※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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末っ子達のリーグ戦

「すっげぇ……!すげぇ、巫月の姉御!なぁ母上っ!俺もあれくらい強くなりたい!!」

 

「そうだな!よし駆翔、残りの子供達を蹴散らせ!勁牙組の名にかけて!!」

 

「押忍ッ!!」

 

 巫月と霊愛の決戦を見終わった後、巫月の強さに震えた駆翔は、早鬼に背中を押され飛び出す。彼の向かう先にはまだ駆翔と戦っていなかった神の子が1人。

 

「やいやい、勝負だ!!」

 

「!……駆翔兄ちゃん、だっけ」

 

「おう!勝負だ恋夜ァ!!勁牙組次期組長として、弟に負けるワケにはいかねェ!!」

 

「けーがぐみじきくみちょー……よく分からないけど戦いたいんなら相手するぜ。兄ちゃんは、足が速いみたいだけど、そんなのは関係ないね。俺の魔法、見せてやる!」

 

「ハッ!抜かせ!」

 

(綺愛羅以外に17人も兄姉が居ると、全員の名前を覚えるのも一苦労だなぁ……。綺愛羅なんて記憶力に難あるし、大丈夫かな)

 

「いくぜオラァッ!」

 

「!……『赤の魔法』」

 

「んぎっ……じ、地面が燃えたッ……!?」

 

「俺は、魔界最強の魔法使いを目指して修行中だ!兄ちゃんだからって負けるワケには────」

 

「遅せぇッ!!」

 

「ッ!?」

 

 真っ直ぐに恋夜に立ち向かった駆翔。しかし彼の足元に火をつけると駆翔は急ブレーキをかける、と思いきや、そのまま炎の中に足を踏み入れて、炎を纏った足で飛び蹴りを仕掛けた。

 

「ぎゃっ!?も、燃えるっ、燃える、ちくしょー!なんで普通に入れるんだッ……『白の魔法』ッ!」

 

「効かねえッ!」

 

「ギャッ……」

 

 パキンッ……と一瞬で炎を凍らせた恋夜。しかし、それで止まる駆翔ではない。足が凍らされながらも恋夜の横腹に回し蹴りを仕掛け、吹っ飛ばす。

 そして彼を蹴った勢いを利用して地面を蹴り普段よりも高く飛び上がると、急降下を始める。駆翔の得意技、ライダーキックだ。

 

「っしゃあ!!いっくぜぇぇぇッ!!!必殺ッ!!

『超・ハイパー・ウルトラ・メガ・シューティングスターキィィィック』ッッッ!!!」

 

「くっ、バリアッ……間に合わ────」

 

「無駄だァァァァーーーーッッ!!!」

 

 生成途中のバリアを踏み抜き恋夜を踏み潰す──その瞬間、白い残像が恋夜を連れ去り駆翔の背後に回り込んだ。

 駆翔はそのまま地面に蹴りをぶつけると凄まじい爆音が響いた。しかしその直後、クレーターが生成された際の煙の中から飛び出してきたのは、蹴りが標的に当たらなかったはずの駆翔。更に彼に続いて飛び出してきたのは、駆翔と戦っている筈の恋夜の双子の妹、綺愛羅だった。

 

「なッ……お前、割り込んでんじゃねェ!」

 

「お兄ちゃんはもう負けたよ。私が助けなかったら絶対に蹴りが当たってた。だから恋夜お兄ちゃんの負け。次は私と戦おうよ駆翔お兄ちゃん」

 

「フンッ、敵討ちってワケか!なら構わねえッ!」

 

「……お兄ちゃんに怪我させた罪は、私が裁く」

 

「くっ、くくくっ、くはははははっ!!ヤクザモン舐めんなよ、妹ォッ!!」

 

「子供のくせに何がヤクザモンよ!気取ってなよ、バーカ!」

 

「んなっ!?言ったなコンニャロ!どっちが強いか教えてやるァ!!」

 

「ふーんだ!私が勝つッ!!」

 

 魔法で身体強化済みなのか綺愛羅の動きがヤケに機敏だ。一部界隈でネタにされていたターボ歩美を思い出す。そして攻撃の手数は綺愛羅が多いはず。果たして……。

 

 

 ◆

 

 

「お母さん。僕……初めて、ムカついた」

 

「え?霊魔が?……誰に?」

 

「虔魔。絶対……絶対、倒さないと気が済まない」

 

「……そう。時間関係の相手はエスカルゴ以来だけど大丈夫かしら?」

 

「お父さんの方が強い。だから大丈夫」

 

「そう、なら戦(い)ってきなさい。あんたなら勝てる」

 

「うん」

 

 声を震わせながら霊魔は飛び出す。すぐ近くでは綺愛羅と駆翔が所狭しと争っているが、そちらにはまるで目もくれない。

 霊魔は怒っていた。生まれて初めて怒っていた。

 先の戦いで虔魔はシガレットと戦った。虔魔は、どうすれば女性陣をさっさと退場させられるかを、よく理解していた。女性陣は、巫月以外は誰しもが恥じらいに弱い。だから、スカート捲りでもして、恥ずかしい思いをさせてやれば、降参してくれる。虔魔はそう知っていた。

 だから、彼は捲った。シガレットのスカートを。しかし、それがまずかった。シガレットはノーパンだった。幸い、後ろからだったので「前」は誰にも見られはしなかったが、霊魔にとってこれは最高の地雷だった。

 シガレットは虔魔の思い通りに降参したものの、霊魔は自分の彼女が穢されたと感じ、憤っていた。

 

「け……虔魔っ……」

 

「おや、霊魔お兄様。どうされましたか?そんなに震えて……御手洗はあちらですよ」

 

「僕と、勝負……しろッ……!!」

 

「そういえばお兄様とはまだでしたね。勿論、僕は構いませんが、御手洗を先に済ませては?」

 

「必要ない。トイレなんか行く前に……倒す、から」

 

「……おやおや。お兄様、宣戦布告するようなタイプだったんですね。オドオドしながらも……一体何が、お兄様をそこまで戦闘に駆り立てるんでしょうか。不思議ですね」

 

「……」

 

 戦闘準備を整え、まず虔魔は考える。どうすれば楽に彼を、霊魔を倒せるのかと。何をすれば、彼が恥じらうような事になるのか。分からない事だらけだった。

 そして霊魔も考える。どのように倒せば、彼女の無念を晴らせるのかと。しかし彼もまた、簡単には答えが出せない様子だった。

 

「霊魔ァ!!グダグダ考えてんじゃあねーぞッ!!思うがままに動け!そんなんじゃいつまで経っても一皮剥けねーぞッ!!」

 

「っ……お父さ……」

 

「虔魔!おめーは兄貴が何にキレてるか考えながら戦ってみな!!」

 

「お父様……」

 

「「分かりました(分かった)ッ!!」」

 

 今回は、咲夜さんの方で観戦しよう。霊夢も俺の所に来る様子はないし、どうせなら、その方がまだ寂しくなくていい。

 

「どーも咲夜さん。虔魔、相変わらずですねぇ」

 

「旦那様……。すみません、私の教育が甘く……」

 

「いやいや。多分、スカート捲りとかは虔魔なりに戦闘を効率化させた結果なんでしょう。効率化って考えは間違ってないのに、やり方がな……」

 

「そんなんだから霊魔くんの怒りを買うんです……。霊魔くんが怒っているのって、シガレットちゃんに対するアレのせい……でしょう?本当にすみません、本当に……。後でキツく叱っておきます……」

 

「俺からも軽くは叱っておきますんで、咲夜さんはトドメのお叱りをお願いします」

 

「承知しました」

 

 2人の試合に目をやると、とても白熱していた。虔魔は、ひたすら金的を狙っているようだ。急所を狙うというのは間違っていない。それについては、何も言わないでおこう。もし潰れても治癒させればいい。霊魔は格闘戦がトラウマになるだろうが。

 

「僕、まだスペルカードが未熟なんですよね。少し傷だらけになりますが構いませんか?」

 

「そんなのは、どうでも、いい……!!怪我しても、絶対に、虔魔は倒す……ッ!!」

 

「ではこれならどうでしょう」

 

「!!」

 

 ナイフを片手に霊魔に迫る。胴体に突き刺そうと容赦なく迫るが、霊魔は結界すら張らずに、虔魔を殴ろうと拳を突き出す。

 虔魔は一瞬だけ時間を止め、背後に回り込むと、グサリと腕にナイフを突き刺した。

 

「あぐぁぁっ……!!」

 

「お兄様は一体、何をそんなに憤っているのやら」

 

「虔魔の、せいだっ……!!虔魔の!!」

 

「僕のせい?」

 

「よくも僕のシガレットに手を出したなァァァ!!よくも、よくも!よくもッ!!絶対に許さない!!絶対に、ブッ倒してやるッッ……!!」

 

 怒りのあまり涙を流し、刺さったナイフも抜かず虔魔の胸ぐらを掴む。時を止めて逃れようとするも霊魔の手は決して虔魔の服を離さず、諦めた彼は、時を再始動させた上で逃れようと暴れる。

 

「くっ、離してくださいッ……!」

 

「何の為にあんな事をしたのか僕には分からない、でも、僕の彼女にそんな事をしたなら、僕は絶対、許さないッ!!おおおおおおおっっ!!」

 

「え……ちょっと、待ってくだ……」

 

 ぐちゃり、と嫌な音が響いた。霊魔の頭が虔魔の顔面にめり込んでいた。何となく分かった。あれはきっと鼻の骨が逝った音だ。

 

「ぐぼぁ……ッ……はにゃが……お、げぇ……」

 

「泣いても許さない……ッ!うおおおおっ!!」

 

「かた……なッ……あぎゃばばばばばばぁぁっ……」

 

 すり抜ける雷刀を虔魔に突き刺すと、激しく放電させる。虔魔は白目を剥いて、泡を吹いて倒れた。霊魔はそこまで彼を痛めつけて漸く放電をやめた。

 

「フーッ……フーッ…………思い、知った、か……!次に会ったら……シガレットに謝ってもらうからな……ッ」

 

 地面に虔魔を下ろすのと同時に、弦月姫が2人の元に駆け付ける。ピク、ピク、と弱々しく痙攣する弟を見て、小さく溜め息をついた。

 

「弟がごめんなさい、霊魔」

 

「……弦月姫お姉ちゃんに謝られても、意味無いよ。僕は、虔魔が許せないだけだから」

 

「そう……ね。後で菓子折り持参で謝らせに行くわ。そうしたら許してあげて?」

 

「……考えておくよ」

 

 虔魔はきっと、このままでは紅魔館内で孤立してしまうだろう。彼の行き過ぎた効率化や考え方を、なるべく早めに矯正しなければ。

 

 

 ◆

 

 

「くるぁああああっ……は、速すぎるんだよォォッ、お前ぇぇえええああああああっ!!」

 

「神の子だもん。それに恋夜お兄ちゃんの敵討ち。負けるワケには、いかないもんっ!」

 

「「ハアアァァッ!!」」

 

 同時に互いを蹴り、または殴り吹っ飛ばされる。駆翔は鼻血を、綺愛羅は口元から血を出している。2人共力は強いが頑丈なので決着はつかず、試合は長引いていた。

 霊魔と虔魔の戦いが終わっても尚、続いていた。しかしその戦いにもいよいよ終わりがやって来る。

 

「トドメだァァァ!!!」

 

「蹴り(ソレ)ばっか!喰らうワケないじゃん!ハァッ!」

 

「ぐぎゅぐばぁーっ!!」

 

 パコォンと頭を蹴飛ばし駆翔を吹っ飛ばす。頭を押さえながらも何とか立ち上がろうとするが、中々立ち上がれない様子だ。彼女はダメ押しとばかりに駆翔に金的してやると、駆翔は気を失い、倒れた。

 

 

 ◆

 

 

「な……なぁ、霊夢……」

 

「あ、戻ってきたんだ。何?」

 

「何かさー……下の子達、なんか仲悪くねぇ……?」

 

「男女が入り交じってるからじゃないの?これまで女の子が大半だったから、何だかんだで一応仲良くやってこれてたけど……。ほら、これまでは妖舞くんくらいだったでしょ?」

 

「そ、そういやトラブルの大半は男絡みだ……」

 

「……ま、そういう事なんでしょうよ。血の繋がりはあっても、相性ってのはあるわ」

 

「マジかー……」

 

「これに懲りたらこれ以上子供を増やすのは控える事ね。……私となら……構わない、けどさ?」

 

「そーだな、霊夢。4人目も作っちゃおーな」

 

「フンッ……///」

 

 異性の家族が増えた事により家族間の付き合い方なんかも見直す必要がありそうだ。特に男女間でのやり取りに色々と問題がありそうだ。

 これについては追々どうにかするしかあるまい。




基本的に仲が良いのは上の四姉妹、下の四兄妹で、それ以外は割と仲が良くないです。歳の近い男女の兄妹(姉弟)だからです。
さて次は蓮子目線です。
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