ぎゅるるるる〜…
「うにゅ…」
腹が鳴った。それもそうだ。もう午後1時だ。
こんなに大きな音が響いてるのに霊夢は微動だにしない。絶対聞こえてんだろ…。
でも、勝手に他人ん家のキッチンいじるほど俺は戯け者じゃないし、霊夢にご飯を催促するほどうつけ者じゃない。
「お腹空いたー、ご飯作ってー」なんて事を言っていい相手は実の母親だけだ。それすらも言っていいのかわからん。とにかく、相手に無礼にあたるのだ。
親しき仲にも礼儀あり、だ。
「…すまない」
あれから数分後、我慢出来なくなった俺はコタツの上にあったミカンに手を伸ばした。
本当にお腹が空いた。なんでだろう?
そしてふと気付く。
なんで霊夢は無反応なんだ?と。
霊夢の性格上、自分のミカン取られたら…
「こらァエスカルゴぉぉ!ミカン返しなさァァァい!」とか言いそうなものなのに…。
まさか寝てるんじゃ……と思いながら霊夢の顔を覗き込むと…そのまさかだった。
霊夢は、幸せそうな顔で眠っていた。
その顔を見てる者まで幸せになれそうな、暖かく柔らかい笑顔だ。
「うーん…」
ますます起こしづらくなってしまった。
しゃーない、霊夢で遊ぶか。
霊夢のいろんな所を観察することにした。
リボンやら巫女服やら…だ。
もちろん、腋もよく見た。
とても綺麗だった。それに多少興奮してしまい、俺は腋フェチなのか!?と考えてしまった。
巫女服は意外とゆとりがあり、ところどころに隙間がある。腋を見たついでに、申し訳ないと思いつつ胸を覗いた。見えなかったが、サラシが巻いてあるのに気が付いた。
サラシは、下手気な下着よりも色気を感じる。
「う…んん…」
霊夢が呻いたので急いで離れる。
「スゥ…スゥ…」
「ホッ…」
良かった…。
俺はイタズラが好きだ。
まぁ、てゐみたいなイタズラではない。
寝ている誰かをいじったり観察したり…。
だからその矛先を、今回は霊夢に向けていた。
そしてコタツから抜け出し、不良みたいな座り方をし…
「失礼…しまーす…」
霊夢の顔に手を伸ばす。
キュッ
「ふがっ…」
「クククッ…!」
堪えきれない…!鼻つまんだ時のこの反応…!
手を離すとまたさっきのような穏やかな表情になるのだが、つまむと顔をしかめる。それが何とも…。
さて、表情の変化を楽しむのはそこまでにして。
次は…そうさな…。
ぷにっ
「ふおぉぉ…!」
意外にも、霊夢のほっぺはフランたちに負けず劣らず柔らかかった。実を言うと、俺はほっぺフェチだ。
常人と同じ箇所+ほっぺで興奮する。さっきは腋でも興奮したがあれは…うん、偶然だ。
ほっぺをつつく度、霊夢の可愛い顔が俺の手によって歪む。それがたまらなく興奮するのだ。
ぷにぷにぷにぷにっっ
「〜〜〜〜!!」><
連打〜!(太達かよ!)
指先でほっぺを思い切り連打する。
指先から伝わるこの柔らかい感覚…ぷるんと揺れる霊夢のほっぺ…うーん、素晴らしい。
「……起きてるわよ」
「!?!?」
「あんた…人が黙ってりゃ好き勝手やってくれちゃって…」
やべぇやべぇやべぇ………!
「………」
背を向けたまま言葉を続ける。
「ご飯作るわよ、手伝いなさい」
あ…あれぇ?
「わかった」
お、怒って…ない?
トントントントン…
今現在、霊夢と調理中。
…参ったなぁ…まさか起きてたとは。
ぷにぷにしすぎたかなぁ?
うー、霊夢のやつ、怒ってるかなぁ…。
「何よ、そんな暗い顔しちゃって」
「!」
霊夢…。
「そんな顔してたか?」
「ええ、してたわ。…と見せかけて、変な事考えてたんでしょ?」
それは心外。
「いや、考えてない」
「ふーん、じゃあ何考えてたのよ?」
「…ぷにぷにしすぎたかなって…」
「そ、そんなこと気にしてたの?」(;゚ロ゚)
「えっ?」
なんか凄い驚いてる!?
霊夢が目を見開くなんて…。
「…怒ってない?」
「怒るわけないでしょ、あれくらいで」
「良かったぁ…」
ホッと胸を撫で下ろす。
『…………』
そこからは黙って調理を進め、一緒にお昼を食べる。
『いただきます』
洋食の紅魔館とは違い、ここは見た目通り和食なようだ。俺は元日本人なので和食はバッチコイだ。
「…なによ、不満?」
どこでそう感じたのだ霊夢よ。
不満ならパクパク食い進めないだろう。
「いいや、不満なんて無いぜ。美味しいよ」
「そ、そう…ならいいけど…」
…頬が少し紅潮した様に見えたのはきっと見間違いだろう。
『ごちそうさま』
皿洗いが出来ないので、せめてなにか手伝おうと霊夢の分の皿も運び、コタツで伸びていた。
「おまたせ」
霊夢もコタツに入ってくる。
「早いな」
「そうかしら」
「ああ」
うーん…話題が尽きるの早いな…。
「ねぇ」
「ん?」
「今朝、分身出して何やってたの?」
霊夢の方から話題振ってくるとはな。
「特訓だよ」
「特訓?」
「昨日霊夢とやりあった時はさ、霊夢が待っててくれたけど…魔理沙みたいな奴が待ってくれるとは思えないじゃん?」
「そうね」
「だから、出来るだけ早く分身を作れるようにしとこうかな、と」
「結果、どうだったの?」
「昨日より早くは作れたけど…」
「けど?」
「ゆっくり作った方が良いみたいなんだよな」
「なんで?」
「ゆっくり作った方がちゃんとエネルギーを送り込めるから、攻撃もある程度出来るみたい。エネルギーを早く送れればいいんだがそうもいかなくてな…」
「それ、何かしらの方法で分身を強化できれば良いのかしら?」
「強化、ねぇ…。俺、強化魔法使えないぜ?」
「強化する事が出来るのは魔法だけじゃないわ。霊力でも強化出来るのよ」
「え、ホントに?」
「ええ。だから私はいつもそれやってるもの」
「いつもって…例えば?」
「そうねぇ…戦う時に拳や足を強化したり…ああ、あと、お祓い棒も強化してるわ」
「ええ…」
でもこれで辻褄があった。
「そうか、だから初めて俺と戦った時あんな遠くまで吹っ飛ばせたんだな?」
「そういうこと」
ほー…霊力強化…か。
「お祓い棒を強化する必要あるのか?あれ単体でも痛そうだぞ」
「痛いだけじゃ戦闘では使えないわ」
「そ、そうだな…」
そりゃ当然だな。何言ってんだ俺。
「玄関から3本…いえ、2本持ってきて」
「…?わかった」
玄関玄関…あ、こっちだな。
実演してくれるのかな?
だとしたらありがたいが…。
「ほい」
2本持ってきた。結構な数あったが…予備か。
「ありがと」
「おう」
「いい?これが強化前」
「ふむふむ」
「ハァッ!」
「うぉっ…」
掛け声とともに畳に叩きつけると、バキッと音を立てて折れた。
「それで、これが強化後」
「いや待て」
叩きつけようとする霊夢を止める。
「なに?」
「俺は適当に2本持ってきたんだ。何でそれが強化後だと分かるんだ?」
「ああ、それはね。これを今強化したからよ」
????
「え…念じるとか祈祷するとか無しでか?」
「ええ」
「ほ、ほう…。あ、続きお願い…」
「ハァッ!」
「おお…」
ドッ…という鈍い音と共に畳に叩きつけられたお祓い棒。折れるどころか曲がってすらない。
「…ね?こんな感じよ」
「凄いな…」
「だから、あんたが急いで出した分身も、霊力を乗せれば少しは強化出来ると思うの」
「なるほど…」
やってみたいな…。
「早速やってみる?」
「!良いのか!?」
「ええ。暇だしね」
「あはは……」
2人で外に出る。
「よし…。『分身』!」
バチバチと音を立ててもう1人の俺が生まれる。
「ヤァ」
「ほんとに早くなったわね…」
「いや、中身はほぼスッカラカン」
「そうなの?」
「ああ」
「オイ俺、コンナンジャマトモニ戦エナイゾ」
「わぁってる、少し待て」
「霊夢チャンニ強化シテモラウンダロ?ワカッテル」
「なら言うな」
「ヘイヘイ…」
「ちゃんって…ちゃん付けなのね…」
「コイツ、誰にでもちゃん付けなんだぜ。レミリアちゃんに咲夜ちゃんに魔理沙ちゃんだとさ」
「うわー…」
霊夢が少し引いた。
「ナッ…引カナイデクレ霊夢チャン!!」
「分身なのに自我があるのね」
「ああ、そうらしい。それで、強化ってどうやるんだ?」
「私の体の一部じゃないものを強化するときは、対象に触れなきゃ…」
「触れる?」
「お祓い棒だったら、掴むとか…。まぁ、しっかり握らなきゃダメね」
「握る…」
「さ、手出して」
「オホッ、霊夢チャント手ヲ繋グノカァ!」
!!
「ダメだ!!」
霊夢と分身の間に割って入る。
「な、何よ?」
「邪魔スンナヨ俺」
「霊夢が手を握るなんてそんなのダメだ」
「え…だって強化するんでしょ?」
「ソウダソウダ!」
「コイツは俺の分身とはいえ俺じゃない。俺以外の男と手を繋ぐなんて許さねぇ」
言っちゃった…独占欲強すぎって引かれたか?
「………/////」
あ……やべ、真っ赤になった…!怒らせた!?
自分勝手過ぎるって怒らせた!?うあああ!!
「…ありがとっ!」
ギュッ…
「!?!?」
ちょ、抱きつ…!?
「ど、どした…?」
「…ハッ!な、何でもないっ!」
バッと離れ顔を背ける霊夢。
ど、どうしたってんだ…?
「オイオイオイ、何ヤッテンダヨォォ!」
「?」
「今完全ニオ前モ霊夢ヲ抱キ締メルノガ自然ナムードダッタロウ!!」
「…そう、かもな」
言われて気付いた。勿体無いことしたな…。
「そ、それで、強化はどうするの?」
「あー…他の方法はある?」
「霊力を込めた御札を貼るとか…」
あるんかい!!!
「じゃあそれで!!」
「わかったわ、準備する」
「オイ!邪魔スルナヨ!!折角手ヲ繋ゲソウダッタノニサァ!!」
イヤに逆らうな…。
こいつの性格、矯正した方が良いか?
「黙れ、強化してもらったら戦うぞ」
「イイヨコイヨ。霊夢チャンヲ賭ケテ決闘ダ!」
「そういう訳じゃないんだが…いいや、それで」
「準備で出来たわ。どこに貼る?」
お、出来たのか。
「キョンシーみたいに、デコっぱちに頼む」
「OK」
ペタッ
「オイ、俺ノ意思ハ!?」
「黙れ分身。お前は俺に生み出され俺に使役される者だ。どっちが上かしっかり分からせてやる」
「言ッテクレルジャネェカヨ?調子乗ッテンノカ?ア?」
「不良かお前は」
「イイヤ」
コイツは俺の中のエネルギー。
そのエネルギーが俺に逆らうってことは、力が暴走したり使えなくなったり…つまり、俺の身を滅ぼすことになりかねない。
さっきまで、逆らうのは性格だと思っていたのだが、コイツは俺のエネルギーということを思い出したのだ。もし性格ではなくこの仮説通りだとしたら…!
だから、上下関係をわからせてやる必要がある。
「霊夢、合図頼む」
「わかったわ」
『…………』
さーて、どうしてやろうか。
そもそもあいつの倒し方って…?
ああ、力を使い果たせば倒せるか。
「初め!!」
「雷速『クイック』!うおおおお!」
「雷速『クイック』!ハァァァァ!」
勢いよく相手に飛び込み…
ドカッバキィッ!
「うぅぅ…」
「グゥゥ…」
互いの顔をぶん殴った。
「痛てぇな…!」
「俺モ痛テェヨ…!」
飛び退き距離をとる。
「雷武器『雷砲』!サンダァァァ!」
!!
「雷武器『雷刀』!はぁぁぁぁぁ!」
飛んでくる弾を真っ二つに斬った。
銃じゃなくて良かったぜ。流石にあれは速すぎるから斬るなんてこと俺には…
「雷武器『雷銃』」
「!?」
流石俺だ、俺の嫌がることはお見通しってか?
「くっ…!」
速いけど何とか避けられる。
「ヘェ、ヤルジャン」
「当たり前だ、俺はお前だぞ」
「ソウカ。ナラコレハ?雷銃操法『スパークショット』」
「!!!」
ドドドド…
「痛てぇ…」
効かないけど痛い。速すぎて避けられない。
俺の、スペルでの弾幕は、速すぎて基本“誰も避けられない”。目が慣れれば何とかなると思うのだが、そこまで戦いは長引かない。だから皆相殺したり結界で防いだりするのだ。…まぁ、デタラメに避ける事は出来るが。あと、文程のすばやさなら避けられると思う。
それにしても痛てぇな。
「痛てぇっつってんだよ!雷鎧『サンダーアーマー』!」
「クッ…守ッタカ」
「今度は俺だ!雷符『Midnight☆Thunder』!」
ブワッ…
「残念ダナ、俺カラハ見エテルゼ」
「な、何だと!?」
「当然ダ、俺ハオ前ダカラナ」
「チッ…解除」
フッ…
「アレ、撃タナイノカ?」
「効かないんなら意味は無い」
「ソレガ、意味ガアルンダナー」
「なにっ?」
「一定以上ノダメージヲ喰ラウト分身ハ壊レル」
「なるほど…」
エネルギーの集合体のくせにエネルギーにやられることもあるのか。あ、許容範囲…みたいなものか。
受け止めきれなかったら壊れる、と。
「ソノ、一定以上ノダメージッテノハ、ソノ時練ラレタエネルギー量ニ比例スル」
なら今回はあんまり練ってないから行けるな。
「…雷符『Midnight☆Thunder』!」
ブワッ…………バリバリバリィィ…
「グッ…ウゥゥ…!」
「どうだ!?」
「耐エタゼ」
平然と答える分身。
「キツかったろ?」
「イイヤ?強化シテモラッタカラナ、マダマダ余裕ダ」
「なるほど、強化か…」
コイツと喋ると中々勉強になるな。
「なら次は…」
「俺カライク」
「…来い」
「雷符『Midnight☆Thunder』」
ブワッ………
「あ、ホントだ。見えるな」
「ダロ」
バリバリバリィィ…
「ふぐっっ…ちょっと痛いな…」
「ヤッパ効カナイカ」
「ちょっとちょっとぉ!」
『ん?』
「喋ってないでちゃんと戦ってよね!見てる側としてはあまり面白く無いわよ!」
『はーい…』
怒られちった…。
「よし、続きだ!」
「来イッ!」
互いに互いの攻撃が効かないんだ…長引きそうだなぁ……。