「とうとうやって来ました最終決戦!!最後はこの大人数での大規模な弾幕ごっこ~ッ!!」
「紅組が超劣勢です!紅組が逆転勝利するには2人までしかリタイアを許してはいけません!」
「ここで、ルールを今一度確認しておくよっ!」
・降参OK
・時間無制限
・自傷行為は禁止
・スペルカード数も能力使用も無制限
・点数は「勝利時の人数×10点」で計算する
・気絶までいかずとも血が出る怪我をしたら負け
・現在の点差を考慮して、白組は紅組のメンバーを3人倒した時点で勝利が確定するので終了とする
「────となりまーす!」
「あくまでも『運動会』なので、自傷は禁止させてもらいました。なので自分の再生力を利用するのはやめて下さいね」
ご尤もなルールだ。巫月もこれには納得しているはずだ。もしもそんな事をしたなら巫月が大嫌いな
「敗北」になるのだから納得せざるを得ないはず。
「それでは、作戦会議タイムスタート!両チームの代表は、作戦が決まったら手を挙げて教えてね!」
◆
「さて、いよいよ決戦だね。皆、気ィ抜かないで、本気でやろう」
「つっても、紅組にゃ非戦闘員とも言える樹理愛に加えて阿弥まで居る。茜なんて俺に負けるくらいに鈍ってるんだし、勝つ気しかしねェぜ」
「でも妖舞、茜の反射速度に負けてる上に、結界に囲まれたら詰むじゃん」
「う……」
「そうですよ、妖舞。この前のリーグだって、茜が鈍っていたからあなたが勝てたようなものですよ。最後にトドメを刺した時だって茜に抵抗する意思があれば防げました。あなたは茜に勝ったのではなく勝たせてもらったんですから。……全くもう、それを忘れられちゃ困りますよ」
「……」
「とりあえず簡単に作戦を練ろうか。といっても、もう大体考えてあるんだけど。じゃ、緋月は弾幕と格闘、どっちが得意?」
「えっとねぇ……だんまく!」
「OK、じゃあ緋月は私と穹、妖舞、レイチェルの援護をしてくれる?」
「わかった!」
「恋夜は、魔法が主体だったよね?遠隔から適当にバンバン発射して場を撹乱してくれるかな?魔法の属性や方法は問わないよ。私達も気を付けるけど、できるだけ味方に当たらないように気を付けてね」
「分かったよ」
「シガレットも恋夜と同じでいい?」
「構いません!私の方から、援護を申し出るつもりでしたから!」
「良かった。あと、全員の身体強化を忘れずにね。えーと、虔魔はもう時間止められるんだよね?」
「はい」
「でも弦月姫に解除される?」
「……ええ」
「じゃあ弦月姫が時間を止めたら弦月姫警戒して。切り付けられるとか好き勝手にされたら、こっちもたまったもんじゃないからね」
「分かりました」
「じゃあ綺愛羅。綺愛羅は……好きに動いていいよ。でも、シガレットみたいに全員に身体強化お願い。そうじゃないと混血は吸血鬼に敵わないからね」
「分かった!」
「レイチェル、妖舞、穹、私。本命は、この4人。いや、穹かな」
「ええっ!?」
「穹が超速で飛び回りながら鎌鼬でもぶつけたら、それで終わりなんだ。血が出る怪我をしたら負け。ルールはめいっぱい本気で使わないと、ね?」
「……姉上、悪い顔になってますよ」
「……。最後に、姫」
「なぁに?」
「姫、何にでも重力の能力、使えるんでしょう?」
「うん!ひめね、おもいのー
「良いね。それじゃあ姫は、誰でもいいから、重い能力を相手に使ってくれる?」
「うんっ!いちばんちゅよいの、だぁれ?」
「巫月お姉ちゃんだよ。あの……白いウサ耳のね」
「おねーちゃ、ちゅよい……わかったよぉっ!」
「宜しくね。……よし、頑張ろう、白組っ!個人では負けても、総力戦なら勝つって見せつけてやろう!絶対に勝つ!!打倒紅組ッ!!」
◆
「絶対に勝つ!!打倒紅組ッ!!────なーんて息巻いてるんだろうなー、霊愛のヤツ」
「お姉ちゃんならそう言いそう」
「あの……お姉様。何か作戦はありますでしょうか?正直、今のままでは敗色濃厚かと……」
「うん。10人中3人負けた時点で紅組の負けは確定だから、逆転は絶望的かもね」
「そんな……!弟にだけは負けたくありません!」
「そりゃーね。でも私から見たら全員が妹か弟だし私は常にそう思ってるけどね」
「言われてみればそうでした……」
「じゃ、とりあえず作戦の概要を伝えまーす。この戦いは全員、空を飛びましょう。地面に足をつける事は許されません。以上」
「ええっ!?何でだよ姉御!!」
「うるさいよ駆翔、向こうに聞こえたらどうする?負けるんだけど」
「あっ、ごめん……」
「綱引き、サイコロリレーを思い出してみて。皆、極端に運が悪かったよね。何故か全員コケる上に、サイコロリレーでは6が絶対に出なかった。5すらたまにしか出なかったよね?レイチェルが可能性を操ってるんだと思う。だからここは安全策として、コケるのを防ぐ為に空中戦に持ち込む。滑る心配が無くなるからね。あと、眩しくなるのを防ぐ為に、樹理愛は太陽を雲で隠しておいて。あと風で視界が狭まるのも防ぎたいから、無風状態にして」
「分かった!!」
「言われてみれば、そうですけど……ですが空中戦はまずいのでは?空中は穹お姉様の
「そう、そこで必要になってくるのが茜の結界」
「え、私っ!?」
「霊麗も霊魔も結界は強いけど、一番多重展開可能なのは茜だったよね?今でもそれは変わらない?」
「う、うん、大丈夫だけど……」
「だけど?」
「ううん、何でもない」
「そ。じゃ、始まると同時に穹を囲んで、身動きを取れなくして」
「分かったわ」
「霊愛は囲んでも無駄だと思う。圧倒的にパワー型だからね、破壊されるか抜けられると思う」
「……確かに」
「あと魅玖には、霊麗と組んで弟や妹を蹴散らしてほしいかな。できる?魅玖?」
「できるよ。というかプレッシャーかけないだけで私と巫月お姉様が作戦の要……なんでしょ?」
「そうだよ。痺れさせたら問答無用で戦線離脱だし容赦なく暴れてもらうよ?」
「OK、じゃあ最初に緋月を倒さなきゃね」
「それでお願い。ここあは全員の身体強化お願い。勿論、始まった直後にね。その後は自由に動いて」
「はいっ!!」
「弦月姫は、虔魔が時間を止めた瞬間に解除して。もしくは敢えて停止を継続させて、即、彼を倒す。どっちでもいいよ。そこは状況に応じて判断して」
「分かりました」
「霊麗はさっき言った通り、魅玖と組んでね。で、もし攻められたら魅玖や近くの子を守ってね。でも私の事は守らなくていいからね」
「了解」
「霊魔は────好きに動いて」
「分かっ……えっ?」
「誰かと組むのに慣れてるなら話は別だけど?」
「……ん。慣れてない……」
「じゃあ好きに暴れまくって。負けないで、とだけ言っとくね」
「了解」
「で、私は真っ先に姫を倒す」
「「「「…………えっ?」」」」
「嫌な予感がするんだよね。重力の能力って身体が問答無用で重くなるからさ、『空を飛ぶ』っていうこっちの基本の戦法自体が潰されかねないんだよ。大丈夫、開始早々に痺れさせるからね。その後は、妖舞、レイチェルの足止めをメインに動く。妖舞の速度は正直バカにできないレベルだからね。もし、まずくなったらすぐに呼んで。助けに行くからね。遠慮したら負ける。そう思っておいて。いいね?」
「「「「はいっ!!」」」」
「誰1人負けるんじゃないよッ!作戦は守りつつ、皆で皆をカバーすること!紅組、ファイッ!!」
「「「「オオオオォォーーーーッッ!!!」」」」
◆
紅組の咆哮が聞こえてきた。円陣を組み気合いを入れているようだ。戦術的に、茜はサポートに回るだろう。巫月はどこまで先を読んでいるのか、一体どんな立ち回りをするのか……よく観察しよう。
「両チームの作戦が決まったみたいだから、早速、やってこーと思いますっ!!」
「今大会の最終決戦!前代未聞の10vs10の大混戦!どんな戦いになるのか、今から期待が高まるっ!」
「ここでもう一度両チームのメンバー紹介をさせてもらいますっ!!」
「紅組リーダーを務める、エスカルゴさんの長女!巫月・優曇華院・スカーレット!!
「『姉妹間の司令塔』の異名を持ち、月の頭脳こと八意永琳の弟子!常に的確な判断を下すその頭脳は勝利への渇望と好奇心に溢れてる!」
「紅組副リーダー、五女の博麗霊麗!!」
「『博麗の妖怪巫女』の異名を持つ、巫女見習い!次の次の博麗の巫女となるなら、初の妖怪の巫女となるが、果たして…………!?」
「次男、博麗霊魔!!」
「『小心翼翼の大道芸人』の異名を持つ、2番目の吸血鬼男子!照れ屋さんだけどキレた時のやる気は父親譲り!?この子の活躍も見逃せないッ!!」
「四女、十六夜弦月姫!!」
「『完全に天然な副メイド長』こと十六夜弦月姫!彼女の繊細なナイフ使いは見る者を恐怖のどん底に突き落とす!!」
「十一女、永江魅玖!!」
「『麟子鳳雛の雷使い』こと永江魅玖。息苦し〜い天界を抜け、地上に舞い降りた!中々にクレバーな一面を覗かせる事もあるらしいけど、この戦いではどのような活躍を見せてくれるのかっ!?」
「六女、八雲茜改め、マエリベリー・ハーン!!」
「『異世界からの留学生』とも呼ばれるけどこれは外の友達から見たら、みたいだね!どうやら今回は外から戻ってきてるらしいよっ!」
「九女、ここあ!!」
「『ツインテールの幼き小悪魔』と呼ばれる彼女は見た目通り小悪魔だよ!中身も魔性の女……かも!」
「四男、驪駒駆翔!!」
「『高材疾足の若頭』こと驪駒駆翔!勁牙組の次期組長を自称するが果たして組長になれるのかっ!?彼の将来に、乞うご期待!!……んっ?速報ですっ!彼の二つ名に『ノウキントツゲキオー』が追加!?なんだこりゃっ!?」
「十二女、摩多羅阿弥!!」
「少し前まで『明鏡止水の心』とまで呼ばれた彼女だけれど最近は子供らしさが見えてきたッ!?表を司る彼女がどんな戦いを見せるのか、要注目!」
「七女、東風谷樹理愛!!」
「半神半妖だけれど殆ど神様!山の皆のアイドル!
『甘えん坊の新人神様』こと東風谷樹理愛は、紅組からの参戦!天候を操る能力でどう立ち回るのか!応援無しには見れない!!」
「以上、紅組10名!!続いて、白組の紹介だよ!」
「白組リーダーを務める次女、博麗霊愛!!」
「『次代の巫女』と渾名される彼女は既に単独での妖怪退治にも行っているとか!堅実な努力で、姉を打倒する日も近いか!?」
「副リーダー、三女、射命丸穹!!」
「『山の英雄の娘』と呼ばれ、物理学を得意とする新人記者!最近は、ある内容に特化した新聞のみを出版しているらしいが……!?」
「長男、魂魄妖舞!!」
「生意気ボーイは健在か!?かつて山を震撼させた冥王の曾孫ッ!!『冥王の血を引く者』の二つ名は伊達ではないと、その実力で魅せてくれるのか!?彼の動きにも要注目だーッ!!」
「八女、レイチェル・スカーレット!!」
「『直往邁進の幼き紅魔の姫』!!かのレミリア・スカーレットの実の娘!母の面影を確かに残しつつ幼くも垣間見せるカリスマの器は、伝説の大悪魔を言葉のみで従わせる程!!前評判は最高!果たしてどのような戦いを見せてくれるのか!!」
「三男、十六夜虔魔!!」
「『紅魔の執事見習い』と渾名される彼はメイド長十六夜咲夜の息子!ちょっぴりハレンチらしいけど外敵を屠る時の容赦の無さは既にメイド長以上!!噂のオーバーキル加減は、今回ばかりは見せなくていいからね!」
「十女、シガレット!!」
「『性癖クラッシャーの幼き小悪魔』と彼女を呼ぶのはそう!実の父親、エスカルゴ・スカーレット!何でも、幼き彼氏の博麗霊魔の性癖をブッ壊したと専らの噂だぞ!!」
「十四女、綺愛羅!!」
「『恋愛コンビの一角』!魔界を創成した魔界神の血の繋がった娘!仲良しの兄とはもはやラブラブに見えてしまうほど!!」
「五男、恋夜!!」
「『恋愛コンビの一角』!!綺愛羅と組んでの恋愛コンビ!双子のパフォーマンスにも要注目!!」
「十三女、緋月・優曇華院・スカーレット!!」
「『三尺童子の電気兎』の二つ名は伊達ではない!幼き電気兎はあらゆる苦難から逃れて、悠々自適な日々を過ごしている!しかし、戦闘はそこまで嫌いではないらしい!!」
「十五女、霊烏路姫!!」
「唐突の参加!霊烏路空の娘!何が何だか私達でも把握していない!!でもッ!そんな彼女は幼くして既に能力を制御可能らしい!実に恐ろしきかな……!そんな彼女の戦闘は今回が初披露!よーく見ておくようにッ!!瞬きすらも許さないぞっ!!」
「……以上、白組10名!」
かなりヤバいと思う。怪我をさせないように気を配りながら暴れるとは言うが、激しくなること必至だろう。
両チームのリーダーの気配がまるで狼煙が上がるように静かに立ち上り始めた。巫月も霊愛も本気で弾幕ごっこに臨むらしい。
「スタートッ!!」
やがて、進行係がスタートを合図すると、無風で綺麗な状態の水面に水滴を落としたように、一気に事態は動き始めた。
スタートと同時に、少なくとも5人が動いた。
まずは茜ことメリー。ほぼ同時に動き出した兄の妖舞、姉の穹の2人を立方体の結界にて封殺した。
「ぐべっ!?なっ、何だとォ……茜ェェェッ!!!」
「いぎゃぁっ!!……くぅぅぉぉおおおっ……」
先日も居合いを防がれた妖舞は、瞬時にメリーの仕業だと見抜き、鼓膜も震える程の怒号を発する。見るからにブチギレている。本気も本気らしい。
穹も穹で、勢いよく顔面をぶつけたようで必死に顔を撫でて痛みに耐えている。
「なッ……2人同時に……ッ!?」
「茜には厄介払いをお願いしたよ〜。瞬間的になら穹より速い妖舞……の居合い攻撃を防げるんだから、スタートが
「お姉ちゃんッ……!!」
「し・か・も……」
ほんの一瞬だけ、時間が止まった。虔魔が時間を止めたのだ。そしてその隙に巫月の背後に迫ろうとしていたが、巫月の指示通りに虔魔を警戒していた弦月姫は即座に虔魔の時間停止を解除。そして逆に虔魔を蹴り飛ばしていた。
「ふげっ…………お、お姉様……また邪魔を……ッ!」
「これが戦闘よ。そして……霊魔!」
「まさか────ッ」
「僕はお前を許さない」
嗚呼、あの執念深さ、思わず見ているだけで酷くゾクゾクしてしまう。やはり霊魔、あの子は巫月に次いで俺によく似ている子供だ。
弦月姫は霊魔の居る方向に虔魔を吹っ飛ばした。そして巫月からも「自由に動いて」と言われている霊魔は弦月姫の呼び掛けに反応し、虔魔へ、怨恨の篭った一撃を叩き込んだ。
「兄だから弟を赦すべき?イヤだ。僕は赦さない。また気絶するまで叩きのめしてやる……ッ!前回も、今回も、次も……その次もッ!!!」
「ぐべらっ」
血が出ない、または出ても運営にバレないくらい瞬時に治癒してしまう程度の、キレているにしては優しいくらいの鉄拳制裁を加えている。
ただし吸血鬼同士だからそれで済んでいるのだ。もしも虔魔が人間だったら、手加減した霊魔にすら殺されていただろう。
一方、見合っていた巫月と霊愛は。
「さーて、ヤリますかぁ〜。霊愛の相手できるの、私だけだもんねぇ……相手するよ、霊愛♪」
「……それはどうかな。姫ッ!!」
「はぁーい」
「!!……姫……何処に居るのかと思えば、まさか、光学迷彩スーツを使ってたなんてね……!!」
「さっき、お父さんから借りてきた。姫に使うとは言ってないけど」
「うしゃぎおねーちゃん、おもくなぁ〜れっ!!」
姫のそんな掛け声と一緒に、巫月の足がズンッと地面にめり込みかける。辛うじて耐えているのは、ここあによる身体強化のお陰だろう。そのここあは恋夜と激しく魔法を撃ち合っているようだ。
「ぐ、く、うぅ…………お、重いね……確かに重いッ!姫のは……かなりキツいね、これは……ッ」
「お父さんは手加減してるだけじゃない?」
「っ……そーだね、エスカルゴだもんね」
回避不能と見たか、霊愛はゴオッと陰陽玉を姉に向かわせる。しかしそれを反撃壁でバチンと弾き、霊愛へぶつけようと企む。
とはいえ、陰陽玉の継承者たる霊愛にとっては、その程度の反撃は操作の範囲内。反撃壁による反撃なんか物ともせず、壁を壊そうと更に陰陽玉で襲い掛かる。
巫月は、足を封じられつつも余裕な表情をあまり崩さない。動けないというのに、だ。
「行くよお姉ちゃんッ!!」
「来なよ」
直接攻撃に移行する霊愛。ブゥンと唸りを上げて空を切るお祓い棒は反撃壁を破壊。続いて、巫月を目掛けて進むが────。
「オラオラァ、どきやがれェい!!」
「うわっ」
巫月と霊愛の間に、隕石のような勢いで上空から飛び降りてきたのは四男の駆翔。小生意気に次女の前に立ちはだかる駆翔は、ここあの魔法によって、これまでにない程に速く走れるようになっていた。お陰で今の今まで戦闘に参加せず走り回っていた。
「やいやい姉上、勝負だ!!」
「……姫!」
「はぁーい!」
「ッ!!」
巫月と同様に、グンと足が重くなる駆翔。しかし脚力が狂っている彼の前に、10数倍程度の重力など無意味だった。
空高々と飛び上がった駆翔は、フォン、フォンと地面に向かって優雅に蹴りを放つ。するとそこから蹴りによる衝撃波が放たれ、その圧力にて霊愛と姫は吹っ飛ばされる。
「んにゅああっ!!」
「くっ……!!」
「……あ、軽くなった。どうやら、ビックリして解除しちゃったみたいだね」
「やったぜ姉御!身体が軽い!」
「……重くなってたと思えないくらい軽々と跳んでたように見えたけどね」
「え、そお?ま、俺ァジャンプ力最強だからな!」
「そうかもね。じゃあ、追撃かけてくるね。駆翔は皆の援護してな」
「いーや、姉御は他所に行ってな!俺が2人を倒すからよォッ!!」
「そういう変な油断が命取りなんだよ、バカだね。
『
「あっ!2対1で隔離しやがった!……ちぇっ!!」
地底で暮らしている姫に対し月の都のような清い空間は極めて毒である。活動は見るからに鈍って、能力を使うどころではない。霊愛は姫を庇ったが、本気で対象を制圧する気になった巫月の前には……。
「今回は長引かせないよ、霊愛。じゃあね姫、また今度ゆっくり戦おっか」
「「えっ」」
次の瞬間、巫月の結界内の地面全体に超高電圧の電気が流れ、2人は一瞬で討ち取られてしまった。巫月が紅組に空中戦をするようにと仕向けた事には2つの理由がある。それはレイチェルの確率操作による転倒を防止する為。そして、巫月の地面への放電の影響を受けないようにする為だったのである。
霊愛は、駆翔も普通に地面に立っていた事から、地面への放電を度外視していた。しかもこの結界は前回の戦いで「奥の手」という形で使用したもの。まさかこうも易々と使用するなんて、全く予想していなかったからであった。
「よし、2人脱落。あと8人…………!!」
博麗霊愛、霊烏路姫、脱落。