※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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告白

「うーん…」

 

俺は迷っていた。

迷いというのは他でもない。霊夢とのことだ。

さっきみた悪夢のせいで、隠し通せるかがとんでもなく不安になったのだ。なので、バレる前に話すか、このまま黙っているか…で悩んでいるのだ。

 

「どうしたの?さっきから唸っちゃって」

 

フランが顔を覗き込んでくる。

 

「ああ…少し、考え事しててさ」

 

「考え事なら、黙って考えて欲しいものね」

 

レミリア…辛辣だなぁ…。

さっきはあんなに甘えさせてくれたのに…。

 

「すまん…」

 

「もうっ!そういうこと言わないのお姉様!ね、エスカルゴ。もし良ければ話してくれない?」

 

「えっ?」

 

話すってそれ…つまり、霊夢とのことバラすってことだよな…。

 

「話せば、少しは心が軽くなったり…気持ちが楽になると思うんだ♪」

 

「…うん…」

 

フラン…良い子過ぎだろ…。

 

「話してくれる?」

 

「………」

 

よし、決めた。

 

「じゃ…話すよ。レミリアも聞いてくれ…」

 

「えっ?ええ…良いけど…」

 

「怒らないで聞いてくれ。実は…」

 

そう前置きし、あの日の事を事細かに話した。

もちろん、バトって負けたことも。

 

話し終えた時の、2人の反応は意外なものだった。

 

「えー…霊夢も?」

 

「うん…」

 

レミリアは何か言いたげだ。

 

「まぁ、仕方ないかしらね」

 

「えっ?」

 

ど、どゆこと?

 

「ねぇ、フラン?」

 

「そうねお姉様…。ホンット、エスカルゴってばモテるんだから…」

 

とんでもなく呆れた様子だ。

 

「ちょっと待ってくれ2人共。なに?なんか妙に納得してない?鈴仙の時はあんなに…」

 

「だって霊夢だもの」

 

?????

 

「そうそう。それに、エスカルゴがモテるってのは今に始まったことじゃないしね。流石私のエスカルゴね♪」

 

「待ちなさい。今はあなただけのエスカルゴじゃないわよ。私や鈴仙…あと、霊夢のものでもあるのよ」

 

「んー…でも、デートしたり一緒に暮らしたりするのは変わらないんでしょ?」

 

「もちろん」

 

「なら良いわよ。…でも、なんですぐに話してくれなかったの?」

 

「…なんて言えば良いのかなって…。怒らせたくないし怒られたくないし…」

 

「正直に言ってくれれば怒らないって。ね、お姉様♪」

 

「ええ、そうね。このまま隠してたらどうなってたかしらね?」

 

「………」

 

あー、あの夢を思い出した…。

 

「すまない…」

 

「もう大丈夫よ、気にしないで」

 

「なんで大丈夫なんだ?」

 

「霊夢だからよ」

 

「なんで霊夢だと大丈夫なんだ?」

 

「私とお姉様は前に負けたから…なんて言うか、逆らえないのよね…」

 

「ほ、ほう…」

 

その理屈で言うと、あの時霊夢に勝ってたらこの件は許されてなかったって訳だな。

 

「…ありがとう」

 

「全く、モテモテな彼氏を持つと疲れるわね」

 

「すまんレミリア…」

 

「ホントよ。ま、さっきフランも言ってたけど、あんたがモテるのは今に始まったことじゃないからね。そんなに謝ることじゃないわ」

 

「………」

 

さて…霊夢に報告でもしてこようかな…。

 

「じゃ…早速だけど、霊夢のとこ行ってきてもいいかな?この件の報告というか…なんと言うか…」

 

「良いけど、遅くならないでよね」

 

「うんうん」

 

「ああ、わかってる」

 

フランもレミリアも許してくれて、安心はしたけど少し寂しくもあるな…。

うーん…ワガママだなぁ俺…。

 

「行ってくる」

 

『気を付けてね』

 

「おう」

 

玄関から飛び出し、神社へまっすぐ向かう。

 

 

 

数分後

 

遠くに神社が見えてきたのだが、屋根の上になんか赤いのが見える。あれは…霊夢の巫女服かな?

干してる時に風に飛ばされた…とかか?

やれやれ、取ってやるか。

 

 

 

「なん…だと…??」

 

そばに来て驚いた。巫女服じゃない。

霊夢が昼寝してたのだ。屋根の上で。

 

「おい霊夢!」

 

「ん…?あ、エスカルゴじゃない…」

 

「なんでこんな所で寝てんだよ!?危ないだろ!」

 

「ポカポカして気持ちいいからね…ふわぁぁ…」

 

「だからって屋根で寝るなよ…」

 

「なぁに?心配してくれてるの?」

 

「そっ…そりゃ心配すんだろが…」

 

「ありがと」

 

「ほ、ほら、もう降りるぞ」

 

「んっ」

 

手を差し出してくる霊夢。

 

「…なんだその手は」

 

「起こして」

 

「自分で起きろ」

 

「起こしてくれても良いじゃない」

 

「…しゃーねーな…」

 

グイッ

 

「ありがと」

 

「おう」

 

ったく…ガチで怠惰巫女じゃねぇかよ…。

 

「で、何の用?」

 

「な、何の用って…会いに来たっつーか…」

 

「あら早速?もっと後になるかと思ってたわ」

 

「まぁ…ね」

 

「でも、それだけの為に来た訳じゃないんでしょ?」

 

「!!」

 

霊夢…怠惰巫女のクセにそーゆーのは見抜くんだな…。流石は博麗の巫女と言った所か。

 

「えーと…霊夢とのこと、フランとレミリアに話した」

 

「はぁ?あんたが黙っててって言ったんじゃない」

 

「そうなんだが…バレた時の反応が怖くてな…」

 

「ああ…確かに…」

 

納得した!?

 

「それで、なんて言ってたの?」

 

「大丈夫だよ、って」

 

「え…ホントに?」

 

「ああ」

 

逆らえない…って言ったのは黙っておこう。これ言っちまうと霊夢のわがままが酷くなりそうだからな。

 

「そう…じゃあ、そこはあんまり気にしなくて良いってことかしら?」

 

「そうだな。…でも…」

 

「わかってるわよ。今まで通りあいつらの方優先してもらって構わないわ」

 

「……すまない」

 

「大丈夫だってば。私の勝手だもの」

 

「うん…」

 

勝手って自覚してんだな…あはは…。

 

「ま、中に入りなさい」

 

「え?あ、うん…」

 

ずっと屋根の上で喋ってたぜ…。

 

カララ…

 

「さ、入って」

 

「おじゃましまーす…」

 

玄関からじゃなくて良いんかい。

 

 

 

『………』

 

黙ってこたつに入ってから何分が経過しただろうか。話題が無いので、俺も霊夢もずっと黙っている。

 

「ミカンでも食べましょ。はい」

 

「お、ありがと」

 

ミカンを投げるな…。

 

「ん…これ美味いな。瑞々しくて」

 

「ミカンはそーゆー物でしょ」

 

「あはは…まぁね」

 

「全く…何を言ってるんだか…」

 

「うっさいなー、あんまそーゆー事言うと…こうだ!」

 

パクッ

 

「あっ!私のミカン!!」

 

へへっ、残りを丸ごと食べてやったぜ。

 

「ん〜、美味いなぁ〜♪」

 

「ちょっ、返しなさい!!」

 

「もう腹の中だよ〜」

 

「…油断大敵」

 

「?」

 

パクッ

 

「あっ!俺のミカン!!」

 

残りを丸ごと食いやがった!!

 

「あらホント、美味しいわね」

 

「ちょっ、返せって!」

 

「もうお腹の中よ〜」

 

「くっそ〜…」

 

あ、あれ?さっきもこんな会話したような…。

 

「ミカンならまだまだあるわよ。はい」

 

「おっ…」

 

だから投げるなっての。

 

「うん、これも美味い…って…何見てんだよ」

 

ジーッと見てくる霊夢に気付いた。

 

「あー…」

 

「…え?なに口開けてんのよ?」

 

「………」

 

硬直するな!

 

「はいはい、わかったよ」

 

食べさせろってことね。

 

「ほらよ」

 

「んっ…美味し♪」

 

「全く…自分の食べろよな」

 

「もう無いもん」

 

「え?でもさっき“まだまだある”って…」

 

「無いものは無いのよ。ほら、もっと食べさせなさい」

 

「はいはい…」

 

 

 

「美味しかったわ」

 

「そりゃどーも」

 

結局全部食われちまった…。

 

「さ、腹ごなしに運動しましょうか」

 

「運動?」

 

「軽く戦いましょっか」

 

「ええ〜…」

 

「何よその反応。レミリアたちなら即OKするクセに」

 

やべ、少し怒らせた!?

 

「わ、わかったから…怒らないで…な?」

 

「ほら、外行くわよ」

 

「はーい…」

 

霊夢…レミリアに負けず劣らず我儘だよなぁ…。

 

外に出て、ある程度距離を取る。

 

「さーて…どうしようかしらね」

 

うわ…やっぱ持ってるよアレ。

めっちゃ痛いんだよあのお祓い棒…。

 

「そっちから来ないならこっちから行くぞ!」

 

そうだな…まずは…。

 

「雷符『Midnight☆Thunder』!!」

 

ブワッ…

 

「早速来たわね!夢符『二重結界』!」

 

バチバチッ

 

効いとらん…。

 

「次は私からよ!霊符『夢想妙珠』!!」

 

「!!」

 

ギリギリでなんとか躱していく。

 

「やるじゃない」

 

「へへ、まぁな!」

 

霊夢相手には、普通に攻撃したんじゃダメだから…ステータス上げるしかないね。

 

「紅眼『吸血鬼の本質』!」

 

「ダッサ…何よそのポーズ」

 

「う、うっさい!」

 

やっぱ目くらまししてからにすりゃ良かった…。

厨二病ポーズ見られちまったぜ。

さ、次は何をしようか…。よし、あれやるか!

今なら出来る気がする!三度目の正直だぜ!

 

「『分身』!!!」

 

「!?」

 

「うおおおお…!」

 

バチバチバチバチバチ……

 

少しずつ形を作っていく。

霊夢は待ってくれているようだ。助かる。

 

「ふぬぬぬぬぬ…!」

 

ごっそり力持ってかれるな…。

 

「うわぁ…」

 

「っしゃああああああ!!!」

 

完成した!!やっと出来た!!

やっぱ、基礎力が上がったからかな!?

 

「お…驚いたわね…」

 

『どっちが本物かわかるかな?』

 

「そ、そっちも喋るのね…。こっちが本物でしょ?作ってるとこから見てたから丸わかりよ」

 

指を指しながら言う。

 

『ふむ。そりゃあわかるよな。でも…?』

 

「いくぜ、俺!」

 

「アア!」

 

『雷速「クイック」!からの反復横跳びだぁ!』

 

バシュシュシュシュシュ…

 

俺2人が縦に重なり反復横跳びする。

つまり、シャッフルだな。

自分で思うんだが…かなりシュールな絵面だな。

 

「キャアアア!?な、なに!?ブレてるし…速すぎでしょ!!気持ち悪っ!!」

 

『さぁ、どっちが本物かな?』

 

反復横跳びを止めて問いかける。

 

「ええ…わかる訳ないでしょ…」

 

「ふっ…そりゃそうd…」

 

「行クゼ霊夢チャン!」

 

あっテメ、分身のくせに先に仕掛けんじゃねぇ!

って、ちゃん!?…いや、聞き間違いだろう。

 

「待てよ俺!」

 

「ゲゲッ!2人で来ないでよ!!」

 

「待てって、俺!」

 

肩を掴んで止める。

 

「ナンダヨ俺」

 

「折角だ、“あれ”やろうぜ」

 

「…“アレ”カ」

 

「ああ!」

 

『よーし、新技見せてやるぜ!』

 

「!!」

 

霊夢は身構える。

 

ずっと真似したいと思ってたのがあるんだ。

 

『混合武器「雷銃&雷砲」!!』

 

「…?武器出てないわよ」

 

霊夢はキョトンとしている。

それもそうだ。

これは、武器だけど武器じゃない。

このスペルで生み出したのは、手の中に隠せるほどの小さな“魔法陣”。そこから発するのは……

 

『エスカルゴ・スパーク!!』

 

極太レーザー発射だぜ☆

 

「っっ!?」

 

ちゅどーん

 

霊夢は吹っ飛ばされ、倒れた。気絶したようだ。

 

ズズーン…

 

ん?なんか地面が揺れ……

 

『あ』

 

木が1本倒れた。

 

「あー!木が倒れたじゃない!!」

 

「あれ…無事だったのか。気絶したのかと」

 

「今目が覚めたのよっ!それより、どーしてくれるのよ!?」

 

「おっかしーな…威力調整はしたんだが…」

 

なんでだ?予想より威力が高かった。

まるで、威力が2倍になってたかのような…

 

「テヘヘ…」

 

!!

 

「テメェのせいかよっ!?」

 

「マァマァ、ソウ怒ルナッテ」

 

「お前居なきゃあれ倒れなかったんだぞ!?」

 

「ソウ言ワレテモナァ…俺ヲ作ッタノオ前ダロ」

 

「うぐ…」

 

「ナ?ツマリ、オ前ノセイナンダ」

 

「うぐぐ…」

 

分身に論破される俺って一体…。

 

「サ、霊夢チャンニ謝ルンダ」

 

ちゃん!?

やっぱさっきのは聞き間違いじゃなかったのか。

 

「わかったからもう消えろ。解除」

 

「エッ、チョマ…」

 

シュンッ

 

ふぅ…。やっと静かになった。

さ、謝るか。

 

「悪い!許してくれ…!」

 

手を合わせて謝る。

 

「もういいわよ。ていうか、そんなに怒ってないし」

 

「…へ?」

 

「葉っぱとかの片付けは私がやるから、あんたはもう帰りなさい」

 

「いや、俺も手伝…」

 

「良いから」

 

「………」

 

「あ、そうだ」

 

「ん?」

 

「木を倒したバツとして……」

 

ゴクリ…

 

「今度泊まりに来てもらおうかしら。朝から」

 

「…マジで?」

 

「何よ、不満?」

 

「いや…」

 

「じゃあ何よ」

 

「もっと酷いバツかと思ってたから、なんか拍子抜けというか…」

 

「酷いバツ?例えば?」

 

「……死刑…とか?」

 

あの夢がまだ影響してるな、うん。

 

「はぁ?何よそれ」

 

「いや、何でもね」

 

「?…じゃあ、今度と言わず明日来てもらおうかしらね」

 

「ええ!?」

 

「明日だけよ、明日だけ。レミリアたちもOKしてくれるでしょ」

 

「うう…」

 

「それと、アイツらに伝言お願い」

 

「うん、いいぞ。なんて言うんだ?」

 

「『逆らったら退治してやる』って言っておいて」

 

うわああああああああああああああああ!!!

 

「返事は?」

 

「…はい…」

 

「じゃ、また明日。あんたも準備してきなさい」

 

「はい…」

 

「ほら、帰った帰った」

 

「………」

 

黙って神社から飛び立った。

 

 

 

 

 

霊夢Side

 

「ふぅ…」

 

さて、葉っぱ片付けましょうかね…。

 

スッ…

 

「!」

 

「霊夢〜♪」

 

「紫…」

 

まーた出てきた…。

“昨日の話”の続きかしらね。

礼の1つでも言っておこうかしらね。

 

「ずっと見てたわよ〜♪」

 

「………」

 

やっぱ辞めた。

 

「よくもまぁ、ここまで忠実に私の筋書き通りに出来たものね。成長したわね」

 

「まぁね。でも、エスカルゴがレーザー発射してきたのは予想外でしょ?」

 

「そうね。…あら?最初はどうする予定だったんだっけ…」

 

「もう忘れたわ」

 

「私も忘れちゃったわ…年は取りたくないものね」

 

「………」

 

最初は、しばらく戦ったらあの木を盾にしてエスカルゴのスペルを受け止め、あの木を倒す手筈だったのよね。斧で切り込みを入れておいた、あの木を。

 

「わざわざ作戦練らなきゃお泊まりに誘えないなんて…そういう意味ではまだまだね」

 

「うっさいわね!恥ずかしいじゃない!」

 

「それはわかるけどね…。思ったことを素直に言えれば良いと思うんだけど」

 

「それが出来たら苦労しないわよ」

 

「そうね。でも、告白した時は…」

 

「あの時はその…そう!お酒飲んでたからよ!」

 

「…素直になれるように訓練しなきゃね」

 

「……そうね。いつまでも紫に頼ってられないものね」

 

「そうよ。ということで、お泊まりの件は霊夢、あなた1人で頑張ってね♪」

 

「ええ!?そんな!」

 

「頑張ってね〜♪」

 

スッ…

 

「待ちなさいよ〜!!!」

 

どうしろっていうのよ…。

朝から次の日までアイツと2人きりなんてそんな…照れるじゃないのよ…!

 

 

 

エスカルゴSide

 

「はぁ〜…」

 

お泊まりたぁ…こりゃ驚いた。

さてさて…なんて言おうか…。

 

「ただいま」

 

「おかえり」

 

「おう」

 

「おかえり〜♪どうしたの?あんまり元気無いね」

 

ギクッ

 

「そ、そうか?」

 

「うん。そう見えるわ」

 

フランはよく気付くなぁ…。

 

「その…霊夢に言われたことがあって…」

 

「なんて?」

 

「『明日泊まりに来て』って…」

 

「あら…」

 

「あ、あと伝言も貰ったんだった…」

 

「伝言?」

 

「『逆らったら退治してやる』って…」

 

「さすが霊夢ね…」

 

「それで、明日って…朝から?夜から?」

 

「朝から…」

 

「えー…」

 

「どうする?お姉様…」

 

「…ねぇエスカルゴ?」

 

「はい…」

 

「明日だけよね?2日連続とか無いわよね?」

 

「それは無い。仮にそうなっても逃げてくる」

 

「それならいいわ。許してあげましょ、フラン」

 

「そうね……」

 

「すまん…」

 

 

 

その夜は久しぶりに沢山イチャイチャしてから寝た。




お泊まり…(*´ω`)
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