※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

760 / 1140
総合評価777ありがとうございます
これは目出度いですね
評価バーを金目鯛のような赤にしたいので、まだ高評価してない方は高評価お願いします(貪欲)



クソデカ怪物の生首(ドロップアイテム)

「失礼しまーす。閻魔様居るー?」

 

「居ますよ。どうしました?」

 

「また地獄に降りたいから、許可もらいたくて」

 

 俺は、育児の合間を縫ってどこかで誰かと戦うように心掛けている。そうしなければ高めた力も鈍ってしまうからだ。

 生後2週間もすれば、末っ子の緋月もある程度自分で動けるようになるし、お喋りも達者になるので、俺も久しぶりに遠出できる。

 そこで俺が今回やってきた戦場は地獄である。ここなら良い具合に戦えそうだと判断した。

 

「それでしたら、お目付け役として久侘歌を傍に付けてほしいのですがね……」

 

「もう一人で大丈夫だよ。大抵の道は分かるし、へカーティアの手前、地獄じゃ勝手はしないさ」

 

「しかしねぇ……先日、獄卒を倒したでしょう。無間地獄の獄卒を。背中の二振りの剣を見るに、今日は戦闘にでも行くつもりですか?」

 

「まぁね。……ダメ?」

 

「全く、あなたは……。仕方ありません、今日は私があなたのお目付け役をしましょう。今日は、裁判も無くて暇ですし、かと言って地上に上がる余裕もあまり無いですし」

 

「え?いやいやいやいや俺一人でイイって!」

 

 映姫が俺のお目付け役だなんて、やりたい事もやれなさそうで、大変窮屈な時間になりそうだ。彼女には申し訳ないが、最近俺に対して少しだけ丸くなってきてるとはいえ、いつ説教が始まるか分からないとすれば俺の精神がもたなさそうだ。

 

「いけません。へカーティア様の器とはいってもあなた自身は地獄外の者ですから」

 

「くっ……。けど一理あるな。小町はダメなの?何なら探して連れてくるけど」

 

「仕事内容が違いますからダメですよ」

 

「ちぇっ……仕方ねぇや」

 

「ただ、あまり無駄に殺しすぎないで下さいね。刑罰に支障が出る恐れがありますから」

 

「無間地獄に落ちる人間なんてそんなに多くないだろう。多少は大丈夫だよ。そもそも、落ちてる途中の人間が大半だしな」

 

「それもそうですが、これならの事も考慮すると下手に減らすとあまり良くありません。……では2体まで構いませんよ」

 

「そりゃ有難いや。検証したいこともあったし、2体が丁度いいかな」

 

「検証、ですか?単なる戦闘ではなく?」

 

「検証したいのは倒した後のことだよ。アイツをちゃんと倒したら、目玉は1スタック分ドロップすんのかな〜って。8個が限界かな?蜘蛛だって1個しかドロしねぇからさ」

 

「何を言っているんです?」

 

「いや、確か無間地獄の獄卒は64つの目があるんだよね?だから奴をぶっ倒したらその8分の1の8個くらい入手できるのかなって」

 

「獄卒の目玉など手に入れてどうするんですか」

 

「マジックアイテムに使えないかなって思って。もしゲットできたら姉ちゃんに渡すつもりだよ」

 

「は、はぁ……」

 

 引いているようだが、特に止めて来ないあたり目玉なら地獄外に持ち出しても構わないようだ。下手をすると止められると思ったので、実は少し驚いている。

 

「それにしても、前回は運が良かったのですね。久侘歌から聞きましたが、偶然にも獄卒が装置の近くに居たそうですね。しかし、毎回そう上手くいくとは限りませんよ」

 

「無間地獄ってハチャメチャに広いんだもんな。でもまぁ俺って運とか良いからすぐ見つかるよ。見つける方法は幾つかあるしね」

 

「……そうなんですね。では、行きますか」

 

「戦闘中に呼び掛けないでよ?」

 

「失礼な。戦闘の邪魔はしませんよ。私のせいであなたを死なせてしまっては寝覚めが悪いです」

 

「そりゃ有難いや」

 

 映姫を伴って、八熱地獄に続く装置へ向かう。やはり、道中はかなりの注目を浴びた。閻魔様と一介の妖怪が、並んで地獄を闊歩しているのだ。気にならないはずがない。

 しかし、そんな視線の中でも、堂々と前だけを見ている映姫のことは素直に尊敬する。

 早速装置で無間地獄に向かうと、道中、映姫は防護服を着た。前回は近くに居た者を殺した為、他の者は装置から遠くにいるはずと予想しているらしい。

 

「あなたも着た方が良いのでは?吸血鬼は暑さに弱いと聞きます。無間地獄は、場所によって焦熱地獄などとは比にならないほど暑いですよ」

 

「その時は魔法で防御しながら移動するよ。魔力くらいのハンデがあった方が、獄卒と良い勝負ができるってもんだぁね」

 

「並大抵の弾幕では倒せませんからね……?」

 

「知ってる。その為の武器だから」

 

「並の武器でも攻撃は通りませんよ」

 

「俺の武器は並の武器じゃないよ。小傘が鍛えた武器だからな。後は俺の技量次第……どうにでもしてやるさ」

 

「ふむ。あなたの強さ、見定めさせて頂きます。へカーティア様が認めた、あなたの実力を……」

 

「プレッシャーかけるのやめて!?」

 

「フフッ、この程度でグラつく程度ではまだまだダメですねぇ」

 

「──────……」

 

 クスクス笑う映姫を見て何とも言えない気分になった。普段とのギャップも相まってか、とても可愛く見えてしまう。

 

「っ……」

 

「おや、胸など押さえてどうしました?」

 

「いや……なんか心臓がキュンとした……」

 

「では、引き返して医務室に行きますか」

 

「いや、そういうやつじゃないから大丈夫……」

 

「そうなのですか……?それなら良いのですが、無理は禁物ですからね?」

 

「わかってるよ」

 

 それにしても……本当に丸くなった気がする。昔は俺を見れば睨んでくるような奴だったのに、今では極々普通の対応をされている。

 その違いがどうにも気になって仕方ない。まだ無間地獄には着かないし、彼女に聞いてみるのも悪くない。

 

「……なぁ、映姫様?」

 

「どうしました?」

 

「こんな事を言うのは変かもしれないが……何で最近は、普通に対応してくれるの?」

 

「と、言いますと?」

 

「昔は……俺と目が合えばまず睨んでくるような印象しか無くって。だから、最近の優しい対応が違和感の塊っていうか、何ていうか……さ」

 

「そうですね。あの頃はあなたの事が普通に嫌いだったので、相応の対応しかしませんでしたね。しかし最近は違います。好きって訳じゃないですけれど、正直、あなたの事を見直したのですよ」

 

「何で?」

 

「あの頃のあなたは、大した力も無いくせに皆を幸せにするだの何だのと喚いていて、あまりにも身の程知らずな、ただの愚か者でした。ですが、今は違います。ふしだらな所は、変わっていないどころか増長していますが……それでも、多くの女性を幸せにできるだけの十分な良き信頼関係を築けていると、私は見ています。それに加えて、へカーティア様に見込まれるだけの戦闘センス、人間性……いえ、妖怪性。見込まれるだけなら、あなたもご存知の通り妖精の実例もありますが、地獄の力の使用まで許可されるのは私の知る限りあなたが初めてのはずなのです。なので、これは本当に素晴らしいことで……私の対応も、自然と変わってしまうというものですよ」

 

 後半は凄い早口だった。しかしその分、彼女の想いがよく伝わってきたと思う。へカーティアに見込まれたから俺の評価も上がった、と。つまりそういう事らしい。

 映姫の中でのへカーティアの立ち位置が本当に謎すぎる。もう崇拝のレベルに達しているのではないだろうか。もう少しで狂信者になりそうだ。

 

「そういう事だったんだ……いつもの事だけど、へカーティア様々だな、ホントに」

 

「ええ。あなたも、あの方の器に見合うように、精進してくださいね」

 

「その為にも、俺は無間地獄(じごく)に向かうのさ」

 

「頑張って下さい。……あぁ、もう着きますね。では、獄卒を探しに行きましょう」

 

「うぃっす」

 

 当然だが、前回と同じ場所に到着した。しかし前回殺したはずの山のように巨大な獄卒の死体は消えているようで、今は、山ではなくどこまでも続く平原しか見えない。

 あれだけ巨大な獄卒だ、見渡して見つからないという事は、かなり遠くにいるに違いない。僅か634mの建物や3776mの山でさえかなり遠くから見えるのだから、身長が44〜60キロとかいうあの獄卒は、途方もないほど遠くにいるに違いない。

 

「探すのに骨が折れそうだな……」

 

「ですね。どうしますか?」

 

「そりゃ探すよ。折角来たんだから。とりあえず全方位に、50キロ毎に大量のスキマ開いといて、蝙蝠を送り込んで探させる。……その間、俺達は装置の中で待っていよう」

 

 吸血鬼の蝙蝠として細分化する能力を使用し、両腕を小型の蝙蝠に変化させる。32方位に準えて俺自身を中心に32方向、1000キロ毎に100万キロほど先までスキマを展開した。

 こうして断続的にスキマを繋げておけば、遠方まで飛ぶ必要が無いし、その都度反響定位(エコーロケーション)を使用すれば更に遠くまで索敵が可能だ。

 ちなみに地球の円周は4万キロとちょっとだ。無尽蔵のエネルギーがあるからこそ、こうやって地球の円周を遥かに超越する遠方にまでスキマを開けるが、それにしたって、地獄が広すぎる。

 

「腕は再生しないんですね」

 

「怪我じゃないからね。吸血鬼の能力のひとつの細分化は、簡単なお使いにも使えるし、こうして索敵にも使える。いわば、俺の腕が枝分かれして遥か彼方まで伸びまくってる状態なんだよな」

 

「成程。ではあれらの蝙蝠が何らかの理由で死滅すればどうなるんです?」

 

「腕が、その蝙蝠の質量分だけ再生する。蝙蝠が死んだら、その部分の欠損って見なされるから」

 

「便利なものですね……」

 

「吸血鬼が最強の種族のひとつって言われるのも納得の便利さだよな」

 

「そうですね。思っていたよりも便利そうです。って……あなたの腕が……」

 

「伸びたね。正面方向に向かわせた蝙蝠が何匹か死んだな。多分暑さにやられたか。……ぐんぐん伸びるな、あっち方向に向かった蝙蝠は全滅したみたいだ」

 

 右腕が二の腕の半分ほどまで再生してきた。

 つまり、前方には焦熱地獄の「豆粒ほどの火で地上を焼き尽くす」よりも熱い炎があるわけだ。向かうのは得策ではない。

 しかし、そこに燃え盛る炎があるという事は、

 そこで刑が行なわれている(・・・・・・・・・・・・)と言える。

 よって、反響定位(エコーロケーション)の範囲外だったせいで索敵ができなかっただけで、獄卒が居る可能性が高い。

 

「その防護服って、ホントに無間地獄の炎熱でも耐えられるんだよね?」

 

「ええ。それがどうかしました?」

 

「じゃあ行こう、多分見つけた」

 

「わっ、ちょっ……」

 

 何万キロ先だろうか。熱の出処は10万キロより更にその先らしい。蝙蝠達を招集しつつ、今度は1万キロ毎にスキマを開いて、映姫の手を引いて無間地獄を低空飛行する。

 地獄でも地上の法則が通じるか分からないが、暑い空気は上に行くので、その暑さを避ける為に地上2mほどの高さを高速巡航する。

 

「ちょっと!その手を離しなさいっ!何のつもりですか、デートじゃないんですよ!?」

 

「でも映姫様、俺ほど速く飛べないじゃん」

 

「んなっ……!?ズバッと言いますね……少しは慎みというものをですね……」

 

「種族の違いだし仕方ないよ。でも、そっちには合わせらんないな。時間は無駄に出来ないから。めっちゃ遠いようだしね」

 

「その点には賛同しますがね、手を取るなら予告というものをした方がいいと思うんですけどね?多くの女性と接しすぎてそこら辺の感覚が狂ってきているのではないでしょうか?」

 

「ごめん、腕痛かった?」

 

「いや、その、そうではなくてですね?私の話、聞いてます?」

 

「……?」

 

「…………もういいです、このままで」

 

「そう?なら飛ばすよ」

 

「きゃっ……」

 

 速度を上げ、数多のスキマを潜り、ワープ飛行していく。装置から何万キロ離れたのか、俺自身もう把握できていない。けれども、気温は一気に10℃は上がったように感じる。かなり息苦しい。次、更に気温が上がったと感じたら、そのときはすぐに防備しなくては。

 

「……あっ!居た、アレだっ!」

 

 平野が続く無間地獄の中で、遠くに出っ張りを見つけた。この地点からだと小さな山に見える。ここで山といえば、獄卒が持つ金棒、または獄卒本人だ。どちらにせよ発見だ。

 ブツブツと耐熱の魔法の詠唱をして軽く防御はしながら、飛ぶ速度をグングン上げていく。

 やがて奴の守備範囲内に入ると、声を掛けたり攻撃をしたりしていないにも関わらず、こちらを向いて金棒を構え、攻撃の意志を明確に表す。

 

「っ……!?あの獄卒、こんなにも速く動けたんですか……!?」

 

「大きさに合わないよな。じゃ、映姫様はここに居てね。戦ってくるから、そこで見ててよ」

 

「くれぐれも死なないことですね」

 

 わかってる、とだけ返して手を離し、グングン高度を上げる。空気は薄くなる上に、防御しても外気は暑くなるし最悪だ。しかも、燃え盛る火は見えてこない。そんなにも遠く離れているのに、それでも強烈な熱を感じるとは。酷い話だ。

 

「さて……前回は魔力でも攻撃したんだったな。今回は魔力封じてるぜ、クソデカ獄卒さんよぉ。お前は目玉を落としてくれるのか?」

 

「グォォアアアアァアッッ!!」

 

「仕事の邪魔して悪いな。復活すんのか知らないけど、お前はここまでだよ。俺に目をつけられた時点でお前は終わってる。符の壱『紫電雷光』」

 

 ダメだ。体表に弾かれてしまって、痺れさせるどころか、まともなダメージさえも見込めない。雷エネルギー無制限になる前の俺なら電力が枯渇していたと思われるほどの量の弾幕を放っても、それは全く変わらない。

 一撃一撃の攻撃力は高めてあるはずなのだが、ダメならば仕方ない。気持ちを切り替えて、あの金棒が振り下ろされる前に次に移行せねば。

 

「符の弐『黒雷電光』」

 

「危ないっ……!上です!!」

 

 下から映姫の声が聞こえてきた。上を見ると、奴の金棒が迫ってきているのがわかった。個体差だろうか、前の獄卒よりも素早い気がする。

 弾幕で弾こうとするが、掻き消されてしまう。一発の威力は紅魔館の時計塔を破壊できるほど。それなのに掻き消されるとは……天人の肉体よりデタラメな強さをしているらしい。やはり前回のように広範囲かつ高火力な攻撃が有効と見える。

 ただし今回は魔力を使えない。果たして、俺はどう立ち回るべきだろうか……。

 

「避けてくださいッ!!」

 

「バカッ……映姫こそ逃げ────」

 

 映姫に回避を促したその瞬間、金棒が俺の頭を打ち付けられた。獄卒の金棒のサイズは、外界で世界一高いビル──ブルジュ・ハリファを、軽く10倍以上大きくさせたようなもので、金棒と呼ぶ事すらも憚られるような巨大な金属の塊だった。

 頭を潰されそのまま地面に押し付けられようとしている最中、何とか手を動かして金棒を受け、押し付けに抗おうと上昇を試みる。

 しかし、自分の何倍も巨大な怪物の攻撃をそう易々と押し返せるはずもなく、俺は呆気なく地に叩きつけられた。

 金棒が地面に触れた瞬間、とてつもなく大きな地震が発生した。外の世界ならば津波不可避だ。その振動に内臓がやられたのか、一時的に呼吸が困難になってしまうが、棘の隙間を縫って脱出し獄卒の顔の前を目指して上昇する。

 気持ちの悪い顔だ。顔というより頭にも後頭部にも目玉がある。目の付き方は、さながら妖怪の

百々目鬼(どどめき)のようだ。腕に無く、首よりも上だけに集中しているのが更に気持ち悪い。

 太さも長さも不揃いな牙は、不格好にも唇から突き出している上に、歯の隙間からはメラメラと炎が漏れてきているように見える。コイツが炎を吐くというのはどうやら嘘ではないようだ。

 もしコイツが身長60キロ、つまり60000mで、俺の身長1.7で割ると、凡そ35294となる。つまりコイツは、俺の35294倍大きいわけだ。力押しで負けるのは自明の理。力で勝てるはずがない。

 けれども、再生力では圧倒的に勝っている。

 

「俺の身体はァァァァ!!我が紅魔館の吸血鬼の細胞の集合体であり誇りであるゥゥゥ!!つまり全ての吸血鬼を超えたのだァアアアアアアアアアアアア!!」

 

右手にエネルギーを充填し、極太の槍を作る。連射できるよう、一本分のエネルギー以外は形にせずに、腕に充填しておく。

 

「喰らえ獄卒!短時間の内に何発も連射が可能!地面にクレーターを作る威力の投擲用の槍だ!!一発一発の投擲がお前の身体を削り取るのだ!!絶技『天翔雷霆零槍』ッッ!!」

 

 地面にクレーターをも作れる程度の威力の槍を生成し、立て続けに10本ほど投擲する。奴はその腕の長さのせいで容易に振り返る事は叶わず多くの目玉をダメにしてしまう。

 

「グギャオオオォオオォォオォォォッッ!!!」

 

「鼓膜破っとけば良かった、うるせーなお前!!死んじまえ──!凶砲『超電磁砲(レールガン)』ッッ!!」

 

 野球ボール程の金属の球体を創造。このくらいならば魔力の消費は殆ど無に等しいので、魔力を封じている今でも容易に創造が可能なのである。とはいえ、やはり沢山創造してしまうと、魔力も消費してしまう。塵も積もれば山となる、だ。

 そしてその金属球を、獄卒の首を狙って、雷を纏わせた拳で殴り飛ばした。派手に火花を散らし音速の数倍で飛んでいく。

 このサイズの金属ならば、威力は先程の弾幕を軽く超えている。その甲斐あってか、首の中心に風穴を開けた。有効なのを確認してからは、首を吹き飛ばす勢いで超電磁砲を打ち込み続け、遂に血を吹き出しながら首が宙を舞った。

 

「っっしゃあ!!思い知ったか、この木偶の坊!デカブツ!独活の大木!ちょっと死にかけたが、俺の勝ちだッ!」

 

 新鮮な生首の解体は地上に帰って行う。なのでこの、直径がキロ単位ある生首は、放置はせずにスキマに放り込んでおく。

 下に降りて映姫と合流すると、なんと彼女は、心配そうな顔で駆け寄ってきてくれた。

 

「大丈夫ですか?こちらからは頭が潰れたように見えましたが……」

 

「恐ろしく強烈な攻撃、俺でなきゃ死んでたね」

 

「全くもう……潰れた時は心配しましたよ」

 

「心配ありがと。金棒は地面にめり込んでたけど棘がつっかえ棒になってたみたいでさ。お陰で、頭だけが潰されるだけで済んだんだよ。奇跡的な角度と力加減だったな」

 

「死んでません?」

 

「瀕死」

 

「いや死んでますよねそれ」

 

「瀕死」

 

「頭潰されて生きてる妖怪がいますかっ!」

 

「俺がいる。死んだら、服も纏めて全部再生するから、血痕も消えるんだ。でもほら……今の俺は首周りに血がついてる。死んでなかった証拠さ」

 

「な……成程……デタラメな生命力ですね……」

 

「ねぇ、映姫様。次、獄卒を一撃で殺せたらさ、なんかご褒美くれない?」

 

「ダメですよ、そんな事。私は地獄の閻魔です、そのような約束はできません」

 

「そっかぁ、残念。ご褒美があれば、もっと強い力を発揮できるんだけどなー……へカーティアが見込んでくれた力も、発揮できるんだけどなー」

 

「…………」

 

「もっと強い獄卒に出会ったら死んじゃうかも。どうしよっかなぁ〜」

 

「あーもうっ、わかりましたっ!中有の道で何か奢ってあげますから、それでいいですね!?」

 

「グッド。……奴らの倒し方は分かった。次は、一撃で殺す」

 

 

◆

 

 

 それから数時間後……地獄から帰還した俺は、スキマ空間で作業を終わらせ、首や腰をパキパキ鳴らしながら、作業を終わらせた足で、姉の……アリスの元へ向かった。

 サッカーボールよりもずっと大きな目玉、牙や角などは家の外に山積みになっている。実際家の中に持って行けるものは何も無い。手ぶらだ。

 

「よぉ姉ちゃん、来たよ」

 

「あら、エスカルゴじゃない。どうしたの?」

 

「お土産。姉ちゃんって、魔理沙みたいに魔法薬的なのも作ってるじゃん。その材料にどうかなと思って」

 

「へぇ……。外にあるのかしら?何を持ってきてくれたの?」

 

「獄卒の目玉。128個くらいはあると思う。あと牙と角も置いといたよん」

 

「??……獄卒って……私の知っている獄卒は、地獄の鬼?みたいなヤツなんだけど……?」

 

「合ってるよ。地獄に行って狩ってきたんだ」

 

「狩っ……!?」

 

「戦闘訓練だよ。デカイヤツでもサクサク倒せるようになってこそ強くなれると思ってんだ、俺」

 

「危ない事してるんじゃないでしょうね?」

 

「大丈夫。そこは安心してよ」

 

「そう?それならいいんだけど……。可愛い弟に何かあったら、お姉ちゃん悲しくなるわ」

 

「へへ……サンキュ」

 

「でも、あなたが大丈夫だって言うなら、きっと大丈夫ね。……じゃあ……頑張った子にはご褒美あげないとね……♡」

 

「!」

 

「今のあなた、凄く血生臭いわ。シャワー浴びて寝室にいらっしゃい♪」

 

「はーいっ♪」

 

 ……その後、久しぶりにゆっくり姉と交わり、とても充実した時間を過ごした。改めて、アリス姉ちゃんの弟で良かったと思った。




無間地獄の獄卒が身長44〜60キロっていうのは、オリ設定でもオリ解釈でもないんですよねぇ。
Wikiで見るに身長4由旬(1由旬が11〜15キロ)だから、ただ単にそうしただけっていう。
地獄の公式設定が色々バグってるよ〜〜〜

ジョジョ第2部より、シュトロハイムのセリフのパロを追記。(2020/12/20 18:16:53)
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