「────というわけで、カードの代金だ。巫月、緋月、ちと多いんだろうが、まぁカード代金として受け取ってくれ。そうじゃないとこれからカードを使えなくなるらしい」
「「はーい!」」
使用タイプは再使用が出来ず、その他のカードは効果を発揮してくれないのだそう。
するとその直後、代金を渡すなり、即効タイプであろうカードが手元から消えてしまった。しかも、よりによって巫月のカードだ。そして、咲夜さんの手持ちから命のカードが消える。そういえばあれも即効タイプだったか。
「って……ああああああああッッ!?巫月のカードも消えちまったぁッ!?」
「落ち着いて下さい旦那様、子供ですか」
「ああああああああああああああッ!!叫ばずには居られないいいぃぃがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!うううっ……うあぁぁっ……」
「……すみません、少々静かに……」
「えすかるごうるさいっ!」
「はぐぅっ!?」
咲夜さんが口にナイフを、緋月が膝立てしていた俺の腹に蹴りを入れ、俺の叫びを阻止。巫月はただ苦笑いしていた。
お茶を飲み、やっと気持ちも落ち着いた。しかしそれでも、巫月のカードが消えた事へのイライラは収まらない。
「可愛かったのにぃ……うう……。……チッ、写真でも撮っとけば良かった。巫月の可愛い絵だったし……。くそぉ…………」
「ロリな私がもっともっとロリになっちゃった感じだったね。……好き?
「ははは、そこまでになっちゃうともう、フツーの意味でしか可愛がれなくなるなぁ。守備範囲外さ」
「えぇ〜?やっぱりエスカルゴの好みって、分かるようで分かんなーい」
「分からなくて宜しい。……んじゃ、そろそろ俺達は行くよ。またな2人共。近い内にまた来るからな」
「はーい。頑張ってね♪」
「えいえんてーからおーえんしてるねっ!」
「ああ、応援頼むぞ。娘の応援があれば、父さんは頑張れちゃうからな!」
2人の頭を撫で、咲夜さんの手を取りスキマにて妖怪の山の麓へ蜻蛉返り。黒幕も分かった事だし、千亦の元へ直行したい……のだが、まだ真っ昼間だ。都合が悪いことこの上ない。それに、決戦には夜が望ましいだろう。
「さて、ちょっと休憩しますか」
「えっ?まだ来たばかりですよ?それに黒幕らしき存在が居るのならさっさと倒すべきでは?」
「違うんですよ。俺、その黒幕の事を知ってるんで言えるんですけど……そいつが出てくる……というか何て言うんだろ……『流通』の大元が開かれるには、ちょっとした条件があるんですよ。ですので、今はタイミングが悪いんです。条件満たしてないので、会えるかどうかすらも分かりませんし、というより十中八九そいつには会えません」
「……ふむ……もしそうだとしたら、どうします?」
「なので、条件を満たすまで妖怪の山の近くで待機してましょう。幸い魔法の森の中には俺が所有する小屋があります。少し休むにはピッタリですよ?」
「そうなんですか?……ではそうしましょ────」
ニコリと微笑む咲夜さんの背後で、紅魔館が軽く爆発した。TNTでも爆発させたのか、これまでの爆発とはまるで違う爆発の仕方だった。
紅魔館の爆発に気付いた咲夜さんは、ちょっぴり顔を青ざめさせ……小さく溜め息をついた。
「今度は何をやらかしたのかしら……」
「え?誰かによるモンなんですかアレ?久しぶりに姉妹喧嘩した、とかではなく?」
「十中八九……。その……何と言えば良いのか、私もよく分からないのですが……早鬼さんはどうも、暇がお嫌いな様子で……」
「あー、そんな感じしますね」
「ですので、自分から掃除などを手伝ってくれるんですが……時折、力を制御できず何かを破壊する事があるんです……」
「早鬼ってそんな馬鹿力キャラじゃないような?」
「あの爆発の仕方……そう、確か一昨日もあんな感じでしたわ。モップがけですね」
「モップがけのどこに爆発要素がッ!?水とモップくらいしか使わないでしょう!?」
「……
「うわぁ」
そういえば脚力だけで言えば俺達吸血鬼よりは上だっただろうか。そんな脚力で走ったのなら、破壊してしまうのも仕方ないような気もする。とはいえこれは看過できない。
「ですが大丈夫です。パチュリー様が、館に再生の魔法を付与しましたので」
「俺みたいに再生するんですか。紅魔館が……。あ、マジでもう直ってるし……」
目を凝らしてみれば、紅魔館の煙は既に晴れて、そして欠けた屋根も直ってしまっている。またもやパチュリーが活躍しているようだ。
「────ですが早鬼さんにモップがけを指示したのは弦月姫でしょう。私が不在の間はあの子に指示含め全て任せていますから。なので、少し弦月姫に説教してきます」
「え、今ですか?」
「緊急ですから……。その小屋にはお先に行っていて下さい、私も直ぐにあなたの気配を追います」
「は……はい……」
静かな怒りを滲ませた笑顔を見て、俺は、彼女について行くという選択肢が出せず……大人しく彼女に従い、近くの小屋ことヤリ部屋に一人で向かった。
しかしそこに到着して、先程の咲夜さんのように俺も顔色を変える事になる。
なんと結界などが破られ全く隠蔽されておらず、小屋がそのまま出現していたからだ。それに加えてこの小屋の中に誰かの気配が薄らと存在している。技術のある賊が侵入でもしたか。
「動くな手ェ上げろ!!」
「うわぁぁあっっ!?」
瞬間移動で侵入し気配を放つ誰かさんの真後ろに立つ。その子は既に全裸で、風呂を勝手に使おうとしているところだった。
緑髪で少しクセが強めのショートヘアに、少女な体型にミスマッチなちょっと大きめの胸……。もしもにとりなら、鍵が谷間に挟まりそうだ。
そして俺はその緑髪の少女に見覚えがある。
「あッ!クーデターん時の山童!!」
戦車の時のあの子だ。山童を仕切っていたらしいリーダー的な存在のあの子だ。服は着ていないが、顔見知りなので山童だと判断できた。
「わー!お久しぶりですエスカルゴさん!」
「なんで
「何か隠してたっぽかったんで暴いちゃいました!てへっ☆」
「『てへっ☆』じゃあねぇよコノヤロウ!こりゃあ分からせるしかねェな?誰の持ち物に手を出したかその身体に教えてやる……ッ!!」
「ひゃっ!?もっ、ももももしかしてっ!?」
「あぁそのまさかさ、どうする?逃げるんなら今のうちだぜ?」
ミシッと小屋が軋む程の強さで壁ドン。すると、その山童の表情からは驚愕の色が消え、代わりに、ポッと淡い赤に頬を染めた。
「っ……い、イイですよ……?あなたなら……許せますから……///」
「!?」
「あの時……天狗に逆らって全員で撤退できたのも、それに踏み切れたのも……あなたのお陰なので……!お礼って事で、山童を代表して私の身体を……♡」
「へー、真に受けるよ?いいの?」
「エスカルゴさんは無類の女好きで有名ですから、こういうお礼の方が喜んで頂けると思いますし♪」
「あぁ間違いない。金より何より女の子だ。じゃ、ワンナイトラブみたいな感じで……いいね?」
「はい……♡」
「よし。ベッド行くか」
「あ……その前にシャワー浴びていいですか?」
「ノー。それは許さん」
「はぁい……臭くないですか?」
「汗の匂いがする。嫌いじゃない」
「そ、そうですか……」
山童をベッドまで連れて行き、俺も全裸になり、正常位になるよう彼女を寝かせてすっかり勃起した肉棒を挿入しようとしたその時、ピコンとある事を思い付いた。
もし行為を始めたら、忘れてしまったり後回しにしてしまうであろう内容なので、ヤる前に、それを先に済ませてしまおう。
「ヤる前に、名前を教えて。山童と明確に繋がりを持つのって、これが初めてなものでさ」
「そうなんですね。私は山城たかね、山童の中では一応リーダーみたいな立ち位置です」
「そっか。そんじゃま、宜しくね、たかね。でも、次勝手に入ったら……痛いお仕置きな?今回は、少し相手してもらうだけで許すけど」
「は、はぁ〜い……すみませんでした……んっ……」
「おっ……挿入しやすい……」
「すみません、初めてはオモチャのオチンチンに……だってこんな事になるなんて夢にも思ってなかっ……んはぁっ♡♡……お、お腹……
「避妊してないけど許してね?外出しするから足でガッシリすんの無しな?」
「じゃ、じゃあ……そのっ……き、ききっ…………キス、したい……です……♡」
「はいはい」
「っ……らめぇっ、イクッ〜〜〜〜〜っ♡♡」
「!?」
◆
咲夜が紅魔館へ戻り弦月姫を叱り、エスカルゴがヤリ部屋で山童を犯していた丁度その頃。幻想郷の某所……博麗神社では博麗の巫女の子供達がのんびり遊惰に時を過ごしていた。
そんな中、母は異変解決にと少し前に飛び出し、結局3人で留守番していたのだが、今回ばかりは、霊愛も霊麗も異変だとは思えず、母の勘違いを少しばかり疑っていた。
そんな中、末っ子の霊魔が、ボソリとある秘密を漏らした。
「……僕、カード集めてるんだけど……もしかして、ダメだったのかな……」
「は?……霊魔、カード集めてるって言ったの?」
「うん。だってこういうの……集めたくなるでしょ?全種類集めたいなって……カードも安いし……お年玉使って何枚か買えたし……」
幻想郷生まれ幻想郷育ちとは言え霊魔も男児だ。男児にありがちなこういった事にも、少しずつだが霊魔は興味を示しつつあった。
しかし今回は、「博麗の巫女である母が異変だと認定した程の異常事態」である。自分は異変だとは思えずとも、心のどこかでは、これまで異変を解決してきた母の勘、手腕を信じている。
霊愛の判断は迅速だった。
「バカ!お母さんが異変だって言ったんなら、それ疑うにしてもカードは渡すべきじゃん!」
「だ、だって……これ、僕が買ったんだもん……」
「だっても明後日も無いよっ!さっさと寄越しな、お母さんに届けてくる!」
「でも……」
「早くしな、お母さん遠くに行っちゃうでしょ!」
「ゔっ……わ、わかった……」
裾に入れていたお祓い棒で額を突かれた霊魔は、涙を滲ませつつ子供部屋に戻ると、枕の下に隠しておいたカードを4枚取り出し姉に手渡す。
「……これで全部?もう隠してない?」
「うん……これで全部だよ……。よく分かんないけど一度につき1枚しか売ってくれないから、少しずつ売ってる人探して買ってたの……」
「一度につき1枚か。確かに、よく分かんないね。霊麗、霊魔!ちゃんと留守番してるんだよ!」
大量の御札を準備するなり、霊愛は飛び出した。しかし今回、母は行き先を言わなかったので、早速霊愛は何処に向かおうかと迷う事になり……。ほんの少し迷った末、彼女もまた「勘」に頼る事にした。
◆
またまた幻想郷某所。いや、ここはもはや幻想郷ではないかもしれない。世界と世界の狭間、または仙人、あるいはその神特有の世界。「後戸の国」のような異世界に、一柱の神が住んでいた。すると、ある神の血を引いた幼女がたった1人でその世界に侵入してきた。
「こんにちはー」
「……何者?不完全とはいえ、この私の世界に入れるなんて……只者じゃないわね?」
「あなたが市場の神様?……私、表の神様。宜しく」
「表?……裏表とか、表面、建前とか、そういう?」
「ん……まぁ、そんな感じかな」
あくまで無表情で、淡々とした様子で言う幼女。そんな見た目に合わぬ様子に言い知れぬ不気味さを覚えつつ、神としての意地がある千亦も、あくまで堂々とその侵入者に話し掛ける。
「普段なら即刻追い返す所だけれど……ここに侵入、あまつさえ私に話し掛けるなんてね。何故ここに?あなたはどこの誰?」
「あなた『建前』を使ってるみたいだから、遊びに来たんだよ」
「!」
「誰しも建前は使うけれど、神様なのにそんなんで良いのかなぁ……なーんて思ってたりもするけどね。とりあえず、あなたの『建前』は誰にも通じないよって、伝えとこうかな〜って思ってさ」
「何ですって?何について?」
「アビリティカードの件だよ。流通を通して、神の力を取り戻すのがあなたの目的だよね。名目上は、大天狗に協力してる形だけど、あっちは金を儲けることが主な目的で、あなたは自身の強化が目的……。お互いにお互いを利用し合ってるんだよね」
「……確かに飯綱丸は金目的。ビジネスのつもりよ。私はそれにノッてるだけで力を取り戻す?なんて事興味は無いわよ?」
「ふーん、まだ使うんだ。でも、私が能力を使ったから、誰にもあなたの建前は通じないよ。……本当の狙いが誰にも彼にも伝わっちゃう……っていうのは、どんな気持ちになるのかなぁ?明日また来るから、感想教えてね」
「待ちなさい!あなた、何が目的で私の邪魔を……」
「目的?そんなの無いよ。ただの好奇心だし。もし建前が通じない世界だったら……なんて楽しいコト、ちょっとでも考えた事ある?」
幼女は微笑を浮かべてそう言うと、木製のような緑色の扉を開きそれに身を投じ、千亦の前から姿を消した。もう気配も何も無い。
本当に、それだけを伝えにわざわざ来たらしい。
「何なのよ……あの子は……『表の神様』ですって?半神半妖じゃないの……!」
千亦の前に現れたその幼女は、賢者の1人である摩多羅隠岐奈と、幻想郷のハーレム主エスカルゴの間に生まれた娘……摩多羅阿弥だった。
彼女の行動原理はただの興味。何も考えず、感情なんかも感じず、ただ興味だけを漠然と感じ取り、そして、家族や血縁をも巻き込むような、ある種の暴走にも似た手段に出たのである。
山童は、人家に勝手に上がり込み風呂に入るという伝承があります。このお話の元ネタはそれです。
それはそれとして虹龍洞キャラの犯され率エグい。奥さんが少し離れた隙に何ヤッてんのエスカルゴ。脳ミソが股間にあるのかな?
黒幕が分かってるという事で、エスカルゴ&咲夜は一旦休み。視点は他の自機へ。