※この作品はR-18です。

TS先生おねショタ 習作   作:ワックス

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おねショタをおね視点で読みたいけど見つからないから書きました


意味の無い導入

 前世の記憶があるというのはいったいどれだけのアドバンテージを生むのか。

 例えば、私は前世では科学を仕事としていた。別に特別頭がいいわけでもなく、高い志を持っているわけでもないが、取り立てて馬鹿というわけでもない。そんな自分が異世界に行って何ができるかというと、答えは何もできないだ。

 自分が持っている知識は、ほとんどが例えるなら結果の知識だけだ。赤外分光法やマルコフニコフ則などの仕組みや使い方を知っていようと、1から作り、証明することができるだけの知識も、能力もない。生物学や医学、物理学は異なる世界では同じ知識が有効とは思えないし、だからと言って義務教育よりちょっとましな程度の絵画や音楽では通用しないだろう。有り余る時間を使いそもそも字を読むことができず、習うこともできない。このままでは、学問で身を立てることができないことを思い知った。

 どうにかしたくとも、どうにもできない。そんな歯がゆさと苛立ちを持ち続けていたある日、学校の先生をしているという人と話す機会が与えられた。当時わたしは真面目さと義理堅さが評価されて、掃除の仕事を任されていた。少々都合の悪いものを見つけても、口外せず、利用せずにくるくると仕事を続けているうちに、ちょっとした雑用を任されるようにもなっていたのだ。

 客との接待に近いことを任されたのは初めてであり、勝手がわからずにあたふたしながら弱い酒と軽食を用意していたのを覚えている。今の仕事を首になっては困ると相手に楽しい会話の種を探すために、どんな授業をしているのかを聞くと、当時10に届かない私にもわかるように授業をしてもらった。先生の専門は天門学寄りの占星術で、気温の変動と周期について話してもらったことを覚えている。しばらく話していると、私が机に落ちた水滴で書いた五芒星を見て先生が話を振った。

 

「この間、この図形を使って問題を作ったんだが失敗してしまったんだ。角度についての問題を出したのだが、答えをいろんな方法で出すことができてね。採点がめんどくさいのなんの」

 

 どんな問題を出したのですかと聞くと、軽く酔った頭で少し詰まりながら(今思うと私にもわかるように言い回しを考えながら話していたのだと思う)問題を出した。私はその答えを考えることが、久々に頭を使っている感覚がして楽しくて、私が知る限りの方法と計算で答えと過程を話した。先生は少し驚いたような表情を浮かべた後、またパズルのような問題を出していった。

 しばらくすると、先生の連れが奥の部屋から出てきたのを見たので、話を切り上げようとすると名前を聞かれた。若干の下心(当時はお金を貯めていたのでチップを少しでも多くもらいたかったのだ)と笑顔とともに名前(君たちとは違って苗字なんて立派なものは持っていない)を教えた。

 次の日にも先生はやってきた。一緒に不健康そうな痩せた人(後でジージョという後輩の先生だと先生に教えてもらった)といたが、チップ狙いで挨拶をすると、痩せた人は図形問題を出してきた。口述なので、少し苦戦をしたが答えを話すと、どう導いたかを説明してくれと言われたので、私なりに説明をすると、深くうなずいた。先生は少しかがんで私に目線を合わせると、ゆっくりと話した。

「君には才能がある。私たちの学校で勉強をしてみないか。お金の心配はしなくていい」

私はありがとうございます。お願いしますと頭を下げた。

 

Xxx

 

「ということがあって、学校に入った私は、先生に少しでも報いようと力をつけて、今ここで教鞭をとることができています。もし、この偶然がなければ、今私はここにはいないと思います。あなたにも、親の事情とかいろいろあると思いますが、まずはこの環境が恵まれたものと自覚して勉強していきましょう」

 

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