「美味しい……」
「良かった!このお店って新しい料理を作るのが得意で、色々面白い料理を楽しめるんだ。最近は冷たい料理を出してるね」
刺身のように切られた果物を食べると、半分凍ったシャリシャリとした食感と爽やかな香りが心地よい。数回咀嚼していると、体温で溶けてきてネットリと絡み付いてくる。どんどん甘味が強くなり香りも芳醇なものになっていき、楽しく美味しい。
雪倉何て知られてないし、井戸で冷やすのにも限度があるだろうに、どうやって作っているのか不思議だ。
「匙も何種類も揃えてるんですね」
「料理のソースの残りで味が変わったりしないようにしてるんだって」
この国ではフォークやナイフは使わずスプーンと箸を使う。食事の場は神聖なものであり、血を流すために使われる物は適さないとされていて、料理はスプーンで食べられる状態で出される。意外なことに箸も存在しており、こちらは大皿から料理を取ったりするのに使われる。基本的に口に直接触れるのはスプーンだけで、物を取るのは箸だけと考えておけば良い。
「どうぞこちらは暖めた光の果実のワインです。甘味は抑え目でさっぱりとした後味で、甘いものと一緒に飲むのに最適です」
「はぁ……どうも」
光の果実……絞った果汁が光のようなキラキラした美しさだからその名をつけられたらしいが、見た目は鮮やかなオレンジ色の茄子、味は薄くて甘さをさらに抑えたグレープフルーツが近いだろうか。果汁以外は光要素がない。
個人的に小さな頃(この世界でのだ)で飽きるほど食べたのであまり期待せずに口に含むと、酒が舌を洗って休ませる。思ったより美味しいというか、知らないうちに溜まった舌の疲れか取れて、少し冷えた体が暖まるのが心地よい。
「美味しい……もう一杯もらえます?」
「次の料理と一緒にお持ちするので、少々お待ちください」
「おれも飲もうかな、少なめでちょうだい」
「はい、かしこまりました」
別に子供がが飲酒しようと罰せられることはないが、基本的に子供は食前か式典の時に少し飲むだけとされている。
まだ2杯目だが……
「ラミン君、あんまり飲みすぎちゃダメですよ?まだ小さいんですから」
すると彼は少しムッとした表情をして、注文を付け加えた。
「……やっぱり普通の量で持ってきて」
「かしこまりました」
子供を子供扱いすると反発するというやつか、むしろ増えてしまった。
「子供の頃からお酒を飲みすぎると体に悪くてですね…」
「……子供じゃない」
「お待たせしました、こちら一度凍らせた後乾燥させたテナッシュを水で戻してメレエをベースにしたスープで戻した者です。お酒は同じ種類の物ですが、料理に合わせて常温の物を御用意しました」
テナッシュとメレエ……?初めて聞く食材だけど凍らせて乾燥っていうことは凍り豆腐みたいな物だろうか。
その後も私たちは楽しく美味しい食事を楽しんだ。