人気投票、もう少しですね。早鬼組長に清き一票をお願い致します。俺はまた幻月がイチオシになると思います。めっちゃ迷いますが、旧作原作キャラが半々になるかなと。
霊夢が1位になる事を願って……。
久しぶりの方はお久しぶり、初めましての方々は初めまして。紅魔館の主レミリア・スカーレットの娘、レイチェル・スカーレット。身近な人達からはレーテと呼ばれてるわ。
という訳で今回は、ちょっとばかり影が薄めの、
「エスカルゴの八女」ことこの私、レイチェルの、いつも通りの日常を皆様に紹介致しますわ♪
「おはようございます、お嬢様、レイチェル様」
「おはよう、咲夜」
「おはよー!」
お父様が居ない日の夜は、お母様と2人で寝る。起こしに来るのは毎度お馴染み紅魔館のメイド長。十六夜咲夜メイド長。たまには私のお姉様、十六夜弦月姫も起こしに来るけど、大体はメイド長本人が私達を起こしに来る。
「ねー咲夜、今朝のメニューは?
「勿論ですわ。今朝も、レイチェル様のイチオシの
アレと言っているのは、アレだ。私の大好物の、目ん玉焼き。これは、私がまだ小さい頃にお母様の妹、フランドール叔母様から「めんたまやき」だと言われたので、それ以来はずっと、「目玉焼き」を
「目ん玉焼き」と呼んでいる。
叔母様はふざけて言っていたらしく、今は普通に
「目玉焼き」と言っているものの、私の脳内には、すっかりこの呼び方が定着してしまった。今更矯正なんてできないので、もういい、どうにでもなれと思ってる。
「お嬢様もレイチェル様も、相変わらずお目覚めがいいですわね。愚女にも見習わせませんと……」
「弦月姫お姉様はお仕事頑張ってるんだから、もういいじゃない。これ以上厳しくしたら、離反されるかもしれないよ?」
「フフ、そうよ咲夜、レーテの言う通り。あなたは少し娘に厳しすぎる。もう少し優しくしてあげてもバチは当たらないんじゃないかしら。今のままでも十分な働きはしてくれている……というよりあの子は働き過ぎなくらいなんだからね?」
「私が厳しいのではなく、お嬢様方が優しすぎるんですわ。副メイド長たるもの常にしっかりテキパキ行動できるようにしませんと」
「……福寿草の薬膳茶を淹れるあなたに言われたくはないと思うわよ、あの子も……」
「福寿草?薬膳茶?……ああ!お嬢様が『血らしさは皆無だ』と仰っていた、あの……!」
「あんなにも美味しくない茶は、後にも先にもあの福寿草を煎じたアレだけよ」
「ふふ、恐縮です」
「褒めてないから。とにかく娘に変な事を吹き込むような事はしないでね」
「勿論です」
「……信用ならないわね……」
咲夜はちょっぴり天然だからなぁ。トリウム崩壊系列は知ってるクセに、基本的な元素である酸素をパッと思い出せなかったり……。
応用は勘でできるのに基礎ができないパターン。なんというか、咲夜はそんな感じがする。
「そうだ。ねぇねぇ咲夜、お母様。今日はお姉様に休暇を取らせましょ?もうずっと、弦月姫お姉様と遊んでない気がするの」
「そういえばそうよね。とはいえ、もう朝の業務は済ませてしまってるだろうし……まぁいいわ。咲夜、彼女に今日は休みの旨を伝えておいて」
「承知しました。では私はこれからクライミングに行ってきますね」
「……休暇は弦月姫ちゃんだけよ?」
「あらら、私はお仕事ですか?」
「いつも通りね。というか今はクライミングなんてしちゃダメでしょ、もっと身体を大事になさい」
「臨月にならないと産休は取れませんもの……。まだそこまで膨らんでませんし、大丈夫なのでは?」
「止めときなさい。凍魔の件もあるし、前回よりも身体には気を付けなさい。業務命令よ」
「……かしこまりました」
確か、咲夜は凍魔とかいう氷の妖怪か何かに全身凍らされた上に、凍魔のアジトのある紅蓮地獄って所まで運ばれたんだっけ。
お腹の子は大丈夫らしいから安心だけど、どうせ生まれても私と遊ぶ機会は殆ど無いんだよなぁ……。
弦月姫お姉様もそうだけど、咲夜の子供は何故か紅魔館の労働力になるのが確定してるっていうか、なんて言うか。
生まれても折角の姉妹、姉弟なのに全く関わりが無さそうで一緒に暮らしてる感じもしないし、姉、弟という感じもしない。お母様、お父様、咲夜には悪いけど、なんだかなぁ。
「……私っ、遊んでくるっ」
「分かったわ」
「お気を付けて」
最近の遊び相手は専ら美鈴か早鬼だ。お母様は、早鬼は妊婦だから程々に、と言ってくるが、お腹もまだ大きくないので大丈夫だと思ってる。早鬼も、そう言ってたんだから。
「早鬼〜っ!」
「おおレイチェル嬢、どうした?また
「うんっ!遊ぼ!!」
「よーし、じゃあ外に行こう!」
「おーっ!」
お父様のお母様の能力で、吸血鬼特有の弱点の、日光の弱点は私には無い。だから、安心して昼間の野外で遊べる。
弱点を無くせるような人との繋がりがあるなんて凄いと思う。お父様には、そこも感謝しなくちゃ。異変なんて起こさなくても子供達がのびのび遊べるようにって、こうしてくれたらしい。優しい両親に恵まれて私は幸せだ。まぁそんな事は、お父様にもお母様にも言わないんだけど。
「よーし、掛かってこい!」
「うん!いっくよぉ!!」
お母様がグングニルを出すのと同じように、私は斧を出す。手斧じゃない。大きくって、長い斧だ。そして左右両方に刃が付いている。お父様はこれを
「大戦斧」って呼んでたっけ。
「たぁっ!!」
「フッ、相変わらず素早い……ッ!」
私が斧を右から左に振るように構えていたから、早鬼は私から見て振り下ろされる側、左側に流れるように回避する。
そのまま私が通り過ぎた所で早鬼は私の背中側に回り込み、追撃を仕掛けてくる。早鬼の得意技は、足技。そしてその他の下段技。
私は背が低い。だから、早鬼にとっては下段でも私には中段だったりする事もある。その為、下段の攻撃の回避は実はそこまで難しくない。
「ハァッ!」
「ッ!……よーしっ、いっくよー!!」
「しまっ……」
「『炎獄一振』ッ!!」
早鬼の蹴りは、全身を蝙蝠に細分化して回避。
大戦斧の柄の端を両手で真上に掲げるようにして持ち、空中で前転を始める。私の大戦斧は炎を纏いそして私は急降下し、早鬼に襲い掛かる────!
「速いな……だが効かんッ!」
「……!!」
確かに私の唯一の技、「炎獄一振」は直線にしか進めないし、方向転換も出来ないような技だけど、まさか、こんなにも簡単に避けられるだなんて……。これまでの「遊び」では技を隠していたのに。
「んぐっ」
ドカァッと地面に小さな穴をあけて、私は着地。立ち上がり攻めようとしたけど、早鬼は踵落としを私の頭スレスレで止めていた。
「ふぅッ……こんなモンか。どうだレイチェル嬢よ、私は強いだろう!」
「う……ん…………流石だね、組長さん」
「ふっふっふ……!だが、お前のその素早さは本当に大したものだよ、幼子だとは思えない!うちの組員よりも速いぞ?自信を持っていいかもな!」
「そう?えへへ、ありがと……♪」
子供相手にも容赦ない。けど、そんな早鬼が私は好きだ。寧ろお母様だとか咲夜、叔母様みたいに、絶妙に手を抜かれる方がどこか嫌な気持ちがする。なんか、私に花を持たせようとしてくるというか、そんな感じの。
「あーあ、次は何して遊ぼっかな〜」
「そうだなぁ、隠れんぼでもするか?」
「2人は寂しいよー。あ、お姉様に休暇取らせたんだった。お姉様も混ぜて3人で遊びましょ!」
「おっ、イイねぇ!って、お姉様って、もしかして弦月姫かな?」
「うん!」
「おお、来たぞ、弦月姫が。ナイスタイミングだ♪おーい弦月姫ぃ、こっちだこっちー!」
「早鬼さんっ!?あ、レイチェルっ!」
「お姉様ぁっ!」
相変わらず、仕事着のメイド服なのは変わらないけれど、お姉様は私達の方に笑顔で駆け寄ってきてくれた。お姉様も遊びたかったらしい。
「おねーっさまっ!あっそびーましょっ!」
「は〜ぁ〜いっ♪」
今は、弦月姫お姉様ですらもお姉様という感じはあまりしない。それでも、こうして一緒に遊んだりしていけば、いずれお母様と叔母様みたいな、姉と妹という関係になれると思う。
だから私はこれから「当主の娘」の権限を弦月姫お姉様と遊ぶ為だけに使おう。そうすれば、早めに仲良くなれそうだから────。