は孕ませない。これは慧音との約束みたいなものなのだから。ゆえに、口内射精するとしたら何発か射精して薄めた後にしてやるのが一番だろう。
……と、そこまで考えたところで、俺が娘との禁断の交わりを止める気がサラサラ無いことに、今更気付き……しばしの間、自己嫌悪した。
しかし数時間後には、そのような自己嫌悪など忘れたかのように、娘と交わっていたのである。
依姫の件は、へカーティアからの情報です。
調べても分からないなら神頼みですな。