ある日いつも通り紅魔館に行き、中に入ろうとしたところ、美鈴に呼び止められた。久しぶりに遊びたいとのことだった。
子育てにも一区切りがついたので、久しぶりにゆっくり遊ばせてもらおう。
「何して遊ぶ?」
「ジョジョごっこ!ですっ!!私がジョナサンかジョセフか承太郎でエスカルゴさんがDIOです!ピッタリでしょ!」
「俺あんなカッコよくないんだが……。DIO役は咲夜さんが適任でしょ、どう考えても」
「だってだって!咲夜さん、仕事中に遊ぶなって言うんですもん!」
「そりゃそうだ」
「模擬戦闘訓練ですって言ったらナイフばっかりですし、プライベートな時間を狙おうとしても、夜だと『眠いから』の一点張りなんですよぉ!!そもそも休日自体が殆ど無い職場ですから……。なのであなたしか居ないんですっ!」
「わかった、わかったからもう落ち着いて……」
「……!じゃあジョジョvsDIOって感じで今すぐ勝負です!」
「いいよ。じゃ俺が美鈴に勝って、この幻想郷をDIO様が承太郎に勝った世界線にしてやろうか。
『天国に到達したDIO』みたいになってやるよ」
「ふっふーん、そんな事は起こり得ませんねぇ!いつだって最後は主人公が勝つんですよ!バトル漫画においてはね!」
「メタ発言すな!ま、やるかぁ!」
「あと、使える技はそのキャラの技だけですよ!なので私は波紋と
そうなると、主人公勢と比べてDIOの技が割と豊富であることに今更思い至った。ジョナサンも大概だが、DIOの方が、多くの場面で使えそうな技が多い気がする。
「『
「んー……私が静止すればいいのでOKです!」
「意地でもジョジョごっこしたいって感じだな」
「ええ、意地でもしたいですねっ!やっと望みが叶うんですから!」
どうやら美鈴はこのジョジョごっこを楽しみにしていたらしい。咲夜さんの代わりとはいえその相手に俺を選んでくれた事に喜びを隠せない。
ならば、俺も真剣に遊ぼうと思う。
「貴様──いったい何人の処女をその欲望の為に奪い取った!?」
「おまえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」
「グ……」
唐突に始まった。まず初めのセリフはまさかのツェペリのオッサンのセリフ。もはや主人公じゃなかった。しかも美鈴は少しアレンジしている。遊びに対するやる気が凄まじい。
演じるキャラはその都度変更するようなので、時系列はガン無視しても良さそうだ。
「絞り取ってやる!貴様の
「浄めてやるッ、その穢れたる野望!!いくぞ、エスカルゴ!
「チンケな波紋なんぞ既に対策済みだッ!!このマヌケがァ〜〜〜ッ!」
訓練したあの力を発揮する時が来た。両手に、地獄の冷気を纏わせる。制御を間違えると、俺の両手をも砕いてしまうほどの冷気だ。
これも波紋の効果か、美鈴の右拳は強烈な熱を帯びている。それを冷気を纏った両手の平で挟むように受け止めると、たちまち美鈴の拳は凍ってしまった。
「はっ!……気化冷凍法!」
「エイイッ貧弱貧弱ゥ!!」
「えっ、ど、どどっ、どうしてこんなっ……!?いや、おのれエスカルゴ!厄介な術を!」
ほんの一瞬だけ素に戻った美鈴だったが、すぐジョナサンのように立ち向かってくる。すると、遊びに夢中で気付かなかったが丁度俺達の近くをチルノが通り掛かったようで、美鈴に喰らわせた気化冷凍法モドキを見ていたからか、美鈴の方へ駆け寄っていく。
「ッ……!?美鈴、逃げて!なんかエスカルゴの様子がおかしいよ!?凍らせる技もなんか使うし早く逃げ……うっ……!?」
チルノの首にナイフを刺すなんてできるわけがないので、その代わりに強い電撃で痺れさせた。知ってか知らずか、チルノまでこのごっこ遊びに混ざってしまった。
「……」
「ほう……向かってくるのか……。逃げずにこの俺に近付いてくるのか……。折角、通りすがりの妖精が、俺の『気化冷凍法』の威力を、想い人の前でお漏らししそうになる恋する乙女のような、必死こいた気分で教えてくれたというのに……」
「近付かないと、ブチのめせないのでね!!」
「ほほお〜〜〜〜っ、では十分近付くがよい」
「……オラァ!!」
「無駄無駄!
「カモ〜ン、エスカルゴちゃ〜ん!油を塗った、九節鞭だぁっ!!」
今度は俺から攻撃をしようと飛びかかったが、美鈴は、太ももにある咲夜さんのようなホルダーから九節鞭を取り出し、最も彼女に近かった右の拳を絡め取り…………。
「そして喰らえ!太陽のエネルギー『波紋』!」
波紋にやられた部分がボコボコと崩れていき、蒸発していく。このままでは右手から腕、やがて胴体まで来てしまう。
そこで、ここで波紋を断ち切る為に右肘よりも上の部分で腕を本気の手刀で切り落とす。俺は、ジョジョ世界の吸血鬼とは違って再生に特化している。なので、美鈴が折角壊したこの右手もすぐ復活した。
「あっ!」
「下衆な波紋なぞをよくも!よくもこの俺にッ!いい気になるなよ!
「……!」
「『
「ッ!?」
ディオとDIOとを混合することによって、相手にとってはより面倒な戦いをできるようになった。ディオの気化冷凍法、DIOの「
美鈴からしてみればかなりやりにくいはずだ。美鈴は先程自分が言った通り、自ら動きを止めて
「
「フッフッフ……無様なものだな、美鈴よ……」
「……」
「時を止めたとてヤツは小癪な波紋を纏っているかもしれん。ならばッ!
高圧で体液を両目から射出する。
2部でストレイツォが名付けた技だ。しかし、元はディオの技。美鈴もそれをわかっているので余計なツッコミは入れない。
「オラァッ!!」
「なっ────!」
波紋か気でガードしつつ、体液の弾丸を弾く。本家は石壁すら切り飛ばす勢いなのだが、まぁ、こればかりは仕方ない。弾丸を跳ね返し、美鈴がラッシュ中のような格好で動きを止めると、再び周囲に静寂が訪れる。
「美鈴、貴様ッ……時の静止した世界で動ける、のか……ッ!?一瞬、とはいえ……止まった時の世界に……入門するとは…………」
「…………」
「時は動き出す」
「────オラオラオラオラオラオラ……ッ!」
セリフはうろ覚えだが、そろそろあのシーンを
承太郎の如く睨んでくる美鈴。けれども俺は、それを横目に痺れに悶えるチルノの元へ向かう。
「く、くる、なぁ……!にせ、も、の……ッ」
どうやらまだ俺を偽物だと思っているようだ。いつかは真偽を見分ける目を養ってもらいたい。そして、抵抗されながらでは胸糞悪いので、少し美鈴に背中を向け、チルノに耳打ちする。
「漫画のキャラになりきって遊んでるだけ。本物だよ」
「ッ!?ご、ごめんっ……なんか、様子が変だったからっ……」
「演技上手いだろ。な、血ィ飲ませてくれる?」
「う、うん、いーよ……痛くないならっ……」
「サンキュ」
首筋に口を付け、一度ペロリと舐めてから牙を深々と突き立ててやる。熱血な性格だからなのか血は熱い。特に苦味などもなく、美味しい血だ。健康的な生活をしているようだ。
「や、野郎ッ……!」
「パワーを感じるぞ……!やはりロリの血はよく馴染む!何年か前に不老不死を手に入れたが……これほどまでにッ!絶好調のハレバレとした気分は無かったなァ……フッフッフッフッフッ、チルノの血のお陰だ本当によく馴染むッ!最高に
『ハイ!』ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ!!」
「ッ……!てめぇっ!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ……」
「無駄ァッ!!」
飛び上がって攻撃を仕掛けようとすると美鈴は俺を空中で迎え撃つが、幾分か俺のパワーが勝り彼女を地面に叩き落とした。それを見届けた上で更なる追撃を与えてやる。
「パワーも全開だッ!!正真正銘、これが最後の時間停止よ!!『
「ッ!!」
遥か上空に移動して、密かに創造魔法を行使。その物体の重さは、凡そ5〜10トンの中間ほど。この戦いにおいて、このアイテムはキーアイテムだと思う。
それを地面にブン投げるのと同時に、地面へと押し付けるようにその物体を押して急降下する。
(きや……がれ……エスカルゴ……!)
「ロードローラーだッ!」
「……!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ……」
「もう遅いッ!!脱出不可能よ!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!ウリイイイイヤアアアッー!ぶっつぶれよォォッ!」
この拳でロードローラーを半壊させつつ、遂にロードローラーを地面に叩きつけることに成功。美鈴はその下に居たが、きっと脱出している……はずだ。
「どれ……死体を確認して血を吸っておくか……吸い取る血が残っていたならな!」
ロードローラーの下を覗いてみると、そこには美鈴が居た。ただし、潰れてはおらず、どうにか地面を掘ったようだ。
適当に血を吸ってやろうと、ロードローラーの
「目」を潰して破壊して、美鈴を日の元に晒す。すると急に飛び起きた美鈴は、怒りの為か、頬を少し膨らませながら、腕を組んで仁王立ちする。
「エ〜ス〜カ〜ル〜ゴ〜さ〜ん〜〜〜ッッ!?」
「っ!?」
「もうっ!死ぬかと思ったじゃあないですかっ!ホントにロードローラーぶつける人が居ますか!しかも、このタイヤの沈み込み方!めちゃくちゃ重いじゃあありませんか!!殴った拳が痛いですホントに!」
「5〜10トンくらいだよ」
「バカですか!?」
「美鈴なら逃げられるかなー、と……」
「あのですねぇ……!無茶振りしすぎですよっ!全くもーっ!!アブドゥルとジョセフが電車から身を守った方法で何とか助かりましたが!一瞬、あの世が見えたんですからねっ!」
「ごめんごめん……」
「許しませんっ!」
「えー……」
「……コォオオオオ……」
「!?」
「ふるえるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!おおおおっ、刻むぞ血液のビート!!」
「ま、待っ……」
「
「ぎゃああああああああああああぁぁぁッッ!!こ、このッ、エスカルゴがァァァァ……!!」
本気で叩き込まれた波紋は瞬時にこの身を駆け巡り、ボロボロと身体が崩れてくる。やがて頭も蒸発し、美鈴の上で雷の蝙蝠のエフェクトを出しながらリザレクションする。
「てめーの敗因は……
『てめーは私を怒らせた』。……なんちゃって!えへへっ、どーですかエスカルゴさん!決まったでしょっ!」
上で復活した俺に、笑顔でピースを向けながらそんな事を言う美鈴。怒っていたのも演技なのかわからないが、美鈴が楽しそうでよかった。
「『決まったでしょっ!』じゃあねぇぜ美鈴……まぁた俺んこと殺しやがってぇ〜……」
「えへへへ〜。でも、やっぱりDIOはジョジョに勝てませんね〜♪」
「次こそ美鈴……いやジョジョに勝ってやるさ。DIO様の代わりにね」
「ふっふっふっふ……再戦の申し込み、いつでもどーぞ!対戦ありがとうございましたっ!!」
「こっちこそ。楽しかったよ、またやろう」
「はいっ!……にしても、叫んだりご機嫌な時の演技、凄い上手かったですよねぇ……。普段からあんな感じだからですか?迫真の演技というより素が見えた感じがして面白かったです!」
「美鈴から見た俺ってあんな感じなのっ!?」
「私から見たあなた……というか、誰から見てもそうだと思いますよ?」
「チルノはさっきの俺を見て偽物だと思ったようだし、多分美鈴くらいじゃないかねぇ……。なぁチルノ、もう痺れは治ったろう?……さっきの、ご機嫌な演技はどーだった?」
「えっ?う、うーん、そのままだったような」
「ほら〜っ!」
「えぇ……」
自分をあんまり客観的に見れない俺は、普段の言動について、少しは気を付けようと考えるのであった。
空裂眼刺驚って幻朧月睨に似たものを感じます。
神主、これもジョジョから想を得たのかな?
ジョジョ知ってる人への質問ですが、ジョジョの歴代処刑用BGMの中で、何部のが好きですか?
俺は1部と5部です。