※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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三毛猫の擬人化ちゃん?

「そこのお兄さんとお姉さーん、良かったらカード買って行かないかい?」

 

 三毛猫少女はそう言ってカードを数枚手に持って見せる。何やら、ハートやら緑の星やら種類が結構あるらしい。三毛の招き猫らしきカードまである。

 

「お。丁度いいや」

 

「んー?何が何が?」

 

「俺達は、カードの調査に来たんだ。君、それらを幼子にまで売り捌いているみたいだが……。名は?」

 

「豪徳寺ミケだよ!宜しく♪」

 

「ミケ……宜しく。俺はエスカルゴ・スカーレット。吸血鬼だ。こっちは妻の……」

 

「十六夜咲夜です」

 

「あー、どっちも聞いた事あるかも!山の妖怪達が噂してたから、特にお兄さんの事は知ってるよ!」

 

「そりゃ有難い。……んで、話を戻すけど、それらのカードを渡してもらえないか?」

 

「え?どうして?」

 

「危険なヤツかもしれないんだよ」

 

「危険な訳ないじゃない、皆も集めてるもの!」

 

「……んー、だが異変の産物なのは間違いないんだ。どんな形でもいい、渡してもらえないならせめて、調査に協力してくれないか?」

 

「じゃあ、私からこのカードを買ってよ。それならイイでしょ?そっちはカードの情報を得られて私は儲かる!自由経済だものこれくらい良いわよね?」

 

「自由経済、ねぇ。……咲夜さん、どう思います?」

 

「旦那様は優しすぎるんです。……お前達ぼんくらが持っていてもしょうがない代物よ、怪我したくなければさっさと出しな!」

 

「ひえぇっ!?」

 

「咲夜さん!?」

 

 ヤクザのカードを持ったからか言動までヤクザのようになってしまった。手持ちのカードと言動に、何か因果関係でもあるのだろうか。そうだ、あると思いたい。

 すると、ナイフを構えた咲夜さんを見て、売人のミケはこちらよりも先に行動した。

 

「こ、こうなったらもう正当防衛だい!招符『弾幕万来』!!」

 

「あーあ、戦闘開始か。にしてもキレーだなぁ」

 

 七色の弾幕を降らせるミケ。フランのスターボウブレイクとは違い斜めに降ってくるが、密度も薄めなので、ハッキリ言わせてもらうがほぼスターボウブレイクの下位互換のようなものだ。更に途中から弾幕が生成されたりしないので、かなり親切だ。

 俺の弾幕より圧倒的に綺麗ではあるものの……勝負するなら話は別だ。

 

「もうキメますか、旦那様」

 

「いんや、ここは俺がヤリますよ。初対面の子だ、ちょっと楽しませて下さい♡」

 

「……相変わらず猫好きですねぇ」

 

「ふふ、猫は可愛いですからねぇ。にゃんにゃん♪

……オッホン。つーワケで、虹といえばこれだなっ。符の伍『虹電雷撃』!!」

 

 雷バージョン。目には目を、虹には虹で対抗だ。虹色の雷撃はミケの弾幕を穿き一斉に襲い掛かる。幾度となく被弾して、遂には浮遊すらままならなくなってきている。しかしその目はまだ静かな敵意を宿しており、彼女は「次」の手段に移る。

 

「これでも喰らえっ!招符『弾災招福』ッ!!」

 

「!」

 

 五、六箇所で花火のように虹色の弾幕が弾けて、あらゆる方向に飛んでいく。しかも角度が少しずつ違っているので、俺達の地点まで到達する頃には、弾幕同士の隙間は僅かにあれど別方向からも追撃が迫ってきているような状況になってしまう。

 更にその奥から黄色の大玉まで迫ってきている。何ともイヤらしい。次に「花火」が弾けたら、あの大玉とタイミングが重なって、余計に回避が困難になってしまうではないか。早急にキメなければ。

 

「『雷霤撃波』」

 

「ッッ────!!」

 

 ゴオオオッと一気に放つ事で、ミケを吹き飛ばすことに成功。一応安否を確認しにそちらへ行くと、ボロボロになりつつも木に引っかかってゼェゼェと荒くなった息を整えていた。

 

「う〜……これ以上はご勘弁を〜……」

 

「これでいいか」

 

「さっさと渡さないからこうなるのよ?」

 

「でも……アビリティカードは暴力なんかじゃ決して渡さないから……ッ!」

 

「ふふふ、そうね、じゃあお金出すから全部頂戴」

 

「毎度ありー……って言いたいけど、一度につき1枚しか買っちゃダメだよ……」

 

「え……?どうして?」

 

「さぁねぇ……偉い人が決めたみたい」

 

「ふーん……良い情報をありがとう」

 

 咲夜さんは、とりあえず今は購入しないらしい。ミケは残念がっていたが、咲夜さんに刺さるような何かが彼女の手持ちカードには無かったらしい。

 

「あれれ……?その雷マークのカード、よーく見たら魔力が補給されてないじゃない。そりゃあいつまで待っても次は使えないよ。さてはソレ、第三者から暴力とか何かで奪い取ったなー?」

 

「奪い取ってねーぞ。拾ったんだ。因みにだが他のカードは娘を説得して譲ってもらった」

 

「あーそういうパターンか。でもそれはダメだね、正式な手続きを踏んでないから、魔力が補給されずたったの一度しか使えなかったんだ」

 

「その、正式な手続きってのは何なんだ?」

 

「金銭が絡む事さ。つまりちゃんと売買しなけりゃダメなんだ。だからそういうルールがあるんだよ。知らなかったならこれを機に覚えてね」

 

「げー……やっぱルールってのは知っとくべきだな。んじゃ娘に小遣い渡してくる。それでいいかな?」

 

「あっ、カードの取り引きっていう形式じゃなきゃダメだよ。だから、お小遣いじゃなくて『カードの代金を払わせて』って感じだね。それをしない限りお兄さんは『娘からカードを奪った』判定になる。ルール上はね」

 

「ふーむ……カード代金、か。一度に1枚しかダメ、なんてさっき言ってたけど?」

 

「あー……そこはほら、ルールの穴を突くのさ♪」

 

「?」

 

「1枚1枚お会計するんだよ。簡単でしょ?」

 

「……それ昔、個数指定のヤツでやった事ある……。ルールの範囲内だけど、ちょっと汚ぇやり方だな。まぁいいか」

 

「うん、それでオッケ〜。金額、聞いてく?」

 

「いーよ、万札でちゃっちゃと済ませる。……っと、その前に、ミケから1枚カード買っていいかな?」

 

「あ、いーよいーよー!何買う〜?」

 

「……この白っぽいカードは?何だこれ虹の絵か?」

 

「それはエスカルゴさん専用のカードだね!」

 

「は?俺?なんで?」

 

「主に会ったんでしょ。だからだよ♪」

 

「主?……何の?」

 

「カードを流通させた張本人だって言われてるよ。私も話でしか聞いた事ない。神のカードらしいよ」

 

「…………メグちゃん?」

 

「……その人が誰か知らないけど、多分その人かな?

『流通』とか『商売』を司る神様、みたいな?」

 

「!……あー、あのセンス壊滅女……どうにもソリが合わねぇんだよなぁ……」

 

「よく分かんないけど、そーなんだ?まぁどちらも個性(センス)が強すぎるとそうなるのかもね」

 

「は?」

 

「うんにゃ何でもない!で、それ買うの?それ買うなら、今の手持ちカード全部と、それから全財産を引き換えにしなきゃいけないんだけど」

 

「んん?……冗談だろ?」

 

「嘘はつかないよ。いや、つけない。私は売人だ、常に中立じゃなきゃいけないからね」

 

「チッ……魔力補給されてないらしいけど、それでも対象になるか?」

 

「なるね、私とのやり取りで金銭が発生するから!これは買っといた方がいいよー、お得だし、何より神のカードだからね!」

 

「成程、俺に得があるのか」

 

「そうっ!悪い話じゃないはずだけど?」

 

「だが断る」

 

「!」

 

「1枚だけでも手元に残せるんなら、そうしたさ。でも俺の手持ちにゃ愛娘のカードがある。愛娘から貰ったものだ。こりゃ手放せねぇよ、死ぬまで俺が持っておく。従って、俺が買うのは……太陽マークのこのカードだ!」

 

「霊烏路空のカードだね!」

 

「お空のか……二ヒヒ、山全体を焼き払えそうな超絶火力が出せそうだな。よし、これにするよ」

 

「毎度ありー!じゃ、私はこれで!娘ちゃん達に、ちゃんと代金を支払っておくんだよ!そうすれば、時間経過で使えるようになるからね!」

 

「はいよ。ミケも気を付けてなー。特に霊夢とか。我が嫁ながら、霊夢の『赤い通り魔』の異名は伊達じゃないからな」

 

「はいはーい!」

 

 ────それにしても『危険じゃない。みんなが集めてるから』……と来たもんだ。どうやら彼女は、

「赤信号、皆で渡れば怖くない」のタイプらしい。

 それなら、ミケをどうにかするには「みんな」と言えばすぐ堕ちそうだ。これは重大なキーワードになるだろう。よく覚えておこう。

 

「──虹だ」

 

「あらほんと。綺麗ですわね」

 

「ですね。……咲夜さん、俺から何か買いませんか?俺ばっかこんなに持ってても意味無いですし」

 

「それでは……月のカードと兎の足のカードをお願いします。……あと命のカードも」

 

「雷マークのも合わせて4枚ですね。4枚で400円になりまーす」

 

「あら、お安い。……そういえば、値段って自分達で決めていいんでしょうか……?」

 

「双方が納得していればいいんじゃないですかね?この異変の黒幕……金を稼ぐ事よりも、金を介しての

『流通』が目的な気がしますし」

 

 龍曰く、千亦は消えそうな神だったという。なら金を介しての流通を通して、神としての力を高めているに違いない。それこそが奴の真の狙いだ。

 やり方こそ違うものの、諏訪子が飢饉という形で

「祟り」を里人に与え力を高めていた、あの時と同じ事だ。あの時、彼女に助力したからこそ、神の裏の目的に気付きやすくなった気がする。

 

「成程。確かに、そんな気はしなくもないですね。ところで『メグちゃん』『センス壊滅女』とは?」

 

「あ。…………えっと、そのままです。メグちゃんはまぁ……なんつーか、新しい彼女で……センス壊滅女は市場の神を自称する神様で……。でも服が凄いんで、俺が勝手にそう呼んでるだけです」

 

「…………その神様が今回の黒幕なのでは?」

 

「ええ。そんな感じ……しますよね」

 

 ゲームで言うならまだ1面をクリアした所だが、なんと、咲夜さんまでも黒幕に気付いてしまった。果たして……次はどう動くべきだろうか。

 龍から教えてもらった「条件」を満たさなければ千亦は市場を開かないのだろうし……はてさて、一体どうしたものやら。

 

「……!」

 

 俺に天候を操れたら────と、そこまで考えて俺はある事に気が付いた。

 これさえできれば(・・・・・・・・)速攻で黒幕に会える。しかし、今はその時ではない。「時」を待つ為、俺は一先ず咲夜さんも連れて、休憩がてら永遠亭に行くことに決めた。

 休憩や異変解決よりも先に、娘達へカード代金を支払わなければ。……そして、速攻タイプである為に巫月のカードが手元から消えて、軽く発狂したのは別の話。




咲夜
装備:弱肉強食の理、鬼傑組長の脅嚇、落雷のカード、狂気の月、幸運うさぎの足

エスカルゴ
装備:アイスフェアリー、命のカード、陰陽玉、死穢回避の薬、地底の太陽、幻のカード
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