7日目。ここまで来ると、エスカルゴとは朝からイチャイチャしっぱなしだ。もし仮に今夜も誰かが来るとしたら、それはきっと霊夢と霊愛ちゃんだ。今度こそ霊麗ちゃんが来る可能性すらある。
けれど彼女達に勝てるような策はあるし、天井も壊されないよう、念の為に強化しておいた。満月は約15日後だし、警戒しなくてもいいだろうがこれも念の為である。
「ねー、パチュリー。そろそろヤリたいな……」
「それは良いけど、夜中まで待って?昼から夕方にかけては、誰かしら来るかもしれないから……」
「んー、小悪魔とヤるかな……ここあとシガレットもイイけど、やっぱ小悪魔なんだよね……。小悪魔しか勝たん」
「体力と精液残しときなさいよ?いつぞやみたいに死ぬまでヤるのは禁止だからね。あと図書館からは出ないこと。いい?」
「わかった」
ニッコリ微笑むと、部屋から飛び出して小悪魔を探しに図書館へ向かっていった。そんなに小悪魔とヤリたいかと少々嫉妬に似た感情を抱いてしまう。
「はぁ。今日は誰が来るのかしら。絶対誰かしらは来るわよね……誰が来るのかしら。未来を予知できる精霊とかって居たっけ……?」
◆
やがて訪れた夜。今夜も、平和な夜になりそうになかった。今夜攻めてきたのは霊夢。霊愛ちゃんもまた来ているかは不明。
レミィ達には前以て霊夢達と戦闘しないようにと伝えておいたので、霊夢も今回はすんなり図書室に到達できたようだ。小悪魔にも双子にも敢えて戦闘させないでおき、最奥に避難させておいた。
今度は念の為にエスカルゴは眠らせないでおき、部屋に居るようにと強く念押ししておいた。
「いやにスムーズね、パチュリー?何かの作戦?」
「答える筋合いは無いわ。それにしても、どうしてまた来たの?懲りないわね」
「決まってるでしょ。旦那を返してもらう為よ!」
「じゃ、今回私が勝ったらもう『エスカルゴの為に私と戦闘行為を重ねるのは禁止』ね」
「それでいいわ。でもその代わり、今回のルールは私が決めるわよ」
「っ!……ええ、構わないわ」
「どちらかが気絶するまで。スペルカード無制限。文句無いわね?」
「博麗の巫女ともあろう者が、凄いルールを選んだものね」
「何とでも言いなさい。
「…………」
「短期決戦でキメるわ。『夢想天生』!!」
「うッ!?」
大量の御札が飛び出した。なんて密度だ、視界に霊夢の御札しか映り込んでこない。御札に、視界が
「ふざけんじゃないわよ何なのこの密度はッ……!!これこそが不可能弾幕とやらなんじゃないのッ!?魔術『
本気も本気の、超本気だ。それでも、私が魔力を送り続けてやっと強度を維持できるほどの攻撃。
霊夢の『夢想天生』は凶悪だ、そんなのは私とて分かっていた。それでもいざこうして防いでみると以前よりもよく凶悪さを理解できる。以前喰らった時なんかは、理解する間もなく瞬殺されたからかもしれない。
「反撃してみなさい!!」
「無理に決まってんでしょッ!?」
「なら、終わりにしましょう。霊愛、霊麗ッ!!」
「ハイハイ!」
「わー、激しい攻撃〜……」
お祓い棒で空間を割いて現れたのは、彼女の長女でありエスカルゴの次女、霊愛ちゃん。そして霊夢の次女、エスカルゴの五女、霊麗ちゃん。あの2人が揃うなんて────最悪だ。
一度霊夢と霊愛ちゃんに勝てたからと、軽く油断していた。シェイドの力を……いいやダメだ、詠唱も何もかも間に合わない。
「「姉妹符『緋想封印』!!」」
本当にふざけている。頭が痛くなってくる程だ。前方は霊夢の超大量の御札、後方は博麗姉妹による紅白の弾幕。しかもこちらはホーミング性なのが、余計に難易度を高くしている。
カンタを大きくさせて霊夢側を防ぎ、振り返って姉妹の弾幕を回避する……というのは、ダメだ。自殺行為に等しい。カンタを大きくさせるということはあの御札を受け止める面積も広がるということだ。つまり余計に壊れやすくなる。
「併用は疲れるから、したくなかったんだけど……!日符『ロイヤルフレア』!!」
霊夢が弾幕で波状攻撃並の範囲で攻撃するなら、私もそうして、まずは2人から倒してやろう。このロイヤルフレアで広範囲の波状攻撃をしてやって、紅白の弾幕を掻き消す。
しかしそれまで。カンタに魔力を流し込む分等を考慮すると、ロイヤルフレアはどう足掻けど威力を控えめにしなくてはならなくなる。良くて、相殺で精一杯だ。攻め込むにはまだまだ足りない。あとは姉妹と私、どちらが先に力尽きるか────。
「耐えるわね、パチュリー!」
「生憎、挟み撃ちへの対策は考慮済みだったのよ!襲撃者達には感謝しなくちゃね!」
「…………鈴仙達か。チッ、厄介な事を……!」
夢想天生、長すぎやしないか。もしや相手を倒すまでは永続なのか。いや、そんなはずは無い。発動までに時間が掛かったとしても発動中の時間がバカみたいに長いなんてそんな────。
(このままじゃジリ貧ね。霊愛の……ううん、霊麗の力が尽きる。そこを漬け込まれたら2人がやられて包囲を突破されて…………。最悪の展開になるわね)
「お母さん、ちょっと早いけど……!」
「!……分かってるわね霊麗、それで良いわ!」
「了解!お姉ちゃん、少し1人で耐えてて!」
「5秒!」
「えー、もっと耐えてよぉ〜……。ま、いっくよぉ!喰らえッ!!」
姉妹はずっと並んで弾幕を放っていたが、なんと霊麗ちゃんだけ真上に飛び出して、天井にグングン迫っていく。弾幕ではない。もしや彼女達の狙いは図書館の天井の破壊か。
「くッ……!イッタ〜……殴るもんじゃないね、硬いものなんてさぁ……」
「は……な、うっ……!?なんで、月が…………!!」
霊麗ちゃんが天井を殴ると、凄まじい轟音を放ちながら天井が吹き飛んだ。まさか物理攻撃だなんて予想だにしていなかった。弾幕で破壊するとばかり考えていた。だからこそ、強化していたのだから。裏をかかれた。
瓦礫を無くす程度の威力までは無いから、霊夢と霊愛ちゃんまでもがスペルを中断し、瓦礫の回避に移行する。
やれやれまた修復か、と思い空を見上げた私は、そのおかしな点に気が付く。同時に、霊愛ちゃんの背中に吸血鬼の翼が生えてきた。
「フーッ……本気モードだよ……ッ!!」
「いやいやいやいやいやいやいやいや!おかしい!なんで今夜も満月なのっ!?満月までにはまだまだ猶予があるはず!!月齢的に考えておかしい!!」
「さぁ、なんででしょ?でもおかげで、私も霊愛も霊麗も、心置き無く本気を出せるわ……ッ!!」
「!!」
「誇りに思いなさい、パチュリー。私が補助系の技使うなんて、滅多に無いんだから。暴走『オーバードライブ』!!」
「────ッ!!吸血鬼の力を引き出したッ!?」
「観念しなよ、パチュリー。こうなったお母さんは私と霊麗が組んでも勝てないよ。……あ、お母さんに勝てないのは元からか」
「そーそー♪」
禍々しい力が霊夢に集う。いや、あれは妖力か。霊力と妖力、本来は溶け合うことの無い2つの力が霊夢の中で溶け合っていく。次の行動を起こすにはあと数秒の猶予がありそうだ。
左半身に走る、タトゥーの如きヒビ割れた文様は少し不気味に思える。綺麗な黒髪も白髪になった。これは一体何故だろう。抑えていた妖力の効果とかそういうものなのだろうか。
その不気味な変化に、思わず唾を飲み込む。悪寒までしてきた。やはり不気味だ。
霊夢の抑えられていた妖力は、レミィやフランが強気になった時のそれに近い。まさか博麗の巫女に吸血鬼としての適性があるとは。適性が無ければ、吸血鬼化してもここまでの力を持つことは不可能なはずだ。
「こうなったら奥の手を使うしか無いわね。悪魔を召喚して一緒に戦うまでよ!!」
「一緒にって……まさか!!霊麗、警戒して!」
「分かってるよー」
こうなれば最終手段だ。奥の手と言ってもいい。精霊魔法?属性魔法?無属性魔法?そんなのよりも圧倒的な《力》。これが最強の対抗策だ。しかも、満月が出ているのであれば、その分こちらの力量も底上げされる。月については不明だが、利用しない手は無い。
「悪魔召喚ッ!エスカルゴ・スカーレット!十六夜弦月姫!十六夜咲夜!レイチェル・スカーレット!レミリア・スカーレット!……あなたの力も貸して!フランドール・スカーレット!!」
レミィとフランの召喚は、やはり負担が大きい。レーテと弦月姫ちゃんはそこそこで、エスカルゴと咲夜は負担が少なめだ。
召喚魔法で召喚された者は、術者の匙加減によりある程度の自我を残したままで私に従順になる。
「『私達は誰も被弾しなくなる』……でいいのかな?発動してるかなぁ?」
「大丈夫よレイチェル」
「こら弦月姫。プライベートじゃないのよ?しかもレイチェル様はお嬢様のお嬢様よ?」
「別にいいじゃないの咲夜。父親だけとはいえ血の繋がりのある姉妹なんだし。……ところで、パチェ?厄介な事に巻き込んでくれたわねぇ」
「力貸してもらうわよ、レミィ。あなたが言ってた3P……ヤッてあげなくもないわ。この戦いが無事に終わったらね」
「あははっ、パチェってば敗北フラグ立ててない?ねぇお姉様、私も混ざりたいわ?4Pにシましょ?それがいいと思うの♪」
「それもイイかもね、エスカルゴは喜びそうだわ。ね、あなたはどう?」
「……うん。面白そう」
吸血鬼達が月光を浴びながらそんな呑気な会話をしている中、霊愛ちゃんは青い顔でガクガクとその足を震わせている。その理由がわかる私にとって、私の勝利はもはや確定事項だった。
「ちょっとちょっとちょっと……ウソでしょ……!?お母さん、どうすんのこんなのっ!!」
「ブチのめすだけヨ……♡」
「……お父さんも?」
「目を覚まさせてアゲなきゃネ?アイツのコト」
「……今一度、勝負だよ。霊夢」
「アナタに私が倒せるかシラ?」
「無理だと思う。でも、やれるだけやるよ。今は……パチュリーに従ってるから」
「ソウ……なら、楽しみまショ?ね、アナタ……♡」
「うん。楽しもう、今だけは────」
「なーんて、ネ。誰が楽しむかっつーノ。ホント、バカなンじゃない?」
「え」
「帰ってこいっつってんのヨ。『夢想天生・狂』」
突如霊夢から溢れ出す紅白と黒のホーミング弾、御札。密度は通常と変わりないようにも見えるが、その威力は通常の倍。周囲の本棚は吹き飛ぶように倒れ、私の障壁は愚か、レミィもフランも弦月姫も咲夜もレイチェルもエスカルゴも私も、霊夢達から見た敵勢力の全員が吹き飛んでしまった。
◆
目が覚めたとき、エスカルゴはもう居なかった。私が気絶したせいで魅了が解けたので、霊夢の元へ帰ったのだ。または霊夢達が連れ帰ったのだろう。
でももう、仕方ないと思う事にした。霊夢に勝つなんて、ハナから無茶な事だった。満月についてはきっとエスカルゴが探ってくれるだろう。私は彼の報告を待つ。それだけでいい。それが、私にとって分相応というものだ。
活動報告書きました。皆さんの意見を聞かせて下さい。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=256491&uid=220894
読み返しててふと思ったんですけど、どうして文をハーレム入りさせたんでしょうね。当初ははたての予定だったんですが。姫海棠穹ってか。
天魔の使い及び気軽に話せる友、つまり今のはたてみたいな位置付けにするつもりだったんですがね。一体どこで逆転したんだろう。