「いよいよ大将戦!私の出番だわぁ♪」
「あームカつく。ヘカテーの相手すんなら私よりもモルモーがイイでしょーに。クジ運無いわ〜」
「ふふふっ、あなたが主催なんでしょ?主催者同士仲良く殺し合いしましょう?」
「主催者
「ふふっ♪」
へカーティアの思惑に気付いたエリスは、即座に魔法を発動させる。空中に魔法陣を描くなりそれに手を伸ばし、その効力を得ようとするエリスだが、魔法陣は淡い光を放つばかりで、それすらもすぐに消えてしまう。肝心のエリスの身には、何も起こらなかった。
「嘘…………」
「アハハハハハハハハッ!面白いわねあなた!私に敵わないと判断するや、まさか逃走を図るとは!」
「ちっ……違う!逃げようとなんてしてないしィ!?何言ってんの!?」
「その魔法はあなたオリジナルよね?私も魔法陣を見た
「な……ぁっ……!?う、嘘よ!そんなの嘘!だってどこからもあんたの魔力の残滓とか感じないしっ!この魔法が発動しないのはっ……ちょ、ちょ〜っと、ほんのちょっとだけ、私の調子が悪いからよ!」
「……?魔力の残滓?そんなのハナから無いわよ?」
「え……」
「余分な魔力があるから、魔法を使った気配とか、残滓として感じ取れるの。極限まで無駄を省けば、魔法を使った事すらも悟らせずに魔法を使えるわ。私だから可能な領域だけどね」
「!?」
「私は神よ。魔術を司る神。有象無象の魔法使いや悪魔共とは格が違うのよ、格が。おわかりかしら?不和の女神……いや、大悪魔エリスさん?」
「ふ、ふんっ……まぁいいわ、それならちゃっちゃと潰してあげ────」
次の瞬間、へカーティアの姿が消えた。得意げにステッキをクルクルさせていたエリスの頭を掴み、壁に亀裂が走るほどに強く頭を叩き付けた。
「〜〜〜〜〜ッ…………ガハッ……」
「……あらあら。ごめんなさいね、ついカッとなってヤッちゃったわ♡」
「お……ま、えぇっ……!ゆ、るさ……ないっ……」
「そうねぇ、フライングしちゃった。ゴメンねぇ、お詫びに
「……」
「うん、これでよしと。……さぁ、エスカルゴくん。そろそろ合図を頂戴?」
「はっ、はいっ!た、大将戦、始め!」
へカーティアの唯ならぬ気配を感じ取った俺は、大慌てで大将戦の始まりの合図を送った。それから逃げるように観客席に戻り、夢幻姉妹、レミリアと息子、そして俺の5人を囲む防御結界を展開した。モルモーはとりあえず放置だ。……今は。
この戦いはきっとすぐに白熱する。対策するなら早めにしておいた方がいいと言うものだ。たとえ、心許ない結界だとしても。
「ちょっと狭いけど、終わるまで勘弁してくれな。霊魔も分かると思うけど、結界が小さければその分強度高めやすいからさ。だから少し小さめのヤツにしてるよ」
「大丈夫よん、狭いとこうして肩も触れ合うもの。ねっ、ダーリンっ♡」
「あ、あのな幻月っ、子供も居るん……フフ……」
「コラエスカルゴ、狭いとか言うんなら興奮して翼動かさないの。顔も緩んでるわよ」
「別にイイでしょ、こういうのがお兄さんの面白いトコでもあるじゃん?」
「面白いというか、ユルいというか。やれやれね」
(何で僕ここに居るんだろ……完全に浮いてる……)
観客席でそんな会話をしている中、やはり2人の戦いは白熱していた。というより、へカーティアが一方的にエリスをボコボコにしているようだ。一体何の恨みがあるのかと勘繰ってしまうほどに。
「ムカつく神に叛逆?生意気にも程があるわねぇ。叛逆の為の力も無いクセに、よくもまぁ数多の神の器でもあるエスカルゴくんを唆そうとしたわねぇ。ほら、叛逆してみなさい?同郷のよしみでしょう、思い切り殺り合いましょうよっ♪」
「ガッ……グッ、あぎゃっ……」
鎖を伸ばして球体で殴ったかと思うと、その鎖を器用に操りエリスの首を絞め、素手でもタコ殴りにしていく。悪魔と神、頑丈さで言えばやはりエリスなのだが、塵も積もれば山となるという言葉通り、次第にエリスにはダメージが蓄積されていった。
ましてやへカーティアはフィジカルの強い神だ。甚振る為に手を抜いているとはいっても、エリスの蓄積ダメージは察するものがあった。
「まともに応戦できないようね?所詮あなたなんて能力にかまけているだけの弱者。ただの愚者よ」
「なん、ですってぇ……!?」
「わざわざ詠唱しないと、魔法も使えない。ああ、なんて可哀想なの!戦争を起こし数多の命を奪った大悪魔、しかしその実、本人の力は大した事ない!元人間の吸血鬼くん以下の戦闘力なのよ、あなた。憐憫を垂れる事すら烏滸がましい……神すら涙する、愚かで可哀想な叛逆者……!あなたは何故モルモーやエスカルゴくんを使って神々を倒そうとしたの?」
鎖を解き解放したかと思うと、次は左手で彼女の首を掴むへカーティア。右手は、いつでもエリスを殴れるようにする為か拳を作っている。
「全て、は……ゲホッ、簡単に裏切るようなあんたら神族を、滅ぼしてやるのが、目的よ……!」
「成程ぉ〜、あなたにしてはイイわね、その理由。ま、失敗に終わったワケだけど♡」
「ッ……でも……やっぱりアイツもダメなのよ……また裏切られたんだぁ…………う、うぅっ……」
「え?意味わかんないタイミングで泣かないでよ。何泣いてるの?」
「アイツ……エスカルゴも私を裏切ったんだ……私の情報とか、そっちに流して手を組んでたんだっ……!許さない……絶対許さないっ…………アイツのハーレムぶっ壊してやる……全員、私が殺してやる……ッ!!この戦いはあんたの勝ちよヘカテー!でも、最後に笑うのはいつだってこの私よ……!!」
ハーレムを壊すと聞いて、レミリア、夢幻姉妹の気配がザワリと揺らめいた。
一体3人がどんな事を考えているのか。それなら何となくわかるが、そこまでイラつく発言ではないような気がしてならない。そんな事はどうせ不可能なのだから。
「あーあ。これだから短絡的なバカは嫌いなのよ。エスカルゴくんは、あなたとはいえ裏切るのを躊躇していたというのに……」
「……え?」
「何故彼は自我を手放してまで本気で神を倒そうと奮闘したのかしら。彼女に迷惑を掛けてまで、ね。そんな姿を見ても尚、神と手を組んでると言えるのなら、もうどんだけ疑り深いのかしらって感じよ。私が彼を操っていたとも知らずに……♪」
最後の一言だけ特にボリュームを落として言う。しかし、俺やレミリア……霊魔には聞こえただろう。そして驚いたように俺を見たが、黙って頭を振ると、へカーティアの発言がブラフである事が横の2人に伝わった。
「なッ……!?」
「彼はあなたを裏切ってないわ、安心なさい♪」
「…………」
少し俯き、申し訳なさそうな目でこちらをちらりと見てくるエリス。一応彼女なりに負い目を感じていたりするのだろうが、彼女が何か言葉を発しようとした瞬間、へカーティアは攻撃を再開した。
しかも球体を入れ替え、異界のへカーティアから月のへカーティアへ変身してからの攻撃だ。
「ほぉら、続きいくわよ♡」
「ごぶぉぇっ……」
「金輪際、神に叛逆する気が起きなくなるほどに、身も心もボロクソにしてあげる♡」
一度エリスに逃げられた経験のあるレミリアは、この場にいる誰より……恐らくへカーティアよりも、エリスの反応などを注視していた。
警戒しつつ、しかしへカーティアが憎きエリスを傷物にしていくのを見て、軽く優越感に浸っているようにも見えなくもない。
《俺を操ってたなんて……嘘も方便ってか》
《そうね。こうすればハーレムに危機は及ばない。そして、エリスのヘイトは私に向くだけだわ》
《まぁ、ただ負けるのが嫌なだけだったんだけど》
《やっぱり、あなたはあなたね。そのまま、ずっと変わらないで居てね》
《それはどういう意味なの……》
《特に意味は無いわ。ただこれだけは覚えていて。私は、気に入った奴を見捨てたりはしない》
《……モルモーやエンプーサを切ったのは?》
《エンプーサは元から『首輪をつける』って意味で配下にしていただけ。かなりヤンチャだったから。モルモーに関してもそうよ。吸血鬼の真祖であり、己の血や血族を以て神代のギリシャを支配しようと画策していた過去があるの。ゼウス様もそうだけど血筋ってのは時に厄介な力を発揮するからねぇ……。ましてや、吸血鬼って数を増やしやすいでしょう?モルモーを配下にする事で、神族と吸血鬼の戦争を未然に防ぐ目的があったの。もしそうなりそうでも私が仲裁できるからね》
確かに、オリンポス十二神はゼウスの血族で構成されている。血筋は何より強い力を持つと言っても恐らく過言ではない。
俺は15人の子供がいるが……もし何かを支配しようなどと画策すれば────。
《エスカルゴくんでも、子供達を利用して幻想郷を支配しようとすれば、こうなるわよん♡》
《支配しないから大丈夫だよ。興味も無いし、俺のガラじゃない》
《そうね、その通りね。モルモーみたいに変に自信満々じゃないからこその謙虚さ……なのかしらね》
《謙虚、ねぇ……。謙虚とは程遠い気がするけどね、自分でも思うけどさ》
《でも、そろそろ強さには自信を持っていいのよ。強いのに『俺は弱い』なんて言ってたらウザイし》
《でもなぁ……》
《もし私が『私の魔法なんて大した事ないわ』とか言ったら、ぶっちゃけウザくない?そういう事よ。自信を持つのと調子に乗るのは別だわ。OK?》
《……OK。ところで、いつまでボコるの?エリス、ボコボコすぎて見てらんないよ。ある意味》
《泣いて赦しを懇願するまで、かしらね。あなたが紅魔館で読んでた漫画に『君がッ泣くまで殴るのをやめないッ!』ってセリフがあったと思うけれど、まさにそんな感じね♡》
《うわぁ……殺人レベル……》
《あっ、そうそう。話は逸れるけど、あのセリフの
『ヤバい所』、分かる?》
《……さぁ?》
《ジョナサンはディオが泣くまで殴るつもりだったでしょ?でも、いざディオが泣いた時、ジョナサンビックリしてたわよね。つまり、ジョナサンは彼が泣くとは思っていなかった。……てことは?》
《泣くと思ってなかったってことは……ディオを殴り殺すまで殴るつもりだったのかな》
《そういう事!だから私もエリスを殺……》
《それはやめて》
嬉々としてエリスを殴り続けるへカーティアに、できるだけ真剣にただ一言、そのように伝える。
すると脳内通信上でも、そして現実でも、彼女のエリスへの暴行が止む。俺とへカーティアの会話を傍受できる神様陣営は顔色ひとつ変えないものの、エリスをはじめ俺以外の悪魔達は、へカーティアが何かよからぬ事を企んでいるのではと警戒心を少し強めたようだ。
《……どうして?》
《どうしてってそりゃ……》
《まさかねぇ?私を止めるからには、ちゃんとした理由があるのよね?》
《ん……まぁ……ある》
《それは何?》
《……まだ、エリスとセックスしてない》
「……ぷふっ!あはっ……ちょ……嘘でしょ?そんな……そんな、理由で……ふ……ふふっ……あはははははっ!こりゃあ
突然笑い出すへカーティア。思わず警戒を緩めるというよりも、ギョッとする悪魔達、釣られて笑う諏訪子に、苦笑いしかない母さん、袿姫……呆れ返る神奈子様、建御雷、てゐ。
何もそんなに笑わなくても、と思うのだが。別にこれだって立派な理由だろうに。そして、エリスとヤレた暁には、二度と幻想郷で悪事ができないよう
生意気な
「なに……笑って、んの……?」
「うん?ああ、エスカルゴくんがあなたの命乞いをするもんだから、おかしくっておかしくって♡」
「は……命乞い……?」
「私はねぇ、エリス?この戦いを利用してアンタを消し去るつもりだった。身も心もグッシャグシャに潰して、己の所業をわからせてから、ブチ殺す予定だった。でもそれを知ったエスカルゴくんは、仮初とはいえ可愛い彼女だから、とあなたを庇ったの」
「……え……?」
「おっかしいわよねぇ!アンタはエスカルゴくんを彼なんてこれっぽっちも思っていないってのにさ、エスカルゴくんはちゃあんとあなたを想ってるの!滑稽としか言いようがないわ!なんておバカなの?あははははっ♪」
《なんか違うような……いやまぁ可愛いとは思ってるけどね。性格がね……》
《その性格を矯正する為の、いわば、通過儀礼よ。もう止めないで。肉体的に殺さないのなら、性格を殺すまでよ。いいわね》
《……はい》
あまりにも威圧的な声色だったので、もう俺でもへカーティアに逆らうのは無理だと判断した。あの声は本気だ。へカーティアは本気でエリスの性格、ないし心を殺すつもりだ。
「ほんと、エスカルゴくんはおバカよねぇ。散々、アンタはエスカルゴくんを利用してきたってのに、まぁだアンタを庇ってくれるみたいよ?凄いわねぇエリス、アンタはそんなお人好しな男を利用して、あまつさえ、私達のように彼に助力する神々の敵に仕立て上げようとさえした。……本当にさぁ、なんでアンタはここに存在しているの?有り得ないくらいゲス女なのよ、アンタは」
「……あ……あぁっ…………あぁあああっ……」
「わかる?アンタがどうして裏切りとか嫌いなのか知らないけれど……気付いてないようだから、親切に教えてあげる。……
「いやっ……いやぁっ……!そんなっ……そんなのっ……いや、いやああああああぁぁっっ…………」
「……♪」
「あああああぁっ……私がッ……私がぁぁ……ッッ……!あぁああぁぁぁぁ…………」
悲鳴や怒号にも似た叫びを上げ、エリスは大粒の涙を流しながら地面を殴りつける。へカーティアは可笑しくて堪らない、と言わんばかりのニヤケ顔で彼女を見下ろし、ペロリと舌舐めずりをした。
「ごめん、なさい……ごめんなさい……」
「謝ってどうにかなるラインを越えてるのよねー。私の愛する配下くんも傷付いてるしぃ、もうねぇ、許すのは無理よっ☆」
「……して…………」
「んん?」
「こ……ころ……して、ください…………もう……生きていたくない…………です……」
「それはダメよぉ、エスカルゴくんはまだあなたを愛しちゃってるもの」
「……」
「アンタはエスカルゴくんを裏切った。それでも、彼はアンタを赦そうとしてくれてる。ならアンタはどうする?」
「……もっ……もう…………無理、ですっ……!自分が、嫌なんですっ……!彼がよく、てもっ…………!私が、嫌、なんです……」
「────ですってよぉ、エスカルゴくん?」
「うぇっ!?……え、いや……そう言われても……」
「もう殺しちゃってもいいわよね?エリスもそれを望んでるみたいだしねぇ」
「待って、だからそれはッ……」
思わず立ち上がろうとする俺の腕を掴んだ幻月。ゆっくりと首を横に振り、へカーティアを止めるなと暗に訴えかけてくる。夢月も。レミリアまでも。
向こう側に目を向ければ、諏訪子は何度も何度も首を縦に振っているし、母さんまで渋々という風に頷く。建御雷、てゐは退屈そうに座りながら欠伸をしているが、袿姫や神奈子様は、迷っているような素振りを見せている。
へカーティアも、そしてエリス本人も、この場に居るほぼ全員が俺に注目していた。
「……離してくれ、幻月」
「で、でもっ……」
「頼むよ」
「……わかったわよっ、もう……気を付けてね?」
「うん、分かってる」
ぽふぽふっと幻月の頭を撫で、俺達を守っていた結界を解除し、ステージを囲む壁に手をついて身を乗り出す。
エリスはすっかり目元を赤くさせていて、小さく柔らかな手はすっかり土に塗れている。なんだか、こうしてみると生意気な笑顔が恋しくなってくる。
「……エリス。お前は死んじゃダメだよ」
「でも……」
「一度でも俺の女を名乗ったんなら、腹括りなよ。死なさねぇし手放さない」
「あ……あ…………かっ……勝手にっ……ダーリンとか、言って……ごめんなさいっ……ごめんなさい……」
「お前がどう言おうと関係ないんだよ、俺がお前を手に入れるっつったら手に入れるんだよ。つーか、死ぬくらいならその魂、身体、俺に預けてみろよ。サイコーに有効活用してやるからさ?俺にとって、都合がいいように……だけどな」
「……私に、生きる価値なんて……無い……」
「俺はお前に価値を見出してる。それじゃダメか?まぁダメっつっても死なせないんだけど。目の前でみすみす失うワケないだろこんな美味しい状況で。それを逃す俺だと思うか?」
「……」
「なぁ、エリス。死にたいんなら、これからは俺の為に生きてみないか?ほら、漫画でよくあんだろ?
『これまでのお前は死んだ!』ってやつ。それだ」
「……」
「俺の女ァ名乗ったんなら覚悟しな、俺は離さないから。逃げようったって無駄だぞ、自分で言うのもアレだが俺はワガママだからな。……俺が守るから。死ぬなんて言うんじゃねぇよ。お前が死んだって、俺が寂しくなるだけなんだよ」
「……寂、しく……なんで……」
「そりゃ……言わなくても分かんだろ。エリスが好きだから、これに尽きる。じゃなかったら、殺すのをわざわざ止めたりしないだろ?」
「嘘よ……だって私……最低な事ばっかりして…………。あなたの邪魔ばかりしたのに……っ」
「まぁね。ムカつく事も多々あった。でもこれから俺や皆への度が過ぎた悪戯を無くすって言うなら、これまでの事は水に流すし。な?これからよろしくやろうよ、エリス」
「…………い……良い……の?私……生きても……あなたの女になっても……?」
「良いって。行動で示さないとダメなのか?」
「行動って────」
壁を乗り越えるなりエリスの元までひとっ飛び。彼女の前に着地し、彼女と目線を合わせる為に地に膝をつく。
何をするつもりか分からない、と言うかのように怪訝な顔をするが、彼女の頬を撫でて手を添えて、顎クイしてやると、この先を察したかのように目を丸くさせた。
そして有無を言わさずに一息に唇を奪ってやる。舌を入れていないにも関わらず、唇だけでも十分に彼女の血の味がする。へカーティアの攻撃の強さが改めてわかった。
一気に顔を赤くさせたエリスだが、俺が唇を離す気が無いのを察すると、ゆっくりと目を閉じ、俺に身を預けるようになった。
そんな彼女の肩を抱いて、心の中で10カウント。ちゃんと数えたはずなのに、それよりも長い間キスしていたような気分になるから不思議だ。決して、ゆっくり数えていたワケではない。
「っ……はふ……」
「これからは俺の為に生きてくれ。OK?」
「……はいっ……♪」
《……心から堕ちたわよ、エリスが。あのエリスが。凄いわねぇ、あなたの女たらし力は》
《これも1つのテクだよ。
《エリスの面倒を見るのは、あなたに任せたわよ。くれぐれも、面倒を起こさないことね》
《この前までもそのつもりだったんだけどね。でも今日からは、もっと頑張るよ。……色々仕込みつつ、だけどね》
《エリスがあなたの肉便器に成り下がるまでが凄く楽しみだわ♡》
《生意気だったエリスの口に早く咥えさせてー……。エリス泣いてるの見てさ、めっちゃ興奮してんだ。ズボンキツすぎて股間が痛いよ。泣いてるエリスが可愛すぎたね》
《歪んでるわねぇ》
《歪んでない》
《サイコーに歪んでるわ》
《……》
アイデンティティクライシスを迎えたエリスは、きっとこれから生まれ変わってくれる。もしそれが彼女や俺達にとって良い方向に変わってくれたら、さっきも言った通り、これまでの所業は忘れよう。
そして、幻月や他の皆と同じように────俺にできる限り、エリスのことも愛そうと思う。だってエリスは、こんなにも可愛らしい悪魔なのだから。
◆
「あーあ、あなたのお陰で不完全燃焼だわ」
「えぇ……。だってへカーティアがエリスを殺そうとするから……。まだアイツのこと犯してないのに」
「そりゃ、殺すつもり満々だったんだもの。まっ、また1つあなたの戦い方を見ることができたから、それで帳消しにしてあげるわ♪」
「あらら、そりゃありがたい」
団体戦が終了してそれぞれが帰路に着く中、外を歩きながら俺とへカーティアはそんな会話をする。
結局、エリスvsへカーティアは俺の乱入によって引き分け。というよりは、へカーティアが一方的にエリスを攻撃していて、エリスも負けを認めたので実質へカーティアの勝利に終わった。
しかしへカーティアとしてはまだまだお灸を据え足りないそうで、不完全燃焼だと先程からブツブツ漏らしている。
「……あー、帳消しじゃダメね。邪魔されたんだし、貸し1つって事でOK?」
「わかった。次はへカーティアの提案に乗るよ」
「あ、そう?言ったわね?二言は無いわね?」
「な、何さ急に……怖っ……」
「ふふ……私にもねぇ、1つ計画があるのよ。でも、今はそれを教えられない」
「計画とやらが完成してないから?」
「ううん、完成してるわよ。でも場所が悪い。誰も来ないトコロへ行きましょ?そうしたら私の計画の全てを話してあげる」
「……了解。とりあえず、霊魔は幻想郷に……って、なぁに夢月と喋ってんだァ……あんにゃろ……。おい霊魔ァ、神社まで繋げたから帰れよー」
「はーい」
「レミリアはどーする?」
「モルモーと喋ってるから大丈夫よ。でも、心配は要らないわ。幻想郷までちゃんと帰れるから」
「わかった。じゃ、また幻想郷でな」
「ええ、またね」
エリスとモルモー、そしてレミリアは魔界に残るらしい。特にエリスなんかは1人で教会に戻った。神様連中……特に母さん以外の神様も俺が送り、俺とへカーティアの2人きりになると、遂に彼女が俺の手を取って動き出す。
「さぁ、行きましょう。誰も居ない世界へ」
「う……うん……」
へカーティアが、自身と俺に転送魔法を使った。移動後に見えた景色は、ほんの少し前に見た景色……時が止まっているとも言われている、あの世界。
大紅蓮地獄こと、
裏切られるのが嫌いな男
vs
裏切られるのが嫌いな女
vs
またしても戦わされるダークライ
ファイッ!!
裏切られるのが嫌いな男と裏切られるのが嫌いな女という組み合わせって、共依存に陥りやすいカプの1つだと思います。
いつか、エリスのわからせックス書きたいですね。もう十分にわからされてるんですけどね。