「クククッ……やっと我の番か、待ちくたびれたぞ。さぁ出て来いモルモー。貴様で遊んでやるぞ」
「フン、生意気なガキね!何の神か知らないけど、アンタなんてこの私が捻り潰してあげるわ!」
「ほざけ」
ツンツンした頭の建御雷は、クックックと悪役のような笑い方らしい。子供みたいな声、姿なのに、その威圧感は本物のように思える。怖い物知らずな子供ではなさそうだ。
ダーリンに力を貸している神様の一人らしいけどどれだけの強さなのかは私も分からない。けれど、年季もありそうだし、ここに居るメンバーの中では上位に食い込む強さだと思う。
「おい幻月とやら。あのバカはまだ目覚めないか?そろそろ起きてもいい頃合いだろう」
「まだ気絶してるわ」
「ならば仕方ないか、またお前が合図をしろ」
「言われなくてもそうするわよ。それじゃ、副将戦始め!」
合図と同時に、ダーリンのようなスキマを足元に開いて身を隠してしまった建御雷。モルモーはすぐ飛び上がるなり前後左右に加えて上下も確認する。それでも建御雷は姿を表さない。
「ちょっとォ!さっさと出てきなさいよクソガキ!まさか、好きに言うだけ言って逃げたワケじゃないでしょうね!?」
するとモルモーも姿を消して、現れたかと思うと先程とは全く別の場所だったりと、まるで瞬間移動みたいな行動を何度か繰り返す。
「ホントに、何処に居んのよアイツは……!?会場の何処にも居ないじゃない!」
「……え?会場中見てきたの?」
「あん?何よ天使悪魔、あんたは黙ってなよ」
「はー?天使悪魔ってなによ。雑魚吸血鬼のクセにうっさいし。あんたなんて、ダーリンにボコボコにされるのがオチよ」
「いやいや有り得ないんですけどー。こんな茶番が終わったらすぐに…………えっと……モルモーちゃんの力を思い知らせてやるんだから!」
エリスの顔色を窺い、言葉選びに戸惑いながらもそう言い切るモルモー。エリスの前だと思うように喋れなさそうで、少し可哀想にも思えてくる。
私のように自由な事がどれだけ幸せなのか。少し自分の立場に対して、ちょっとした感謝の気持ちが湧いてきた。
「ていうか早く出てきなさいよ!ビビってん──」
威嚇とばかりに周囲に薄ピンクの弾幕を発射するモルモー。しかしその直後に、奴の頭上でカァッと閃光が煌めき、轟音と共に一筋の雷が落ちてきた。
「ギャアッ!!」
「感電には不慣れか?吸血鬼モルモーよ」
「く……クソ、ガキィ……!!」
「雑魚め。強がるのならば神の一柱くらいその力で打ち倒してみよ。それが出来ぬなら、貴様は我が器以下の存在だぞ?クククク……」
モルモーの頭上にスキマを介して現れた建御雷。恐らく、ダーリンが開くスキマ空間みたいな場所に一時的に身を隠していたんだ。
目的はきっと奴の出方を見る為……。
「時間停止、かくも恐ろしき力よ。だがモルモー。我が見たところ、お前はそれを十全に使いこなせておらぬな。だからお前は、何万年生きようとも成長できず雑魚のままなの────」
「っ……!?」
建御雷が得意気に話していると、モルモーは彼の頭上に時間停止?で移動。それを解除し膝で蹴りを喰らわせようと襲いかかったが、彼は振り向くことすらせず、裏拳でモルモーの膝を打ち、奴の膝蹴りを初動で完封してしまった。
「ふむ、やはりそこに居たか。お前のような奴は、行動が読みやすくて戦い易いぞ?」
「なん……ですってぇぇ……!?有り得ないわ、私が時間を止めてしまえば、あのメイドとアイツ以外は何人たりとも私の動きは捉えられないはず!そんなすぐに対応できるなんて……アンタまさか、時間の神なのね!?そうなんでしょ!!」
「己の弱さを棚に上げて能力の相性に話を逸らす……バカのすることだ。……どれ、神奈子に倣って、我も他の力を使ってみるか。久方振りにな」
「!?」
「我は雷神。軍神、剣の神だ。そして──」
建御雷が拳に力を込め気合いを入れると、地面がゴゴゴゴゴゴ……と音を立てて僅かに振動し始める。
とうとう、子供みたいな神様が本気を出すのだと彼の気配から感じ取れた。思わず手を握り、生唾を飲み込む。毛穴が開いて、冷や汗が吹き出すような張り詰めた感覚……。
「────地震の神だ」
「だっ……だから何だってのよ!?」
「ほう……気付かぬのか。その視野の狭さ、ある意味凄いものだぞ?今まで生きてこれたのは、やはり、奇跡に近いのだろうなぁ」
「さっきから何言っ……ぐぎゃあっ────」
────忘れていた。私だけじゃない。きっと、神様達だって建御雷くらいしか覚えていないはず。ここは、地底なんだ。
地震なんて起きたら、岩盤やその破片が天井から落ちてくる事くらい、すぐに分かるはずなのに。
「何なんだお前は。イマイチ締まらんな。さっさとあのバカを起こすがいい」
「あーもーうっさいわね!ぶっ殺すわよ!」
「フン、やってみろ小娘。だがな、その前にちーむめいと……をどうにかしたらどうだ?」
「あ」
頭を潰されたらしいモルモーは、エリスによって大きな岩を退かされて、エリスの治癒魔法を掛けてもらっていた。
傷が治ってきているようなので、頭は潰されても何とか生きてはいるようだった。流石の生命力だ。これには私も、そして建御雷も驚いた。
「……うっ…………ゲホッ、ゴホッゴホッ……オェ……」
「おはよ、お兄さん♪」
「夢月?…………うお、膝枕されてる……へへ……」
「えへへっ……。姉さーん、お兄さん起きたよぉ〜!ちょっと疲れてるみたいだけどー!」
「あっ、ダーリン!やっと起きたの!?もうすぐで団体戦終わっちゃうわよっ!」
「幻月……はぁ……かわい……」
頭まで痛むのか、ダーリンは自分の頭を押さえて目を瞬かせながら呟くように言う。でも、あまりの不意打ちで私は仰天し、思わず大きな声で反応してしまう。
「は……はぁっ!?あのっ……も、もうっ、みんなの前で言わないでよぉ!」
「……頭イテ〜……俺どうして寝てるんだっけ……?」
「ちょ、スルー……?」
「姉さんが暴走を止めたんだよ。そしたら、何故か気絶しちゃったみたいだけど……」
「あー……うぐっ、なんかタマキン痛てぇ……!?」
「やだもうっ!言わなくていーの!」
「イデデデ……くぅぅ……何で俺がこんな目にぃ……」
「理性を手放すほどに暴れちゃうからだよ?でも、そのお陰で勝てたのは否めないんだけどさー」
「そっか……勝てたんならいーかな」
「良〜く〜な〜い〜!止めるの、ちょっと大変そうだったよ?暴走は危ないし、気を付けなきゃダメ!わかった?」
「うーい……わぁったよ……」
「じゃ、次はダーリン!最後はあなたが審判よ!」
「うーん……わかった」
遂に大将戦。エリスによる茶番のようなこの叛逆ごっこも、漸く終わりを告げる。
────そう、思っていた。
建御雷と初対面した時にも書きましたが、本作での建御雷はショタの姿をしているし、何ならToLOVEるシリーズのギド・ルシオン・デビルークです。尻尾生えてないだけで。
いや……ショタのキャラ造形とかムズすぎるし……。ロリじゃないとキャラ造形のヤル気も出にくい。
それはそれとして、虹龍洞3面ボス(敢えて名前は伏せておく)の曲、良いですねぇ。
現時点では、虹龍洞曲の中で一番好きかもです。
体験版ヤリまくってますけども、カード使うの前提なのか、いくらルナでもキツすぎだろ!って感じになってますね。霊夢、咲夜さんだからか……?
早苗だとめちゃ楽ですけど。