ちと長いです!
ある日……紅魔館の一室では物々しい雰囲気が漂っていた。皆を集めたのは館の主、レミリア。彼女の招集に応じてこうして館に集まったのは、鈴仙・優曇華院・イナバ、博麗霊夢、射命丸文、十六夜咲夜……という、彼……即ちエスカルゴの子供を孕んだ者達である。
館に従事する者達を含めた総勢11名が、円卓を囲い座っている。
「皆、今日は集まってくれてどうもありがとう。特に霊夢と鈴仙。忙しい中、本当にありがとう」
「構わないわ。どうせ今日もいつも通りのんびりするだけだったしね。鈴仙のとこもでしょ?」
「そうね、私もあんまり変わらないかも」
「そう?……それなら良かったわ。いやね、少し心配してたのよ。文句言われたらどうしよって」
「ならどうしてこの時期に招集かけんのよ……」
「まぁまぁ、霊夢……」
レミリアはまず、数ヶ月前に出産したばかりで忙しい期間であろう2人に、唐突な招集に応じてくれた謝意を述べた。
2人は異口同音に「気にするな」と言うので、内心申し訳なく思っていたレミリアはホッと胸を撫で下ろした。
「今日集まってもらったのは他でもない。最近、ベビーブームなのか何か知らないけど、急に彼の子供が増えたじゃない?だからこうして、我が子自ま……ちょっと、語り合い?とかしましょう?たまにはそういう機会を設けても良いと思うの」
「我が子自慢ね、ハイハイ」
「うー、本音が漏れてしまった……」
失言をした照れ隠しの為にグイッと紅茶を煽るレミリア。そんな主人を見て、今回は対等な立場としてこの会に参加している咲夜は苦笑する。
なお、11名の中でビクビクしている者が1名。小悪魔である。小悪魔は、我が子をエスカルゴの子供としては考えておらず、あくまで自分1人の子供として捉えている。彼から魔力を受け取って分身のような形で出産したのであり、明確な血縁関係と呼べるものが無いからだ。
ましてこの場に集まっているのは、レミリアや霊夢、早苗という幻想郷の実力者に加えて、紫や隠岐奈という賢者達までもが参加しているので、イチ使い魔である小悪魔の焦りや動揺は、想像に難くないだろう。
「つまりこれって、ママ友の集いでしょうか!?良いですね!一度やってみたかったんです!!」
「あ、あー……ママ友?外の世界では私達みたいなのをママ友って言うの?」
「大体そうです!……あ、父親が共通してるとかそういう意味は含まれてませんよ?」
「分かってるわ、こんなのはどの世界から見ても異端でしょうし」
「あはははっ、それもそうですねっ!」
ママ友としての集まりという事で、早苗は少々浮かれている。レミリアが少々困惑するほどの、妙なテンションになっているようだ。
一部ではそんな状況でも、小悪魔は相変わらずガクガクブルブルとしている。紅茶すらまともに飲めていないほどだ。
「じゃ〜適当に話しましょうか。言い出しっぺのレミリアからで良いんじゃないの?」
「ええ〜?ここはやっぱり、子供が生まれた順がイイんじゃないかしら。だからトップバッターは鈴仙!あなたよ!」
「わ、私!?えっ……とぉ〜……」
「話すのは子供1人分よ。2人以上ならまた順番回ってくるからその時ね」
「じゃあ、まずは巫月についてね。巫月なら……サグメ様から勉強を教えてもらったりして、凄く頭良くなったのよ。弾幕ごっこも私と互角か……いや、相性とかも考えたらあの子の方が強いし、電力量?も昔より増えたらしいの。私はちょっとよく分からないけど、圧倒的電圧で空間を歪めてワープみたいなのもできるようになった……のは前からだけど、できる回数が増えたんですって。凄いでしょ!」
「それって確か……エスカルゴが私のスキマから脱出する時に発現・使用した技術よね。まだ幼いあの子で、よく真似ができたわね?」
「そうなのよ。まだ空間を広げるまではできないらしいけど、空間を歪めて繋げるくらいはできるみたい。本当、凄い子だわ♪」
紫のスキマやスキマ空間とは、原理も何もかも異なっている。紫のは境界、エスカルゴや巫月のスキマと呼んでいるモノは理論で説明がつかない謎の技術。とりあえず便宜的に「圧倒的な電圧で空間を歪める」と説明しているに過ぎず、本来は未知の方法である。
「いやはや、流石はエスカルゴの血を色濃く継ぐ娘さんだよ。末恐ろしいねぇ。ね、紫?」
「そうね。……って、なんで隠岐奈もちゃっかり参加してるの?」
「オイオイ、我が娘である阿弥を忘れたか?酷い奴だなぁお前は」
「あぁ、そういえば……」
(よしよし、効いているな。あの子が居なくても私が存在するだけで阿弥の存在を認知できるよう私自身に術を掛けたが……有効そうで何よりだ)
隠岐奈は、自身の秘神としての能力にて子供の存在を秘匿している。それは、後々を考えての事でもあるし、少しは保身の意味も含まれている。
同じく賢者である紫に対抗する為という理由で子を為したとなれば、どのような批判をされるか分かったものではないからだ。
「次、霊夢!」
「まずは霊愛ね。この子が次期博麗の巫女だからその為の修行をつけてるわ。昔と違って力の制御とかも割と上手くなったし、弾幕に込める霊力の濃度も変化させられるレベルになった。しかも、教える前にその技術を会得したみたい。あとは、神降ろしとか霊を祓ったりとか、そういう技術を今より上達させれば……文句無し……かしらね。私はそろそろ博麗の巫女を引退してもいいかも。妖怪になっても博麗の巫女を勤めるの、自分でもどうかと思うし……」
「おっとそれは待ちなさい霊夢。言わせてもらうけど、まだまだ幼い霊愛ちゃんでこのレミリア・スカーレットを倒せる?そうでないなら、博麗の巫女を継がせるのは時期尚早だと思うわ」
「あなたこそ待ちなさい、レミリア。あの子は、私達が企画した黒霧異変で、エスカルゴと大人の姿のルーミアのタッグを倒したわよ?この2人のコンビは、紅霧異変のときのあなたよりは強いと思うけど?」
「だけどその2人は舐めプしてたじゃないのよ。紅霧異変の私よりね」
バチバチ睨み合う紫とレミリア。2人の凡その考えはこうだ。
人間側の存在とはいえ、吸血鬼になった霊夢をいつまでも博麗の巫女にしておくのはどうか、と考える紫。一方博麗の巫女は霊夢であってほしいレミリア。
「あのさ、そんな下らない事で睨み合わないでよ紫、レミリア」
「下らなくはないでしょ。霊夢、あなたの事よ?確かにあの子は強いけれど……畜生界のヤクザに負けてしまったじゃない?」
「それを言われると痛いけど……もう、あの時の未熟さは微塵も無いわ。今なら勝てる。あれから何ヶ月経ったと思ってるの?」
「だとしてもねぇ〜……霊夢が引退……ちょっと考えられないわね……」
「そもそもこうなったのは、死神に殺されかけたからなのよね……。だから文句を言うなら全ての元凶である死神にでも言ってくれる?」
「元凶と言うのならあなたでしょう。娘の成長を末永く見守りたい気持ちは分かるけれど、そこで仙人になる事を選んだのはあなたよ?その結果、2人組の死神に殺されかけたのもあなたでしょ」
「2人組で襲いかかってくるのってとんでもないイレギュラーな事態なのよ。華扇が言ってたわ。だから仕方ないの」
「そうよ、レミリア。別に、引退したって霊夢が死ぬわけじゃないんだから、そう深刻に考えても意味は無いわ。……ね?」
「まぁ〜ねぇ〜……うーん……」
尚も釈然としない様子のレミリア。しかし紫も霊夢もこれ以上は何も言わない。ここは、博麗の巫女について話し合う場ではない。楽しく話してナンボだと思い直したからである。
「あ、話が逸れてしまったわね。次、文どうぞ」
「はいっ!えー私の娘はですね、皆さんご存知、穹というのですが……何というかその〜……飛ぶ速度がですね、私より圧倒的に速くなりました!かなり悔しいものですね!幻想郷最速の称号は、私から娘に引き継ぐ事になってしまいました……口惜しや〜!!」
わざとらしく悔しがる文の様子からは、悔しさなどは微塵も感じられない。むしろ、嬉しささえ感じられるようだ。
速さで負けたのが悔しいのは本心だとしても、娘の成長が嬉しいのもまた本心で、大部分はこの喜ぶ感情が占めているのだろう、と文のこの話を聞いている面々は内心ほんわかしていた。
「あなたの能力による加速じゃ、あの子の能力による加速には追い付けない、という事かしら?」
「そうです、ええ。《加速させる程度の能力》と穹は命名したのですが、能力の詳細を尋ねると、ベクトルをイジる……とか言われたのですよね。あの子は物理学を得意としていますから、きっとその方面の能力が開花したのでしょう!」
「……大丈夫?あの子……幻想郷を脅かすような存在にならない?」
「な、何を仰いますか紫さん!あの子は野心など微塵もありませんよ!?」
「そうだよ紫。深く考えすぎだ。同じ賢者として慎重になる気持ちもわかるが、慎重がすぎるよ。大丈夫だ」
「だと良いのだけど」
紫がどうしてこうも慎重なのか、殆どの者には分からなかった。しかし隠岐奈と霊夢、それからレミリアは薄々気が付いていた。
血縁というのは、いつどこでその力を発揮するのか分からないものだと。
「次、咲夜ね」
「はい。弦月姫ですが、最近は花と会話する事が増えました。なんでも数年前に《花を操る程度の能力》が開花したことによって、以前より鮮明に植物の声が聞こえるようになった、と。お陰で、その植物に合った肥料や水の量なども把握できるようになり、数年前と比べて、種子や果実の回収効率が格段に向上したのです。パチュリー様も、とてもお喜びになっていました」
「ああ、近頃やたら果実が減らないと思ったら、そういうカラクリがあったのね。弦月姫ちゃん、流石ねぇ」
「恐縮ですわ、お嬢様」
「……そういえば黒霧異変のとき、霊愛は弦月姫ちゃんに随分と苦戦させられたそうよ?戦闘にも応用できるなんて凄い能力よね。花によって色々能力もあるとか?」
「ええ。パンジーなら弾ける種子での攻撃、百合なら甘い香りで眠らせる……。何というか、弾幕ごっこというより格闘戦の方に向いてる能力よ」
「凄いですね!今度、少し種を分けてもらっても良いでしょうか?境内にお花を植えて、少しでも華やかにしたいんですけど……!」
「了解したわ。今度、弦月姫に守矢神社に持って行かせるわね」
「すみません、宜しくお願いします!」
早苗に続き、私も、私も、と続く母親達。花の声を聞ける弦月姫はその土地の地質に合った花を各所に植えられることだろう。
「次は妖夢ね」
「えっと、妖舞は……身体から刃を出せる能力でお爺ちゃんと毎日稽古してるの。すぐ壊れる硬度だった刃も、段々強くなってきたみたいで、最近だと100合は打ち合えるようになったよ。速さはあまり成長してないけど、それでも瞬間的になら凄い速さで動けるようになったし」
「100合……!あなたのお爺さんって、かなりの手練よね。そんな人とそこまで打ち合えるって、凄いじゃないの。刃もそうだけど、本人の技量も成長してるのね。もしかしたら、もう弦月姫じゃ彼には勝てないんじゃないかしら……」
「うーん……それはどうかなぁ……。私にもまだまだ勝てないし」
「大会でウチの藍と橙と戦ったときの妖舞くん、それはもう凄まじい速度だったものね。あの2人で反応できないなんて相当なものよ?橙だって、藍の式として少しずつ成長しているんだから」
「きょ、恐縮ですっ……」
「今度、霊愛と手合わせさせてみたら?きっと、良い訓練になると思うわよ?」
「えぇー、まだ力の差がありすぎるよー……」
「穹も練習相手にどうぞ!最近、戦闘の勘が酷く鈍ってるような気がするんですよねぇ。私くらい年季があれば期間が空いても余裕ですけど、穹はまだ年季なんか全く無い幼子ですから……」
「いやー、穹ちゃんはもっとダメでしょ、戦いの相性が最悪すぎるもん……」
穹は超スピードでのヒット&アウェイ戦法で、妖舞はとにかく接近戦。2人共かなりの速度だが安定したスピードを出せるのは穹だ。
その分、動体視力も穹の方が優れていて、仮に穹が接近戦に応じたとしても、ベクトル操作にて妖舞の刃を容易にへし折る事が可能だ。つまり、現状で判断するなら妖舞に勝ち目はない。
「次は……えっと、茜ちゃんとこの紫?」
「確か霊夢よ。この辺、順番が少し曖昧なのよ。ほぼ同時期らしくて」
「あーそうだった、妖舞くんの次は霊麗だった。霊麗はねー……最近になって、少しエスカルゴに似てきた節があるわね。あの大会を見て気付いたヤツもいると思うけど、霊麗、何故か自己犠牲をするようになっちゃったのよね。その度に霊愛が注意してくれるから私は何も言わないんだけど、吸血鬼としての再生力が強い方らしくて……」
「それは違うわね、霊夢。我々吸血鬼は、なにも最初から再生力に優れてるわけじゃないの。彼も常々言ってると思うけど、慣れなのよ、アレは。エスカルゴなんかは昔から妹紅並みに自己犠牲が凄まじいから、誰よりも高い再生力を得てるの。不老不死になる前からね。でも私は、元から強い故に大した怪我もしない。自己犠牲の精神なんぞ持ち合わせていないから、自爆もしない。だから私は、再生力に限れば大したことないの。時間が掛かってしまう部類よ。フランも咲夜もね」
「じゃあ何よ?再生力が強くなるほど自己犠牲を重ねてきたってこと?」
「そういう事になるわ。例えばあの大会だと……霊麗ちゃん、メディスンの毒を喰らってたわね?だけど、本来はキツイはずなのよ。いくら相手が手加減してたとしてもね。……身体を大事にするように、よく教育した方が良いと思うわ」
「……そうするわ」
そんな会話が繰り広げられる中、早苗は密かに安心していた。早苗は我が子を戦わせない。ただ風祝としての修行をつけているだけであり、早苗としては過保護なまでに娘を戦わせない。
それというのも、早苗は異変解決などを通して戦いの危険性をよく知っているし、このメンツの子供達と戦わせるには、自分の娘はまだ幼いなと思っているからだ。
「次はいよいよ紫ね。賢者のお子さんは、どんな成長を遂げているのかしら?」
「そうね……茜は凄く成長したわ。身体的にね。人間で言うと18歳くらいかしら。だから、当初の予定通り外の世界に留学させるわ。以上よ」
「……紫、本気で言ってるの?大丈夫なの?」
「ええ。あの子には実地訓練を積んでもらって、多くの知識をつけてもらいたいし。だけど、まだエスカルゴには秘密にしててもらいたいの。彼、外の世界は危険な所って認識だし、可愛い子だとすぐ襲われるって考えだからね」
「あー……エスカルゴだったらそう考えそうね。娘大好きだし。わかったわ、秘密にしとく」
「旦那様に秘密というのも心苦しいけれど……、まぁ、仕方ないわね。お嬢様、大丈夫ですか?」
「何が?」
「お嬢様、秘密とか苦手でしたよね?」
「そんな事は無いわ?大丈夫よ」
「そうでしょうか……?」
何だかんだ、皆口は固い方ではある。きっと、紫もそれを見越して言ったのだろう。
そんな中、隠岐奈は紫に睨むような鋭い視線を送っている。当の紫は、それを知ってか知らずか澄ました顔をしているのみである。
「じゃあ次は早苗ね」
「はいっ!えーっと樹里愛はですね、最近ずっと私と里に布教に行っているのですが、いつも皆に可愛がってもらっています!!風祝としてはまだ未熟な樹里愛ですが、東風谷家の秘術も少しずつ伝授してます!」
「あんまり、他所の教育方針に口出しとかしたくないんだけどさ。早苗……もうちょっと、樹里愛ちゃんを自由にさせてみたら?妖舞が守矢神社に遊びに行ったとき、樹里愛ちゃんから聞いたそうだけど……あの子本人はもっと皆と弾幕ごっこで遊びたがってるらしいよ?」
「ですから、まだ早いんですって!あの子はまだ6歳ですよ、6歳!外の世界で言うなら、やっと小学校に入学した
「でも、皆の中であの子だけハブられてる感じがするのよねー」
「むぅ、霊夢さんまで……」
「まぁ、弾幕ごっこも打ち所が悪ければ死ぬ事もあるからね。早苗の懸念もご尤もだと思うわ」
「そうだな。これは紫の言う通りだな。ごっこと銘打ってはいるが、100%安全ではない。だが、6歳ならもう遊ばせても大丈夫だと思うがなぁ」
「ダメですよ隠岐奈さんっ!せめて10歳くらいになってからでないと……!」
「うーん……でもある程度は自由にさせないと、鬱憤溜まって大変なことになるんじゃなくて?」
「お嬢様じゃないんですから、大丈夫でしょう。あの子は早苗と違ってお淑やかな子でしたし」
「咲夜さん!?私はお淑やかではないと!?」
「ええ」
「『ええ』!?あなたには私がどう見えているんです!?」
「過保護なお母さん……かしら。私も、あなたは少し過保護に思えるし」
「えー!?」
実際、早苗に賛成しているのは賢者達だけで、他は皆、早苗に対し過保護だという思いを抱いている。というのも、他の皆の子供はその年齢でもある程度は戦えるからである。
「樹里愛ちゃんは半神半妖なんでしょ?仮に打ち所が悪かったとしても怪我すらしないんじゃ?」
「そうですけど〜……」
「それより天気を操るあの能力は?今はそちらの修行もしているのかしら?」
「あ、してますしてます!局所的に天気を変えることも出来ますし、大局的にも可能です!」
「ふぅん……。やっぱり我々吸血鬼の天敵になる可能性があるわね。面白そうだわ。ね、咲夜?」
「ええ、本当に。成長が楽しみですわ」
フフフ、と不敵に笑うレミリアと咲夜を見て、早苗は2人が何を考えているのか分からず思わず身震いしてしまった。
近頃のレミリアは己を高める為に強者、天敵を求めている節がある。咲夜は、そんなレミリアの考えを知っているからこそ笑っているのである。
「あー、そういえばレイチェルちゃんどうなの?元気にしてる?次、レミリアでしょ」
「あぁ、私ね。レーテは相変わらず元気よ。でも弾幕の操作はダメね。まるで上達しないの……。だけど、誰にでも懐く良い子なのよ。最近は専ら大図書館で絵本ばかり読んでいるみたいだけど。それから、小悪魔や小悪魔の子供達に絵本とかの読み聞かせをしてもらうことも増えたみたいよ。異母姉妹同士、きちんと仲良くできているようで本当に嬉しいわ。あと最近はね────」
「分かった、分かった。もう十分よ。全くもう、相変わらず親バカねぇ」
「親バカじゃあないわよ。あなたが子供に冷たいだけだと思うけど?」
「冷たくないわよ、何言ってるの?」
「そう?それなら良いのだけど、あなたの対応を見ていると冷たく見えてしまうわ」
「あらそう?てか、誰にでも懐くって……何よ、私への当てつけかしら?うちの霊魔、人見知りが激しすぎて大変なんだけど」
「あー……それはごめんなさいね、当てつけでも何でもないわ。……あと、妙に舌っ足らずな所もあまり成長しないのよねー……まぁ、可愛いからどうでもいいんだけどね♡」
「確かに、妙に舌っ足らずなとこがあるわよね。可愛いからどうでもいいってホント親バカ……。気持ちはわかるけどさ」
「ほらー!霊夢も親バカなのよ♪」
「違うし!紫も鈴仙も何か言ってやりなさい!」
「あら良いじゃない、親バカで。でもま、褒めるばかりで善悪の区別を教えないのはマズイけど」
「そうね……巫月とかは勝手に覚えてくれたから良いけど、今度の子はそうもいかなそうだし……親バカもそこそこにね?」
「教えてるわよ、善悪の区別くらい。血を吸っていい限度とかは、エスカルゴが身を呈して教えてくれたしね」
「「「それ、教えるって言うの!?」」」
声を揃えて突っ込んだのは霊夢、鈴仙、妖夢の3人である。実際、レイチェルは何度か吸血にて父のエスカルゴを殺害しているので、この教育は不老不死、ないしは不死身の体質ありきのやり方なので、およそ教育と呼べない方法なのである。3人のツッコミも、尤もだ。
「イイのよ、彼から提案したんだから」
「嘱託殺人と変わらない気がしますよ、それ……恐ろしいです……」
「嘱託殺人?……あぁ、まぁ、言わんとする事はわかるわ。確かにそれに近いかも。だけどこれは教育だからね。エスカルゴが死んだときレーテは泣いていたし、限度を知る事の大切さをしっかり思い知ってくれたわ。弾幕が下手だったとしてもこんな風に成長してくれるだけで嬉しいものよ」
「うーん……もっと優しく教育する方法は無いんでしょうか……?」
「こうした方が心身共に成長するの。妖怪はね」
「そういうもの、でしょうか……」
「早苗は元人間だから、理解不能な事も多々あるでしょうね。でもま、その子に合ってる教育方法だったら何でもいいでしょ。極論だけどね」
霊夢がフォローすると、レミリアも早苗もその言葉に頷いた。霊夢も元人間であるが故に早苗の考えも理解はできた。とはいえ自身のスパルタな教育を思い返すと、レミリアの少しやりすぎにも思える教育も理解に難くないのであった。
まさに、中立の存在。どちらの考えも根底から理解でき、納得もできる、この場において唯一の存在だった。
「じゃあ次、小悪魔ね」
「ふぇぁっ!?あ、わた、もう私ですか!?」
「双子だから同時に語っちゃってね」
「ひぃぃ〜……」
全員の視線が小悪魔に集まる。本当は、今すぐ逃げ出したかった。しかしこれはレミリア直々の招待。もしも逃げれば、レミリアとパチュリー、どちらの顔にも泥を塗る事になってしまう。
数秒黙って考え込んだ小悪魔は、遂に腹を括る事にした。
「えー…………ここあとシガレットはですねっ、最近になって精液から魔力を抽出する技術を会得しましたっ!形にはまだできないのですが一先ず己の糧にする事はできるようになりましたね!」
「……えっ、待って。エスカルゴが、自分の娘の男との性行為を認めたの?
霊夢を筆頭にザワめき出す会場。エスカルゴはかなりの独占欲の持ち主。故に、娘可愛さに他の男との性行為を認めるなんて事、天地がひっくり返っても有り得ないだろう、と霊夢は……いや、この場にいる全員がそう思ったのだ。賢者すらも眉をひそめて「有り得るのか?」「いえ、そんなはずは……」と困惑している始末である。
「あ、あのっ、えっと……!他の男の人とは全く経験してないですっ!紛らわしくて申し訳ないんですが、あの子達は、男の人だとエスカルゴさんとだけ身体を重ねてるんです!私や、姉妹間でもエッチとかはしてますけども……!」
「「「ええええええええええっっ!??」」」
堂々と近親相姦をしていると告白する小悪魔。霊夢や妖夢、早苗、文や紫などある程度の常識を持ち合わせている者は仰天するが、身近でソレが行われていて、己も黙認している鈴仙は、誰とも目を合わせないよう静かに目を逸らし、その話を振られないよう澄ましている。
「魔力で生み出した存在ですから、血の繋がりは一切無いんです!あったらヤリませんよ!!」
「「「当たり前よ!」」」
「………………」
性に奔放な小悪魔ですら、血の繋がりがあればヤらないと公言する。それにより鈴仙はますます肩身が狭くなってしまい、縮こまってしまう。
「……鈴仙?どうしたの?」
「えっ!?あ、いや、何でもない!ただビックリしちゃっただけでっ……」
「ね、ビックリしちゃうよねー……。まぁ、血の繋がりが無いなら良い、のかなぁ?」
「う、うんうん、血の繋がりが無いならね!」
慌てながらも妖夢にそう言葉を返す鈴仙の心はズタボロである。近親相姦と言えば3大タブーの1つだ。それが身近で行われているというのに、今の鈴仙はそれを止めようとするどころかスルーしている始末。彼女は改めて、それが永遠亭での日常になっている事に異常性を感じた。
生物は本能で、近親者に性的興奮は覚えないと言うが、鈴仙はそんな俗説を全く信じられないでいた。エスカルゴも巫月も、その本能でお互いを求めているようにしか見えないからである。
「血が繋がってないから近親相姦OK、か……。これはちょっと、色々な意見が出そうな案件ね。じゃあ次は衣玖ね」
「はい。魅玖は、以前にも増してあの方に懐いたくらいしか、変わりはありませんね。私のせいで長い間父親と会えなかったこともあって、初めて会ってからはこれまで甘えられなかった分も含めタップリ甘えているみたいです。物覚えは良い子なので、暇さえあれば私とご主人様で弾幕指導をしています。先日、私の上司でもある天帝様にも謁見しましたので、近い内に、あの子も私と同じこの羽衣を支給されるかもしれません」
「へぇ、吸血鬼の血を引いていても分け隔てなく接してくれるのねぇ。天帝って奴はそういうのを阻む野暮な奴だと思っていたわ」
「レミリアさんが仰る天帝とは、七夕伝説の天帝でしょうか?」
「そうそう。竹取物語の輝夜姫がこの世に居るのだから、七夕伝説の天帝も実在するんでしょ?」
「ええ、一応実在はしていたそうです。その方は1、2世代前の天帝様らしいですが……」
「へーぇ……」
レミリアは「我が道を往く」という強い意志を持っている。だからこそ、他人の恋路なども応援したくなってしまう性分だ。故にそれを邪魔する七夕伝説の天帝は、彼女にとっては疎ましい存在だった。
「ところで衣玖。なんで魅玖ちゃんを長い間エスカルゴに会わせなかったんだっけ?」
「っ……それは、その…………特にご主人様との合意も無く、勝手に子を為してしまった、という負い目……でしょうか……」
「でもアイツも子作りに関与してるんなら、すぐ言うべきじゃない?」
「彼は、私が妊娠しないように、と常々配慮して下さっていたんです。あくまで身体だけの関係が当初の目的でしたから……。ですがあのとき……私、欲張ってしまったんです。身体だけの関係に少し物足りなさを感じていました。……だから、それならば、と……」
「……生ナカしてもらったんだ?」
「いえ、それはいつもの事なんですが……」
「いつもなのかいっ!」
「危険日直前、危険日当日と連続でお願いして、あとは八意印のアフターピルを敢えて飲まず……そうしたら思い通り、すぐにデキましてね」
「そういえばエスカルゴ……一時期はお師匠様にアフターピルの製作を何度も依頼してたわ。誰に使うのか分からなかったけれど、まさか、あなただったなんて……」
「私と、それから総領娘様……天子様ですね」
「アフターピル?ってのはよく分からないけど、とにかく妊娠を防ぐ為のモノって事はわかった。そんなのを飲ませるって事は、割と本気で子供を作るのは避けたかったのねぇ。アイツらしくないけど」
「ええ。当初は本当に身体だけという割り切った関係でしたから……」
(昔っからしっかりしてる印象だったけど、案外貞操観念ユルユルなのかしら、衣玖って……)
「成程〜、永琳さんならアフターピルなどもすぐ作れちゃうんですね!流石です!ところで、何か副作用はあったんですか?服用し過ぎによる不妊などは無いようですけど……」
「……?いいえ?永遠亭の医者の薬は副作用等が無い事で有名ですから、アフターピルにも特には無いのでは?」
「ちょっと早苗。お師匠様のお薬に副作用なんてあるわけないでしょう?軟弱な外の世界の薬師と同レベルに見てもらっちゃあ困るわね」
「なんですって?軟弱じゃあありませんっ!皆で頑張って開発し、できるだけ副作用を減らすよう努力してるんです!」
「減らすじゃダメ。ゼロにしなきゃダメなのよ」
「ゼロなんて不可能ですっ!」
「不可能じゃないわ、お師匠様が可能にしてる」
「永琳さんは天才すぎて例外────」
早苗は元々アフターピルの存在を知っていたが故に、ただ純粋に副作用などが気になっていた。しかしそれが鈴仙の神経を逆撫でし、二人共笑顔というある意味恐ろしい口論を始めてしまった。
「あー、とりあえず二人共、静かに。……じゃ、隠岐奈。次はあなたよ」
「お。もう私か。……なんて言えばいいかな……うちの子、阿弥には感情が欠落しているようだ。恐怖心だけだと思っていたよ、だがそうではないらしい……」
「へ、へぇ……これまた強烈な……」
「例えば……そうだ、阿弥が二童子と遊んだ時の話をしようか。三人共、とても素晴らしく明るい笑顔だった。遊び終えてから、里乃と舞に感想を聞くと、『楽しかったです!!』……と言った。だが、阿弥に感想を聞いたら……『別に?』……という一言で終わったんだ……」
「「「えっ……」」」
隠岐奈の衝撃の話に、口論していた早苗と鈴仙のみならず、紫もレミリアも霊夢も衣玖も……、その他全員が隠岐奈を見る。
隠岐奈は悲痛な顔をしていた。下唇を噛んで、握っている拳はワナワナ震えている。
「『楽しそうだったじゃないか』って言ったさ。そうしたら阿弥の奴……『息抜きになったけど、それ以外に何かあるの?』って……。そして私は気付いたんだ。あの子はその場面に応じた表情を作っているだけで、心は空っぽなんだ、と……。照れ隠しじゃない、本気で言っていたよ……」
「……中々、ホラーチックな話をするじゃない。隠岐奈にしてはね。思わず身震いしたわ。吸血鬼なのに鳥肌よ」
「隠岐奈、それさ……秦こころとはまたちょっと違う感じなの?」
「違うな。あの子は表情が無いだけ。……そう、こころと反対みたいなものだ。感情は有り表情は無いこころ、感情は無く表情が有る阿弥。全く、冗談であってほしい事実だな。……ただ、そんな阿弥でも『痛いこと=嫌』という感覚はあるぞ。いや、感覚があると言えるのかな、これは……。それすら私にはわからん」
「興味深い話ですねぇ。話を聞く限りだと真性のサイコパスって感じがしますが……」
「ちょっと待って、早苗。サイコパスは自己中な要素を多分に含んでいると聞くわ。阿弥ちゃんがどうなのか分からない以上、断定は────」
「無論、あの子は自己中な所があるな。これは、その二童子と遊んだ時の話の続きなんだがな……
『息抜きのつもりで遊んで、2人にあんな自然な良い顔が出来るものか』みたいな事を言ったら、
『2人との関係がダメになったら私の生活に支障出るかもしれないじゃん』……と……。かなりの自己中だな、と思ったよ」
「隠岐奈、つまらない作り話はやめにしましょ?笑えない冗談はやめて?」
「ふふ……作り話であってほしいのは私の方だよレミリア。実際に阿弥と話したらきっとお前達も心地良い気分になるだろう。だが、あの子の心は空っぽだ……どうにもならない……」
「サイコパス、実在するんですかねぇ?ま、近いうちに宴会で会えるでしょうし、楽しみです♪」
「……因みにだが、この話はまだエスカルゴにもしていない。秘密にしていてくれ。私のせいで、彼の悩みの種を増やしたくはないからね」
隠岐奈の頼みに全員が頷いた。隠岐奈は何故、明るく楽しい話をすべき場でこんな話をしたかというと、隠岐奈と阿弥の間に楽しいエピソードが何一つ無いからだ。
無い袖は振れないという言葉があるが、それはまさにその通りで、隠岐奈はこの場において無い引き出しから話題を引っ張り出すことはせずに、誇張無しに事実であるエピソードを一つ話したに過ぎないのであった。
「じゃ、じゃあ……次はもう一回鈴仙ね。明るい話題だといいのだけど……」
「大丈夫よ、緋月は良くも悪くも普通だからね。えーと、緋月はね……竹を伝って飛ぶ?のが好きみたいで、いつもピョンピョン飛んでるわ」
「竹を伝って飛ぶ…………ですか?すみません、ちょっと意味がよく分からないんですけど……」
「ほら、竹ってかなりしなるでしょ?だからその反動でビョ〜ンって飛んでるって感じでさ」
「プロレスの、ロープのアレみたいに跳ねてるんですかね?」
「あー、うーん、多分そう!」
「へぇぇ!凄いですねっ!それであの竹林の中を縦横無尽に……?」
「そうよ。地上だとてゐの罠があるから、巫月が竹を伝っての移動方法を緋月に教えたみたいで。あそこを普通に飛ぶのは、飛び慣れない緋月には危ないって判断したのかな?そこは分からないんだけど、とにかく、巫月が教えた移動方法を遊びとして活用しまくってるって感じよ」
「可愛いじゃない。てか、相変わらず凄いわね。その成長の速さ」
「そうね。あとね、エスカルゴがそれについて、なんかこう言ってたよ。『俺の子供達は、揃いも揃ってy=√xのグラフみたいな成長しやがるな』って。分かんないから笑って誤魔化したけど……早苗、これ意味わかる?」
「あ、はい!分かりますよぉ!んーと、何か書くものでもあると……」
「はい、使って」
「あ!ありがとうございます紫さん!」
スキマから取り出した紙とペンを受け取ると、大雑把にX軸とY軸を書き、原点から伸びるそのグラフを書いて皆に見せた。それを見て、察しの良い者達は彼の言った言葉の意味が分かった。
スタート地点から暫くはグッと上がるものの、以降はゆっくりと上がっていくのである。つまり子供達の成長について彼は「最初はバカ早いけどあとはゆっくりだな」みたいに考えているのだ。
「成程〜……確かに、こんな感じはするかもね。レミリアとか見てるとホントそうだと思うわ」
「ちょっと鈴仙、それはどういう意味?」
「アハハ、深い意味は無いわよ」
「ふぅん?……じゃあ、もしエスカルゴの成長をグラフにしたらどんな感じになると思う?因みに私は常に絶頂だから、Y=100の真横のグラフになるでしょうねっ!」
「うーん……エスカルゴがどれだけ成長してるかなんて分からないわね。霊夢はどうなの?多分、誰より近くで見てきたじゃない」
「あー?私ぃ?」
「ちょっと、それを言うなら私や咲夜じゃない?何年もひとつ屋根の下で暮らしてたのよ?あと、小悪魔も!」
「いやぁ、そうは思ったけど、成長って意味ではエスカルゴのこと見て無さそうだしなーって」
「ゔっ」
「やっぱり、何だかんだ言って一番濃厚なのって霊夢なんじゃないの?」
「そーねぇ〜……昔は緩やかに成長してたけど、最近はグンと成長したと思うわ。色んな意味で。だから……こう?」
空中にグラフを書くように指を動かした霊夢。指は波線を描くように動いて、緩やかなカーブを描き続けている。それを見た早苗は紙にグラフを書き足し、霊夢にそれを見せる。
「こんな感じですか?」
「あーそうそう。こんな感じのイメージね」
「ふーむ……この形はちょっと難しいですねぇ。紫さん、このグラフに近い関数とかあり──」
「アークタンジェントね。またはシグモイド関数かも」
「うーん即答、流石賢者様です」
「私、数字には強いの」
「成程〜……」
紫としては、彼の成長はアークタンジェントのグラフではなく階段関数だと思えていたが、別に今ここで議論すべき話題でもないので黙っておくことにした。
「じゃあ最後、霊夢ね」
「霊魔はねぇ……生まれる瞬間に飛び始めたから部屋が血だらけになってねぇ。元気な子だなって思ったんだけど、それ以降はてんでダメなのよ。いや元気ではあるのよ。元気ではあるんだけど、少し情緒が発達してきたあたりから酷く人見知りするようになったのよね。霊愛が赤ん坊の頃は、
神社に遊びに来たルーミア達とも遊んでたけど、霊魔は逃げるし、泣くし。立ったり話せるようになると、いつも私の後ろにピッタリくっついて、隠れちゃうのよね。……ある意味、手が掛かって楽しいんだけどさ。もう少しくらい、人見知りをどうにかしてほしいものね……」
「……愚痴に聞こえるけど楽しそうに話すわね。子育てを楽しめているなら上等じゃないの?」
「ええ。まぁ、楽しいからいいんだけどね……。でもそう言ってばかりもいられないでしょ?」
「それはそうよね。ま、地道になんとかするしか無いんじゃないの?他に何かある?」
「んー……後は、霊魔には何故か魔力もあるってことくらいしか……。霊力も魔力もちょっとずつあるのよ」
「そうなの?イレギュラーね……。霊力と魔力は相反するものだし、霊愛ちゃんや霊麗ちゃんにも魔力は無いじゃない。霊夢、あなたにも何故だか魔力は無いし」
「そうね。エスカルゴの眷属だからかな、アイツ魔力少ないし」
有り得そうなそのジョークに、一同は苦笑いを漏らす。大っぴらには少し笑いにくいなと全員が思っていた。
「霊魔くんには魔力が……。ふぅん……中々興味深い話ね。面白いわね。今度、レイチェルと話をさせてあげない?」
「えー……人懐っこい子と人見知りってこれ以上無いくらいの最悪の組み合わせじゃない?」
「ふふ、大丈夫大丈夫」
「そうかなぁ……」
「……霊夢。霊魔くんにはどんな修行を?」
次やその次に据えられる博麗の巫女について、紫は少々思う所があり、警戒するような眼差しで霊夢を眺めながら尋ねる。
「慧音によると、昔は男の巫女……巫子ってのが存在してたから、霊魔にも霊麗と変わらない修行つけてやろうと思ってるわ。もう少ししたらね。今は適当に遊ばせてるけど。まだ子供過ぎるし」
「ふむ……それなら……」
その返答に、何やら意味深な笑みを浮かべる。賢者として大っぴらには信用しにくい紫は、何を考えているのかやはり分かりにくい。胡散臭い。
◆
それから、数時間が経過した。我が子についてママ友と会話をし尽くした一同は、疲れていた。最後もやはりレミリアが司会役を務めて、綺麗に締め括り、ママ友
しかし、他の子供達の可愛い所を聞かされてもなお、皆の心には「私の子が一番」という思いが渦巻いていた。
阿弥は「表」を司る者になるので
阿弥は何とも……ですけど。
隠岐奈は、そんな阿弥を恐ろしく思っています。
エスカルゴは娘のそういう一面を知らないので、未だに「阿弥はズバズバ言う子なんだなぁ……」みたいな印象です。取り繕うつもりが無いときはマジでハッキリズバズバ言います。
でも悪気は本当に0です。
ちなみに15100字です。長すぎた。
3話に分けるべきでしたかね。