「お帰りなさい、霊魔くん。お疲れ様です」
「う、ん……」
「それでは参りましょうか、ついてきてください」
霊魔が試合を終えた後で、自分の元に戻ってきた霊魔を、何処かへと連れて行くシャロン。当然だが
「試合が終わったらついてきて欲しい所がある」と事前に言われていたので、歩き出しても特段驚きはしなかったのだが、それでも気弱な彼は、行き先を訊ねずには居られなかった。
「あっ、あのっ、しゃ、シャロン、さん……?えと、僕をどこに連れてくん、です、か…………?」
「ふふっ、図書館ですよ。お姉様があなたを呼んでいたので」
「……えっ。誰……ですか?誰お姉様……?」
「それは……行ってからのお楽しみ、です♪」
「……」
霊魔は不安しかなかった。何故なら彼は、過去に十女シガレットから逆レイプされそうになった事があるからだ。小悪魔の娘の双子達はショタコンだ。故に姉のここあは妖舞、妹のシガレットはまだまだ幼い霊魔を襲ったのだ。
しかし兄弟の力が双子の想定よりも強かったのでどちらも兄弟に逃走を許してしまったのである。
いざとなれば逃げられる。霊魔はそう考え、もう何も言わず、大人しくついていく事にした。
やがてシャロンに連れられ図書館に到着。そこで霊魔を迎えたのは、過去に霊魔を襲ったシガレットだった。
「お連れしました、シガレット様」
「ありがと、シャロンさん。じゃ、後は任せてね」
「はい、ある程度時間が経ったらお迎えに来ます」
「よろしく、霊魔くんっ!」
「……よろしく……」
シャロンはメイドの業務に戻った。シガレットは霊魔の手を引き図書館に入って行く。霊魔としても色々と言いたい事はあったが、まずはついて行く事だけに徹していた。
しかしシガレットは急に立ち止まると、くるりと振り返り、彼と目線を合わせるようにしゃがんだ。
「この前はごめんね、霊魔くん。急に押し倒して……ビックリさせちゃったよね?」
「っ……!ううん……大丈夫。僕も、何も言わないで帰ったり、失礼な事、したから……おあいこ、ね」
「許してくれる?」
「うん」
「良かった……ありがとうね」
「ううん。お姉ちゃん……だもん。喧嘩したくない」
「ねっ。お姉ちゃんもそう思ってる。だから、凄く安心しちゃった♪」
「良かった。……それで、その、用件、は……?」
「あ、うん。この前の事を謝りたかったのと、もし仲直りする事ができたなら、仲直りの印に、2人で一緒に遊べないかなって思ってたの」
「遊ぶ……のね。そっか……それなら、いいよ……?」
「ほんとっ!?良かったぁ」
しかしシガレットは、霊魔がそう答える事を予め予想していた。霊魔は心優しい子供だ。もし自分の行動を許してくれたならこう答えるのは確定だ、と思っていた。いや、実際にそうだった。
そして彼女は、内心舌なめずりしながら、霊魔を誘うことにした。
「ね、霊魔くん。お父様みたいになりたいなって、思わない……?」
「お父さんみたいに……?どういう、こと……?」
「強さとか、皆から慕われてるとか、そういう事。これって、簡単なようで凄く難しい事なの。もし、霊魔くんが、『少しでもお父様に近付きたい』って言うなら、遊びついでに、お父様に近付けるようなお手伝いがしたいなって思ったの」
「……うんっ……僕も、お父さんみたいになりたい……手伝って、くれる……?」
「わかったっ♪……それじゃ、形からだね。何事も、形から入るのがいいよ」
「形?」
「霊魔くん、交尾って知ってる?」
「こーび?…………何だろ?」
「カブトムシとか育てた事なぁい?」
「無いよ」
「そっかぁ。男の子でも、本の中とは違うんだね。とりあえず、交尾をすれば少しずつだけどお父様に近付けるよ」
「そうなの……?じゃあ……交尾、したい!」
「ふふっ、そう言ってくれて嬉しい……♪」
シガレットの魔法が発動。了承を得た時、それを契約と見なし即刻それを遂行するよう、彼に催眠が掛かるのである。
しかし霊魔には生まれ持った霊力がある。なので効き目が悪い。加えてシガレットの魔法もまだまだ未熟なのもあり、契約を締結したところまでしか、まともに術が働いてくれなかった。
霊魔はどこか心がザワザワするのを感じながら、少しずつ頭がボウッとしてくるのを自覚していた。
「霊魔くん。お父様かお母様……霊魔くんにとっての
「こんどーむ……?」
「そ。安全に交尾するにはそれが必要なの。ほら、何事も安全第一がイイでしょ?」
「うん」
「ソレは永遠亭に売ってるらしいの。だからお金を貰ってきたら2人で買いに行こ?私は……無理なの。お母様もパチュリー様も……。お父様は嫉妬深いから許してくれなさそうだし」
「そーなんだね。……わかった……!」
「あーいや、やっぱり『お姉ちゃんと買い物に行くから』の方が当たり障りが無くていいのかな。ね、霊魔くんもそう思────もう居ないし……。って、ヤバッ!あんなドストレートに言われたら、絶対に怒られちゃうって!やっちゃったよぉ……もー、何ですぐ思い付かなかったのよ、私のバカァ!」
数秒目を離しただけで、吸血鬼である霊魔はその圧倒的身体能力で、図書館を抜け出して、パーティ会場に向かっていた。
シガレットは、彼が姿を消して漸く気が付いた。霊魔にとっての優しい親がエスカルゴではないかもという可能性に。
自分にとって、そして姉の弦月姫などにとっては母より父の方が優しいと評判だ。だからこそ彼女はエスカルゴだろうという前提で話した。しかし更に念を入れる為に「優しいと思う方」と付け加えた。
つまり、エスカルゴにと限定しなかったせいで、この話が霊夢にも届く可能性が生まれてしまったのである。
霊夢に知られたらどうなるか。シガレットは軽く戦慄した。
霊魔にとって優しくなくとも、作戦を成功させる為には、父親にと限定させておくべきだったのだ。とっくに姿が見えなくなった霊魔を追いかけながら後悔していた。
数分後、シガレットが這う這うの体でパーティの会場に到着したその時────。
「お母さーん!コンドーム買うから、お金頂戴!」
霊魔の元気な声が、会場に響き渡ったのである。シガレットはその場で崩れ落ちた。終わった、と。浮かれすぎて作戦を疎かにしてしまった事を、心底悔いた。
「りょ……霊魔……?え?ちょっと?」
「?」
「あの……え?あのね霊魔?あなた、何言ってるのか分かってるの?」
「何が?」
「いや……『何が?』じゃなくてね?ソレ、何に使うモノなのか知ってて言ってる?」
「交尾でしょ?安全に交尾する為に必要だよって、お姉ちゃんが言ってた」
「どのお姉ちゃん?」
「えっと〜……シガレットお姉ちゃん」
「シガレット……小悪魔の娘か」
霊夢の気配がザワザワと大きくなる。霊魔の声を聞いたパーティ客はガヤガヤと騒ぎ始め、それらを察したシガレットはその場でヘタリ込む。
今にも泣き出しそうになった彼女の目の前に手にお祓い棒を持った霊夢がやってきた。
「幼い小悪魔の姿にサイドテール……、シガレットはあなたよね?」
「……はい」
「うちの子にコンドームを買わせようって、一体、どういうつもりかしら?」
「……それはッ……」
「からかってんの?」
「違いますッ……!決してそんなんじゃ……」
「じゃあ何?」
「ッッ……」
「あなたは小悪魔の娘だし、多分、そういう知識も色々あるんでしょ。でもそれをうちの子に吹き込むなんて……ちょっとそれは頂けないわね」
「う……」
「大体、ソレを買ってどうするつもりだったの?」
「つ…………使う、予定、でした……」
「誰との行為で?」
「霊魔くんと、私との……行為で……です」
「じゃあ、何?あなたはうちの子が好きなの?」
「……はい。一目惚れでしょう……。以前霊魔くんが妖舞お兄様と遊びに来た際、初めて見て……」
ポツリポツリと自白するシガレットを見て次第にお祓い棒を持つ手が下がってきた霊夢。本音か嘘か見分ける術は、霊夢にはない。けれどこうして幼い子供を責め立てるのは、自分でも気が進まなかったというのもあり、霊夢も必死に言葉を探していた。
「あなた達双子は、生まれた時から成体だけどね。うちの子は違うの。ただの吸血鬼よ。成長は確かに異常なくらいに早い。でも、まだ子供なのよ?」
「はい……」
「血の繋がりこそ無いけれど、姉と弟よ?そんなの分かってるわよね?分かっててそうしたいのよね?どうなの?」
「分かっています。霊魔くんも────」
「でもうちの霊魔、交尾もコンドームも、何なのか知らないと思うけど?」
「え?で、でも、霊夢さんとお父様がよくシテるの聞いたりとかは……」
「まぁ……ね。聞いたり覗いたりしてるらしいのは、霊魔じゃなくて霊愛と霊麗。霊魔は2人が読んでるエッチな本にも、あまり興味を示さないわ。だからきっとどちらも知らないと思う」
「ええ……」
この時点で、話が落ち着いてきたとパーティ客は考えて、バラバラ解散し始めていた。それにより、人払いしたり2人を連れ出す手間が省けたと霊夢は考え、少し端によってシガレットに説教を始めた。
「あのねぇシガレットちゃん。こんな小さい子を、そういう行為に誘うなんてダメよ?いい?」
「霊魔くんもOKしたのに……」
「それは交尾が何なのか知らないからよ。でしょ、霊魔?」
「う、うん……知らない。で、でもお姉ちゃんが僕に教えてくれるって……」
「いい?交尾ってのは私とエスカルゴがよくシてるアレよ。霊愛と霊麗がそういう漫画も読んでるし、ここまで言えば流石にもう察せるでしょ?」
「………………エッチ?」
「平たく言えばそう。それよ。シガレットちゃんは霊魔とそれをシようとしてたの」
「ッ!?」
思わず顔を引き攣らせて、シガレットから僅かに距離をとる霊魔。以前、彼は紅魔館を訪れた時に、シガレットに押し倒されて、あわや逆レイプという危機に陥った事がある。彼はそれを思い出し改めて警戒心を露わにしたのである。
博麗家では、誰かとそういった話をする際、その殆どが「セックス」または「エッチ」という単語が使われている。だから霊魔は、それらの意味は理解しているのに「交尾」が分からなかったのだ。
また、霊夢もエスカルゴも「コンドーム」は普段使用しないし、姉達も会話の中でその名が出るだけであり、まして「ゴム」などという言い方はしない事が常である。だから霊魔は「コンドームは性行為するのに使う」事を知らなかった。
つまるところ、霊魔が今回こうしてシガレットに言いくるめられたのは、無知故だったのだ。
「……ほら、見なさいシガレットちゃん、霊魔のこの反応」
「うう……。どうしてもダメ……?霊魔くん……?」
「お姉ちゃん、初めて会った時、僕の事を襲おうとしたよね」
「そ、それは本当にごめんなさいっ……!霊魔くんが可愛すぎて、つい……」
「……あ、あの時は……無理矢理だったし、倒されたから、僕も、凄くビックリしたけどさ……。無理矢理じゃないなら……イイ、よ?」
「霊魔!?」
「イイのっ!?」
「優しく教えてくれるなら…………イイかなって思うけど……お母さんは、ダメ……?」
「父親が同一人物なのは間違いないけど片方は血の繋がりがあって片方は魔力のみの繋がり、それでも一応は姉と弟なんだし、近親相姦に当たると思っていいはず。それを許したらどうなるの……?小悪魔は以前『血の繋がりが無いなら』って言ってたけど、私としては許し難い想いもある……でもエスカルゴと霊愛と霊麗の事を考えたらシガレットちゃんの方がずっと健全であるのもまた事実…………うーん………………」
「お……お母さん?」
「……ごめんなさい霊魔、ちょっと考えさせて……」
「う、ん……わかった……」
(ここで霊魔にシガレットちゃんを宛がっておけば霊魔が成長しても母親である私に霊魔の手が伸びる事はないのでは?血の繋がりは確かに無いんだから厳密には近親相姦に当たらないワケだし、そんなに問題は無いんじゃない?問題は妊娠とかだけど多分小悪魔の娘だしその辺のコントロールはできるはずだし、危険は無いわよね。コンドーム云々の話は、よく分からないけど……でも霊魔はまだ子供よ?いやそれを言ったら霊愛も霊麗もなんだけどさ……もー、どうすればいいのよこういう時は……)
霊夢は迷っていた。夫と娘の肉体関係もあるが、ここで幼い息子と腹違いの姉が肉体関係を持つ事が今後の生活にどのような影響を及ぼすかを考えた。
「いい、2人共?」
「!」
「はいっ!」
「……誰にもバレないようにシなさい。霊魔はここで何も言っていない。シガレットちゃんは霊魔に何も吹き込まなかった。私は何も聞いてない。いい?」
「わ……分かりました!ありがとうございます!」
「ぼ……僕も、お父さんみたいに強くなる……!」
「霊魔。これだけは言っておくわ」
「!」
「エスカルゴみたいにはなるな。……それだけよ」
「……うんっ……分かってる……!」
決意を秘めた目で、母の言葉にしっかり肯定する霊魔。霊夢はそれを見て、特に何も言わず、表情も変えず、踵を返してパーティに戻って行った。
彼は暫く母を目で追っていたが、そんな彼の手をシガレットが優しく包み込む。
「霊魔くん」
「!」
「ベッド……行こ?」
「うんっ!」
試合は終わったが益々盛り上がっていくパーティ会場。そんな賑やかな場を後にして、シガレットは適当な部屋に霊魔を連れ込んだのであった。
因みにその後、霊夢は小悪魔に事の顛末を伝えた上で、彼女をとことんシバキ倒したという。
原作キャラに男と女の兄妹(姉弟)が居ればそこで近親相姦セックス書きたかったんですけどねぇ。
命蓮は死んでるから白蓮との近親相姦プレイとかも書けそうにないし、そもそも聖姉弟はどちらも聖人だからセックスとは無縁だし。
居ないなら仕方がない、仕方がないねぇ。
因みに、「お母さーん!コンドーム買うから、お金頂戴!」は、あの大物YouTuberのセリフです。