「────問題はどうやって凍魔を探すか、だな。どこに逃げたんだよアイツは……。紫さんに聞けば、何か分かったりするかねぇ」
「私は何も知らないわよ。私も捜索中なの」
「あらま、そうでしたか…………うわぁ!?」
スキマで現れるのはとっくに慣れているが、隣に急に現れるのは本当に心臓に悪い。ましてや普通に返事するなんて。有り得ないくらい驚いた。心臓が弱い奴ならショック死してしまいそうだ。
「び、ビックリさせないでくださいよ、全く……」
「そこまで驚かれるとは心外だわ」
「ったく……。早く凍魔とかブッ殺さないと、娘達も襲われないかと心配で夜も眠れません。なんたって俺の娘達は揃いも揃って美人揃いですからね。母に似てるから……。茜が外に行っているのが唯一の救いですよ、ムカつくけど」
「……殺す目処が立ったのね。流石だわ」
「ええ。例によって何人かに助けられてやっとですけどね。とりあえず奴のアジトを探します。どうせアイツは『寒い所』に居るんでしょうし、案外すぐ見付かると思いますけどね」
「そう……。夢摘霊黄泉の事は知ってるわね?」
「ええ。凍魔から聞きましたよ。奴の発言から推察するに殺しに特化してる能力なんでしょうね」
「そうね。遠隔から、武器も弾幕も当てる事無く、対象の命を奪える。魂を傷付ける事によって……ね」
「へぇ……」
魂がどうのと言うなら、俺ならメタ張れるのかもしれない。だが俺の核も魂なのでそこまででもないかもしれない。ただ、現時点では一番の危険人物と考えて良さそうだ。
「外見だけ教えておくわ。小野塚小町と違い、鎌は一般的な鎌と思ってもらっていいわ。あんな風には曲がってない。ジョジョ3部の
「えっ、何……幻想郷の妖怪の間ではジョジョが義務教育なの?」
「そして奴は、ボサボサ気味の黒髪ロングヘアー。わたモテの主人公よりは長めの髪だわ。目が特徴的でね、だがしかしの主人公みたいに、何重もの円がある感じよ」
「当たり前のように外の世界のマンガで例えないでくれません!?紫さんなら外の文化にも精通してるだろうっていう説得力は無くも無いけど!」
「で、歯はギザ歯よ。グレル・サトクリフみたいな感じかしら」
「黒執事要素まで盛り込まなくていいですよ!?」
「ほら、主人公が悪魔だし?あなたも悪魔だから、ピッタリだと思って♪」
「母さんが黒執事が好きで俺もたまに見てたから、何とか通じましたけどねぇ……」
「人間の頃のあなたは、ウィルに似てるのよね〜。眼鏡と仏頂面
「イケメンじゃなくて悪かったな!!てか、無駄話してる暇も無いんでもういいですか?咲夜さん達を早く助けないと俺の
「待って待って。もう1人の情報も知らないとダメじゃない?」
「!?」
「地獄から復活したのは3人。あなたも知っているその2人に加え、賽の河原の鬼……
「え、待ってください、そいつの存在は映姫からも聞いてないですよ……嘘でしょ、鬼だなんてヤバいんじゃないですか……?」
「そうね。愉于奈はボサボサの金髪を太めに纏めたツインテール。あと分かりやすく言えばロリ巨乳。それから八重歯が見えてるわ」
「!」
「見た目の可愛さに惑わされてはダメよ」
「可愛いのは確定なのか……」
「過去に幻想郷を滅ぼしかけた奴よ。殺しなさい」
「……想像以上にヤバいですね」
「当時は今より里も小規模だった。けれど、そんな人里を半分以上……3分の2は吹き飛ばしたわ」
「なら俺以下か」
「はい?」
「あっ……ほら、日本中逃げ回って間接的に潰したんでしょう?俺……」
「間接的に、ね。実績では彼女の方が上よ」
「ケッ。俺の上に立つ奴なんざ、霊夢1人で十分。なら、そういう意味でも俺が潰さないとですね」
「でも心配なのよね……あなたの好みっぽいからね。見た目だけはね。でも強者が好きらしいから、その辺りも少し気になるのよ」
「強者が好き……あー、早鬼とかそんな感じの……。でも、もう大丈夫ですよ紫さん、俺もう見た目には騙されないんで」
「……信用できないわ」
「だって俺、凍魔んこと、本気でブチ殺しますよ?アイツの見た目、力を解放したチルノと大差は無いですけど……圧倒的に殺意が上回ってんです。チルノだとか咲夜さんとかに手ェ出しやがって……チルノを助け出した暁には即殺します。もう、女の子の見た目には惑わされないですよ」
「……」
怪しむような目で俺を見る。だが、紫さんが俺をこうして疑うのも仕方が無いというものだ。俺ならそうするかもしれない、という疑念があるのも、俺自身、納得してしまっている。
けれど、それによって起こるであろう不利益等を考えれば、俺は奴を殺すしかなくなるのだ。
例えば、モルモーを殺さなくても現時点では問題なんて起きていない。幻想郷で大暴れした実績も、特に無い。アイツは俺を探しに来ただけだ。
だがその賽鬼愉于奈という鬼は、過去に幻想郷で大暴れし、巫女と紫さんの2人がかりで封印されたという実績まであるのだ。
どれだけ見た目が良くても、見逃す理由にまではならないと俺は考える。
「──幻想郷にチルノは1人でいい。そうでしょ、紫さん?」
「……それを聞いて安心したわ。そうねぇ、規格外の妖精は1人で十分だわ」
「なら……さっさと奴を見つけないとですね」
「その件だけど……あなた、よくそこまで落ち着いて居られるわね?ずっと前に……文が囚われた時には、もっと暴れたそうだけど?」
「もし焦って突撃したら……咲夜さんを殺されるかもしれない。俺の行動で咲夜さんの生死が変わる、と分かれば……ねぇ。落ち着かなきゃダメですよね」
「そう……成長したのね」
「しましたよ、少しはね」
「それなら良かった。今のあなたは少しだけ大人に見えるわ」
「えー……俺、いつまでも子供で居たいなぁ」
「何を言ってるのかしら、15児の父が」
「子供に子供が居たっておかしくありませーんだ」
「いやおかしいでしょ……」
そんな会話をもう少し続け、俺と紫さんは上空で別れる。どうやら彼女は黄泉の捜索をするそうだ。そして彼女を確実に殺せるツテがあるらしく、発見次第その者に黄泉を殺させるそう。
何となく、物騒な事になってきたなと思ったその瞬間……まるで雷霆で身体を貫かれたような衝撃が、頭に走った。そして、凍魔の居場所を掴める方法が漸く俺にも分かったのであった。
凍魔編では、チルノが雪ん娘とも言われてた理由をこじつけてみました。
スノーボールアースを実際に体験してそうな発言、恐竜を知っていそうな行動なども、ある程度理由が書けたのではないかと思います。
原作で描かれてない部分を二次創作で補うってヤツですね。