「イテテ〜……今になって痛くなってきた……最悪。誰か治癒魔法の使い手とか居ないワケ……?」
無論、居ない。治癒魔法は主にエスカルゴのみが使用している。彼が敵に回れば、治癒魔法の使い手なんか存在しない。もし居るとするなら、魔界神の神綺だろう。魔界に存在する魔法は、彼女の産物。最近になって漸く派生の魔法が開発された程度には元からあらゆる魔法が充実している。
とはいえ霊愛に魔界に向かう意思はない。次は、幻想郷のパワーバランスの一角を担う悪魔の館──紅魔館に向かっていた。
「どうせお父さんもモルモーも居ないって思って、スルーしてたけど────やっぱり一番危ないのは紅魔館なんだよなぁ。今度は誰が邪魔するんだろ」
普段ならば、美鈴に話を通せば通してもらえる。本当は予定が無いと通してはもらえないが、彼女はエスカルゴの子。紅魔館には彼女の妹や弟も居る。妹や弟と会うのにわざわざ予定を立てる必要なんか無いからだ。しかし、今回は違っていた。
「おっと霊愛さん、今日は通せませんよぉ」
「何で?
「あれ、そうでしたか。それはすみませんでした。レイチェル様、今は空いているとは思いますけど、念の為に確認してきますね!少々お待ち下さい!」
「うん。────ごめん」
背中を向けた美鈴に奇襲を掛ける霊愛。けれども美鈴は彼女の気配を読んだのか、瞬時に回避する。霊愛の蹴りは空を切ってしまった。
「危ないですねェ。背後からとは些か卑怯では?」
「うるさいよ、さっさと通しなよ」
「いえいえ、現在は通せない事情があるのですよ。何せエスカルゴさんが
「パーティ?……お父さんの奴、呑気に何を……!」
「良いんじゃないでしょうか、これもたまの楽しみなんでしょうし。彼がパーティの時は何人たりとも侵入は禁止なのです。因みにですが、パーティ中は咲夜さんの代行として、弦月姫ちゃんがメイド長をやってるんですよ〜。副メイド長ですからね、長が手を話せない時は主に動くんですよね〜」
「……待って。パーティって……何なの?お父さん、本当に居るんだよね?」
「……オトナな世界に入門できたら、教えてあげてもいいかもしれない……ですねっ♪」
エロい事だ。霊愛はそう感じた。エロ漫画で見た試しがある。乱交パーティだ。しかしエスカルゴは自分の女が自分以外の男と行為をするのを良しとはしないタチなので、ハーレムプレイなのだろう、と結論付けた。
「気配が無いからと思って油断してた。そーだよ、今のお父さんは昔とは違う。今はもう完璧に気配を隠せるんだ。今……
「通しませんよッ!!コォォオオオオオオ……!!」
あと2戦くらいしないとエスカルゴと戦えないと思っていた霊愛は完全に油断していた事を悔やむ。気を抜いてしまっていた。決戦はまだ先なのだと。しかしそれは違った。犯人は──父はここに居た。目の前の館に居たのである。
「ほぁたァッ!!」
「ぐげっ……」
美鈴の膝蹴りが霊愛の腹に突き刺さる。きっちり手を抜いているのは蹴られた本人にも伝わったが、それでも普段よりも強気なのは間違いなかった。
息が止まる。吐き気もする。食べた物がググッと込み上げてくる感覚がしたので、思わず口元を手で押さえるが美鈴は追撃の手を緩めない。
「悪いですがジ・エンドですよ!コンティニューはさせませんッ!!」
「コンティニュー……なんて、しないよ……!!私は負けないから!」
「おッ?」
美鈴の踵落としを、足首を掴む事で受け止めて、紅魔館へとブン投げた。宙で体勢を整えようとして藻掻くが、抵抗虚しく美鈴の身体は玄関を破壊し、その音を聞き付けてメイド妖精達や弦月姫、虔魔がやってくる。
それらをスルーして紅魔館に足を踏み入れるが、妹と弟、2人から刃を向けられる。
「通しませんよ。本日は親族も立ち入り禁止です」
「通せ」
「殺意を振り撒かれても通せません」
「断る。お父さんが何を企んでるか知らないの?」
「知っています。それで言い争った結果、お嬢様と弾幕ごっこにまで発展しましたからね」
「ヘェ。弦月姫はどう思ってんの?」
「どうも思っていません。お嬢様がお父様に従うと決めたのなら私も追従するのみです」
「あっそう。虔魔は?」
「恥ずかしい目に遭いたくなければ、さっさと退去してください。不退去罪、とかいう犯罪ですよ」
「断る────って言ったら?」
「こうします」
時を止め霊愛の背後に回り込む。停止解除と共にフワリと捲り上がる霊愛のスカート。そして後方に吹っ飛ぶ幼き吸血鬼男子、十六夜虔魔。
「ぶげらっ」
「お前ホントキモイよ!乳臭い手で私に触んな!!クソガキッ!!」
後ろ蹴りで虔魔を彼方へ吹っ飛ばした上、追撃で陰陽玉で顔面を凹ませると、彼は紅魔館の敷地外に消えて行った。しかし弦月姫は姉の隙を逃さない。蹴りにより今は足の自由が利かず、飛び道具である陰陽玉も今は虔魔と共に彼方へ。弦月姫がこの隙を逃すまいとするのも、無理はない。
「これは最後通牒です。
「うっさいなぁ。帰んないっつってんでしょーが。言っとくけど2つ下の妹だからって容赦しないし。雑魚妖精諸共、吹っ飛ばすよ?」
「やってみて下さい。今の私はお姉様相手でも善戦くらいはして見せま────」
「霊符『夢想封印 夢幻』ッ!!」
「フッ……勝手知ったる夢想封印、今更喰らう私ではありません!!」
「
「!!」
霊愛のオリジナル夢想封印もホーミングである。弦月姫はホーミングの度合いや性能も理解している故に、スイスイと回避していく。
当然の事だが霊愛はそんな事も分かっている上でこの技を使用した。相手の
弦月姫は相殺するタイプではない。回避し弾幕をいなすタイプだ。そして結界やバリアは使えない。相殺か回避しか無いので、霊愛もこの作戦にした。
「ハァァアアアアアアアアアッッ!!!」
「……えっ!?」
1つ上の姉、巫月も使った事のある戦法だった。弾幕を隠れ蓑に進み、弾幕の処理をさせた直後に、一気に攻め入る。対弾幕と対人での対処法が大きく異なるのを利用して、脳の処理を一瞬遅らせる事ができる。だからもしこの戦法が通じない者が居ると仮定したなら、戦闘慣れしている者か、この戦法を使い慣れた者くらいだ。
「喰らえええぇええあああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!」
「────ッ」
金切り声に近い声を上げて、本気も本気の強烈な一撃を弦月姫の腹にブチ込む。利き手でないはずの左手で、お祓い棒を的確に弦月姫の鳩尾へと刺し、弦月姫は驚くと共に呼吸困難となり地面に転がる。
「〜〜〜〜〜〜ッ……!!」
「ハーッ、ハーッ……やっぱ頑丈だね、吸血鬼は……並の妖怪だったら腹に大穴空いてたよ。そんくらい本気でやったんだけどなぁ……ゲホッゲホッ……」
「お……ね…………な、ぜ…………っ」
「何故って?……?…………あぁ、左手なのにどうして普段通りに戦えるかって聞きたいの?」
「……」
「言ってなかった?私は両利きだよ。私達は戦闘を生業にしてるんだよ?利き手が使えなくなった時に備えて、どちらの手でも何でも出来るようにする……当然だよね。こんな仕事してれば、いつ手が飛ぶか分からないしね」
「ッ……」
腹を押さえたままガクリと気絶。すると、そんな弦月姫と入れ違いに、ザワリと気配を立ち上らせて家主のレミリアを始めとする数人の悪魔達が紅魔館エントランスに集結する。
「おやおやおやおや……随分と乱暴なのねぇ、未来の博麗の巫女さんは」
「レミリア……ッ!お父さんは部屋に居るんだよね?会いたいから、通してもらうよ!」
「通しはしないわ。今はモルモーとお遊び中なの」
「お遊びお遊びって!どうせ、セックスしてるだけでしょうが!これ以上弟や妹を増やすつもり!?」
「そうじゃないの?知らないけど。とりあえず今は立ち入り禁止なの。引き返さないつもりだったら、力ずくで追い返させてもらうわ」
「やってみなよ!」
「そんなボロボロになって……。幾ら霊力が多いとは言っても霊夢ほどではないし、かと言って再生力に優れている訳でもなし。死ぬ前に療養しておくのが賢明というものよ?」
「うるさいよ、レミリア。何?私に勝てないから、そうやって戦闘を回避しようとしてンの?」
「……安い挑発ね」
「事実でしょ?私みたいな子供1人を追い返す為に何人も配下を引き連れてさァ。いや情けないねー。誇り高き吸血鬼が聞いて呆れるよ」
「あなたこそ、私達に勝てないと思っているから、そうやって複数との戦闘を回避しようとしているんじゃないのかしら」
「そっちこそ安い挑発だねー。もう、今日だけでも複数人と戦いまくってるからさァ、全然余裕だよ。例えそれが、全員悪魔だとしても……ね」
「……」
「だぁってぇ……お父さんもそうだけど、吸血鬼って揃いも揃って鴉天狗より遅いんだもん♡」
「!!」
「文のみならず一般の鴉天狗より遅いヤツらにさ……どうやって負けろってのさ?ゴキブリに負ける猪が存在するかっての」
「その発言……数分後には後悔することになるわよ」
「その発言こそ数秒後には後悔することになるよ」
「……咲夜、フラン」
「はーい。悪魔の恐ろしさ、教えてあげましょ♪」
「弦月姫も虔魔もまだまだね。すみませんお嬢様。後ほど、再教育の時間を取らせて頂きます」
「構わないわ」
そして騒ぎを聞き付けたレイチェルまでも登場。流れるようにアスモデウスを召喚。美鈴も弦月姫も気絶から目覚め、レミリア達に加勢する形に。
「うーわ、絵に描いたような多勢に無勢……ちょっと引いた。でも、腕試しにゃ丁度いいかも、ねッ!」
「ぐっ……ぐぇぇっ……」
美鈴と弦月姫は既にフラフラ。処理するならまずこの2人だろうと判断。霊愛は戻ってきた陰陽玉を弦月姫に放ちトドメを刺そうとする。しかしそこに美鈴が割り込んだ事で弦月姫の盾となり、代わりに吹っ飛ばされた。
「チッ、余計な事を……!」
「隙ありよ。神槍『スピア・ザ・グングニル』」
「……禁忌『レーヴァテイン』」
「容赦しないわ。傷魂『ソウルスカルプチュア』」
「薔薇符『棘蔓地獄締め』!」
槍を数本投擲するレミリア、燃え盛る大剣を作り構えるフラン、言葉通り容赦なく切り付ける咲夜、品種改良した薔薇の種子を放って急速に発芽させ、母の邪魔にならない程度に、棘だらけの極太の蔓を襲いかからせる。
「ねぇアスモデウス。お母様達が本気出せるように準備してくれない?」
「と仰いますと────アレを?」
「そ。イイ?」
「構いませんが、あの姉君はソレで本気を出せるとレミリア殿から伺っておりますが?」
「別に構わないでしょ。1人の本気と5人の本気、どっちが上かって……ねェ?フフッ……♪」
「……分かりました。しかし慢心だけはなされぬようお気を付けください。その後、私はどうすれば?」
「……私が確率操作で決着をつける。だからどちらになろうとアスモデウスは動かないで。術の維持だけお願い。終わったら解いてもらっていいからさ? 」
「承知。然らば準備を済ませます。レイチェル様も参戦なされるのですね?」
「勿論」
「御意」
レイチェルの指示を受け、瞬間移動で姿を消したアスモデウス。大悪魔たる彼女が戦闘に参加しないらしいと見るや、霊愛は更に攻撃を強める。
放つ霊力弾はその密度や威力を増して、さしもの吸血鬼達と言えども未来の博麗の巫女の攻撃の前に手を止めざるを得なかった。
「単調且つ強引。まだまだ荒削りだけれど、なまじ力が強いからこそ、それでも苦労しないのかもね」
「正直、華が無い戦い方だよねー。でも、それでも強いんだから参っちゃう」
「……時間停止も弦月姫の植物も、さして意味は無い様子。はてさて、どう処理したものやら」
「アハハハッ、お姉様のお祓い棒、それ、金属!?私のバトルアックス受け止めるなんて意味不明ー!身体のバネもヤバすぎでしょっ!」
弾幕の量を増やしてもホーミングなので、調整はできたとしても1人につき総弾幕量の5分の1しか向かわない。既に倒れている美鈴を除いたとしてもやっと5人なので、霊愛は、改めて致命的なまでの人数の差を思い知らされた。
「華が無いだの強引だの……好き勝手に言ってくれるじゃん!じゃあいいよ、それで押し切ってやる!!吠え面かかないでよねッ!」
「更に力を上げると言うの……!?」
「……やっぱ霊夢の子供だねぇ」
「美鈴、起きて。防御お願い」
「無理……ですぅ……」
「フラフラになった美鈴さんは私が守ります!」
「アハハハハハッ!ぜ〜んぶ斬り裂いてやる!!」
「言っとくけど────私だって、去年よりずっと成長してんだかんね!!全員まとめて、吹っ飛べ!
『夢想天生』ッ!!」
「「「「「えっ……!?」」」」」
去年のリーグ戦の際に、散々苦労して初めて発動させた夢想天生。しかし今回は、いとも容易く発動させて見せた。霊夢のこの技をよく知るレミリアは勿論、咲夜、フラン、美鈴の驚き様は、改めて言うまでもない。
そして弦月姫とレイチェルは、リーグ戦における巫月戦でのこのスペルを見ていたので揃いも揃って敗北を覚悟していた。
何せ、巫月がこのスペルをほぼ無効化できたのはスキマという空間を捻じ曲げる技術があってこそ。ここに居る誰にも、空間を捻じ曲げる事は不可能。まして、バリア等を使える者も今ここには居ない。
苦し紛れの策ではあったが、咲夜と弦月姫はほぼ同時に空間の拡張に取り掛かる。一先ず、御札とは距離がおけるからだ。
しかし拡張の速度よりも御札の方がずっと速く、すぐに追い付かれ、更には拡張作業のお陰で防御を全くできていなかったので、レミリアやフラン達の抵抗も虚しく、十六夜母娘は戦闘不能に陥った。
「虔魔くん……美鈴……咲夜……弦月姫ちゃん……まさか4人もやられるなんてね。でもね……霊愛ちゃん」
「あなたの反撃もここまで。でしょ、レーテ?」
「そーだよ。空を見てご覧、霊愛お姉様♪」
「っ!」
先程までピクニック日和とも言えるくらいに青空だったはずなのに、妹に促されて空を見ると、空は夕方のような橙色になり、みるみる内に太陽は沈み星が顔を覗かせた。
そして少し遅れて月も山裾から昇ってくる。その月は、どこも欠けることのない完全な満月だった。
「なっ……なんで……!?満月は、ついこの前……」
「ふふふっ……これはね、アスモデウスの秘術だよ。星を操るアスモデウスの秘術。これで私達も本気を出せるってもんだよ」
「!」
満月が出たという事は────と霊愛は紅魔館の外に飛び出した。途端に服を突き破って翼が生え、ボロボロになった右手も瞬時に再生を果たす。治癒魔法の使い手が居ないなら、吸血鬼化して治すしか方法は無かった。しかし満月はまだまだだからと、諦めていた。
それなのに、レイチェル達に本気を出させようとアスモデウスが天文の秘術を使用した結果、霊愛の傷を癒した挙句、彼女にまで、本気を出させる事になってしまった。
指示した張本人、レイチェルの驚きは、並大抵のものではなかった。
「う、嘘でしょ……!まさか吸血鬼になったお姉様の再生力があそこまでとは思わなかった……ッ!」
「あちゃー……これはまずったかもね。あのまま数の利があるうちにヤッとけば良かった」
「まだよレーテ、フラン!あの子が吸血鬼の肉体に移行しきる前に、叩きのめす!まずはあの子を館の中に引き戻す!運命『ミゼラブルフェイト』!!」
「あぐぁっ!?……ゔーっ、ガァァァッ!!」
運命の鎖を放ち霊愛の四肢を捕らえる。グインと引き戻されあわや
お祓い棒は左手で持ったままで右手は拳を作り、レミリアの顔面を殴り飛ばさんと、外まで出てきた彼女を思い切り殴る────が、レミリアだって、やられるばかりではなく、若干勢いに押されつつも拳が顔に届く寸前で受け止めた。
「フラン!!」
「はいはーいっ!」
「くっ、足が短い……!」
手はレミリアに掴まれ、身動きが取れない。足は短く、そして蝙蝠化に慣れていないせいで蝙蝠化の緊急回避が出来ず、フランの回し蹴りを脇腹に受け館の壁へ叩き付けられてしまう。
ミシッと霊愛の骨にヒビが走るが、流石にそこは吸血鬼。全身に刺すような激痛が走った直後には、ヒビなんかは治っている。
「トドメだっ☆」
「せーのでいくよ、レーテ!」
「くっ……こンのッ……くっそぉ…………うううぉおおおああああああああっっっ!!!」
激しい雄叫びと共に彼女の霊力がグンと高まる。まずいなと感じたレイチェルは、霊愛の夢想天生が未だ不完全という事に賭け、失敗するように確率を操作する。その上で燃え盛るバトルアックスで館を背にする姉に向かい回転斬りを、フランは凄まじい熱と炎を纏う大剣を振るう。一方でレミリアは槍を投げる。
「『夢想天生』ッッッ!!!!」
渾身の一撃だった。不発ではなかった。つまり、霊愛は確かに成長していた。御札の方の夢想天生を完全にモノにしていたのである。
「こんなモノッ……こんな、モノォォッ……あぁっ、うああああぁぁあああっっ……」
「嘘でしょ私のバリアが!……ちぇっ……仕方ない。禁忌『フォーオブアカインド』!!」
フランは魔法少女。ここにきて先程は出し渋ったバリアを展開するが、霊夢ほど瞬時には壊されないものの、すぐにピキピキ音を立てて壊れてしまう。
そこでフランは4人に分身した上でバリアの質や量を4倍にするがそこで押し負ける霊愛ではなく、更に霊力を込めては放ち、込めては放っていた。
結果としてフランのバリアは破壊され、妖怪特効である霊力の篭もった御札を受けてしまった。
「フツー……そういう、必殺技って……そう易々と、使わない……でしょ……!!」
「そぉ?フランはそーなのかもしんないけど……私、勝つ為だったら使いまくるよ」
「……殊勝な心掛けね。良い事だと思うわ」
「────レミリアァァァァァッ!!」
グルルルッと獣のような唸りを上げながら霊愛は背後のレミリアに掴み掛かる。しかしレミリアは、両手のひらを霊愛に向け「待て」のポーズをとる。
「降参。レーテの能力も効いていないようだしね。万に一つも勝ち目は無いみたいだからね」
「……あっそォ」
その後レミリアの許可を貰い紅魔館中をくまなく家探しした霊愛。けれども父の姿はどこにもなく、手掛かりすらも無かった。
「……」
「あら、家探しは終わり?」
「ねぇ……パーティって、何をしてたの?そんな痕跡無かったんだけど」
「パーティ?……あー、何の事かと思ったけど、多分アレかしら?ただのハーレムプレイよ」
「!?……あぁ……ホントにそうだったんだ……」
「次はどこに行くの?」
「……決めてない」
「そう、気を付けてね」
「……ん」
◆
「美鈴、大丈夫かなぁ。ホント正直だからなぁ……。誤魔化しとか出来なさそう」
「『霊愛はカッとなるとそこまで考えない』って、エスカルゴくんが言ったのよ?今更不安がるって、それはどーなのよ?」
「いやまぁそうなんだが、霊愛も成長はしてるし。少しは思慮深くなってるかもしれないしさ?」
「それもそうだけどね。……じゃあ、私達はそろそろ行きましょ?」
「おう。……はぁ〜ぁ、憎まれ役は悲しくなるね」
「仕方ないわよ。将来の為……でしょ?」
「だな。じゃ、行きますか……決戦の地へ」
「えぇそうね。問題は、あの子が気付くかどうか、だけどね」
「フンッ、その点は問題ねェだろうさ。なんたって霊夢と俺の子なんだからな。……来るさ、アイツは」
原作の描写をそのまま受け取るのであれば、食事のシーンや文字を書くシーンを見るに、霊夢は両利きだと思われます。
因みに利き手は25%遺伝、75%が環境だそうです。両利きな母親の元で暮らしているなら、その子供もそうなってもおかしくはないですね。
霊夢は、右でも左でも文字を書いていたり、或いは食事をしている描写があるので、交差利きではなく両利きだと思われます。
交差利きは「明確に役割に違いがある」事を指し、両利きは「どちらでもできる」事を指します。故に霊夢は交差利きではなく両利きだと言えますね。