※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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イッツ、レベリングターイム!②

「サグメ、ちょっといいかな」

 

「どうしたの……?」

 

 輝夜とのプレイを終えた俺は、そのままの足でサグメの元へ向かう。巫月の家庭教師も終わった時間帯のはずだし、普段通りなら暇なはずだ。

 

「今暇ならで良いんだけど、もし暇なら……俺と戦ってくれないかな?」

 

「戦う?……弾幕ごっこ?」

 

「うん。俺、サグメと戦ったことがないからさ、ちょっと試しにさ。ダメかな?」

 

「そういう事なら……外、行こう」

 

「お、良かった良かった」

 

(性行為の誘いじゃなくて良かった……。それ(・・)はどうしても私から誘いたいんだもの……)

 

 どうしてかホッとしているような表情の彼女を後目に、縁側から外に出て空中戦の準備をする。眼下に広がる竹林の一部は先程の輝夜との戦いで一部焼け野原のようになっているが、サグメは、特に気にするような素振りは見せない。

 

「ルールは……どうするの……?」

 

「枚数無制限、1被弾で敗け。これでどうかな」

 

「わかった」

 

「真剣勝負で頼むぜ。手加減されて勝ったって、何の意味もねぇからな」

 

「……成程、察した。修行中か……」

 

「そゆこと。流石サグメ、察しが良くて助かる。今俺は、幻想郷の強者共を倒しまくってるんだ。もっと強くならないといけないからな」

 

「私はそんなに強くない……けれど……。でも、選ばれたからには、精一杯……やる……」

 

「そうこなくちゃ」

 

 ひとつ深呼吸をすると、サグメはキッと真剣な表情になる。そして、唐突に弾幕を発射し始めたことで勝負が始まった。

 彼女の弾幕は、まさかの御札である。しかも、発射源は陰陽玉だ。まるで、霊夢のような攻撃をするものだ。二方向からクロスするような御札がとてもイヤらしい。

 

「いくわよ。玉符『鳥合の呪』」

 

 きた。サグメのスペル一枚目だ。陰陽玉と御札主体の弾幕なのは分かった。あとは俺がどれだけ対応・処理できるかに掛かっている。

 こんな序盤で負けるワケにはいかない。ただ、初見のスペルばかりなので、前後左右上下全てに警戒をしなければならない。

 

「……なーる……陰陽玉は壊せるんだな」

 

 斜めに並んだ陰陽玉が、真っ直ぐに放たれる。面倒な事に、陰陽玉は少し進む毎に御札を残してくるので、破壊できるならさっさと破壊した方が御札の密度が薄くなるだろう。

 しかし、そう簡単にはいかないようだ。御札の弾幕を無にしようと陰陽玉を壊す事に徹するが、御札を残すまでのスパンが短いようで、どれだけ早く壊しても、それなりの御札が残ってしまう。

 この密度から察するに、ノーマル辺りだろう。ハードにしては薄いし、イージーにしては濃い。

 

「しかもホーミングかよ、厄介だな……」

 

「……攻略するのが早い。流石……」

 

「何年も色んな強者と戦ってきてるしな、攻撃に慣れるのも早くなるさ」

 

「ならこれはどう……?玉符『烏合の逆呪』!」

 

 弾幕の系統としては先程と同じ。だが陰陽玉の数がまるで違う。破壊にも多少の時間を要する。範囲が広く、数が多い。これはキツい。

 当然、後方に残してくるホーミング御札の数もえげつない密度になっている。思わず両手で顔を覆いたくなるような惨状だと言える。この密度、間違いなくルナティックだ。

 

「こうなりゃ、俺もスペル使うしかないか……!雷神『荒れ狂う霹靂神』!!」

 

「ッ……!凄い密度……。なのに、この上にまだ一段階残してるのね……」

 

「いーや、あと二段階だ!この前、もう一つ開発したんでな!」

 

「……その向上心、厄介……」

 

「目には目を、ホーミングにはホーミングだっ!密度が同じくらいなら、後から発動した俺の方が有利なはずだッ……!」

 

「…………」

 

 密度は同じくらいだと思っていた俺だったが、現実はそう甘くないらしい。陰陽玉を壊し御札も壊すとなれば、両方の相殺に要する俺の弾幕は、単純に考えて倍以上。陰陽玉がかさ増しした事で相対的にこちらの密度も今よりも増やさなくてはならなくなった。

 

「ちょっと見込みが甘かった……!相殺に手一杯どころか、相殺すら満足にできてねぇ……ッ」

 

「……そろそろ時間か。玉符『烏合の二重呪』」

 

「……は?」

 

 サグメは更に上位互換のスペルを使ってきた。弾幕を残す陰陽玉の後ろに、もう一列同じものを配置している。つまり、単純計算で先程の二倍。ルナティックだと思っていたスペルが、実はまだハードだったのである。

 

「嘘だろ!?こんな密度、俺には捌けねぇよっ!雷神『龍雷閃』ッッッ!!」

 

「ッ!?」

 

 諏訪子のトドメに使ったスペルを、ここで使用してしまう。トドメに使うような圧倒的な密度のスペルを、まさか相殺の為に使う事になるとは。

 これは予想外としか言えない。まさかまさかの強さだった。サグメだって元月の賢者なんだし、並大抵ではないだろうとは思っていた。しかし、まさかここまでとは。

 そして俺にはまだ誤算があった。それは、このスペルはホーミング性なので、陰陽玉の事は狙うものの、あとはサグメに向かってしまう為、弾幕の相殺には向かないということだ。

 

「頼むぜ、暗黒斬月剣……オメーだけが頼りだ」

 

 妖魔雷霊剣は地面に刺している。となればこのスペルが終わるまで俺の得物は暗黒斬月剣だけ。布都御魂剣は、まだ使うべきではないと考えた。アレは奥の手だ。

 

「いっくぜぇぇ……!『冥道斬月波』ッッ!!」

 

 暗黒斬月剣から複数の移動式スキマを放った。それらは次々と弾幕を飲み込んでいき、それらを消し去ってやる。本当なら逆に排出させたいが、ホーミング性だと結局は俺の方に来るので弾幕を消すしか道がない。

 

「そら、もう一丁ッ!」

 

「……あなたの弾幕、全くこちらに来ないけれどどうしたの?」

 

「くッ……!すぐに届くから待ってろっ……そう言ってられるのだって、今のうちなんだからな!いくぜっ……爆符『キロノヴァ』ッッ!!」

 

「ッ……危険だって、私の本能が言ってる……?これ、は……爆発と同時に────」

 

「ばん」

 

 俺とサグメの間でグルグルと回っていた二つの巨大な天体を模した弾幕。それらは互いの重力に引かれ合うブラックホールや恒星の如く、やがて衝突し、同時に弾幕を全方向にばら撒く。

 弾幕の速さや密度等は、元となる二つの弾幕の大きさに掛かっている。今回はかなり大きくしたこともあって、サグメのスペルを超えるような、とてつもない密度になっている。

 

「速いッ……まず、い……あっ……!」

 

 サグメが被弾した。顔ではなく手足だったので良かった。にしても、三枚程度を回避しただけでこの疲労度はおかしい。サグメの強さを知る事ができただけでもこの戦いに意味があったと言えるだろう。

 いよいよ永琳に挑む時が来た……が、それは、また明日にしよう。

 

 

 ◆

 

 

「永琳先生、勝負です」

 

「いいわよ」

 

「即答すか」

 

「あの大会後は、全く戦ってなかったからねぇ。そろそろ体動かしておかないと鈍ってしまうわ。ルールはどうするの?」

 

「枚数無制限、1被弾で敗け。どうですか?一応真剣勝負でお願いしたいんですけど」

 

「えぇ?あなたが私と真剣勝負?……フッ、まぁ構わないわよ。敗北を覚悟しておくことね」

 

「言いますねぇ。言っときますけど、俺は昨日、姫とサグメを倒しましたよ」

 

「サグメも?……じゃあ、本気(・・)なのね」

 

「ええ。出し惜しみは、多分しないです。相手が永琳先生なので」

 

「へぇ、面白そうじゃない」

 

 一旦部屋に戻り、すぐに外にやってきた永琳。矢筒を背中に装備し、弓も手にしている。まさか彼女がアレを使うとは……。些か良くない予感がしてしまう。

 

「さぁ、始めましょう。いつでもいらっしゃい」

 

「んじゃあ遠慮なく!」

 

 また妖魔雷霊剣を振り回し永琳に斬り掛かる。しかし薄緑色の球状のバリアを生成したようで、自分の身を守ってしまう。

 そのバリアは、斬りつけられるとギャリギャリ嫌な音を立てながら火花を散らす。

 

「な、ん……だ、この硬さッ……!?霊夢の結界くらい硬ェ……いや、それよりだ!!」

 

「この程度も壊せないのなら、あなたは勝てないわねぇ……。思いっきり、かかってらっしゃい」

 

「余裕って感じですね……。なら、本気も本気のガチ本気の攻撃してやるしかないっすね……ッ!魔双剣『究極月面衝撃波(アルティメットルナインパクト)』ッッ!!」

 

「ちょっと……!加減は考えなさいよっ!!」

 

 暗黒斬月剣も抜き、双剣で球体の真上から剣を叩きつけ、一気に力を解き放つ。人間なら一瞬で死体は愚か肉片や血痕すら一切残さないレベルの衝撃波である。

 永琳のバリアはそれを防いだ。しかし永琳は、その先どうなるのかを理解していた。受け流した衝撃波の行く先を。

 

「あぁー……竹林が……」

 

「後で成長材撒きなさいよね……!」

 

 衝撃波は、眼下に広がる竹林を半径50mほどは軽く吹き飛ばした。ただ永琳の真下だけは綺麗に竹林が残っているのが少し笑えてくる。

 

「……まだ壊せないのか。強すぎでは?」

 

「殺す気満々すぎでしょ……。構わないけれど」

 

「永琳先生、そんなに守備に特化してたんすね。今度からたまに特訓に付き合ってくれません?」

 

「そんなに暇じゃないわ。もう少しでウドンゲの出産準備もあるんだからね。予定通りだとしたらあと数日なんだから」

 

「……ですね」

 

「じゃあ……そうね。ハンデとして、この結界を壊せたらあなたの勝ちでいいわ。あなたの苦手な弾幕の系統を鑑みるに、私とあなたの相性は頗る悪い。本当に弾幕ごっこにするのなら、あなたの敗北は100%よ」

 

「良いんですか?『永琳先生に勝ったぜ!』って霊夢にドヤりますよ?」

 

「あ〜……構わないわ。今のあなたでは、きっと破壊できないからね」

 

「じゃあ結界壊して俺の勝ちにしてやるッッ!!破壊符『Grip&Break down(きゅっとしてドカーン)』!!」

 

 何も起こらない。そもそも「目」が見えない。物体的に存在しているはずなのに、物体には必ずあるはずの「目」が見えない。……謎だ。

 

「どうしたの?あなたの攻撃はそんなもの?」

 

「これならッ……!破壊符『破壊砲(ブロークンキャノン)』!!」

 

 赤黒いレーザーを放つ。触れた物は問答無用で消し飛ばすレーザーだが……これもあの結界には通用しなかった。摩訶不思議。これまでの常識が通じない結界なんてもし敵が使ってきたらキレる気しかしない。

 

「結界割れるまで暇だし、少し遊びましょうか?天丸『壺中の天地』」

 

「い゙っ……!?か、囲まれっ……あ……あ……被弾しちまうっ……!?」

 

「ほらほら、もう少しで被弾しちゃうわよ」

 

 動きが極めて制限されている中で、様々な方向から放たれる極小の弾幕を回避する。大きな弾幕じゃないだけまだマシかもしれない。

 しかし俺にしてみれば鬼畜以外の何物でもない弾幕だ。隠岐奈の弾幕の玉繭の方が、遥かにマシだと思える。

 

「ッ……!や、ばい……掠り(グレイズ)ばっかりだっ……!負けるっ……」

 

「ふふっ……。今のあなたを相手にこの結界は、大人気なさすぎたかしら?」

 

《舐めてるわね永琳。もう我慢しなくていいわ、カマしちゃいなさい》

 

《イエッサー。……制御、まだ100%じゃないんだけど……》

 

《大丈夫。何とかなるわ》

 

《了解》

 

 へカーティアが制御を手伝ってくれる、というワケではないらしい。それでも、やるしかない。ここで負けたら紫さんになんて勝てるワケ無い。

 

「今度こそキメる……!『紅蓮地獄(ハドマ)』!!」

 

(氷……?おかしいわね、エスカルゴは確か、氷属性の魔法は使えないはずだけれど……)

 

 紅蓮地獄の冷気を呼び出し、結界を凍らせる。永琳は眉一つ動かさないようだが、これでもう、勝負は決まった。

 完全に凍らせられたなら、後は簡単に壊れる。気温差で劣化したプラスチックが砕けるように、いとも容易く破壊可能だ。

 だから俺は暗黒斬月剣を納刀し、妖魔雷霊剣を凍った結界を纏う永琳に向ける。

 

「『雷霤撃波(らいりゅうげきは)』ッッッ!!」

 

「ッ────!?結界がっ……!」

 

 予想通りだ。結界を全て飲み込むほどの太さのレーザーを放つと、永琳は一瞬で砕けた結界から脱出することも叶わず、全身で被弾してしまう。

 尤も、今のこれは「永琳の舐めプによる勝利」なので、先程永琳に言ったように、霊夢や誰かに自慢したりすることはできないだろう。

 

「イタタ……凄い電撃ね、死ぬかと思ったわ」

 

「殺す気で発射したんですけどねぇ……。まぁ、俺の勝ちで良いですよね」

 

「そうね。結界も破られたし、それでなくとも、私が被弾しちゃったしね。それにしても、厄介な力を身につけたものね。何なの、あれ?」

 

「ヘヘッ……」

 

 サラリと詮索されたので、力の由来は言わず、適当に笑って誤魔化しておいた。永琳に限らず、あまり公言するような事でもないだろう。

 ただ、これからが問題だ。俺にとって、地獄の力とは奥の手に近い存在だった。それなのに永琳相手の時点で使用してしまったのだ。これからの戦いはどうすればいいのか、少々策を練らねば。




裸見た子は全員犯したって言わせてたけど、実はわかさぎ姫はまだだったね。姫のこと忘れてた。
ごめんね姫。

リリーホワイト?……ええ、お察しの通りです。
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