「お父さんっ!」
「霊愛!……霊夢も!やっぱ来たか、流石だなオイ!まぁた得意の『勘』かよぉ?」
「ま、そんなトコね。……で、その変な服がボスってわけね?」
「遅いぜ霊夢、霊愛!私らの方が早かったな!」
「ほぼ同着よ魔理沙。キャンプしてた分スタートがコンマ数秒ほど遅れてしまったからね」
「キャンプ!?私もやりたい!」
霊夢と霊愛が合流するなり、きゃいきゃいと騒ぐ俺達異変解決組。霊夢のみならず咲夜さん、魔理沙なんかも居るにも関わらず霊愛はデレてくるので、何だか娘が可愛くて仕方ない。
すると千亦はプルプルと震え、こめかみに青筋を立てて唐突に叫び始めた。
「あんた達はここに何しに来たのよバカ〜〜〜〜〜ッッ!!!」
「……バカ?……ヘェ、神様がそんな事言うなんて、面白い事もあったもんだな」
「ちっ、違っ……これはっ…………そうよ、あんた達は市場に来てキャーキャー騒ぐだけだって言うの!?そんなバカ騒ぎするなら市場から出て行きなさい!あまりバカにすると全て
帽子の中からミニ八卦炉を取り出す魔理沙、懐に手を入れナイフを取り出し構える咲夜さん。更に、お祓い棒に霊力を込めて構える巫女達。ならば俺は神の得物を使ってやろうと思い早速スペルの宣言をしてやり剣を召喚する。
「────霊剣『布都御魂剣』」
「……!神の器とか言ってるけどあんたは所詮悪魔!真に神の力は引き出せないのよ!……ッ」
「!?……お、おう……エラくご機嫌斜めだな千亦、どうした?」
「市場でギャーギャー騒いでるからよ!……」
発言した後に、いちいちハッとするような表情をするのは一体何なんだろうか。まるで誰かに操られそう言われてるかのようであり、ティッツァーノのスタンド、トーキング・ヘッドでも取り付いているようにも見える。
「……なんだか様子が変ね。初対面だけど、変な感じなのは分かる」
「さっき、あの変な子供に会ってからよ!思った事だけしか口に出せなくなった!私の考えた通りに、話せなくなってしまった!折角、賊と戦うとき用に考えた口上が台無しだわ!」
「変な子供、ですか?……どういう事ですか旦那様、黒幕はあの神ではないのですか?」
「間違いなくアイツですよ。けど……あの口振りから考えると、まるで裏に誰かが居るかのような……」
「私の裏には誰も居ない!でも、アビリティカードなんかとは関係ない方向で事態が動いてるのは確からしいわ、変な神様まで出てきたからね!」
「お前以上に変な神様が居る……ってのか?ったく、幻想郷はいつから変な奴らの集まりになったんだ?なぁ霊夢?」
「あなたも変だもの、元々よ、魔理沙?」
「は?普段から腋を出している巫女が何を言う」
「ねー魔理沙、それ私にも言ってるよね」
「あー……そうだな、霊愛もそうだな。まともなのは霊魔くらいなもんか。そのせいで逆に浮いて見えるがな、ハッハッハ!」
「ちなみに霊魔の紅白の陰陽玉マークのTシャツは俺が創造魔法で創ったヤツだぜ」
「そうか、相変わらず壊滅的センスで何よりだ」
「は?」
「旦那様のオシャレセンスは少々独特ですからね」
「えぇ……。千亦程じゃあないよなぁ?な、千亦?」
「だからさっさと出てけぇぇえええええ!!!」
顔を真っ赤にさせながら叫ぶ千亦。ここは山の上なのに、その怒号はどこかに反響して返ってくる。肩でハァハァと大きく息をしながら
「だが断る」
「暇潰しにはなったし、恨みは無いけれど黒幕なら倒すだけよ」
「あんたが黒幕ならとっちめるまでよ」
「……以下同文」
「カードの餌食になってもらうぜ!」
試しに弾幕を放つと、俺の持つカード、『アイスフェアリー』の効果なのか、氷の礫がバラバラッと適当にバラ撒かれる。まるでチルノの魔力に身体を包まれるような感覚になるが、どうもこの効果は、チルノをバカにしているように思えてならない。
今のチルノは、こんな無意味な事はしないのだ。あの子は実は頭がイイ。新聞を読んで理解した上で批評するし、これは伝聞だが「死」について考えて悩んだりもする。だからバカではない。
製作者には……まぁ後で文句を言うとして、たとえ八つ当たりだとメグちゃんや千亦に思われようとも一先ず千亦をぶっ飛ばす。それだけだ。
「どっちがよ!私の市場を荒らしに来た賊め、私が自ら粛清してあげる!!」
「おっと、こりゃアレか?サグメや神奈子様が使う御札弾幕?……なら喰らえ千亦、お空のカード!!」
「私もお空のカードだ!『地底の太陽』!」
「『夢想天生』ッッ!!」
「霊符『夢想封印 夢幻』ッ!!」
「奇術『エターナルミーク』」
「おっ……オーバーキルにも程があるでしょおおおぉぉぉおおおおおおお!?」
超火力の前に千亦は弱く、呆気なく吹き飛ばされ姿が見えなくなった。どこかおかしい、呆気ない。彼女自身の力が十全に発揮されていないかのような妙な違和感を覚えつつ、その場を後にした。
しかしその後、龍がこちらに合流しなかった事を不審に思い彼女の捜索をした所、典から彼女が合流
◆
「……ッ!」
次の日。千亦が寝込んでいると、その枕元に緑の扉が現れまだ幼い「表の神様」が出てきた。千亦は彼女を睨み付けるが、その子は何も感じないようにポーカーフェイスを決め込んでいる。
「どーもー、天弓千亦さー……って、寝込んでるし。ま、いいや、来たよ。建前が使えなくなってどんな気分だったか教えてよ」
「あんたのせいよ!」
「何が?」
「全く勝負にならなかった!瞬殺よ!私の発言が、彼らの闘争心に火をつけたから……」
「私は、前以て『建前が使えなくなる』って言っておいたよ?本音しか喋れなくなるんだから心の中でそう考えなきゃ良かったのに……。瞬殺されたのも、自分達が流通させたカードのせい。自業自得……ってヤツなんじゃないかな?」
「
「……ふーん。良いコト聞いちゃった」
「?」
「こういう時……『ありがとう』って言うんだよね。ありがとう、天弓千亦。どこかで会ったら宜しく。ま、もう会う事は無いと思うけど」
「まッ……待ちなさい!まだ話は終わって────」
「私の話は終わった。じゃあね」
布団から出て手を伸ばし彼女に追い縋ろうとしたものの、彼女は無慈悲にもその手を振り払うように軽く蹴飛ばし、コツンコツンと軽い足音を鳴らして扉の向こうへと行ってしまった。
扉が閉まると扉自体が消え、千亦は静かな世界にたった1人、取り残されてしまったのである。