「よし、行くか」
「うんっ♪」
「レミリアは行かないんだよな?」
「え、ええ…行かないっ!」
「じゃ、2人で楽しんでこような♪」
「そうね♪」
朝ご飯を終え、今まさに出発する所だ。
最終確認のために繰り返し尋ねるが…行かないようだ。それならそれで、2人で楽しむまでさ。
『いってきます!』
「いってらっしゃいませ」
「せいぜい気をつける事ね」
「わかってるってば。ねっ?」
「おうよ」
レミリアと咲夜さんの見送りの元、元気よく紅魔館を出る俺たち2人。
「ねぇ、どうやって地底に行くの?」
「…また紫さんかな」
というかそれしか手が無い。
前に地底行った時だって紫さんに頼んだし。
「そう都合よく出て来てくれるかしら…」
「確かに…そこは心配だな…」
でも、いつも出て来てくれるし…大丈夫だろ。
「紫さーん」
「…………」
あッれぇ?
「ほら…そう都合よく…」
「はぁ〜い♪」
「わっ!」「キャッ!」
後ろから!?
「そんな驚く事無いでしょうに…」
ちょっぴり頬を膨らませる。
「あはは…すいません…」
「それで?今度は何の用かしら?」
「…地底へ行きたいなと思いまして。でも行き方がわからないので紫さんに頼ろうかと…」
出来るだけ丁寧にお願いする。
少しでも機嫌損ねたら…ね?怖いもん。多分。
「ふふっ、相変わらず正直ね。良いわよ」
「ありがとうございます!」
「どこに繋げる?」
どこに…か。
地霊殿に行くからその門前が良いよな。
でもせっかく地底行くんなら…。
「地底の入口で!」
「え?なんで入口なの?」
当然の疑問か。
「ほら、せっかく行くならまったり見物したりとかさ」
「なるほどっ♪良いわね!」
「わかったわ。帰る時はまた呼んでね」
スッ…
相変わらず手際が良いな。
「はい!お願いします!」
「気をつけて行ってらっしゃい」
『はーい!いってきまーす!』
手を繋ぎスキマに飛び込む……
「着いたー!」
ほんの少しだけ気温が高いな。
この前の超高気温はお空の暴走があったから…ってのはマジらしいな。
暴走して無ければあまり変わらないではないか。
「まだ入口よ?」
「あ、そうだったな」
「せっかちねぇ」
「てへへ…」
入口…ここも、向こうと同じく大きな穴が空いている。
「よーし、行くかー!」
「うん!」
俺らは入口へと飛び込み、穴の中を飛ぶ。
穴を抜けた先には、向こうと変わらぬ景色…広大な地底の街並みが広がっていた。
「やっぱり広いわねー」
珍しそうにキョロキョロ辺りを見回す。
「そうだなぁ」
何度来ても…と言ってもまだ2回目だが、地下にこんな空間が広がってるなんて、驚きだよなぁ。
「行きましょ♪」
「おう」
地霊殿目指して歩き出す。
前に来たから、何となく地理の心得はある。
するとそこに一人の少女が現れる。
黒谷 ヤマメ…少し強気で、俺らを苦しめてくれた奴だ。もっとも、それは向こうのヤマメであって、こちらのヤマメまでそうだとは限らないが。
今回は、キスメは居ないんだな。
「あなたたち、何の用?」
そりゃ気になるか。
「地霊殿のさとりに用があってね」
「…?なんで?」
「先日の宴会で、今度遊びに来てって誘われたからな」
「ふーん…」
疑ってるのか、少し目付きが険しい。
どうか穏便に済みますように…!
「案内する?」
!?
「是非お願いしたい!」
祈りが通じたのか、穏便に済んだので内心小躍りする。
「良いわよ、ついてきて」
くるりと背を向け歩き出すヤマメ。
それについて行く吸血鬼2人。
「やったわね!」
「ああ!」
もう少しで地霊殿に着く───その時。
「ニャォ〜ン」
「あ!猫ちゃんだ!」
フランの足元に猫がいた。
そしてそれを抱っこする。
「あっ…!」
ヤマメが手を伸ばしつつ何かを言いかける。
「にゃ〜…」ペロペロ
「キャハ♪くすぐったい♪」
「むぅ……」
「あっ!」
ひょいっと猫を取り上げ……
「良いかい、猫ちゃん?フランを舐めていいのは俺だけだぞ?」
抱っこしながら言い聞かせる。
「え゙…エスカルゴ…?」
「ん?」
少し引き攣った表情のフラン。
「猫に嫉妬…?流石に少し引いたわよ…」
「んなっ…。だがな、フランの事を堂々と舐めるなんてそんなの俺が許せな…」
ボゥンッ!
「うわっ!」「キャッ!」
猫が爆発!?
「ちょっとあんた!少し甘えたくらいで嫉妬するとかどんな神経してんのよ!」
お燐!?
「だから…その…」
なんて言えば…?あれ?なんで俺あんなこと…
「アハハハ!猫如きに嫉妬した挙句、彼女に引かれるなんて!いい気味ねぇ!ハッハハハハ!!」
その声は…!
「パルスィ!」
「まさかあんたの仕業かい?」
お燐が強気に尋ねる。
「そうよ?仲良さそうな男女を見るといつも以上に妬ましく思えて…!ああぁあぁあ妬ましい…!」
「なるほど?…大丈夫、あんたの彼氏はパルスィにやられてただけだ、安心しなよ」
ヤマメがフランにそう告げる。
「そうよね!私のエスカルゴがあんな事で嫉妬するわけないもんね!」
「そうだぜ、全く。…おいパルスィ!お前のせいで俺引かれたじゃんか!お燐にも怒られたし!」
「あら?私が悪いの?」
「ったりめーだろ!お前が嫉妬心をどーにかしなきゃこうならなかったんだからな!」
「あら、それは心外ね。こんな所で彷徨いてるのがいけないのよ」
「さとりんとこ遊びに行くだけだっての!」
「遊びに…?妬ましい…」
「仕返しはさせてもらうぜ!」
「エスカルゴ!?私はもう大丈夫だから…」
「フランだけの問題じゃない。危うく俺の評判が悪くなるところだったじゃないか!」
お燐から怒られたし!!
「評判って…あはは…」
「勝負だ!水橋パルスィ!」
「ふんっ!かかって来なさい!」
「俺の嫉妬心を操ったこと…後悔させてやる!」
散々ですわ(›´ω`‹ )