「はたてさん、少々お時間宜しいでしょうか……!」
「なぁに、穹ちゃん?」
「明日、私、各家庭に取材に行く事になっているのですが……その……」
「ふむふむ?」
「昼の間だけで十分ですので、父上の動向を探って欲しいのです……ネタ集めといいますか、何処で誰とどのような事をしたかを記録して頂きたくって……」
本来、自分のネタは他人に委ねるべきではない。その上、穹のこの願いは早い話が取材代行である。およそ記者として失格な発言。
先輩記者のはたては、後輩記者の穹に対して色々言いたい事があったものの、それは母である文にも散々言われているであろう事は確実だし、そもそもこうして頼ってくれた事が、何よりも嬉しかった。
標的を常に追うような内容にしておきながら他に取材の予定を入れるこの無謀さは、言わずとも身に染みて思い知ってくれただろう。はたてはそう思い後輩の願いを快く聞き入れてやる事にした。
「1日も逃したくないならそうなる、か。成程ね。朱美ちゃんとか弥生ちゃんには頼んでみた?」
「う……。そ、その…………友人達を押し退けてまで、私が勝ち取った訳ですから……頼むに頼めず……」
「あー……そりゃ言い難いよね。分かったわ、明日は私がエスカルゴさんをストーキングしたげる」
「ありがとうございますっ!……って、ストーキングじゃないですよぉっ!」
「ふふ、反応がワンテンポ遅いわね。そんなんじゃ文にはまだまだ及ばないわ」
「うぎぎ……」
「で、エスカルゴさんは今夜はどこに?」
「あ、はい、今夜は確か……博麗神社、ですね!」
「うーん、博麗神社か……明日の夜は?」
「ローテーションで言うと今日が姉上の日ですし……明日は私の家ですね!」
「穹ちゃん家に泊まる日の、エスカルゴさんの昼の大体の動向を教えてくれる?」
「それが……予測も不可能な程にマチマチなのです。人里に遊びに行ったり、異世界に移動してみたり、彼女や他の子供達に会いに行ったりする上に、この妖怪の山で遊ぶ事も多々あります」
それを聞き、はたては軽く頭を抱えた。そんな事聞かずとも分かっていたはずだ。彼女の父は誰より顔が広く、そして関係を持った女性は両手両足の指なんかでは足りないくらいだ。
世界広しと言えど異世界の住人にまで手を出して好き放題にしているのは彼くらいに違いない。寧ろ動きを予想しようなどというのが無謀だった。
「そりゃ予測不可能だわ……。というより、あの人の行動を予測しようってのがまず無理だわね。各所に関係を持った女の子が居るし……行動範囲も顔も広いあの人じゃあねぇ……。穹ちゃんも、凄い茨の道を選んだわね」
「……はい……」
「穹ちゃんの『蒼穹新聞』は標的を追う作風だし、逐一標的を追って記事にするなら、取材はしない。ネタを数日、いや数週間分くらいは溜めて、尚且つ執筆活動に余裕が出てきてから、取材する。まっ、今回こうして私にお願いに来るくらいだしさ、私に言われなくても身に染みて分かったでしょ?」
「はい……。無謀でした。ストックを確認し、予定も考慮して取材を入れるべきでした」
「そうね。今回は助けてあげるけど、次はダメよ?次も頼んでくるようなら……文に言っちゃうね♡」
「ひぇええええっ……そっ、それだけは!!」
「文、キレると怖いから気を付けてね」
「はひっ……」
「穹ちゃんは取材に集中しなさい。昼だけと言わず1日中私が彼を追うわ」
「……!ありがとうございますっ!!」
◆
「追うならやっぱ朝からよね。朝からのサンプルも記録しとけば、穹ちゃん察しがいいし、アドバイスなんてしなくても察してくれるわよね」
翌日、私は朝から博麗神社付近に陣取っていた。可能な限り気配を消し視認可能なギリギリの距離を取ってだ。
視力はエスカルゴさんの方が上。なので、もしも姿を見られれば、
「あッ……ちょっと、もうっ……朝からはダメって……あぁんっ♡」
「イイだろ霊夢、子供達はまだ起きて来ねぇし……!」
「そーゆー問題じゃ……はぁんっ♡ あっ、あんっ♡ いきなり激しっ……んあぁっ♡♡」
「……朝からエッチとか、どんだけよこの夫婦……」
早朝、エスカルゴさんと霊夢さんは起きがけにもエッチ。その後、割と普通の生活に戻り、子供達に戦闘訓練等を施した後、昼前に彼は神社を出た。
私はそれについて行く為、空腹も我慢して、彼を追う事にした。
「おーっす、来たよばんきちゃ〜ん」
「ばんきちゃんって呼ぶな……!!」
(……変装無し!?)
どうやら彼は、妖怪の姿のままで堂々と飲食店に入って行った。しかも、霊夢達に向けるのとはまた異質な、妙に明るい笑顔を店員に向けている。私も惹き込まれそうだ。今すぐにでも話しかけたくなるような、そばに行きたくなるような……。
更に、その店員も妖怪らしい。彼同様に、それを隠そうともしていない。彼女が少し目を離している間に里は随分様変わりした。こんな美味しいネタがあるのを見逃していたとは、しまった。
一先ず、2人のやり取りを見る為に人間に擬態し同じように入店した。店内では赤蛮奇の頭が幾つも浮いていて、それぞれ何かを運んでいる。
トレイだのコップだの注文表だの……。慣れている客は普通に接している。対して、見慣れない客は、浮かぶ頭にギョッとしていたりするものの、周囲の反応から察して、変に騒ごうとはしていない。
店の雰囲気も異様だが、そんな店に集まる客も、変人ばかりという事なのだろう。
「注文はねぇ……うん、俺ァいつも通りで頼むわ」
「分かった、スタミナ定食ニンニクマシマシね」
「そそ、頼むぜ」
「……ニンニク削るの、疲れるんだけど?」
「はは、そりゃごめんな。でもばんきちゃんの手で擦り降ろされたニンニクだと思うと、後の事なんざ気にならねえくらいパクパク食いたくなんのよ」
「バカ……ホントコイツ嫌い……ッ///」
嫌いと呟く彼女の顔は、見るからに照れている。周囲の客はこんな2人のやり取りをどんな目で、と思って周囲の客を見てみると、ほんわかした顔で、2人のやり取りを見守っていた。
何だか調子が狂う。あんなのは「他所でやれ」と思い、鬱陶しく感じるのが普通だと思うのだが。
更に「いつも通り」で通じる程に入り浸っていることから考えると、あのような2人のやり取りは、もう日常茶飯事なのかもしれない。
「すみませーん」
「はーい」
フヨフヨと頭がやってきた。注文は専ら頭が担当しているらしい。本体は厨房に行ってしまったのでこの頭から色々聞き出すしかない。
「あの、失礼なんですが、店員さんは妖怪さん……?なんですか?」
「ろくろ首の赤蛮奇。宜しく」
「ろくろ首……成程……?」
ろくろ首というよりは飛頭蛮だと思うが、まあ、そこは別にどうでもいい。
そこで、軽く取材させてもらったが、この店長が妖怪に寛容なので、敢えて妖怪の力を奮って業務に当たっているらしい。
因みにエスカルゴさんとの関係については……。
「あの翼の人とはどんな関係で……?」
「……まだ付き合ってないよ。店員と客、それだけ」
「
「で、でも付き合う気は無いからっ!べべ、別に、あんな彼氏が居たって仕事の邪魔なんだからッ!」
成程。エスカルゴさんが赤蛮奇にアプローチ中。そういう事なのか。傍から見ているととうに堕ちているように見えるが、本人は照れつつ否定。これも良いネタになりそうだ。
「ありがとうございました。……またね」
「おう。また買い物とか行く時は誘ってよ」
「うん……そうする」
いやいやそれはデートだろう、と内心ビビった。エスカルゴさんから言うならともかく、赤蛮奇から誘った事があるだなんて……。自覚していても尚、デートだとは認めたくないのだろうが。
◆
店を出たエスカルゴさんは、妖怪の山へ向かう。昨日、穹ちゃんが言ったように、妖怪の山にて遊ぶつもりらしい。
時折スキマや魔法を行使しては人探しを続けて、やがて秋姉妹の片割れ、秋穣子様と合流。そして、すぐ野外での性行為に移った。
「あ゙んっ♡ はっ、あ゙っ♡ あぁっ♡ イクッ……あ♡ヤバいよぉっ♡ お外っ、でぇっ♡ エッチすりゅの♡好きっ♡ 好きぃぃっ♡♡」
「外でヤるのが?じゃあ、俺じゃなくてもいいの?その辺の天狗ともエッチしちゃうんだ?」
「しにゃいぃっ♡ こんな事っ、あなたとしかっ……♡あっ、はぁぁんっ♡ ふあぁっ♡♡」
彼は妖怪の山に入り浸っている。時間帯による、天狗達の哨戒が手薄になる箇所などをほぼ全て把握しているらしい。
とは言っても、彼が「山の英雄」などと呼ばれるようになったあの事件以降は、警備が手薄になる所なんて、ほぼほぼ無いに等しいのだが……彼はその、ほんの僅かな隙間を縫って、こうして野外プレイに勤しんでいる。
それをこうやって見て、聞いていると……妙だが、子宮がキュンと疼くような感覚に襲われる。
「ッ……こんなの見せ付けられて、いい歳した私に、我慢しろっての!?無理でしょ、交尾なんて鴉時代しかしてないし!ここ1000年近く、ずっとご無沙汰だっつーのよっ……!!」
見るついでだし、とばかりに股間に手を伸ばす。布を掻き分け、割れ目を開いて指を滑り込ませる。
にゅるんっ、と一気に奥まで挿入すると、全身がぴくんと跳ねるのを感じた。木陰に隠れ、木に左の半身を預けるようにして、くちゅくちゅっと水音を立てながら指を動かし、膣内を刺激する。
ゾクゾクッと強めの電流が走り身体の跳ねが全く収まらない。
「んひっ……あっ、あんっ♡……ふっ、うぅ……はぁ♡はぁ♡ ふぐっ……うぅ……あんっ……♡」
イけそうでイけない。2本目の指をも挿入するがこれでもイけそうにない。激しくしてもゆったりと動かしても、ダメダメだ。
一方、エスカルゴさんと穣子様は……。
「
「イクゥッ♡ はあぁぁんっ♡ イクッ、イクぅぅっ♡ああっ♡ あっ、ああっ……はあぁぁ〜〜〜んっ♡」
達したようだ。当然、私は……。
「はぁ……うわ、パンツぐっしょぐしょ……。うー、エスカルゴさんも早く家に戻ってよぉ……」
私のそんな願いは虚しくも聞き入れられず、あの2人は2回戦に突入。ついでだ、私がイけるまで、アレをオカズにしてやろうと試みるも、やっぱり、私はイけなかった。
やがて2人は甘々な事後トークに……かと思いきや何やら様子がおかしかった。
「……ねぇ、エスカルゴさん?お姉ちゃんとも関係を持ってるって、風の噂で聞いたんだけど……本当?」
「そうだけど……あれ、言ってなかったっけ?」
「聞いてない」
「あれ、そうだっけ。ごめん。静葉とは、穣子より早く関係を持ったよ」
「……そっか。じゃあ……私と関係を持ってからも、お姉ちゃんとエッチ、した?」
「ああ」
「……何でよ。何でッ、私が居るのにお姉ちゃんともエッチするのよっ!?しかもそれを隠してるなんてサイテーだよっ!」
「ごめんって……隠してるつもりは無かったんだよ。てっきり静葉から聞いてるかと……」
「性の話なんてしないわよ、幾ら姉妹でも!でも、私が怒ってるのはそこじゃなくって!」
「どこに怒ってるのさ……」
「何で私が居るのにお姉ちゃんとエッチするの!?私が居ればそれでいいでしょっ!?あなたにとって秋の名物は何!?この私、秋穣子じゃないのッ!?秋限定彼女と言えばこの私でしょッ!?」
「俺にとって秋の名物は秋姉妹、2人共。そんな、どっちかなんて選べない。選べたらハナからこんな状態になってない。それに……穣子1人で俺の性欲を全部受け止められないだろ?」
「ッ……それ、は……」
「俺は、デートする時はその子と過ごす時間を一番大事に考えてる。春ならリリーで、秋なら秋姉妹。他の子より限られてるからこそ、大事にしたいし、特別な時間なんだよ。静葉もそれを分かってるよ。でも、もし仮に穣子1人に絞ったとしたら……静葉に向いてた性欲も穣子に向くと思うけど、そんなんで無事で居られる?バテやすいのにさ」
「性欲のはけ口としか思ってないのねっ……!?」
「バテやすいとかそういうのはあくまでも例えね。2人はさ、秋の神としての仕事とかもあんじゃん。だったらデートとかで遊んでいる暇は無くないか?だったら姉妹で交代した方が効率も良さそうだが。今日は穣子で静葉は仕事。明日は静葉で穣子は仕事みたいな感じでさ」
「う……た、確かに、あなたと付き合い始めてからは仕事に遅れが出始めたけど……ッ」
「ピンチの時は俺も手伝うくらいだもんな。いや、俺は静葉か穣子、どちらかに絞ってもいいけどさ、静葉も俺を好きで居てくれてるみたいだし……、折角姉妹なんだから喧嘩はしないでほしいかなって……」
「……分かった。ごめんね、ワガママ言って」
「いいんだ。俺の優柔不断さが招いた事だしね」
「ううん、そんな事ない。ごめんね……好き」
「俺もだよ。穣子」
あれは酷い。明らかに本音を漏らしてるクセに、それを取り繕った。無理矢理な言い訳でも、それを取り繕えるだけの魅力が彼にはある。
決して、彼の話術が飛び抜けている訳でもないし穣子様がバカという訳でもない。「まぁいっか」と思わせられるだけの悪魔の魅力が、彼にはある。
多少納得いかない事も「まぁいっか」と少しでも思ってしまえばそれで流せるのだ。彼は対象に少しそう思わせるだけで十分。それで堕とせるからだ。
「じゃあねエスカルゴさんっ、またねっ♡」
「ああ、また」
「ちゅっ♡」
「んっ。……好きだねぇ。嬉しいよ」
「えへへっ♡ 何でだろ?よく分かんないけど、密着できるこの瞬間が……何となく、愛おしい♡」
「そうなんだ。やっぱ推せるなぁ穣子……」
「そんな事言ってぇ。お姉ちゃんにも同じような事言ってるんじゃない?」
「さぁなぁ、思った事しか言わないから、俺……」
「ふーんだ。じゃっ!」
「はいよ。…………さて」
クルッと振り返ると、彼の表情からは先程までの笑顔はすっかり消え失せていた。敵に向けるような闘志に満ちた顔……殺る気満々、という風情だ。
覗きがバレたのかもしれない。息を殺し、気配も殺すが、彼は今、木を挟んで私の後ろにいる。少し姿を見られようとも逃げるしか、と思ったが、その直後に彼はニュッと顔を出し……。
「は・た・て♡」
「ひゃいっ!?」
「どーしたん、俺の事を尾行するなんて。まさか、はたても俺の記事か何かを書こうとしてる?」
「いやいやっ、私はそんなんじゃなくって、ただ、ここを通り掛かっただけでっ………………え?待って?はたて……も?」
「通り掛かったねェ。そいつァ考えられねーかな。だって、鴉天狗達ってちゃんと警備されてるルートくらいしか通らないじゃん。今更、妖怪の山の取材なんてするような天狗は居ないさ。分かるけどね。俺を追ってんだろ?里のお店にも来てたもんな?」
「うっ!バレてた……?」
「そりゃ、よく知った匂いだからねェ。オッサンと違う、女子特有の甘い匂い……ばんきちゃんの他に、そんな匂いがあれば……。すぐ察知できるんだよね」
「匂い!?」
「気配を隠すのは流石だよ、まるっきり人間としか思えなかったし。娘にも見習わせないと、だねェ」
「……」
「博麗神社からずっと尾行してたろ。出発した頃は近くの妖精ちゃんの残り香かなぁ?って思ってたんだけど、風に乗って香ってくるんだよ、俺の後ろの方から。俺の追っかけかと思って里に降り立つも、話し掛けられる様子はねーし。だもんで、わざわざ飲食店という場所に行って、ばんきちゃんとお喋りするとこを見せて俺のフランクさをアピールして、話し掛けやすい状況を作ったってのに……」
「うぅ……」
「上手かったろ。あの『笑顔』さ♪」
「ッ……!?」
「『明るい笑顔』、『人懐っこい笑顔』、『爽やか風の笑顔』、『大人っぽく魅せる笑顔』……。一口に
『笑顔』って言っても色々あるもんなぁ……これでもかなり研究したんだぜ?どんな状況で、どんな顔をどんな相手に使えば、どんな反応が得られるか?」
「そんな……ッ」
「もう俺は昔の俺じゃあねェんだ。最初は確かに、ハーレムは反対だったけど……もう振り切れたのさ。皆で楽しけりゃそれでいいってな」
「……」
「さて、と。長話もここまでだ。折角、こんなにも静かで、人気の無いところに2人きりなんだ……俺と
『踊る』かい?はたて?」
「……うんっ……♡」
頷いて答えると、彼は手を伸ばし、クイッと私を引き寄せ優しく抱き締めた。少しびっくりしたけど私もそれに応じて、彼の腰に手を回し抱き締めた。
「イイ返事だね。はたてなら、そう言ってくれると思ってた。ああそれと、最後にもう1つ。どうして山の関係者じゃあない俺が、警備の手薄な場所を、こんなにも的確に突けると思う……?毎回毎回さ」
「……何で、だろう?分からない……。弟さんから?いや、そんな事をすれば天魔様直属の彼は……」
「山の天狗達がな?気配で俺だと察知して、勝手に俺を避けてるのさ。トラブルは御免だからだろう。つまり、そんな状況下に居る俺を追ってくる奴は、俺の追っかけ、野良の妖怪や神様方、家族や彼女達くらいなんだ」
「……あなたにとって、絶好の狩場な訳ね……邪魔な天狗が勝手に避けてくれるから……っ!」
思わず乾いた笑いが出る。軽く突き飛ばすように彼を離すと、ほんの少し、驚いたような顔をする。やってしまったと思った。
しかし彼は、それについては何も言わず、逃げるように頬を緩め、「人懐っこい笑顔」を見せる。
「狩場だなんて酷い言い方だなぁ。まっ、あながち間違ってないと思うけどね」
「私は……釣られたのね」
「いいや?釣ったつもりは無いけどね。はたては、打算で俺を受け入れたの?」
「私はそんな軽い女じゃ────っ!!」
「……だろ?なら、はたては釣られたワケじゃあないだろうさ。だってさ、はたて自身がそう思ってる。釣られるような軽い女じゃない……ってね」
「っっ……」
「さて。……スる?俺はそのつもりだけどな〜……」
「……いいわよ。ハジメテが外ってのは気に食わないけど……穣子様との情事を見せられてちゃあ、私も収まりがつかないってモンなのよ。ほら……早く♪」
パンツを下ろし、木に手をついてお尻を向ける。ドクンドクンと心臓が強く脈打っているのが自分で分かる。彼にも聞かれてしまいそうだ。
こんな格好を私からするなんて思えない。まるで別の自分に身体を操作されているような気さえ……。
「スレンダーながらも、イイお尻をお持ちだな……。いつか、はたてともアナルセックスしたいな」
「ちょっと、何よそれ……。全く、ホント変態なのねエスカルゴさんってば…………あ゙っ♡♡」
「俺と穣子とのセックス見てオナッてたクセにな。匂いでバレバレだよ」
「それは、言わないれぇっ♡ あっ♡ んはぁぁっ♡♡奥、届いてっ……はぁ、はぁっ♡ キモチイイよぉっ♡指じゃ、届かないとこっ♡……キちゃってるぅっ♡」
何だろう、この奇妙な感覚は────。
確かに「好き」なんだけど、どうしてだろう……。こうなるように、この人に誘導されていたような、そんな感じがする。
身体だけじゃなく心にまで侵入され、あまつさえ泥水に浸したハンカチみたいに、ジワジワと確かに少しずつ侵食されてくるような、そんな感覚。
およそ「好きな人」から得られる感覚じゃない。私は本当にエスカルゴさんが好きなの?いつから?覚えてない。確かに、彼に惹かれるものはあった。それは間違いない。でも、これは本当に「好き」?
「イグッ♡ イグゥゥッ♡ 好きっ♡ 好きぃぃいいっ♡もっと、もっとちょうだいっ♡ ちゅ……ちゅーして♡あなたとっ、ちゅーしたいのぉっ♡♡」
「えぇ?欲しがりさんなんだね、はたて……こりゃあ意外だな」
「えへへぇ♡ ちゅぅ〜♡♡」
キモチイイし……