「それじゃあっ、そろそろ、午前の部最後の競技に移りたいと思いまーっす!」
「2人1組となって、家族や観客の皆に可愛らしさ満点のダンスを見せちゃって下さいね〜!そして、審査員はこちら!!」
「どうも初めましての者は初めまして、久しぶりの者は久しぶり。鴉天狗の大将、飯綱丸龍です」
「モルモーちゃんでーっす。全世界の吸血鬼の始祖やってまーす」
「おや、あなたが噂のモルモー」
「そういうあなたはメグちゃんだっけぇ?この前はごめんねー、お山に迷惑かけちゃって。許して?」
「……それについてはまた今度ゆっくり」
「うげっ。彼も連れてっていいなら……だけど」
「ご自由に」
「……えぇと、もう大丈夫ですかね。四季映姫です。どうも。非番の日を狙い撃ちされたので参加してみました。このダンスが終わったら帰りますので、悪しからず」
「以上、3名でーす!審査員には5点単位で点数をつけてもらいます!5点単位というのは、運営側が計算しやすいからなので、運営をスムーズに進める為にもご協力お願いします!!」
「やれやれ。私は厳しいですよ」
「優雅なダンスなら、
「私もだ。厳しくいくぞ。射命丸の娘よ、彼女の娘だからと手加減はしないからな」
穹がビクリと身体を震わせた。大丈夫、と霊愛が穹の肩を叩いているのを見ると、霊愛もやっと真の意味で姉になったなと感じた。巫月と、こうやって敵対する事で母性ならぬ姉性が目覚めたのだろう。
「曲は事前に選んでおいてもらったやつだからね、その曲を選んだ子同士が組むといいかも!使う曲が決まったら教えてね!」
真っ先に動き出したのは弦月姫だった。一体誰を誘うのかと思ったら、意外な事に同じ吸血鬼の霊麗だった。種族が「純血の吸血鬼」という事以外には殆ど接点が無いこの2人。
霊麗ははじめ、かなり驚いていた様子だったが、彼女からの「Shall we dance?」との誘いに笑顔でノッて、使う曲などをゴニョゴニョと話している。
やがて2人で進行の方へと行って、曲の段取りを済ませ、いざダンスが始まる。
「……
曲名は分からない。曲調からワルツだと感じた。そういえば、音源にはピアノの他にヴァイオリンも混ざっている。紅魔館のパーティではメイド妖精が演奏していたりするので、彼女達が音源収録に協力していたりするのだろうか。
《確かこれってライオネル・リッチーの曲じゃないですか?弦月姫ちゃん達、センスありますねぇ♪》
《そう、なのか。よく分からん……早苗はこういうのよく知ってんな……》
《少しだけダンスの勉強をしてた時期がありましたからね〜。祈祷などに西洋らしい動きを入れたら、少しは華やかさが出るかな?って思って!》
《成程、そういう事ね》
1週間しか鍛える時間は無かったはずだったが、やはり流石は俺達の子である。急ピッチで仕上げたなどとは思えないくらいの優雅さ、弦月姫なんかはバレエ選手にも見紛う程だった。身体の柔らかさを十全に活かした素晴らしい演技だったと言える。
弦月姫と霊麗ペアはメグちゃんとモルモーからは高評価を貰えたが、映姫からは「片方が上手すぎてもう片方が浮いている。アンバランスだ」と言われ減点。一先ず紅組は、ある程度は点を稼げた。
次も紅組。白組がペア作りに手間取っている間にどんどん立候補してはダンスを披露する。
中には俺がよく知っている曲が流れたりもした。
「え……こ、このアラビアンな曲、まさかAwake!?何!?巫月と魅玖ちゃん、お前らジョジョラー!?ヤバいこの曲聴くとテンション上がるっ……いやもう上がってきた……っ!」
だがエロい。ポールダンスのようなえも言われぬ艶やかさを感じる。巫月は勿論、魅玖にまで、謎のエロスを感じてしまう。
とはいえモルモー以外からの評価は散々だった。そして、唯一の高評価をつけたモルモーは、2人を励ますように、普段よりも元気に評価を述べた。
「なーんかおカタい2人はあーだこーだ言うけど、私は2人のダンス、気に入ったわ!そりゃ確かに、ダンス内容に子供らしさの欠片もないと言われたらそれまでなんだけど、別に私らはね、そんなモンを求めちゃいないの。如何に可愛いダンスかどうか、だからね!」
「……横槍すまない、モルモー。こう言っては悪いが2人はまだ子供だし、男性に媚びるようなダンスはどうかと思うんだが、そこはどう思うね?」
「男神の侍女は普通にエッチな舞を披露するわよ。それが宴会の最中でも、ただの日常の中だろうと、それは変わらない。だから私にとってはこれまでのどのダンスよりも見慣れているし、親しみもある。しかも、2人は幼いからこその可愛らしさを存分に発揮していると感じられた。流石エスカルゴくんの長女さんね。腰の動きだけじゃなく、全身の動きや角度を計算し尽くしてるのよ。その本気さ、しかと受け取ったわ!!10点!いや20点!!」
「「ありがとうございますっ!」」
なんだかダンスのコンクールになってきたような気がするが、スルーしておこう。
そして紅組はそれからも各人により評価の変わるようなダンスを披露していき、白組は反対にかなり平均的で無難な曲選、内容だった。
そして一番最後を飾るのは紅組のロリショタペアである、駆翔と阿弥だった。しかし、その内容は、俺でもついつい頭を抱えたくなるものであった。
「オイ駆翔……阿弥よ……フォークダンスによさこいソーラン節はねェだろ……しかもこれがシメか……。咲夜さんの料理を食べて幸せな気持ちになった後に特濃豚骨ラーメンを食わされた気分に近いな。嫌いじゃあないけど『今かよ!?』って感じのな……」
踊り終わってから、駆翔にこの曲を選んだ理由を聞いてみた。三途の川の牛鬼、牛崎潤美から教えてもらったらしい。
ソーラン節とは、過酷なニシン漁の際の労作歌が元になっているらしいと、外に居た頃に聞いた事があった。だからか、漁師である潤美がソーラン節を知っていたとしても俺にとってはそこまで違和感は無かったが、俺と同じく外から来た早苗は、愕然としていた。
《まさか……よさこいソーラン節が幻想入りですか?まさか……まさかですよねっ?コレが外で忘れられるなんて、そんな事は……》
《流石に無いと思うよ。でもまぁ懐かしい気持ちにさせてくれたじゃない。俺ァ小学校に上がる前からコレを踊ってたから凄く懐かしい気分になったよ。8年は踊ったわコレ。てか、早苗も知ってんのね。色んな種類のソーラン節あるのに意外すぎたよ》
《別なソーラン節ですけど、私も学生だった頃には踊りましたから!他にどんな種類があるのかなって調べて、その時に知ったんです!》
《因みに早苗は何を踊ったの?よっちょれ?南中?俺は三種類しか知らないんだけど……》
《よっちょれですね!》
《マジ?中学3年間はよっちょれ踊ったから、俺もそれ踊れるんだけど》
《えっ?じゃ、じゃあ後から一緒に踊りません!?ほら、お昼前だからか保護者も混ざれる自由参加のエキシビションの時間もありますよ!紅組と白組、それぞれが全員で踊った後です!あ、あと、音源は任せました!》
《練習無しで!?いや、俺が中学生だったのって、多分だけど20年くらい前の事だぞ!?まだ踊れるか分かんねーよ……!》
《何言ってるんですか、頭が覚えてなくても身体が覚えてます!!》
《そんな催眠プレイや調教プレイみたいな……》
《あなたはまたそうやってエッチな例えばっかり!ほら行きますよ、煩悩を汗と共に流しましょうっ!法被と鳴子の用意もお願いします!!》
《勘弁して……》
この後めちゃくちゃ守矢一派と共にソーラン節を三連続で踊った。建御雷からは「バカか、お前は。恥ずかしいだろうが」などと言われたが、嫁カノや家族、天狗や河童達に見られながら踊るというのも中々悪くないなと感じた。
因みに、子供達のペアや点数は以下の通りだ。
紅組
ペア:楽曲(内容):点数(龍、モルモー、映姫)
弦月姫&霊麗:
霊魔&メリー:
ここあ&樹理愛:
巫月&魅玖:Awake:0、20、0
駆翔&阿弥:よさこいソーラン節:15、5、10
全員:マイム・マイム:10、15、10
白組
霊愛&穹:
恋夜&綺愛羅:
レーテ&シガー:
緋月&姫:
妖舞&虔魔:
全員:コサックダンス:10、10、10
紅組 白組
玉入れ 20 10
棒倒し 0 10
大玉 45 65
フォ 140 155
合計 205 240
────紅組、絶体絶命の大ピンチである。
モルモーは感情の起伏が激しめなので点数も大きく変わります。対して、映姫は0か10しかないです。白黒ハッキリしていますね。(なお10点満点などの規定はないので映姫個人の判断です)