「ようこそ永遠亭へ。随分久しぶりね。こうやって同じ屋根の下に入るのは10年ちょっと振りくらい?かしらねっ!」
「その節は世話になったわ」
「ふふっ、いいのよ。困った時はお互い様だもの。ささ、座って座って♪」
彼女の前に用意してあった座布団に腰を下ろす。正座など彼女にとって久しぶりのことだったので、足の痛みなどに襲われないかと、座り始めた今から心配になり始めていた。
しかし輝夜はパチュリーの心配を他所にワクワクしている様子で話し始めた。
「で、何だっけ?エスカルゴの好みのプレイ?」
「ええ。鈴仙から聞いたけど……あなたも、彼と……交わったんでしょ?」
「そーね、ここ暫くご無沙汰なんだけど。……好みのプレイと言われてもねー……彼も彼で好みの幅が広いからねぇ……何が好きなのか……と聞かれてもねぇ。強いて言うなら姉弟とかおねショタプレイかしら」
「おねショタ……?」
「私がお姉ちゃん役でエスカルゴが弟役。搾るの。こう……優しく寝かせてね、おっぱいも吸わせて……♡シュッシュッシュッシュッ♡……ってコスって♡」
「えっ、ええええええ……アレを掴んで……!?」
「あれ、あなたまだ触ったことないの?」
「あ、あるけどっ……なんて言うか、熱いし……触るだけで変な気分になってくるっていうか……///」
「そうそれ!それに身を任せるの!そうするとね、自然とお世話してあげたくなってくるのよ♪」
「えぇ……何よそれ……」
そしてまた思い出した。瀟洒な咲夜が彼に惚れた理由を。元々は、幻想入りしたてで寂しがっていた彼を見て「放っておけない人だ」という認識だったらしいが、やがてその気持ちは、「彼をお世話してあげたくなる」に変わっていき、今に至るのだ。
パチュリーはエスカルゴにそんな感情を抱いた事など無いが、輝夜が咲夜と似たような事を言うものだから、あいつは人によってそんな感情を抱かせる性格をしているのだろう、と結論付けた。
「ほら……彼ってさ、しっかりしてるように見えて、結構甘えん坊なトコあるじゃない。そういう一面を見てるとさー……自然と手が上下に動いちゃうの♡」
「そんなもんかしら……」
「そんなもんよ。それでそれで?他に何か聞きたい事とかあるかしら?」
「……フェラする時……顎、痛くなっちゃわない?」
「なるわねぇ。一番太い所は凶悪な太さしてるし。でもそこは、喉元過ぎれば熱さ忘れるみたいな感じでさ、食道の方まで深〜く咥えればいいの。アレの太さなんて、すぐに忘れられるわ♪」
「苦しくない?」
「そりゃもう苦しいけど……そんなこと言ってたら、思いっきりエッチ楽しめないわ?少しくらい危険なくらいが丁度いいのよ。喉奥が熱くなって、頭とかクラクラしちゃうし♡」
「そう、なんだ……。あの……彼と、これまでに何回くらい……そういう、エッチなことを……?」
「んー……1から先は数えてないわ♪」
「あんまりヤッてない……の?」
「と言っても少なくとも200前後はヤッてるはずよ?河童制作のゲームのシチュで遊んだりもしたしね。1日につき10回だとすれば……あぁ、1000回は軽くヤってるわ。200なんてショボくは無かったわね」
「!?」
「そう言うあなたは?」
「……この前、付き合い始めたばかりだから……まだ30回も……」
「そうなのね。……あ、そういえばさっきイナバから聞いたんだけれど、永琳に依頼したい事があったんですって?何を依頼したか、もし良かったら教えて頂けない?」
パチュリーは露骨に溜め息をついた。己の情報をこうも容易く他者に漏洩されるのは、やはりどこか気になってしまうからだ。
そんなパチュリーの想いに気付いた輝夜は、薄い苦笑いを浮かべて謝った。
「ごめんね、イナバは責めないであげてね。私が、詳細を無理に聞き出したの。紅魔館の魔女が来る、なんて聞かされたら、理由は勿論、それ関連の事はかなり聞き出したくなっちゃうじゃない?」
「何で私の来訪がそんなに気になるのよ?」
「だって
「大袈裟よ。私だって動く時は動くんだから……」
「その理由が『彼の為』なのがホントにイイわ〜♡妬けちゃう♡」
「なっ……!?違うわよ、あれは私の為だから!妊娠しちゃってないかの検査だし!依頼とかそんなの、つ、ついでに過ぎないんだからっ!」
「……あ〜……そういう事ね」
「そうよ、全くもう……調子狂うわね……」
「あなたが自白剤を買った理由がわかった」
「…………えっ」
「そうやって、素直になれない自分自身に、嫌気が差したんでしょ。だから、一時的にとか、彼の前でだけでも素直で居る為に、自分で飲むように……と、自白剤を購入した。──そんな所かしら」
「……なッ……何で、自白剤の事を……」
「フフッ……不思議よね。自白剤の事は、ここに来た時点のイナバでさえ知らなかったのだから、不思議でしょうね。……答え、知りたい?知りたいなら……今日、この時だけでもいい。私には素直になって?腹を割って話しましょ?……あっ、物理的に割っちゃダメよ?これ蓬莱人ジョークね♡」
パチュリーの心は揺れていた。並外れた洞察力を以てしても、薬を買った事ならともかく、自白剤を買った事だけは絶対の絶対に察しようがない。ジワジワと、輝夜に対し恐怖心が芽生えてきた。
「────わかった。言うことを聞く」
「ちょっとぉ〜。『言うことを聞く』って、まるで脅してるみたいじゃないのよー。……別にね、そんな難しいことじゃないのよ?能力を使っただけなの。溜めていた
「あっ……あなたの能力って……」
「その通り。《永遠と須臾を操る程度の能力》ね。認識できないほどの、僅かな時間を溜めて溜めて……一気に放出するの。私だけが動けるから、擬似的な時間停止みたいなものね」
「なるほど……」
(とはいえ……永琳が自白剤なんて危険なモノを渡すとは思えないけれど……。大方、プラシーボ効果でも狙ったのかしら。中身はただの栄養剤か、もしくは媚薬か……。頑固なとこがあるし、プラシーボ効果は抜群に効果を発揮しそうね。とはいえ、万が一嘘がバレたらパチュリーの怒りを買うのは間違いない。そんな危険すぎる綱渡り、永琳は絶対にしないわ。信用問題にも関わる。となると媚薬の線が濃厚ね。まぁ……エロい気分になれば素直にもなれるでしょ、いくらパチュリーでも。そんな感じ?永琳?)
張り詰めていた緊張が、一瞬で氷解した。彼女はただ、能力を使っていただけだったのだ。別に何も変なことはしていなかった。
輝夜に対し恐怖していたのがバカみたいに思えたパチュリーは、思わずフッと笑みを漏らした。
「そう……警戒して損だったわ」
「警戒されてたの〜?ただのお姫様よ?」
「不老不死で擬似的な時間停止が出来るお姫様は、ただのお姫様とは言わないわ。それで……腹を割ってとは言うけど、どんなお話をしようと言うの?質問だけしたいから来たのだけど」
「そうねぇ、まずはあなたと彼のプレイ内容とかを教えてもらおうかしら。これは流石に言える範囲で構わないわ。そこから、彼が求めてそうなプレイを推測しましょ」
「それは助かるわね。…………まぁ私達は、あなたと違って普通のプレイをシてる……と思う。この前は、ちょっと外でエッチもしたけど……あの日以降普通にベッドだもの……///」
「ザ・普通ねぇ。髪コキとかシテあげないの?私達みたいなロングヘアー女子特権のプレイよ?」
「かみこ……え?何よそれ……」
「手、足、髪、腋は基本よ!他にも幾つかあるけど基本は覚えておきなさいっ!それから、足コキする時には少しバカにしてあげるとイイのよ」
「例えば……?」
「例えば、かぁ。覚えてる範囲内だと確かねぇ……。
『この浮気チンポ♡』『私というものがありながらよくも他の女を抱けたわね』『早漏のくせに
「なんでそんなセリフを……」
「その方がね、普段より多く『ビュルルルルッ♡』してくれるからね♡」
「どうしようもないわね、あいつ……。でもそれってSMプレイとはまた別なのよね?なのに罵声とか……聞いたこともないわ……。帰ったら、足コキ?とかも含めて、小悪魔にやり方聞いてみるわ」
「うむっ!あー、あと素股とかどぉ?かなり擦れるから、女性も気持ち良くなれちゃうわ♡」
「それなら何度かあるわ。……でもやっぱりセックスかなって……」
「ダメねぇ。流石、まだまだ若いわね。セックスもイイんだけれどね、たまには他のプレイで性行為にスパイスを加えないといつかは飽きるわ。だから、冷めない為にも色んな体位、プレイとか覚えないといけないの。わかる?」
「……ええ。冷めるのは……嫌だし」
(……なんだ。カタそうに見えて、案外簡単に素直になるのね。自白剤も媚薬も要らないんじゃないの?というか、エスカルゴならデレないパチュリーでも簡単に勃起するんでしょうね……。いや、寧ろ好き?有り得る……エスカルゴだものね……)
「何を考え込んでるの?」
「え?……あぁ、ううん、大した事は考えてないわ。本当にあいつに惚れたのねぇ、と思ってね♪」
「……あいつだけなのよ。私の本を大事に……凄く、大事に扱ってくれるのはね……。意識しないでって、そんなのは無理。レミィを裏切るような事になると思ったけど……レミィなら祝福してくれると思った。許してくれると思ったの。……だから、私もあいつと付き合うことにしたの」
「本ねぇ……。共通の趣味から恋愛に発展した、とはまた違うの?」
「少し違うと思う。……でも、あいつが真面目に勉強してるのを見て……普段はおちゃらけてる変態なばかでも、こんな顔するんだなぁって……ふふっ♪」
(紅魔館の魔女がこんなにデレるなんて、誰が予想できた?永琳ですら予想できなかったでしょう……?エスカルゴ……パチュリーはあなたが思っているより純粋な子よ……大事にしなさいよね……!)
「……?何ニヤニヤしてるの?」
「微笑ましいわぁ♡」
「べっ、別にそんな事ないしッ」
「ほらほらぁ、そういうとこよ?」
「っ……!」
「素直に照れちゃってもいいのよ?今ここは、私とあなたの2人きりなんだから」
「う……ん…………///」
(あらあら、縮こまっちゃって……。可愛い♪)
輝夜がパチュリーを見守る目は、どこか達観したような、優しいものだった。事実、輝夜から見れば100数歳のパチュリーは赤ん坊同然なので、見守って然るべき存在だと言えた。
「そうだわ!何か、彼を責めるセリフ考えましょ!さっき私が言ったのがお手本ね!さぁ、何か言ってみて!」
「えぇ……そんな急には無理よ……」
「簡単よ?『ざーこざーこ、ざこちんぽ♡』はい、リピートアフターミー?」
「ざ、ざーこざーこ……ざこちん……ぽ……///」
「そこ照れちゃダメっ!余裕の表情で!」
「難しいって……。素面で『ちん……』は恥ずかしいというか……」
「じゃあこんなのは?『私に
「キュンとさせる必要ある?一応もう付き合ってるのに……」
「何度も何度も繰り返し『惚れさせる』の!いい?付き合うのがゴールじゃないわ!寧ろ付き合うのがスタート地点と言っても過言ではない!自分から、そして彼からの『ラブ』を深めていくのよ!」
「な、成程……」
「ゾッコンにさせれば、あとはラブラブエッチしか待ってないからね!頑張ってっ!」
「頑張る……!」
◆
「ねー、えーりーん。パチュリーについてだけど、ちょっといい?」
「あら姫。パチュリーがどうかしたの?」
「パチュリーがエスカルゴに惚れるだなんて、予想できた?」
「できるわけないでしょ?しっかり者のパチュリーと不埒者のエスカルゴ、どう考えても引き合わないタイプの2人じゃない」
「あははっ!やっぱりそう?そうよねっ!」
「何よ?どうしたの?」
「んーん、なんか安心したの♪」
「はぁ……?よく分からないわね」
(てゐも最近はエスカルゴとヤッてるらしいから、あとはサグメと……永琳、あなただけよ……♡)
ガールズとトークをしたことはあっても、ガールズトークはした事ないので、こんな感じじゃなかったとしても許してね。
ちなみにですけど、霊夢がエスカルゴを呼ぶときは
「アイツ、バカ」でパチュリーは「あいつ、ばか」なんです。
もしパチュリーが「アイツ、バカ」もしくは霊夢が
「あいつ、ばか」と言ってたらそれは誤変換です。
本当はレイマリの対比的な感じで使おうと思ったんですけど、そもそもの話、魔理沙とエスカルゴってどう考えても合わないのでボツになりました。
レイマリの対比に使うなら、霊夢が平仮名表記で、魔理沙が片仮名表記の予定でした。