※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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傲慢の悪魔

「傲慢の悪魔・ルシファー……殺す」

 

「クク、殺れるものならな」

 

「オメーは斬首刑だよッ!」

 

 妖魔雷霊剣に雷を纏わせ、ルシファーへ向かって一歩を踏み出す。パワー、スピードは俺の方が上。逆袈裟に振り上げれば流石の大悪魔も────。

 

「遅いな」

 

「ッ!?」

 

 ルシファーは、高速で振り抜かれる剣の腹を軽く叩き、剣の軌道をほんの僅かに変える。更に一歩、いや半歩のみ下がった彼女は、剣先を僅かに腹部に掠らせたのみで俺の斬撃を回避した。

 

「アレを見切るか…………でもよ!これならどーだ!召喚『武器庫の解放、出血大サービス』ッ!!」

 

「なに、空に穴が……!?」

 

「さァて、さてさてお立ち会い!只今より幻想郷に降り注ぎますは得物の雨!術者以外は触れる事すら叶わぬ、まさに神器に等しき武器なりィ!!」

 

 槍、戦斧、刀剣類がバラバラと降ってくる。当然ルシファーは空を見上げて回避に専念するが、俺は違う。

 このスペルで降らせる武器は、昔からお馴染みの雷武器シリーズ。つまり、俺に当たっても、怪我はしても感電はしないのである。地面に刺さった物はその都度拾っては壊れるまで使い回せるし、武器の雨の中で好きに動けるのは術者のこの俺だけというアドバンテージが何より大きい。

 

「なッ……自分にも刺さっているんだぞ……!?く、狂ってる、この男ッ!!」

 

「バァカ、俺ァ正常だよ!世界も時代も越えてまで暴れるオメーらの方が、よっぽど狂ってらァ!!」

 

 こんな奴を相手に俺の剣を使うまでもない。俺は妖魔雷霊剣を仕舞い、その辺に刺さっている雷武器シリーズを適当に手に取りつつ肉薄する。

 

「オラッ、槍投げェッ!!かーらーのー、雷銃操法

『スパークショット』!!」

 

 右手で雷槍を投擲、左手で銃を乱射。弾の電力はこの上なく引き上げてあるので、まともに触れれば感覚を失う所ではないだろう。

 

「ぐあぁあっ!?……ぎ、あ、あ゙ぁっ……!な、にがあった……ッ!?」

 

「ヘヘッ、俺の電撃は神レベルなんだよっ!もっと出力上げられたら尚良しなんだけど!」

 

 被弾した部位は消し飛んだ。ルシファーは右手の指を数本と、左腕の肘から先を喪失。再生力が俺に劣るようでは失血死もしかねない。押すなら今だ。

 近くの槍を拾い、多量のエネルギーを送り込んでサイズアップ。槍を長くさせ、その勢いのまま敵の土手っ腹をぶち抜く。

 降り続ける武器に身を貫かれ、俺の手により手も腹も肉を失い、血肉を撒き散らしたルシファーは、遂に奥の手を行使した。

 

「初めて、だぞ……私が、個人との戦いで……本気を出すなんて……!!」

 

「……竜の鱗は硬いって、マジなんだなぁ」

 

 白い光に身を包むとルシファーは竜に変身した。すると俺の武器をカンカンと弾くようになり、全く

刃(・)が立たなくなってしまった。銃で撃ってみるも、威力を上げた弾幕すら通じない。

 

「ふんッ、その程度か!!」

 

「さっきまで押されてたクセに良い気になるなよ、みっともねぇ。それに、なんなら殺せる手はある。俺は勝負を楽しみたいだけなんだ」

 

「それが傲慢なんだ、それが!!喰らえッッ!!」

 

「!!」

 

 ドラゴンボールの神龍のような喋り方をする変身ルシファーは、口を大きく開けると氷の槍を飛ばし攻撃してきた。赤い竜なのに炎じゃないのかと少し意表を突かれたが、腕を犠牲にして顔面への被弾は最低限に抑えた。

 凄まじい貫通力だ。腕を貫いても尚その推進力は中々衰えず、顔の一部に穴が空いてしまった。

 

「あーもー、痛いじゃあないか!!」

 

「ほざけ!!これなら避けられまい!!」

 

「────ッ!?」

 

 先程と同じように氷の槍を放つルシファー。だがその密度は先程の比ではない。しかも速度が酷い。目にも留まらぬ速さという程ではないが、吸血鬼の目を以てしても残像にしか映らないモノもチラホラあるのだから恐ろしい。

 密度、速度はそうだが、更には範囲が酷い。俺を決して逃がすまいとする、この超範囲。これでは、もはやブレス攻撃だ。

 

「……あッ!?」

 

 俺は雷武器シリーズで槍を撃ち落としているが、俺の射程範囲外の槍は、当然ながらそのまま進む。するとあろう事かパチュリーのバリアに刺さった。通り抜けこそしなかったが、刺さってしまった。

 

「……!ほう!その結界の強度は、私の攻撃力よりも下らしいなぁ!!……はあああああああッ……」

 

「おいおいおいおいおいおい…………!!」

 

 口を大きく開き口内で氷の槍を大量に生成する。俺を殺すつもりではない(・・・・)のは明白だ。奴の狙いは、そう、俺の背後にある紅魔館。パチュリーのバリア諸共、紅魔館を吹き飛ばす算段なのだ。

 

「ざっけんじゃあねぇぞ、このッ……!!こうなりゃもう……!大魔法『巨人化魔法(メタモルフォーゼ・イェーガー)』!!」

 

 俺自身を巨人とし、肉の壁を作るまでだ。ただ、あまり痛みがあまり来ないよう、神経は最低限しか接続していない。流石にこの面積での大量被弾は、流石の俺も痛みで身体を動かせなくなりそうだ、と予感したからだ。

 

《袿姫ッ!》

 

《任せて!》

 

「巨人『守備特化兵器・鎧』!!」

 

 残り少ない魔力を更に分割。片方は巨人化維持に消費し、もう片方で鎧の巨人を2体生成し、袿姫が魄を込めて自我を与えてやる。

 そうする事で自我を持った鎧の巨人は俺の両脇に構えて俺では防ぎきれていない所を防いでくれる。これで、正面からの攻撃は100%受け止められる。

 

「喰らえッッ!!」

 

「受けろ鎧ィッ!!」

 

 とてつもない狂飆(きょうひょう)と共に放たれた氷の槍は、その凄まじい風の勢いを受けて更に速度を上げ巨人体に刺さっていく。

 肉に刺さり、骨を砕き、背中側に飛び出る頃には槍の勢いは落ちている。しかし中には大して勢いが落ちる事なく、更に足や腕の隙間を通ってしまった槍がある。

 それらはバリアを貫通し、紅魔館に届────。

 

「流石に守りきれねえか……!?」

 

 パチュリーのバリアでさえ刺さったという事は、俺の結界なんかでは、紙切れ同然の守備力しか発揮できないのは明白。だから肉体で受け止めるという結論に至ったのだが、肉体だと、股下や脇下などの隙間ができてしまうのは誰が見ても明らかだった。隙間無く守ろうとしても、そこまでの余力も無い。錬金魔法より巨人体を創る方がマシだったからだ。

 巨人体との神経接続を解除。肉塊の中で分離した俺は、館の前へ瞬間移動。残り少ない魔力を使い、一か八かの賭けに出た。館、そして館の皆を同時に守る為の賭けだ。

 

「時符『キング・クリムゾン』ッッ!!」

 

 紅魔館の外壁に手で触れ、唯一まともに使えると言っていい時間魔法を発動させる。残り魔力を殆ど投げ打ってのキンクリだ。俺は、何が何でも賭けに勝たなくてはならない。

 時間関係の魔法や能力は、手で触れている物体は影響を受けないのが定番だ。だから咲夜さんは時が停止した世界でも掃除ができるし、料理もできる。

 そして瞬間移動の際、術者に触れていれば一緒に移動可能なのと同じ事。

 今、紅魔館は俺と同じように「世界の観測者」になっている。現実からの干渉を受けずどんな攻撃も完全にすり抜けてしまい、「氷の槍が紅魔館を貫くことはなかった」という、結果だけが残る(・・・・・・・)。

 当然、紅魔館の中の者も。

 

「何だと……攻撃がすり抜けたッ!?」

 

 だが俺の魔力はもう切れた。活動限界に達する、その前に────どうにかしてルシファーと決着をつけなければならない。

 

「ならばもう一度だ……!!喰らうが────」

 

「災厄『終末の稲妻(アポカリプティック・サンダー)』ッッ!!」

 

 雷神系統のスペルの上位の、『龍雷閃』の更なる上位互換のスペルを発動。雷の出力はとうに限界に達している。これは弾幕ごっこで使えない。当然、密度は不可能弾幕。何より、殺傷力が極めて高い。なので「ごっこ」では使えない。

 スペル名にある通りまさに「終末」を迎えさせるような落雷。地面に小さなクレーター群を作っては土煙を上げている。

 

「うごああああぁあぁっ!?ぐ、ぐあ、あぎゃあああああぁぁああっ!!」

 

「変身したのが災いしたなァ!デカくなったらよ、的がデカくなるだけなんだよ、バァ〜〜〜カ!!」

 

 雷神レベルの電撃には流石に耐えかねたか、姿は竜のまま、ズズーン、と湖畔に倒れ伏した。あとは命を刈り取るのみ。何も躊躇う事はない。

 

「なまじ耐久力があるせいで、余分に雷落とす事になっちゃったじゃん。お前のせいで大地がボコボコだよ、どうしてくれんだ?」

 

「お……前が、勝手、に────」

 

「はいはい。そろそろ昇天致しましょーねぇ。一閃

『Mishap of Thunder』!!」

 

「な……な、な…………何故、お前はっ……そんなにも、殺戮を楽しめる…………!?何故ッ……!お前のような悪魔は、この私でも、見た事が…………」

 

「人生、何事も楽しまなきゃ損だ。YOLO(ヨロ)*1♪」

 

 そう言ってやると、拡大させた魔法陣から一発の雷を召喚。赤き竜の頭部を撃ち抜き、ルシファーを撃沈させた。

 生死不明。変身が解除されればと思うが果たしてどうなっているのだろうか。

 

「生きてっか?……死んだら消えるだろうと思ったんだけど……まさか、竜形態のままで死ぬと、そのまま死体が残るの?マジックアイテムの素材とか、抽出できるかな?もし出来るなら魔理沙に融通したいがどうかな……とりあえず報告すっか」

 

 ルシファーは答えない。相変わらず生死不明だ。触れてみても、硬いし冷たいし心臓が動いているかどうかすらも分からない。

 破壊する前にレミリア達に戦果として見せよう。レミリアも、少しは褒めてくれるに違いない。

 

「レッミ〜レミレミ〜、レミリアお姉〜ちゃ〜ん♪フンフフンフーン♪……」

 

 意気揚々と紅魔館へ向かおうとしたその時。背に凄まじい衝撃が走り、俺の身体は前方──紅魔館の外壁に叩き付けられた。

 

「ガフッ……!?いってぇえええっ……鼻の骨は反則だろ!?クソが、やっぱ生きてたんかよ!!」

 

 どうやら俺は、テールアタックで吹き飛ばされたらしい。背骨にも一瞬ヒビが入った。鼻の骨は砕け歯は折れ、全く酷い目に遭った。そうだ、これは、勇儀に殴られるのに近い痛みだと思う。

 

「クク、あれしきの雷でこの私が死ぬとでも……!?雷は神の得物、あれしきの攻撃なら神との戦争時に無数に喰らっている!!死ねいっ!!」

 

「また氷の槍……いやっ、これは────」

 

 炎のブレスだ。まさか、今度は炎の攻撃が──。氷に加えて炎も使えるだなんて、属性過多にも程がある。流石はルシファーと言わざるを得ない。だがもう俺には勝つビジョンしか見えていなかった。

 

「今度こそトドメだ。魔剣『妖魔雷霊剣』────

『魔界断裂斬』ッ!!」

 

「フンッ、斬撃などこの私には効かかかかかぁっ……がああああッ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!?」

 

「……言ったろ。オメーは斬首刑だよ……って」

 

 千切れるようにボトリと落ちた竜の首。それでも喋れるなんて、よく分からない身体をしている。

 しかし、脱力はしてきているようだ。今度こそ、確実に命を刈り取れたらしい。

 

「お、の、れぇっ……おのれえええええええっ……」

 

「魔界の大地すら割れる俺の斬撃、舐めんな?魔界最強剣士直伝の技だ。まだ下位互換レベルだけど、夢子の技、効くだろ?」

 

「…………ゆ…………る……さ………………な………………」

 

 満足に最期の言葉も遺せず、ルシファーは蒸発。この消え方は、本当に死んだようだ。

 聖書などにも、ルシファーが不死身という記述は無い。きっと蘇る事なく消えてくれたことだろう。これで、大手を振って紅魔館に帰れる。

 

「レミリア〜♪」

 

「こら。お姉様、とお呼びなさい?」

 

「あ。……お姉様、勝ったよ」

 

「ええ、見てた。よく頑張ったわ。よしよし」

 

「!……へヘヘッ……♪」

 

 残る大罪は5つ。果たして、彼女らの標的は誰で今は何処に居るのだろうか。残りの奴も俺が狙い、なんて事は流石に無理があるだろうし、きっと他に狙われている子が居るはず。どうにかしなくては。

*1:
You Only Live Once.の略。人生一度きり、という意味。その「一度きりの人生」を奪う者のセリフとは思えない。




傲慢の悪魔・ルシファー
能力1:変身する程度の能力(仮)
能力2:傲慢を司る程度の能力(仮)
「傲慢」を司る悪魔。
カリスマ性があり、七つの大罪の長のような存在。
元天使で、神に逆らい敗北。堕天した。ギリシャの大悪魔エリスとは外の世界にて知り合った。
傲慢に対応する美徳は謙虚。

謙虚:自分を偉いものと思わずに、素直に他に学ぶ気持ちがあること。(Google)
この条件で言うならエスカルゴも謙虚ですね。
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