※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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凩、永遠に

「だーかーらーッ!天魔様が敵の大将と戦うから、天狗の里に避難してくれっつってんだよ!!マジで頼むぜ神様よぉ!!」

 

「必要無いと言ってるだろうが、犬風情が。何故、守矢神社の我らが天狗の里に行かねばならんのだ。ここに居るのは神ぞ?ここに居る五柱、全員神ぞ?樹理愛は兎も角としてお前、早苗にも勝てんだろ。神様初心者の早苗に勝てんだろうが。お前のような童子が上位なのでは、天狗の里の方が余程危険だ。疾く失せろ。お前が守れるのは、せいぜい自分の身くらいのものだろうよ」

 

「あーーーーもーーーー!!天狗の里は外からだと視認できねーの!だから、隠れるには最適なの!!普通の攻撃では壊れねえし!」

 

「己の身も守れぬガキがよくほざくな……やれやれ、エスカルゴがお前の扱いに手を焼くのも頷けるよ」

 

「んだとぉ!?」

 

「あのー……ヒビキさん、天狗の里のどの辺りに避難する手筈なのでしょうか……?」

 

「ああ、守矢神社(早苗さん達)は兄貴の関係者だし天魔様の屋敷だろうな。大天狗様と変わらねえくらいの超VIP待遇だと思うぜ?何なら大天狗様より上かも」

 

「……里の結界は絶対に破れないんですよね?」

 

「それは間違いない。物理的な結界じゃねーから、それこそ、結界だとかそういう概念に関する能力を極めてないとな」

 

「分かりました。樹理愛をお願いします」

 

「おう。……は?え、いや、早苗さんは?諏訪子様に神奈子様は?」

 

「我も数に加えろ」

 

「私達は残ります。何か予期せぬ事が起きた時に、すぐ対処出来るように備えておきます」

 

「……もし怪我しても俺のせいって兄貴に言うなよ?俺は止めたからな?執拗くて悪いけどよ」

 

「構いません。樹理愛を頼みます」

 

「任せな。ついでに、穹と文さんを樹理愛のそばに居させてやんよ。樹理愛もその方が安心だろ?」

 

「うんっ!お願いしますっ、ヒビキおじさん!」

 

「おじっ…………」

 

 

 ◆

 

 

「本気だと?ふ、ふふふっ、笑わせてくれるなぁ。そんなボロボロな身体でどうする?」

 

「こんな骨折……私くらいになれば、すぐにどうにかできる……ッ!!」

 

 ペッと血の混じった唾を吐くと、凩は全身に力を込めて、虹牙の「影」による拘束から逃れる。影が壊れると同時に虹牙の手も裂けるような傷が走り、影と本体の肉体は繋がっていると互いに知ることになった。強力だが、メリットもデメリットもある。それが影の能力なのだと。

 

「ハァッ……!!」

 

「お前……本当に天狗か……?」

 

 ゴキゴキと嫌な音が響く。皮、肉の下にある骨が組み合わさり音を立てているかのような、それこそ身の毛もよだつような、気味の悪い音だった。だが再生はしていないようだった。

 

「私の部下にかつて妖怪の山で暮らしていた妖怪が居る。そいつから天狗の生態について聞いていたがそんな事が出来る者が居るなど……」

 

「聞いていない、か。それはそうだ。何故ならこの技術は、身体操作に優れる者でなければ不可能な事なのだから」

 

「身体操作だと……?」

 

「関節を外すことはできないが、折れた骨を筋肉で押し付けて無理矢理に噛み合わせる程度の事ならば容易だ。……かなりの激痛に襲われるがな」

 

「……お前、壊れてるな。イカれてるよ」

 

 心底、凩に対して引いていた虹牙。しかしそんな彼女もあるヤバさを秘めている。それを知っているからこそ、凩は弱々しくもバカにするように笑い、自分はお前と違うという含みを込めて呟く。

 

「仲間をも喰っているお前には言われたくないな」

 

「……ほう?」

 

「不意討ちする気満々だな。お前、殺気を隠すのが下手すぎるよ」

 

「!」

 

 凩の真下では彼女の血液で作られた槍がひしめき今にも天空の凩に向けて射出されそうだった。その

「血液を操作」する能力は、虹牙の部下であり凩が殺した赤霈の能力である。

 だから凩は、虹牙は赤霈の事を喰っていたのだと察する事ができた。何より、自分が殺した敵だから察しやすかったとも言える。

 凩は少し前に気配の操作や力の流れなど(・・・・・・・・・・・・)の特訓をしたばかりだった。そのお陰で虹牙の殺気にもすぐ気付くことができた。

 

「気付けたからなんだ。腕も上がらんお前に、何ができる。私を殺せるとでも?」

 

「……本気を出せばな。せいぜいいつまでも貰い物の能力を使って胡座をかいているがいいさ」

 

 尤も、貰い物の能力を使うのは私も同じだがな。

 

「フン、負け惜しみは見苦しいぞッ!!」

 

「こんなもの……片腕で足りるだろうさ」

 

 真下から迫る大量の血の槍。身を翻して血の槍を回避し、そして最後の1本を素手で掴み、思い切り歯を突き立てた。

 

「は!?」

 

「……うん、硬いことは硬いが、食えなくはないな。スティック菓子みたいなものか」

 

「な、舐めやがって……!そんな強さがあるなら私の部下になれ!副組長にしてやってもいい!すぐ重用するから私の部下になれ!!」

 

「何なんだそれは。魅緑の《誘う程度の能力》か?それとも、八千慧の《逆らう気力を失わせる程度の能力》の方か?」

 

「……!?」

 

「通じない。まるで通じないぞ。手負いの者すらも誘えないとは、悲しいヤツだな。気を張っていれば防げる程度か?」

 

「抜かせッ!!」

 

 相変わらず血を吐きながらも煽る凩。彼女には、虹牙に勝てるだけの勝算など、最早無いに等しい。しかしそれでも凩は虹牙に挑むし、耐えられる自信くらいならあった。

 

「私の刀────銘を陣風丸というが、幸いにして、この刀にはまだ何の能力も無い」

 

「まだ(・・)……だと?」

 

「私の技術は概念を斬る技術。そして、私が本気を出した暁には、お前が保有している七つの能力の内どれか一つをこの刀に吸わせる事にしよう」

 

「刀に能力を吸わせる?何を言っている!?」

 

「異国の鍛冶の神が、私の為に刀を鍛えてくれた。そして材料には伊弉諾物質が使われている。尤も、お前には何の事だか分からないだろうがな」

 

「……面白い!ならばその刀、私がもらいうけるッ!お前を殺してなぁッ!!」

 

「貴様など右腕1本で事足りる……!!」

 

「やってみろ!!極彩組は現在が黄金世代だった!お陰で、能力は選り取りみどりだぞ!!私が、私の能力を最強のものに揃える為に、各地を転々として取り入れてきた最強の能力達だ!!」

 

「部下を己の能力のストックとしか考えていない、下衆め……!貴様に心酔し世界を超えてもついてきた白戸達が哀れだな」

 

 虹牙が凩に迫る。食べかけの血の槍を捨て、凩は迎撃する。片腕だからか上手く踏ん張れず押されるものの、決して押し負けもしない。

 刀を受け止められるくらいには堅い虹牙の腕は、凩が仮に万全だったとしても、切り落とすのは容易ではない。

 

「何だこの堅さはッ……私は鉄さえ切れるのに……」

 

「これは紫庵の《一撃が重い程度の能力》……本質は単なる筋力の超絶強化なのでね」

 

「そういう事ならば、やはり……陣風丸『善し悪しを決す関風』ッ!!」

 

「……チッ、鴉天狗はこれだから嫌いだ……!!」

 

 パワーは落ちていて、かなり弱体化してはいるが速度はまだそれなりに出せる。鴉天狗とは、人里を瞬きの内に駆ける吸血鬼でさえも敵わない程の飛行速度を叩き出せる種族。凡庸な妖怪である虹牙が、弱体化しているとはいえそんな鴉天狗の速度に目も思考も行動も追い付けるはずがない。

 そして、凩の「切り分ける」斬撃が虹牙の何かを切った。酷く弱体化している今では魂を切れない。だから代わりに虹牙にとって酷い痛手となるものを分離させてしまった。

 

「な……あ、ああぁぁあぁっ!!貴様、貴様ぁっ……貴様、よくも、よくもぉぉぉ!!」

 

「気付いた、な?お前が、何を、切られたか……」

 

「おのれ……おのれぇぇぇぇぇ!!!」

 

 凩が切ったのは「能力」。虹牙が取り込んでいた紫庵の《一撃が重い程度の能力》を斬ったのだ。

 それにより筋肉の超絶強化ができず、虹牙は力が抜けてしまった。しかしそんな虹牙のダメージより凩の負担の方が大きかった。

 のんびり戦っていたせいだ。もう刀を振り上げる気力すら無くなってきていた。

 

「ゼェ……ゼェ…………クソッ、力が…………」

 

「だが、ここまでよくやったよお前は。死ね!!」

 

 拳をこれでもかと強く握り込み凩に迫る。当然、凩は回避しようとするが、疲労故に反応が数瞬遅れ顔面を殴り飛ばされそうになった、まさにその時。

 

「……よくも儂の部下を痛め付けてくれたな」

 

「「────ッ!?」」

 

 瞬間移動にも見紛う速度で現れた天魔が、2人の間に割り込んで虹牙の攻撃を受け止めた。

 

「て……天魔様……!?」

 

「天魔だとッ!?」

 

 一気に逃げ腰になる虹牙。元より彼女には天魔に勝てるビジョンは無い。数人で掛かってやっと、と考えているからだ。

 だから、仲間の死も何もかもをかなぐり捨てて、虹牙は逃げようとしている。このままでは死ぬだけだと、誰よりも虹牙が分かっていた。

 

「天魔様……何故……ッ」

 

「凩、養生せよ。救護班も呼んである。すぐ迎えに来るだろう。すぐに診てもらえ」

 

「なりません、奴は私がこの手で……」

 

「刀を持つのがやっとなお前が、何を言っておる。後は儂に任せておけ。奴に敵うのは儂だけだ」

 

「しかし……」

 

「しかしもカカシもあるか!!引き下がれィ、凩!死ぬぞ、貴様!!」

 

「……使命の下に死ねるのであれば本望」

 

「そうかそんなに死にたいか!!ならばその崇高な使命の下に死ね!!!!」

 

「!?げはっ、な、ご、おええっ……」

 

「凩ィッ!!」

 

 凩が吐き出した血液が、1つの球体となり彼女の口内へ転がり込む。慌てて球体を吐き出そうとする凩だったが、時既に遅し。

 

「死ねえええええええッッ!!!」

 

 球体は彼女の口内にて爆発を起こす。それにより凩の頭部は跡形もなく吹っ飛ばされてしまった。




虹牙が保有している能力一覧

一撃が重い程度の能力(紫庵)
黒い霧を出す程度の能力(黒禅)
体外に出た血液を操作できる程度の能力(赤霈)
飛び道具を操作する程度の能力(青矢)
受けた攻撃を一度だけ使える程度の能力(白戸)
逆らう気力を失わせる程度の能力(八千慧)
闇を操る程度の能力?(凩)
↓
黒い霧を出す程度の能力(黒禅)
体外に出た血液を操作できる程度の能力(赤霈)
飛び道具を操作する程度の能力(青矢)
受けた攻撃を一度だけ使える程度の能力(白戸)
逆らう気力を失わせる程度の能力(八千慧)
闇を操る程度の能力?(凩)

青矢の能力は常時発動型なせいで虹牙に弾幕は通用しません。そして一撃で殺さなければ白戸の能力により攻撃をコピーして反撃も可能です。
不知火麗葉の時は間に合わなかった上に劣化コピーだから助かったものの、虹牙は完コピです。そして鍛え上げた状態でコピーされます。
妹紅の能力がコピーされていなくて良かったです。もしコピーされていたら、ジョジョ2部エンドにもなったかもしれませんね。無いけど。
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