※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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エスカルゴチルドレンの運動会⑧

 ────僕は勝たなくちゃいけない。でなきゃ、シガレットお姉ちゃんにお願いを聞いて貰えない。お姉ちゃんにするお願い事はもう決まった(・・・・・・)。だから後は2人を僕の手で倒すだけだ。

 

「行くよ」

 

「来い!兄ちゃん!」

 

 恋夜が宙に魔法陣を描く。それと同時に綺愛羅の姿が消えた。背後に回り込まれたんだ。これが世に言う「目にも留まらない」速さなんだ。

 それでも、巫月お姉ちゃんとは違って幻覚なんかじゃないので、安心して気配を追える。

 

「はっ」

 

「ぐ……っ」

 

 後ろ蹴りをすると綺愛羅の腹に足がめり込んだ。この子もお父さんの子ならこの程度では骨折なんてしないだろう。ヒビすら怪しい。

 

「綺愛羅ァッ!……くっそー、これでも喰らえー!」

 

「ッ!自己『スフェリカルバリア』」

 

 宙に描かれた魔法陣から、魔理沙さんのマスタースパークのような太さの火柱が飛び出してきた。

 球形の結界でそれを防ぐが恋夜は攻撃の手を全く緩めない。結界ごと僕を焼き去ろうとでもしているみたいだ。でも全く効かない。後ろからは、恋夜の攻撃の熱に耐えながら綺愛羅が攻撃を仕掛けてくるけど、僕の結界にはヒビ1つ入りやしない。

 

「お兄ちゃんも来て!!」

 

「おうっ!えーとえーと……『鎌鼬』ッ!!」

 

 風の刃が迫ってくる。しかし結界に触れると軽く弾かれたり、パキンと砕けたりする。雷を降らせ、圧縮した水を放ってくるけど、どれも効かない。

 

「くぁぁ〜ッ……効かねえ〜ッ……!!」

 

「殴らないと壊せないよコレッ……お兄ちゃんもほら殴って!!」

 

「あいよッ!!」

 

 綺愛羅の魔力が恋夜を覆う。また身体強化した。前後から2人で襲ってくる。強化の度合いは2人共同じくらいらしいけど、恋夜の方がパワーが強い。

 お父さんが言うには恋夜の方が吸血鬼の血が強いらしいとの事。だからなのかもしれない。

 

「……吹っ飛ばす」

 

「「えっ」」

 

 球形の結界を瞬間的に大きくさせて、2人を宙に吹っ飛ばした。何が起きたのか分からない、という顔をしているので、丁度いい。

 

「まずは厄介な綺愛羅ね」

 

「ひっ……」

 

 女の子相手に申し訳ないとは思うけれど、これが楽に勝つ方法だ。雷エネルギーの球体を押し付け、感電させて気絶させた。多分、加減しすぎたから、すぐに目覚めるだろうけど。

 

「なっ……何だよ今のァ……兄ちゃんッ!!」

 

「結界は霊力の塊。それが強いって事は僕の霊力の密度はとても高いって事。……僕は、霊力操作が得意なんだ。多分、霊麗お姉ちゃんよりも。結界の操作だって、ワンパターンじゃない────!」

 

 着地するなり、綺愛羅より様になってないけど、ぐぁぁっと殴り掛かってくる。彼を正面から弾いてやろうと結界を設置。そして、それを拡大させつつ何重にも展開し、弾幕のように発射してやる。

 

「ぐぎっ……ぎゃあああぁっ……」

 

 ペキンッと軽い音がした。小枝でも折れたような音なので鼻骨が折れたんだろう。そして凄い勢いで鼻血を吹き出した。

 恋夜は、まだ基礎的な魔法しか使えないらしい。自分の能力でなく、魔法で戦ってくれてよかった。さもないと負けていたかもしれない。

 お父さんの方を見てみると僕の方を見てビックリしている様子だった。2人も一気に倒した事で少しくらいは見直してくれると嬉しいんだけど。

 

(第10の使徒かよ。ヤバいな、霊魔が第10の使徒に見えてきた。結界を攻撃に転用するなんてそんなの霊愛も霊麗もやってないぞ。霊夢ですら攻撃目的の結界を使う程度で、防御用の結界を攻撃に転用するなんて見た事ねェ……やっぱ霊魔、どこかヤバいな。成長性Aだなこれは……)

 

「……勝ったよ」

 

「っ!おう、見てた!よくやったぞ!!」

 

「っ……!!」

 

 つい嬉しくなった。本当だったら弟や妹ではなくお兄ちゃんやお姉ちゃんを倒したかったけど、もう緋月お姉ちゃんしかいないかったら恋夜と綺愛羅に決めた。緋月お姉ちゃんは巫月お姉ちゃん達が相手してるみたいだし。

 

「霊魔〜、終わったよー」

 

「あ。お姉ちゃん……終わったの?」

 

 巫月お姉ちゃんがグッタリした緋月お姉ちゃんをおんぶしている。痙攣してるから、お姉ちゃん達が痺れさせたんだろう。

 

「うん。そっちも終わったみたいだね」

 

「結界で吹っ飛ばして終わらせた」

 

「結界で……?何言ってるのかよく分かんないけど、無事そうで良かった〜。これで、紅組の勝ちだね。霊愛を早々に倒せたのがデカイね!」

 

「ホントにね。お姉ちゃん達もお疲れ様」

 

「霊魔も強くなったね。私も負けてらんないや」

 

 巫月お姉ちゃんが誰に負けるって言うんだ。僕が強くなったって少しも追い付けないって感じる程、巫月お姉ちゃんは圧倒的だってのに。強すぎるよ。

 

 

 ◆

 

 

「決着ゥゥーーーーーッ!!」

 

「総力戦決着!紅組は9人残った……という事は!」

 

「「紅組の大勝利〜〜〜〜〜ッッ!!」」

 

 集計の結果、紅組470点、白組455点。運動会は、そこそこの僅差で紅組の勝利。霊愛、レイチェル、穹、妖舞は悔しそうにしていたが、それ以外の子はそこまでな反応だった。

 紅組のメンバーの大半が本気で勝つ気だった所を見ると、こういう意識の差が出たのだろうと思う。緋月も、目が覚めても何食わぬ顔をしている。

 別に、強くなくても生きていけるとは思うので、

「お前ら絶対に強くなれよ」とは言わないが……少しくらいは向上心が欲しいかなと思わなくもない。

 

「あー、私があんな早く負けなきゃ……。お姉ちゃん強すぎ、てか手ェ抜きすぎ……」

 

「だって総力戦だし。私ばっか頑張ったってねぇ。霊愛もそうだよ、霊愛ばっか頑張ってたって意味は無いと思うよ〜」

 

「……うん。にしても、姫はともかく他の子はもっと意識を高く持ってほしいっていうかさー……」

 

「霊愛とは境遇が違うし、何とも言えないよ。でも姫は割と向上心ありそうだね。やっぱ育つ環境って大事だよね〜」

 

「地底は修羅の国だってお父さん言ってた。意味はよく分かんないけど厳しい環境ってのは間違いないみたいだね。あと駆翔!駆翔が紅組だったの、少し羨ましいなぁ〜……」

 

「駆翔、生意気なのは昔の妖舞みたいだけど、少し実力が伴ってない程度なんだよね。強くなるよ〜。弾幕ごっこは分かんないけど」

 

「あはっ、そーかもね。てかこれ、白組が負けたの連帯責任だよね、誰か1人のせいって事はないわ」

 

「連帯責任って、実際は『足でまといを全員で排除しろ』って言ってんのと同じなんだよね。だって、1人でも足でまといが出たら全員のせいなんだし。あんまり好きじゃないなぁ、連帯責任」

 

「うーん、そんなもんかなぁ」

 

「そーだよぉ」

 

「うーん……とりあえず、もっと強くならないとね。私も、強くなりたいと思ってる子も」

 

「何なら霊愛が稽古付けてあげたらどーなの?少しくらいは強くなるんじゃない?強くなる事に近道があるとするなら、強者と戦う事だけなんだよね〜」

 

「ん……考えてみるよ」

 

 

 ◆

 

 

「紫。紫」

 

「あら霊夢、どうしたの?」

 

「とぼけないで。この前も話したでしょ。この前のリーグ戦の後に」

 

「……ま、この結果を見ればねぇ。分かったわ。手配しておきましょう」

 

「頼んだわよ」

 

「これも未来の幻想郷の為。必要な事よ」

 

「そう言ってくれると、私も少しは気が紛れるわ。ありがとう、紫」

 

「私は幻想郷の為に動くだけだからね」

 

「そんなんだから紫は過保護だって言われるのよ。隠岐奈から」

 

「……」




     紅組 白組
玉入れ  20  10
棒倒し  0   10
大玉   45  65
フォ   140   155
借り物  175   125
綱引き  0   60
サイリレ 0   30
総力戦   90   0
───────────
合計    470  455
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