※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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次の独占者 〜3日目③〜

「作戦を説明するわ。まず、ここあとシガレットが図書館前の階段下で霊夢達を迎撃して。くれぐれも真実を言ってはダメ。天井崩落の補修作業中とでも言っておきなさい」

 

「迎撃……あんな狭い所で、ですか!?」

 

「通路ですよ!?」

 

「だからこそよ。だからこそ彼女らは自由に行動ができなくなるし回避が困難になる。そしてそれは、2人にも同じことが言えるけれど、アタックカンタ系列の魔法でも展開して防いでなさい。そこら辺の魔法は教えておいたわよね?使えるでしょ?」

 

「「は、はい……」」

 

「霊夢達の結界は強力よ。あなた達の攻撃で破れるはずがない。でも、だからこそ大きな魔法を放って結界を飲み込みなさい。エスカルゴ曰く、霊夢は、八咫烏の放つ火球から里を守ろうと結界を展開したけれど、サイズ差故に、弾幕に結界が飲み込まれたそうよ。通路を塞いでしまうような、巨大な弾幕や魔法をお見舞いしてやりなさい。大丈夫よ、図書館周辺の壁や床、天井に至るまで私の魔導書のような耐性を付与してあるから、好きに暴れなさい」

 

「「……わかりました……!」」

 

「はいはい、わかったら持ち場につく!」

 

「「は、はいぃぃぃっ!!」」

 

 まさか図書館が地下にあって良かったと思う日がくるとは思いもよらなかった。地下なら地下なりに時間稼ぎもできるし、色々と対策が取りやすい 。

 ここに来るまで曲がりくねった長い階段もある。そこを塞ぐように2人に動いてもらい、その後は、小悪魔に対応してもらおう。

 

「──2人がどうにかしている間、小悪魔はさっき妖夢が壊した天井を修復させておいて。それから、あの2人が使えるような魔法は使えるわね?」

 

「一通り覚えましたよっ!……ただ、2人で使う用のスペルとかは、魔力の量がアレなのであまり多用はできないと思いますね……。2人が複合スペルとして強い魔法を使うのは、1人では足りない魔力を補う為でもありますから……」

 

「私の魔力を分け与えるから手ェ出しなさい」

 

「はひっ!?あ、あぁっ……パチュリー様の魔力が、流れ込んでくる……っ」

 

「変な声を出すなっ!……冷たい空気がこれでもかと入ってきているから、早急に頼んだわ。で、それが終わったら扉から少し離れた位置で待機してて」

 

「上手くできたらご褒美くださいねっ!」

 

「……何が欲しいの?」

 

「魔力を!パチュリー様の魔力を所望しますっ!!それと、久しぶりにエスカルゴさんとエッチさせてください!居るんですよね、エスカルゴさん!」

 

「それくらいなら幾らでもOKよ。彼もそう言うと思う。さぁ、あなたもすぐ仕事に取り掛かって」

 

「はいッッ!!」

 

 エスカルゴの事だ、どうせOKすることだろう。

 そして私は図書館の中央にて魔法の準備をする。エスカルゴが持ち歩ける魔法陣を地面に置き地雷としているように、見えない魔法陣から弾幕を放つ。スペルカードではないなら宣言の必要は無いはず。通常弾幕と同じ理屈だ。通常弾幕を放つのに「弾幕発射!」とか言うバカは居ない。居るなら、弾幕が楽しくて仕方がない子供くらいのものだ。

 ただ、地雷よりも有効な手段もある。今回は少し試運転がてらそちらにしてみよう。

 

「退けぇぇぇえええええええっっ!!!!」

「この先には行かせませんーっ!!」

「工事中なんですぅーっ!」

「だからってここで通せんぼするな!!」

 

 あの双子と言い合いをしているのは、一体誰だ。霊夢の声ではない。霊夢はあそこまで子供みたいな高い声はしていない。まさか、霊愛ちゃんが?

 いや、それにしてもおかしい。どこに居ても酷く物静かな霊愛ちゃんが、あそこまで感情を込めてる怒号を発するとは思えない。とはいえ、霊麗ちゃんだとも思いにくい。あの子が怒る様なんて、まるで想像できない。

 霊夢とここに来たのは、一体誰だ。

 魔法陣をそこかしこに設置、拡大、魔力を充填し私も迎撃体勢を整えながら思考を巡らせる。霊夢と誰かが攻めてきているとして、霊夢の声がしない。気配すらもしないのは不気味でならない。

 私の気配察知能力は図書館の範囲内全てに及ぶ。扉の向こう側、ここあ達が交戦中のあの地点でも、まだ察知程度はできる。────敵勢力はたったの1人しか居ないように感じられるが、一体……。

 

「あっ……きゃああああっ!!」

 

「小悪魔!?……そっちで何が…………うっ……」

 

 天井の穴の方から、小悪魔の悲鳴と共にキーンと耳鳴りがしてくるほどに酷い轟音が聞こえてきた。また、天井が崩落したらしい。小悪魔が修復作業に向かったはずだが、一体何があったのだろう。

 

「あッ……あれは……!」

 

 土煙の中、上の穴から飛び込んできたのは紅白の巫女服を纏う霊夢。間違いない、あれこそ霊夢だ。つまり双子と戦闘中なのは霊愛ちゃんか。

 これは、好機だ。いくら霊愛ちゃんが鍛えていて凄く強いと言っても、私が手塩にかけて育てたあの双子がそう簡単に敗北するはずがない。

 

「と、通しませんよ!出て行って下さい!」

「エスカルゴ、図書館に居るでしょ。通して小悪魔」

「居ません!!」

「嘘。居る。パチュリーはどこ?返してもらうわよ」

「ダメです!パチュリー様の所へも案内しません!」

「なら覚悟決めなさい。ボコるわ」

「ひっ……!?」

 

 そうか。霊夢はあの時レミィ達と住吉ロケットに乗っていたから、この図書館における唯一の天窓の存在を知っているんだ。そうでなければ修復させた天窓を突き破るなんてほぼ無理だ。

 一先ず今は目の前の事に集中すべきだ。小悪魔が霊夢を、双子が霊愛ちゃんを止めている間に……。

 

 

 ◆

 

 

 流石は霊愛お姉様、私とシガレットの障壁なんてものともせずに弾幕を放ってくる。反撃されるのが分かっていても弾幕を放つその姿は、勇敢に見えて愚かにも思える。どうして効かないと分かっていて同じ攻撃を使ってくるのか、理解に苦しむ。

 

「ここあ、次やろーよ!デドス!」

 

「そっち!?……魔力足りるかな?」

 

「余裕だよ、間に合う間に合うっ!」

 

「だよね……!じゃあ……」

 

「「魔符『魔氷礫凍結華(マヒャデドス)』!!」」

 

 氷の弾幕を放つ。壁や床に当たっても消えずに、その場に残り続ける。パチュリー様のとは少しだけ違うバージョンなので巨大な塊を落としはしない。それも出来るけど、魔力の消費がエゲツナイから。

 

「チッ、酷い寒さ……!退路も絶たれてるし…………。あんた達ねぇ、お姉ちゃんに逆らってタダで済むと思うんじゃないよ!オシオキだ!霊符────」

 

「くるよ、シガレット!」

 

「大丈夫だよ、障壁はまだ生きてる!!」

 

「──夢想封印すると思ったかバカーーーー!!」

 

「「ええええぇぇぇっっ!??」」

 

 お祓い棒で思い切り反弾幕障壁を殴った。すると障壁は、水溜まりの表面に張った薄い氷のように、バキバキと耳障りな音を立てて割れてしまった。

 

「ウソウソウソウソウソッッ!?」

 

「最ッ悪!!物理に弱いとは教えられてきたけど、まさかこんなっ……!!」

 

「霊符『夢想封印 夢幻』!!」

 

「「うわああああああんっっ!!」」

 

 

 ◆

 

 

「ボコられるのが嫌なら通しなさい!容赦無く叩き潰すわよ、初めてここに来た時みたいに!!」

 

「そ、それでも通しません!パチュリー様の元へは絶対に行かせませんからっ!!」

 

「なら、反抗したことを後悔する事ね!霊符『夢想封印』!!」

 

 キタキタ、霊夢さん十八番の夢想封印────!よもやこれを跳ね返されるなんて、最強且つ最恐な霊夢さんからすれば驚愕モノ間違いなしでしょう。

 

「魔術『反弾幕障壁(アタックカンタ)』!!」

 

「!?それエスカルゴのでしょうが!パクるな!」

 

「フッフッフ、残念ですねぇ!我々は、エスカルゴさんの開発した魔法は全て共有していますので!!しかも、魔力量はエスカルゴさんの比ではないッ!魔法特化のあの人みたいなものです!私も娘達も、魔法なら共有済みですよ!!」

 

「────ッ!?霊愛ぁっ!!」

 

「おーっと、助太刀には行かせませんよぉ!」

 

「!!」

 

 背後、更に左右にも同じ魔法を発動させている。これは広範囲に及ぶスペルへの対策です。例えば、稀に見せる二重大結界が良い例かも……。

 ホーミング性を帯びる夢想封印は真っ直ぐに私に迫ってくるも、全ての弾幕が、霊夢さんに向かって反射しながら猛スピードで向かっていく。

 

「チッ……!!」

 

「今や霊夢さん自身が吸血鬼!自身から発せられたモノとはいえ、もし霊力の弾幕をマトモに喰らってしまえばきっとタダでは済まないはずですよっ!」

 

「……喰らうワケ無いでしょ、自分の弾幕を!勝手に喰らってなさい!」

 

「えっ……ぅええええええっ!?スキマ開いたぁ!?なんってデタラメな能力なんですかあの人……って、ひぎゃああああぁぁぁ!!」

 

 お祓い棒で空間をパックリと裂いて、その中へと飛び込む霊夢さん。行き場を失った弾幕は、四方に張り巡らされているアタックカンタの中で跳ね返り続け、次第に威力を減らす……どころか、逆に威力を増してきている。

 やがて、どんな攻撃も跳ね返せるはずのアタックカンタを数多の弾幕で破壊し、そのホーミング性で近くに居た私を撃墜してしまった────。

 

 

 ◆

 

 

「パチュリー…………見つけた!!」

 

「霊愛ちゃん……」

 

「ずっと大人しかったフランが拗らせたかと思ったけど……あんたが黒幕だったのね!パチュリー!」

 

「それはこっちのセリフよ……霊夢」

 

 図書館の中心で待ち構えていると、入口方面から霊愛ちゃん、背後からは霊夢が同時にやってきた。流石親子と言うべきか、示し合わせたワケでもないだろうに、タイミングは完璧だった。

 

「……挟まれたか……」

 

 霊夢と霊愛ちゃん…………まさに鬼の形相の2人。進路も無く退路も無い。果たして、どうやればこの窮地を逃れられるのだろう。

 霊夢が攻めてくるのは元々想定していた。けれど霊夢が単身で乗り込んでくる仮定だったので、敵が2人だった場合の作戦はあまり考えていない。故にもし仮に今から作戦が思い浮かんだとしても、所詮それは即席の作戦であり、しっかりと練られたモノではない。だから対処できる可能性は限りなく低いだろう。

 対策が思い付かない私は、一先ずルールを定めた弾幕ごっこを仕掛けてみることにした。




前回の問題の答え
「あったよ○○!」
「でかした!」
をモジった部分でした。
(パチュリーのリボンのところ)
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