---四葉真夜---
私の希望であり、生きる糧であるネギ太郎を造ってくれた賢者様が、私の前に現れた。
「まずは中学入学おめでとう」
「ありがとうございます」
「千を食べたようだ」
「え?まだ中学生ですよ…」
ネギの能力『催淫』。異性がネギと交わりたくなる能力だそうだ。いきなりでは無くジワジワと、ごく自然に。そう、相手の意志で交わるように。
「しょうがないよ。相手の少女が、そう決断したんだもの。あの能力はネギに接してると、そういう気持ちが強くなる能力で、ネギがどうこうできることでは無い」
異性を味方に付けていけば、他の男性と交配しなくなり、人口減少に役立つという。私の心の奥底にある願望、『みんな死に絶えろ』である。それをジワジワと実行させるようである。
「いきなりの変革は、人類は受け入れられない。あせるなよ、真夜。ネギがいずれ叶えてくれるよ」
「ネギは道具にしたくないです」
「わかっている。だから、アイツを人間として育ててきた」
私の子供は、いずれ殺される事がわかっていた。だから、娘の12歳の誕生日にDNAを採取し、初潮時には卵子を採取しておいた。それらを使い、ネギは産まれた。娘も私のDNAを用いて産まれた。しかし、彼らの父親が誰なのかは私すらも知らない。
「父親は誰なんです?」
「僕♪」
はぁい?
「僕の保存しておいた精子で受精させた。娘の方は、七草弘一の精子を盗んで受精させたよ。真夜のDNAで卵子を造りだしてね」
子供と孫の父親が判明した。それは驚くしか無い。私と私の元婚約者との間に産まれた子供に賢者様を掛け合わせた?はぁ~?
「種族は人間では無いですよね?」
「完全調整体に種族は無いなぁ」
えっ?完全調整体?
「ネギ太郎ですか?」
「そうだよ。僕の研究チームが、作り上げた最高傑作な完全調整体だよ。僕の仲間のDNAを組み込んで造った心優しいラスボスだ」
ラスボス…
「魔法師の魔法が一斉効かない『マジックキャンセラー』、細胞が1つでも無事であれば、完全再生できる『超再生術』、真夜の持つ広大な魔法演算領域、弘一の持つ『八重唱』、そこに深雪、達也の能力も苦も無く使えるんだ。ラスボス以外になんだと言うのかな?」
え…ベースが既に最強レベルである。
「でも、ベースが最強でも、使えこなせないとダメだ。まぁ、最初の2つと『催淫』、あっ、これは僕の能力みたいだけど。その3つは、ネギの意志と関係無く作用している。ただ、僕達に反旗を翻した場合は、簡単に屠れるようにしてあるから、安全だよ♪」
「どうして、そんな…」
「真夜が願ったんだろ?姉の子供達にさせるな!自分の孫にさせろよな!って感じたよ♪」
温厚の中に狂気を感じる賢者様。この方がラスボスに思える。
「うん?僕?そうだねぇ~、ラスボスかな。不死属性だしねぇ」
笑みを浮かべているが、目付きはどこまでも冷く見える。
---ネギ太郎---
「ちょっと、顔を貸しな!」
学校の帰りに、道場へ向かう途中、道場の先輩の渡辺摩利先輩に捕まった。誰の目にを止まらない場所に連れ込まれた。何をされるんだ?
「修次さんを倒しただと?どんなイカサマを使ったんだ?」
「使っていないけど…」
「お前みたいな実戦経験もなく、素振りと型だけをやっている者が、勝てる訳ないだろ?」
修次さんの信者かな?
「なら、試す?」
売られたケンカは買えと習ってきた。ケンカを売られなくなる位に強くなれとも。
「望むところだ!」
摩利先輩は見た事の無い剣を手にした。僕も拳にライトニングナックルを装着した。光属性の装備である。
「剣はどうした?」
「千刃流はケンカの道具では無い。僕は僕のヤリ方でケンカをする」
「ふっ、素手で勝てる訳ないだろう!」
斬り掛かってきた摩利先輩。遅い…エリカの方が速いぞ♪賢者様に習った対女性戦術でいくことにした。身体を傷つけるのではなく、精神を壊していくのだと言う。女性は身体が資本であり、それはなるべく無傷にして手に入れるのが良いと習っている。
摩利先輩の懐に飛び込み、乳首を指で摘まんだ。
「痛っ!何するのよ~。止めてぇぇぇぇぇ~!」
摩利先輩が藻掻けば藻掻く程、激痛が摩利先輩を襲う。そして…摩利先輩から蜜が流れ出した。香りでわかる。それと共に摩利先輩は抵抗をしなくなってきた。摩利先輩を押し倒してマウントポジションを取る。股間同士を押し当てて、唇を奪う。で、腰を前後に揺すっていく。暫くすると、摩利先輩の口から舌が出て来て、僕の口の中に入ってきた。服従されたサインだと言う。
「口で奉仕して」
と呪文を唱えると、摩利先輩は僕のズボンから竿を取りだし、口に含み刺激を与えてきた。
「うごっ…」
口に含みきれなくなったようなので、
「先輩自身で奉仕してくださいよ」
と、次の呪文を唱えた。すると、先輩は自分からパンツを脱ぎ、僕の竿を自分の身体に取り込み、男女の営みを始めた。
「あぁ…いい…胸を虐めてください」
自ら全裸に成り、僕に胸を差し出してきた摩利先輩。エリカとちがって、柔らかくて膨らみも大きい。谷間に顔を埋めて、手で乳房を揉む。そして、舌で谷間の沢部分を舐めたり吸ったりする。
「いっ…いくぅ…あぅ…」
意識を飛ばし、僕に倒れ込んで来た摩利先輩。エリカとの違いを検分していく。体内は摩利先輩の方が気持ちが良い。意識が飛んでいても、体内のヒダは蠢いている。女体の神秘だよなぁ。
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意識の戻った摩利先輩は服を着て、僕と共に道場へと向かった。
「また、おねがいします…あぁ、修次さんには内緒で…」
「はい」
イヤだと言ったら、斬られそうなので、肯定しておく。
「なんで!摩利と来たんだ?で、なんで遅いんだよ~!」
エリカが怒っている。
「途中で会ったんだよ」
エリカの剣が殺気立っている。なんかヤバい気がする。
「エリカ、剣に嫉妬が取り憑いて居るぞ~」
師範から声が飛ぶ!
「嫉妬?そんなんじゃねぇ~。おい、ネギ、逃げるなよ!」
いや、逃げるでしょ。今日のエリカの剣は危険である。どうするかな?そうだ!賢者様に習っていた。こういう時はショックを与えるといいんだったな。米粒大のオーラ弾をエリカの敏感な場所に撃ち込む。
「えっ!なんで…」
頬を赤くして、行動が止まったエリカ。難は去ったかな?
「おい…ネギ!何をしでかしたんだ?」
え?先程より怒りが増しているけど…足り無いのかな?もう一度、敏感な場所へ撃ち込む。
「いやっん…ダメって…ネギ!お前なぁ!」
頬を真っ赤に染めたエリカ、目は涙目である。あれ?ダメだよ…なんで?逃げながら、考える。何が悪いんだ?もしかして、ショックが足り無いのかな?エリカの懐に飛び込み、フロントスープレックスで投げてみた。
ドン!
大の字に倒れているエリカ。
「痛いよ~。剣術で投げ技はダメだよ~。うぇ~ん」
あっ泣いちゃった…師範も師範代も苦笑いしている。どうすればいいんだ?
「ネギ君、悪いけど、駄々こね娘を部屋まで運んでくれるかな?」
師範に命じられた。なので、床でジタバタと泣いているエリカを背負って、彼女の部屋へ連れて行った。
「ネギ…摩利と仲良くするなよ!」
目に大量の涙を溜めて、僕のエリ首を掴むエリカ。
「どうして?」
「どうしてって…ネギは私の…ダチ…だからだ。他の女に取られたくないんだよ。うぇ~ん」
僕の胸に顔を埋めて大泣きするエリカ。どうするんだ、こういう場合は…
家に帰り、メイビスさんに訊いた。
「あぁ、あの人に習ったんですね。まったく…あの人は女心を、まったく理解していないんですよ」
なるほど…だから、ドロ沼にはまるのか…賢者様は女性問題が鬼門らしい。様々な世界で女性とトラブルになっているそうだ。
「女心とか乙女心を学びなさい。じゃないと、あの人みたいに、女難の相に取り憑かれちゃいますよ」
いや、たぶん取り憑かれているでしょう。賢者様に習った通りにしているし…マズいのかな…
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年月が過ぎても、授業が終わると道場へ。その繰り返しである。今日は、道場へ向かう途中で、公園のベンチで泣いている少女を見つけた。何か気になり、近づいて、
「どうしたの?どこか痛いの?」
と、声を掛けた。
「え?違います。お母様が亡くなったんです」
「殺されたの?」
「え?どうして、そうなるのですか?」
長い黒髪が風になびいている少女が、顔を上げた。
「僕の両親は、お家の事情で殺されたから」
「そんな…どうして…」
自分の悲しみを忘れ、僕のことに関心を持ったようだ。
「家督争いに巻き込まれたそうだよ。僕は小さかったから、母さんと父さんの記憶も想いでも無いんだ。だから、死んだと聞いても、君みたいに涙は出なかったし、泣くこともなかったよ」
「そうなんですか。私はお母様の記憶や想い出が有る分、救われているのですね」
「大丈夫?送ろうか?」
「大丈夫です」
立ち上がった少女はよろけて、僕の胸に顔を埋める恰好になった。僕は出来心で、彼女を抱き締めてしまった。良い香りがする。頬を重ねると、皮膚が吸い付くようで気持ちが良い。
「ありがとうございます。送っていただけますか?」
耳元で彼女の声が聞こえた。
「はい」
彼女を彼女の家に送り届けることにしたのだが、なんか自分の家に帰る気分である。なんでだ?見覚えのある場所で立ち止まった彼女。
「ここです」
と、『司波』という表札のある家を指した。
「偶然なのかな?僕の家…隣なんですけど…」
「えっ?!」
彼女を僕の家に案内した。
「ほぉ~、ネギも彼女を連れて来るようになったのね♪」
って、メイビスさん。
「本当に隣家なんですね。偶然の出逢いかぁ」
頬を少し赤らめた少女。リビングにお招きをすると、メイビスさんがケーキと紅茶を出してくれた。
「そうだ。君の名前は?僕は四宮ネギ太郎です」
「私は司波深雪です。これからも、よろしくお願いします」
何かをお願いされた僕。何をお願いされたのだろうか。
お茶会をしながら、深雪さんとお話をいっぱいした。彼女の持っている想い出話…僕には鍛錬の想い出しかないけど…
「じゃ、中学にあがるまで、鍛錬をしていたのですか?」
「うん、簡単に殺されないようにね。祖母の意向らしいんだけど」
「お祖母様しか、肉親の方っていないのですか?」
「そうだね、真夜さんしかしないよ」
『真夜』という言葉に反応した深雪さん。
「真夜様?お祖母様の名前ですか?」
「そうだよ。フルネームは四葉真夜っていうんだよ」
明らかに顔色が変わった深雪さん。何か地雷を踏んだかな?
「四葉真夜様がお祖母様なんですか…えぅ…こんな偶然って有るんだ…」
「うん?何かな?ゴメン、思い当たる節が見付からない」
彼女の動揺の原因が分からずに凹む僕。
「あぁ、落ち込まないでください。悪い話では無いですから。私の亡くなったお母様の旧姓は四葉深夜と言います。真夜様はお母様の双子の妹なんですよ」
え?それって、深雪さんは僕の叔母さん?
「えっ…」
絶句する僕。
「知らなかったんですね。その顔は…仕組まれた訳では無いようで、安心しました」
深雪さんが笑顔になった。仕組まれた?
「そうですか…お母様が家を出たのは、殺される危険があったからなのですね」
そうだよね。妹である真夜さんが家を継ぐってことは…
「私のお母様のせいで、ネギさんのご両親は…ごめんなさい」
僕に頭を下げた深雪さん。下げられても何も解決しないんだけど。
「頭を上げて下さい」
深雪さんの肩を抱き、上体を起こさせる。
「あの…私の…友達になってくれませんか」
何かを決心したような顔の深雪さん。
「えぇ…っと、僕は甥になるんですが、友達で良いのですか?」
「あぁ、本当だ。そうですね。私は叔母になるのか…でも、友達になってくれませんか」
「かまいません。いや、恐縮です」
こうして、僕は初めて出逢った日に、叔母と友達になった。