────女性との逢瀬のときは、彼は少なくとも四半刻ほど前に集合場所にいる。これは私が集めた彼についての「噂」……ではなく、「情報」だ。
逢瀬の際、彼より早く集合場所に到着した女性は今のところ存在しないと言われている。それなら、私が彼の早さを上回って、飯綱丸様との集合場所に行って待ち伏せでもしておこう。
……そう、思っていたのに。
「……嘘でしょ?集合時間までは少なくとも半刻以上あるんですけど……」
なんと「彼」は、半刻以上も前に集合場所である天魔様の屋敷の前に来ていた。しかも、ほんのりと湯気が立っているのを見ると、シャワーでも浴びて身体を綺麗にしてきたらしい。速すぎる。
けれど、彼が来たのが早いなら早いだけこちらの思うがままだ。時間があればあるだけ彼を篭絡するのに集中できる。
「ねーねー、お兄さ〜ん」
「?……俺の事か?」
「そーだよ、他に誰が居るのー?」
「それもそうだ。それで、何の用かな?」
人当たりのいい顔をしておいて内心では女を犯すことしか考えてないんだろう。上っ面だけの笑顔。取り繕いの笑顔。本っ当に気持ち悪い。吐き気すらしてくる。……
「お兄さんってあの『山の英雄』さん、ですよね?私、
「……ふむ?」
「ねー、どーですかぁ?私の狐耳、綺麗ですよっ♡こんこん♡」
コイツは上目遣いに弱いらしい。これはもう凄く有名な事だ。まぁ尤も、意識しなくても、彼の方が大抵の少女達より背が高いせいで自然と上目遣いになってしまうので……彼を篭絡するテクの中では凄く簡単な部類。基礎の基礎だ。
「今からか?……これからちょっと予定があるんだ。ごめんな、次に会った時でいいかな?明日とかは……どうかな?」
ご主人様を優先するとは。成程、
これから彼について調べる時は、あの氷の妖精とそのツレをカモにしてやろうか。ここまで正確なら利用しないテは無い。
「あっ……明日は、予定が……」
「明後日は?」
「明後日も、多分予定が……。すぐ終わりますから、今からじゃダメですか……?」
「予定まで1時間はある、か。……分かったよ、少しだけだぞ。この予定は決して外せないからな」
「はーいっ♡」
……チョロすぎる。
◆
こうして私が連れ込まれたのは、山の麓……魔法の森の中にある謎の小屋。最初は見えなかったのだが彼が魔法か何かを解除すると視認できるようになりその姿を現した。
「へーっ、こんな所に小屋があったんですかぁ……!何の為の場所なんです?」
「さぁ?用途によりけりだよ。さ、どーぞ」
「お邪魔しま〜す」
どうせ襲うつもりのくせに。勿体ぶってないで、さっさと挿入でも何でもしてくればいいのに。何を紳士ぶってんだか、元人間のくせに。
どうせ、軽く誘えばすぐノるんだろう。そんなの分かってる。そういう奴だ、コイツは。だからこそその辺の名も無き妖精すらも襲ってるんだから。
「……あれ?どこ行……おーい、お茶飲まねーの?」
「いいんです。あなたと……
小さなテーブルで紅茶の準備をしようとする彼。しかしベッドにコロンと転がって見せると、生唾を飲み込み、視線は私に釘付けになる。
本当にチョロいヤツだ。
(本当、『英雄』とかいう肩書きのお陰で凄い事になったな。何で試験管を持ってんのか分からんが、管狐のメタファーとかか?もしそうなら雄の管狐も近くに居そうだな。確か、管狐は雌雄一対で飼うんだよな。ぬ〜べ〜で見た記憶がある。……あー成程、つまり
「……どうしました?」
「あーいや、何でも。えっと、食べていいって事?解釈一致してる?」
「してますしてますっ♡ 良いんですよ……私のコト、抱いちゃってください♡」
「あぁそう……なら遠慮無く」
予想より腰は重いらしく、そこまで言ってやっと紅茶の準備をやめ、ベッドに乗ってきた。しかも、最初から私に覆い被さるように。まるで遠慮なんてしないみたいだ。
「さ……どうぞ、お好きにしてください♡」
けれど次の瞬間、彼の手は私の胸や股ではなく、首に掛けられていた。
「ガハッ……!?か、くふっ……な、にを……ッ!?」
「ごめんねぇ……管狐には
「ぐっ……や、やめ……てぇっ…………」
吸血鬼の力は人知の及ばない領域。鬼の一歩手前だとも言われる理由が身に染みてやっと分かった。成程、確かにこれは妖怪の中でも桁違いの強さだ。
他の管狐は一体彼に何をした。一体、何をすればこんな恨まれるような事になるんだ。お陰で、私の行動が邪魔されている。
同族への恨みや怒りが湧いてくるのを感じつつ、私の首に手を掛ける彼の手を掴み、涙ながらに情に訴え掛けてみる。
「ごめ、な、さ…………他、の、者に…………私……が、よく……言い、聞かせてッ……おきま、すから……」
「そうだねぇ……そうしてくれると助かるかな。だが俺がお前を襲ったのは誰にも言うなよ?もし言えばその時は…………分かるな?管狐ってぇのは、そんなおバカな種族じゃあないもんな?」
無表情から一転し、ニヤリと底意地の悪い表情を覗かせる。これはマズイ。本気だ。コイツ、女でも平気で殺せるヤツだ。
飯綱丸様に……ダメだあの方は割と表情に出やすいタイプだ。もしも言えば飯綱丸様とコイツの関係、更には山とコイツの関係も崩壊し……元凶たる私は、きっと酷い立場に追いやられる。
優しい手口で裏切りを発生させるのは私達の常套手段だけれど、それを実行する事によって自分達の立場までもが危ぶまれる事態になるなら話は別だ。彼が私を二重の意味で襲った
「……」
「よし、ヤるか」
「へ……?」
「『へ?』じゃあないよ、ベッドに直行するって、そういう意味なんだろ?」
「えへ……へ…………どうぞ、お好きに……あッ!」
「んで、この試験管は何なんだ?これでオナったりしてんの?このエロ狐めっ!」
「あ、それ、は……ひぐっ!?」
膣口の方に垂れてきていた愛液を、私から奪った試験管に纏わせて、あろう事か試験管を肛門に深く挿入してきた。しかし、開発済みだったこの肉体はそれをすんなり受け入れてしまい、もはや試験管はコルク栓の辺りしか表に出ていなかった。
「……入らねーと思ってたんだが、案外すんなり入るじゃあないか。後ろも開発済みか。やるねェ、一体誰と身体の関係になったんだ?」
「言え、ない……です……っ」
「へー、そうかい。それならそれでいいよ、君から俺に興味を持って接近してきてくれたってのが大事だから。てかこの服、紐で結んでるだけなの?すぐヤレるじゃん、本当にエロ狐だね」
「えへへ……お褒めに預かり光栄です……♡ どうか……私の卑しいおまんこの奥深くに、あなた様の男根を突き立てて下さい♡」
「……主従ックスしてそーなセリフだな。成程、管狐としての飼い主とヤッたんだな」
「ッ!?」
「お尻、上げなよ。バックで挿入したい気分だ」
「仰せのままに……♡」
主従ックス……とやらの意味はよく分からないが、私に主人が居る事が読まれた……らしい。やっぱり、コイツの事は分からない。チンコに頭を支配されてるような行動ばかり取るくせに、何なんだその微妙に鋭い洞察力は。
ともかく、よく解してから出発したから急に挿入されても痛くないはず────。
「んぃぃっ♡……あっっ…………♡」
「処女膜も破られてるか……。まぁいいや、ちゃんと締め付けろよ?」
「はいっ……どうぞ、お好きに動いて下さい♡」
「外出し?中出し?どっちがいい?」
「どちらでも、構いませんっ♡ あっ♡ アツい……♡焼かれるぅ……♡」
「これから会う子、俺にとっちゃ、ある意味大事な客人みてーなモンなんだよ。だから俺、その子には早漏だって思われたくねーから……最初3発くらいはお前ん中にコキ捨てるわ。3発くらい出しときゃあ早漏も治るしな」
「はいっ♡ いい、ですよっ♡ 孕ませるつもりでっ♡射精、しちゃってぇ、下さいっ♡」
お湯で温めた棒なんかとは比べ物にならない程の熱さ。これが本当のセックスなのか。女同士で棒を突き刺し合うのなんて、これに比べたら、机の角に股を擦り付けるのと大して変わらない。
「あひっ♡ そこぉっ♡ 突き上げっ……んひぃっ♡♡あっ♡ あぁんっ♡ そこ、らめれすぅっ♡ あぁあっ♡イクッ♡ イグううっ♡」
「俺もイクよ、狐……っ……」
「
どうして、名前なんて言ってしまったのだろう。しかも本名だ。もしや飯綱丸様に忠告した私の方が堕ちかけている?いや、堕ちている?彼に?
そんなの────認めない!
「典っ……1発目、受け取れよ……!」
「はいっ♡ 零さず、残さずっ♡ 全て受け止めます♡あ゙ぁっっ♡ ま、またイクっ♡ イクぅぅっ♡」
「ッ…………!」
パァンッと勢いよく腰を打ち付けた直後、遠慮も何もなく全力で射精してくる。避妊も何もせずに、本気の射精だった。
熱い精液が膣を超え、キツく締まっているはずの子宮口をも穿き子宮の中を満たしてくる。そんな、熱い感覚が私を襲う。
「はーっ……はーっ…………も、もっと……♡ もっと……あなたの男根で……私を……犯してくだしゃい……♡」
「言われなくてもそうしてやるから、ちゃんとお尻上げてな。次は後ろに挿れてやるからな」
「んあぁっ♡」
────これから女同士のセックスをする時は、膣口を擦り合わせるタイプのヤツにしよう。もう、棒を使ったセックスでは満足にイケそうにない。
◆
その後、飯綱丸様との約束の刻限が迫ってきたと気付いた彼は、先に言っていた通りに3発で交尾を終了させた。
そして私は、もっと色んな意味で取り入ろうと、彼のペットにしてもらおうと思ったのだが……。
「え、やだよ、専属のメイドちゃん居るもん」
「────ッ!?」
「ヤラせてくれるっつーからヤッただけで、本来、管狐は復讐対象とも言える存在だ。それにセフレも愛人もペットもそれなりに居るし……なんて思ったりしてるしな」
「で、でも、ケモ耳枠は少ないんじゃあ……?ほら、私、貴重なケモ耳ですよ?こーん♪」
「確かに。でも猫耳を生やす薬でも飲んでもらえばそれでいいかな。俺、本来は猫耳が好きなんだよ。猫が好きだからさ」
「!?」
「あっ……と、もうそろそろ待ち合わせの時間かな。えっと、どこに送っていけばいい?ここに置いてくワケにもいかねーからさ」
「……じゃあ……天魔様の屋敷前で……」
「最初に会った所か。オッケ、分かったよ」
何なんだ。何なんだ。何なんだコイツは。本当に私の思い通りにならないヤツだ。気持ち悪いし存在自体が不快になった。ここまで思い通りにならないヤツなんて初めてかもしれない。飯綱丸様でさえ、もう少し私の思い通りにはなってくれるし、色々と私を楽しませてくれる。
……でも、どうしても身体が疼いて仕方ない時は、コイツを利用してやろう。コイツが枯れるまで。
◆
「それでは、私はこれで失礼しますっ♡……また今度どこかでお会いしたら……その時はまた♡」
「考えとく。気を付けてな」
「はぁ〜い♡」
屋敷前にて典と別れる。とりあえず3発イッておけば龍とヤッてもすぐイッたりはしないだろう。ある意味、あの狐……典はナイスタイミングで逆ナンしてくれた。
さて、約束まであと30分も無い。龍はあと数分で来るのだろうか。イッたばかりなのにそわそわしてならない。龍も、逢瀬を楽しみにしていてくれたら嬉しいのだが……彼女は仕事として俺の相手をして、俺に計画の助力を求めているので、きっと事務的なセックスになってしまうだろう。
どうにかして堕とせるように、気を引き締めて臨まなければ。
「管狐って油断も隙もねェからな……ま、あんな風に脅しときゃ管狐だろーと何だろーと、俺に対しては大人しくなってくれんだろ」
因みにだが、恨みがあるというのは実はあながち嘘ではない。霊夢は過去に管狐に取り憑かれた事がある。俺は、それを指して言っているのだ。
霊夢は管狐を恨んでいる様子は無いが俺は違う。霊夢から富を根こそぎ奪った管狐が今ものうのうと生きている。端的に言えば、かなりムカつくのだ。
これからも典を利用できる時があれば、利用してやろう。きっとアイツも、俺を利用するつもりだ。それならノッてやる。互いに互いを利用し尽くし、最後に笑うのはこの俺だ。
今回はmeimei(@meimei89008309)さんから。
ツイフィールより、「TwitterのIDを明記した上で」とのことでした。
はぁ……可愛いよ典……。