お気に入りはまさかの「495」!俺が確認した時にはこの数字だったんですけど、たまたまとはいってもこの数字が来たら運命感じちゃいますねぇ。
ギリシャ神話における最高神────ゼウスには幾つかの得物、つまり武器が存在する。
その中の一つが、かのキュクロープスが作ったと伝えられているアレだ。ゼウスの代名詞とも言えるあの武器……
キュクロープスは、英語読みではサイクロプスと呼ばれ、
その実態は神の子供。ウラノスとガイアの子で、キュクロープス三兄弟は、それぞれ雷に関する名を持っているそう。父であるウラノスに嫌われ奈落に幽閉されたが、ティタノマキアにおいてゼウス達により解放され、そのお礼として、ゼウスには雷霆、ポセイドンに三叉の銛、ハデスには隠れ兜なんかを作ったらしい。
それ以降、ゼウスは雷霆を主な武器にしている。
しかしゼウスには、雷霆以外にも武器があった。それが、アダマスという魔法の金属とも言われる、謎の物質で創られた鎌である。
一説によると、かつてゼウスの父クロノスが父のウラノスの性器を切断するのに使用したモノだとも言われている。
また、アダマスとは金剛、つまりアダマスの鎌はダイヤモンドの鎌であるという説がある。ゼウスの持つこの武器は正真正銘、何でも切れるそうだ。
「────つーワケで、硬いものを壊したくなったので霊長園に来ましたっと。付き合ってよ、袿姫。なんか最近、硬いモノ対策=袿姫になってきたよ。手伝ってくれる?」
「勿論よ。でも、夢月という悪魔でも壊せない私の
「さぁね。やってみなきゃ分かんないね」
「ふふふっ……それなら実際に試してみるがいいわ!来なさい、プロト磨弓ちゃん!」
赤く細い線で魔法陣のような図を描いた袿姫は、そこから磨弓を召喚……いや、創った。今この場で、魔法陣を介し土と水を使い磨弓を創造したらしい。
「袿姫様、敵は何処に?」
「敵……というより、手合わせ相手は目の前の彼よ。なるべく迅速に狩りなさい」
「承知しました」
彫刻刀でこちらを示す袿姫。すると磨弓は、あの仕込み刀……杖刀を振りかざして、後方に控えていたらしい埴輪兵団を呼び出した。
「ああ、磨弓ちゃん、今回は1人で戦ってくれる?あなたのデータを取りたいの」
「は、失礼致しました。皆、ここは戦場になるから戻って!」
「今回のこの磨弓ちゃんのデータは、作り直す際に本体の磨弓ちゃんに上書き……。ふふ、最強の杖刀人兵士ももう少しで完成だわ♡」
「おお、怖い怖い。でもまぁ、なんて言うか、楽に鍛えられるってのはある意味では羨ましいかもね。だからって、土と水の身体になりたいとは思わないけどさ」
「そう言うと思ったわ、全くもう……」
当たり前だ。俺は再生力がウリなのだし、それを意図して失いたいと思うワケがない。何なら絶対に失いたくない力でもある。
再生力さえあれば雷などが使えなくてもある程度戦う事が可能だし、それこそ吸血鬼のフィジカルをフルに利用する事だって可能なのだから。
「さーて、できるだけ剣使わねーで戦うか。夢月は素手だったしなー」
「限界まで、いえ、限界以上に強化なさい。きっとそれくらいでないとこの磨弓ちゃんは倒せないわ」
「ふーむ……じゃあ行くぜッ!!」
ギチッと拳を握り杖刀を構える磨弓に肉薄する。
この磨弓は本物じゃない。本物に似ているだけの偽物だ。そう自分に言い聞かせ、彼女の腹目掛けて拳を振り抜く。
「……」
「いッ……てぇぇええええっ!?」
「……私の身体は、袿姫様によりこれまでにないほど強化されている。吸血鬼と言えども、素手の状態で私が壊せるはずもなし」
「指の骨も砕けてんなこれ……」
「この私を前に拳の心配とは余裕だなッ!」
「!」
杖刀を抜いた磨弓は、パーソナルスペースよりも踏み込んで距離を詰めてくる。胸の前で手を摩って痛みを感じていると、腕の隙間を縫い刃を煌めかせながら刺突してくる。
「んぐっ……」
「!……まさかこの距離で止めるとは……」
「速いけど、なんてこた〜ねぇよ。早鬼に比べりゃスローモーションだ」
「この私が獣に劣るとッ!?」
「防御力以外はな。……霊剣『布都御魂剣』!!」
素手で掴んでいた刃を手放し、距離を置く。更に布都御魂剣を召喚し、破壊せんと彼女に迫る。
整った顔立ちで、姉ちゃんの人形同様に生きてるとしか思えないようなキレイな見た目だが、これのどこが土人形なのだろう。俺には、土人形と普通の人間の見分けがつかなくなってしまった。
「────って、躊躇ってっと俺が死ぬかもな……。破壊するにゃコレだな、喰らえ!神の力を纏った……
『魔界断裂斬』ッ!!」
剣に神の雷を纏わせた上で、身体中の筋肉も使い渾身の力で剣を振り下ろす。
俺の剣は彼女が上段で真一文字に構えた杖刀をも真っ二つに斬り、その直下にて最高硬度と言われた磨弓を中心から唐竹割りにしてしまった。
「袿姫……様…………申し…………訳………………」
「……機能停止したか。うーん……妖魔雷霊剣のソレだったら、何とか耐えたと思うんだけどねぇ。でも壊れたものは仕方がない、仕方がないねぇ……」
「同感。
「動物的な勘ね。嫌いじゃないわ、そういうの」
「ど、動物的って……」
「さて。あなたの特訓に付き合ったんだし、今度は私のお願いを聞いてくれる?」
「あ、もう終わりな感じ?もう一度頼みたかったんだけど、まぁいいや、何でも言ってよ」
「それじゃあ────」
◆
「────彼の特訓もほぼ完了、か。ならもう宣戦布告しとこうかしら。待ってなさい、ゼウス……この私の力を認めオリンポス十二神に加えなかった事、後悔させてあげる。血の繋がりなんて圧倒的暴力の前には無力である事……わからせてあげるわよ……。うふふふふっ……」
月の地獄にて作戦を練っていたへカーティアは、自分の作戦の完成を実感すると同時にエスカルゴの特訓の完了を感じ取った。
それを以てへカーティアはギリシャ神界への宣戦布告へと踏み切ったのである。
プロト磨弓本人の目の前で「あなたの
へカーティアの目的はあくまでもゼウスの無力化とギリシャ神界の支配で、エスカルゴの目的はヘラの無力化です。
それでもエスカルゴがvsゼウスの訓練をするのは、ヘラを倒しきる前に夫が出しゃばってくる可能性があるからですね。
魔法の金属呼びされた物質がダイヤモンドだなんて面白いですし、成り下がった感がありませんか?
未知のモノが実は既知のモノだった。これだけで、十分に面白いと感じますね。