「ふわぁ〜…」
「おやエスカルゴさん、大きなアクビですね?」
「ええ…。そーですね…ふわぁぁ…」
「言ってるそばからまた!?」
「美鈴さんがいつも寝てる理由…わかったかもしれません…」
「えへへ、そうでしょそうでしょ〜」
「はい…ふわあぁ〜……」
陽射しが気持ちいい〜…。
気を緩めるとすぐ寝ちゃいそーだ…。
現在、美鈴と2人で門番中。
何故こんなことになったのかというと…話は小1時間程前に遡る。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙〜……!」
イライラする…!
このイライラの原因は間違いなくアイツ…比那名居 天子だ!やっと帰ったとはいえ…なんかイラつく!
「うがあぁ!!」
パリィィン!
近くの窓を殴り、ガラスを割る。
「ふぃ〜…」
少しはスッキリしたぜ。
やっぱストレス発散にはイチャつきと暴力が…
「なんですか今の音!?」
「あ、咲夜さん」
「エスカルゴさん?一体何をしたんですか?」
「イライラしたのでガラス割りました」
悪びれもせず答える。
「イライラしたからって…!」プルプル…
あ…流石に怒ったか?
「美鈴と門番してなさいっっっ!!!」
「…はい…」
そして現在に至る。
「すぴー……」
気持ち良さそうに寝やがって…。全く…。
こう、門番の立場になると、起こすのはなんか申し訳無く思えてくるな。
「ふわぁ…」
俺もなんだか…眠く…なっ…て………。
「─────さん!」
…?
「エスカルゴさんってば!!」
「ふぁっ、ひゃい!」
目を開けると、目の前に咲夜さんが居た。
「なんでエスカルゴさんまで一緒になって寝てるんですか!?」
「ふぇぇ…?」
寝てた…だと…!?この俺がか!?
「ごめんなさい…」
「全く…仕方ないですね。ついてきて下さい」
と言って門の外へ行く咲夜さん。
「は、はい…」
素直についていく。
しばらく歩いた。
「あの…何処へ向かってるんですか?」
こっちの方は始めてくるのでよくわからない。
「人里です」
「えぇ?なんで人里に?」
「…買い出しです。食料がそろそろ無くなりそうでして…」
「なるほど。……なんで俺も?」
何となく判るけど敢えて聞いてみる。
「荷物…持って頂けますか?」
やはりか。
「わかりました。…というか、勝手に外出して良いんですかね…?」
「大丈夫です。お嬢様から許可を頂きましたから」
「あ、いえ、咲夜さんでは無く俺が…」
「ご安心下さい、お嬢様からも妹様からも、許可は頂いておりますよ」
「へ、へぇ…なるほど…」
男手が必要なほど買うのか。
「なので…今だけは2人きり…ですね/////」
「え?ああ、そうですね」
なんか顔赤いぞ?
「着きました、ここです」
「おー」
今まで行った人里とは違う風景だ。
別な人里だな。(※入口が違うだけで同じ)
「まずあの八百屋さんに行きましょう」
「はい」
ここは…食料品店ばっかの人里かな?
って、商店街かよ!
そういえば、前行った人里はおやつ系の店ばっかだったな。やれやれ、両極端だねぇ…。
「すいません、ここにある商品を全て下さい」
「えぇ!?は、はいよ!」
な、なんて買い物の仕方なんだ…!
野菜も果物も全て詰め込み会計を済ませる。
「毎度ありィ!……よし、今日はこれで店仕舞いだな!」
最後の呟きは地獄耳の俺にしか聞こえなかっただろうな。店主は、少なからず喜んでいるようだ。
それにしても……
「重いですね、これ…」
「ふふっ…」
俺は両手に袋を持っている。
予想以上に重い。袋の上部からは、ネギやらゴボウやら、大根やらが飛び出している。
そして、肉屋でも魚屋でも同じ事を繰り返す。
「ぐぐ…!」
手に持っていた袋を腕に通し、出来るだけ楽をする。
「うぎぎ…!重いです…!」
吸血鬼の俺でも重いってどういうこと!?
というか、血の流れ滞ってるよねこれ!!
腕に袋を通してるので腕は赤くなっている。
ちなみに咲夜さんは手ぶらである。
「ふふっ、すいません、少し意地悪が過ぎましたね」
少し笑って俺の腕から2つだけ袋をとる。
「ありがとうございます…」
あんまり変わらないけど。
「買い物はもう終わりですか?」
「そうですね」
やっと終わりか…。腕が辛いぜ…。
「あっ…」
何かを見つけたのか、はたまた何かを思い出したのか…声を上げる咲夜さん。
「どうしました?」
「あのお店で、お団子食べませんか…?」
指さした先には、お団子屋が一軒。
「良いですよ」
ベンチもあるし、荷物下ろせそうだ。
「ありがとうございます♪」
ニコッとする咲夜さん。
可愛い…。その一言に尽きるぜ。
「お団子2本下さい」
「はいよー」
早速注文し、ベンチに腰掛けて待つ。
そして、こっそり咲夜さんの横顔を眺め…
綺麗だなぁ…咲夜さん…。
いつまでも眺めて居られるぜ…。
などと考えていた───その時。
「顔になにか付いてますか?」
チラッと振り向かれ、目が合う。
やべ、気付かれた!
「いえ、何でも無いです!」
「?」
「へいお待ち!」
おっ…ここの団子は普通に3個で1串なんだな。
『いただきます』
俺と咲夜さんは終始無言で食べた。
ここのも美味いがタツロウさんとこの方が美味いような気がする。咲夜さんも同じ思いなのだろうか?
さっさと食べ終え会計を済ませ店を出る。
「さて…帰りますか」
腕死ぬわ。
「そうですね」
そして元来た道を戻る。
だが到着の前に限界を迎え………
「ゔゔゔゔゔゔゔ……!!」
「ど、どうしました?」
「腕終わります…!」
腕はプルプル震えてるし…こんなの持つくらいなら20キロの米の袋持った方がずっとマシだぜ。
「が、頑張って下さい!」
応援してくれるが…
「すいません、力使います」
紅魔館までおよそ700m。
それまでもつ気がしない。
「力?」
「『分身』」
バチバチと音を立ててもう1人の俺が登場。
「……何ノ用ダ」
「わっ、エスカルゴさんが2人…」
目を見開いて驚いている。
「おい、これ持て」
「仕方無イナ」
3人で再び歩き出し、あっという間に着いた。
例によって門番は寝ていた。
そのまままっすぐ厨房へと向かい、買ったものを下ろす。
「はー、やっぱ楽だなぁ」
「ッタクヨォ、分身使イガ荒イゼ…」
「すまんすまん。腕が千切れそうだったんで…ねっ!」
ズボッ
分身の首に指を突き刺す。
「アッ、マタ急ニ…」
シュンッ
「ふぅ」
吸収すれば無駄にならないからね。
こっちの方が電力的に効率的なのさ。
「ありがとうございました。お陰様で助かりました」
ペコッと頭を下げる咲夜さん。
「いえいえ。また、いつでもどうぞ」
買い置き多過ぎだな。
これ全部冷凍すんのか?
「ではその時はまたお願いしますね♪」
あれっ…?咲夜さんが素直に俺を頼るって…初めてじゃん。なんか嬉しい…。
「はいっ!じゃ、門番のとこに戻りますね」
「あ、門番はもう大丈夫ですよ」
「えっ…わかりました」
1時間ほど立たせたからかな。
「じゃー図書館でも行こうかな…。お疲れ様でした」
ペコリと一礼し、厨房を出ようとしたが…
「あ、あのっ…」
「はい?」
出る直前で呼び止められたので振り向く。
「こ、今度、お休み貰おうと思ってるんですけど…その日、もしよろしければご一緒に散歩なんて…どうでしょうか?」
真っ赤になり、モジモジしながら誘う。
「え…」
そ、それって…デート?え?
「あっ、嫌でしたら大丈夫ですからね!?」
「嫌だなんてそんな!是非!」
「ホントですか!?」
「ええ!」
「ありがとうございますっ!」
「いえ!」
マジか、楽しみだな。
…美人メイドとお散歩…。悪くない。
別に、散歩くらいなら浮気にならんよね。
「では、休みの日が決まり次第お伝えしますね!」
「わかりました!では!」
「はい!」
ルンルンスキップしながら図書館へ向かう俺であった…。
最近短いな。