※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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結局こっちでも

「ふふふっ、さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」

 

「くっ…!んぐっ…」

 

大きめの弾幕を放ってくるパルスィ。

大きくて速いので結構避けにくい。

先手を取らせたのはまずかったな。

 

「ほらほら、反撃してみなさいよ」

 

「………」

 

挑発に乗ってはいけない。

焦っても良い事は無い。

 

「あんたから仕掛けて来たってのに、つまらないわね。妬符『グリーンアイドモンスター』!」

 

「うわわっ!?」

 

弾幕が蛇みたいに連なって…追っかけてくる!?

 

「ちっ…!うおっ!」

 

スレスレで回避していく。

 

「ふんっ、ちょこまかと…」

 

「へへっ…!」

 

やっと消えた…。

 

「次はこれよ。花咲爺『華やかなる仁者への嫉妬』」

 

「むっ…」

 

大きめな弾幕に、その軌跡に花のようなもの。

これは見覚えがある。だが…

 

「動けなくなっちった…」

 

すっかり囲まれ身動きが取れなくなった。

でも、動けなくても攻撃は出来る。

幾つか方法はあるが…今回はこれだ。

 

「雷武器『雷刀』!!」

 

刀を出して……

 

「セイッ!」

 

ザクッ

 

地面に突き刺す。手は離さない。

 

「…何をしているの?」

 

刀なのに地面に突き刺してるもんだから、意味不明だという感じだな。

 

「さぁ?後ろを見てご覧?」

 

「後ろ…あっ!?」

 

グサッ…バチバチバチバチィィッ

 

「ううぅぅぅぅ…っ!」

 

太ももを串刺しにされ、膝をつくパルスィ。

 

「あ…ぐ…っ!あ、あんた…今何を…?」

 

仕方ない、教えてやるか。

 

「刀を地面の中で伸ばして、お前を突き刺した。どうだ、痺れたろ?」

 

「ええ…。おかげで動けないわ…」

 

苦笑混じりに言う。

 

「フンッ!俺の嫉妬心を操ったこと、少しは後悔したか?今は片脚だけにしたが、次は全身を痺れさせるぞ」

 

「それは困るわね…。もうやらないことにするわ。…あなたには」

 

最後の一言で一気に不安になった。

でもまぁ…もういいや。

 

「さ、行くか」

 

フランの方を向き直る。

 

「そうね」

 

地霊殿はもう目のま…え?

 

「え…?」

 

フランも目を見開く。

 

「あなたにしては手こずったんじゃない?エスカルゴ?」

 

「あ…えぇ?なんでレミリアが!?」

 

地霊殿の門前に、レミリアと咲夜さんが居たからだ。

 

「やっぱり来たくなったのよ」

 

「でもどうやってここに?」

 

「あなた達を送り終えて、帰ろうとした紫にお願いしたのよ」

 

「なるほど」

 

結局来たんかい…。

わがままなレミリアらしいけどね。

 

「さ、行きましょ」

 

「そうだn…」

 

「ちょっと待ってもらおうか!!」

 

「ひょえっ!」ビクッ

 

ドスの効いた女性の声…。少し驚いた。

パルスィでもお燐でも、ヤマメのでもない。

 

「誰…えぇ!?」

 

後ろを振り返ると、あの星熊 勇儀が腰に手を当てて仁王立ちしていた。威圧感が凄い。

 

「な、何の用?」

 

フランが震える声で聞く。

 

「いや、あんたじゃない。そこの男を呼んだんだ」

 

俺かよぉぉぉ!!

 

「な、何でしょう…?」

 

ダメだ、俺も声が震えてる…。

 

「さっきの戦い、見させてもらったよ。面白い戦い方するじゃないか。是非私と戦って欲しいねぇ」

 

「いい、今すぐでしょうか…?」

 

ああああ怖い怖い怖い…!

炎火がこの人と戦ってめっちゃ苦戦してたじゃねぇか…うう…やばい、逃げたい…。

 

「そうだねぇ。退屈もしてるし、今すぐがいいねぇ」

 

なんで俺は皆の退屈しのぎの相手をしなくちゃならんのよ…!でも断ったらなぁ…うん…。

 

「…わかりました。俺でよければ…お相手しましょう」

 

「そう来なくては!」

 

ニヤッと笑って身構える勇儀。

 

「エスカルゴ…」

 

フランがキュッと服の裾を引っ張る。

 

「大丈夫。やるだけやってみる」

 

って、最初から弱気になってちゃダメだな。

 

「気をつけて…」

 

「ああ。ちょっと離れててな」

 

「うん」

 

俺に言われるまでもなく、ヤマメ、お燐、パルスィは距離をとっていた。

 

「やるからには…全力で行かせて頂きます」

 

負けるの嫌いだし。

 

「おう!ドンと来いっ!」

 

どうしよう…俺、格闘苦手なんだよな…。

不良との喧嘩ならともかくね…。

とにかく、落ち着かなければ。

勝てるものも勝てなくなってしまう。

 

「……雷装備『勇者の纏い』」

 

「ほう…!」

 

勇儀が感心の声を上げる。

 

これは、『サンダーアーマー』と『雷盾』、刀などの武器を合わせた複合スペル。今回は刀だ。

3つ合わせただけあり、燃費は悪い。だが、バラバラに発動するよりも時間短縮が可能だ。

 

「ハァッ!」

 

ザクッ

 

「ん…また後ろから襲おうって算段かい?」

 

「…どうでしょう」

 

そうなんだけど、今回は目的が少し違う。

 

メコッ…ドヒュッ

 

地面を突き破り、勇儀目指して伸びるが…

 

「フンッ!」

 

パキィィィン…

 

振り返りざまに腕を振り、刀を折り飛ばす。

 

「むぅ…少しピリッと来たねぇ…」

 

自分の腕を見ながら呟く。

 

「ハァァァッッ!!」

 

刀を消し、背中を向けている勇儀に殴り掛かるが…

 

「ハッ!」

 

ボグッ

 

「ぐぅっ…!」

 

ドシャアッ

 

逆に後ろ蹴りを喰らい、吹っ飛ばされる。

 

「くっそ…!」

 

呻きながら立ち上がる。

 

「おやぁ?もうお終いかい?」

 

「まだまだ…!」

 

小細工は通用しない。陽動作戦もだ。

なら、真っ向から行くまで。

 

「雷速『クイック』」

 

少しでも威力を上げる為、スピードを上げる。

同じ攻撃でも、スピードが速い方が与えるダメージは大きいからだ。

 

「『雷神拳』!ハァァァッ!!」

 

「フンッ!」

 

勇儀の拳と雷を纏っている俺の拳がぶつかる。

 

「んぐっ…」

 

痛い…ビリビリ来る…!

 

2人共後ろに飛び退く。

 

「ほぅ、中々やるねぇ。もう少し力上げても良さそうだ」

 

ゾクッ…

 

今までどれほど力を抑えていたんだろう…?

 

「『分身』!!」

 

ステップバックしながら分身を練る。

今回は少しのエネルギーで良いだろう。

 

「…オイ!コイツニ勝テルノカ!?」

 

「勝つんだよ!」

 

「俺ハ何ヲスレバイイ!?」

 

「隙を見て攻撃してくれ!」

 

「アア!ワカッタ!」

 

「ほう、そんな事も出来るのか。良いねぇ、ゾクゾクして来たよ!それじゃ行くぞっ!!」

 

ドシュッ

 

そう言うと、一気に距離を詰め、超高速で拳を繰り出してきた。

 

「うわっぷ!」

 

「ウオッ」

 

なんとか反応し、ギリギリで避けたものの、先程よりも強いパンチによる風圧が俺らを少し後ろに吹き飛ばし、体勢を崩す。

 

「隙あり!!」

 

体勢を崩した所を、勇儀は見逃さなかった。

勇儀は思いっきり拳を繰り出す。

 

メキッ…ブチッゴキッ

 

「ゔっ!?」

 

腕をクロスに組んで防いだが、両方の腕は吹き飛ばされた上、身体は建物に叩きつけられる。

衝撃で建物は倒壊し、瓦礫が降り注ぐ。

 

「うう…!」

 

ニ゙ュル゙ル゙ル゙ッ

 

気持ち悪い音を立てて腕が生えてきた。

瓦礫の下で手をグーパーさせ、キチンと動かせることを確認する。

 

ガラッ…

 

「イテテテテ…」

 

なんとか瓦礫から脱出。

頭からは血が流れている。

 

「おお、よく無事だったな」

 

「無事じゃ…無いっすよ」

 

ガラにも無く、ペッと唾を吐き出す。

真っ赤な…これは最早血そのものである。

顔にまで垂れてきた血を拭いながら考える。

 

今日は何回骨折しただろう?

少なくとも3回はした。

それにまさか、腕がトブとはな。

普通の骨折なら数秒で治るけど…腕ごとだからほんの少し時間かかっちまった。

さて、どうやって勝とうか?

このままじゃ勝ち目は無い。

 

ウジウジ考えるが、ゆっくり首を降る。

 

…まぁいい。なるようになるさ。

 

「さぁ、続きをしましょう」

 

「お?まだ大丈夫なのかい?」

 

「ええ…まぁ。俺は吸血鬼なんで、打たれ強いんですよ」

 

「なら…もっと力上げても良さそうだッ!」

 

まだ力残してたのかよ!?

 

「紅眼……『吸血鬼の本質』」

 

なんで力上げなかったんだろうと、少し前の自分を殴りたくなる。

 

「雷武器『雷刀』」

 

バヂバヂバヂバヂッッ…

 

「ははっ、そっちも力上げたのか?」

 

「こうでもしなきゃ勇儀さんには勝てないので」

 

「…ほぉう?勝つって?私にかい?」

 

「ええ。やるからには勝ちます」

 

刀を構えつつ、真っ直ぐに目を見据えながら答える。

 

「良い目だ。…本気を出すッ!!!」

 

ちょ…本気って…!

こんな細い刀なんか砕け散る!

 

「四天王奥義『三歩必殺』!!!」

 

最後に炎火とぶつかったやつじゃんか!!

 

「一歩………!」

 

なら、俺も最強の技で迎え撃つまでだ!!

 

「絶技『天翔雷霆零槍』!!」

 

刀を投げ捨て、槍を作る。

投擲用では無く、攻撃力はそのままに、溢れ出る力を圧縮し通常のグングニル大にする。

 

「二歩………!!」

 

「うおおおおおお…!!」

 

もっとだ、もっと早く!

 

「っしゃあ!!」

 

ギリ間に合った!!!

 

「三歩!!!」

 

「オルァァァ!!」

 

槍と三歩目の勇儀の拳がぶつかり合い、その場に巨大なクレーターが出来る。

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

「ヌウゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

槍攻撃と勇儀の攻撃は拮抗するが…

 

ダメだっ…押されて……

 

「今ダッ!」

 

ザクッ…バヂバヂバヂバヂッッ…

 

「なっ……ぐあぁぁぁ!!」

 

勇儀の攻撃が弱まった!?今しかない!!

 

「うおらァァァァ!!!」

 

更に力を込める。

 

ザクッ…

 

槍は勇儀の拳に深々と突き刺さり、そして…その勢いで勇儀は吹き飛ばされた。勇儀は先程の俺とは比べ物にならないほどの勢いで吹き飛ばされ、ブチ当たった建物は倒壊する。

 

「よっ…しゃぁ…!」

 

勝利を確信し、弱々しく握った拳でガッツポーズを上げるも、フラつき…

 

あれ、地面が近づいて…

 

ドサッ…

 

「オット危ネェ」

 

倒れかけた身体を分身が受け止めた。

 

「サン、キュ……」

 

「オウヨ」

 

「つーかお前…逃げたんじゃねぇのかよ…?」

 

「オ前ガ隙を見テ攻撃シロッテ言ッタンダロ」

 

「攻撃…したかよ?」

 

「オ前ラガブツカリアッテル時、俺ガ刺サナカッタラオ前負ケテタゾ?」

 

「そーかよ…」

 

だから攻撃が弱まったんだな…。

 

「ホラ、回復シロ」

 

「悪ぃな」

 

分身の手に指を突き刺し、吸収する。

 

シュンッ

 

「はぁ〜…」

 

勝った…のか?

 

勝ったという実感を得られぬまま、地面に大の字で寝転がる。

 

ガラガラッ…

 

「イタタタタ…」

 

瓦礫をどかしながら勇儀が出てくる。

そこまで疲れた様子は無い。

 

「ははっ…嘘だろ?」

 

俺こんなに疲れてんのにな…。

ホントにバケモノだぜ…勇儀さん…。

 

「ふうっ!楽しかったよ!」

 

俺のそばに立つなり笑顔で言う。

 

「それは良かった…です…」

 

返事しながら立ち上がる。

 

「戦ってくれてありがとうな!」

 

手を差し出してきた。握手か。

 

「いえ。こちらこそ、ありがとうございます」

 

ギュッ…ミシッ

 

「あうっ」

 

「おっとすまない」

 

「あはは…大丈夫ですよ…」

 

痛いよぉ…(泣)

 

「これからよろしく頼むよ!えっと…」

 

「自己紹介がまだでしたね。吸血鬼のエスカルゴ・スカーレットです」

 

「そうか!よろしくなエスカルゴ!」

 

ギュウウウ…

 

「よ、よろしくお願いします…」

 

イデデデデデデデ!砕ける砕ける砕ける!!

 

「お疲れ様、エスカルゴ!」

 

フランたちが駆け寄ってきたので手を離す。

 

「おうよ」

 

「怪我は大丈夫なの?」

 

「大丈夫さ」

 

「血が出てますが…」

 

「大丈夫ですよ。乾いてるし傷は塞がってるので」

 

「それなら良いんですが…」

 

あとで咲夜さんに手当てしてもらおうかな?

えへへへ…。

 

「ところで、なんで地底に来たんだい?」

 

「さとりのとこに遊びに来たんです」

 

「そうだったのかい。…あ、ひょっとして、邪魔しちゃったかな?」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

邪魔というか怖かったな…。

話しかけられただけでビビったし。

 

「ならいいんだが…」

 

「勇儀さんも行きます?地霊殿」

 

「そうだな、私も行こう。最近さとりの顔見てないしなぁ」

 

「なるほど」

 

「それにしても、さっきの攻撃凄かったなぁ。まだ少し痺れてるよ」

 

槍を突き刺した左手をブラブラさせる。

 

「えへへ…かなり力出しましたから」

 

少しなのかい!!

 

「やるなぁ」

 

「ありがとうございます」

 

ペコッと頭を下げる。

 

「勝負もついたことだし…今度こそ行きましょうか」

 

『おー!』

 

ヤマメを先頭に、今度こそ地霊殿の門を開け、扉を開け、中に入る。

 

…あ。俺、血だらけなんだけど。

乾いたとはいえ、遊びに来たにしては…なぁ?

礼儀がなってないな…やれやれ。

結局こっちでも戦闘になるし…。

レミリアが言ってた通りじゃないか。

 

 

 

少ししょんぼりしながら地霊殿に入るエスカルゴであった。




エスカルゴ設定(忘れてたァ)

対人間の殴り合いならともかく、格闘が苦手。
単純な格闘だと

勇儀>>クレイ>フラン=レミィ>>美鈴≧カルゴ

スペルで自己を強化せねば美鈴にすら負けかねない。
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