---四葉真夜---
珍しく亡き姉の息子の達也から連絡があった。
「どうしたの?珍しいわね、達也さんから連絡が来るなんて」
達也と深雪の兄妹は、私を避けている。私が背負わせてしまったことが、原因だとわかっているので、とやかくは言わないでいる。
「どういうことですか?四宮ネギ太郎って、何者なんですか?」
あぁ、ネギのことかぁ。
「会ったの?」
「俺は会ってません。深雪が…」
「で?」
「叔母様の孫と言っていたそうですが、本当ですか?」
「本当よ。私の娘の子供だから、私の孫で間違いはありませんよ」
達也の驚いた顔。初めて見たかな。うふふふ♪
「どういうことですか?叔母様は子供が産めない身体だったですよね?」
「世間的にはそういうことにしてあります。あれこれ、追求されるのがイヤですからね」
「彼は魔法師ですか?」
「ラスボスクラスのね♪」
「ラスボス…」
明らかに、達也さんの顔から血の気が失せているようだ。
「八重唱に使徒レベルの魔法が8つ、アイドリング状態なの。達也さんと違って、私の膨大な魔法演算領域を確保しているので、即撃ち出せるわよ」
「ちょっと待ってください。八重唱って…七草家の現当主の…」
「うふふふ♪私の魔法演算領域と共に、隔世遺伝かしらねぇ~♪」
達也さんを絶句状態に追い込めるなんて…なんか、嬉しい気分だわ。
「勿論、達也さんのマテリアル・バーストも、深雪さんのコキュートスも含まれているわ。ネギはあなた達二人の欠点を埋めた最強の魔法師なのよ」
完全調整体だけど…
「それでね…来年の慶春会の時に発表しようと思っているんだけど、次期当主は達也さんにするわ。でね、深雪さんをネギのガーディアンにしたいのよ」
明らかに動揺をしている達也さん。この案は賢者様に示された物である。当主は調整体がなる物では無いと言われた。完全調整体同士、ネギと深雪さんが一緒になるのが自然だと言われた。今の私にはネギの成長を見守りたい心が大多数なので、了承したのだった。
「異論、反論は認め無いけど、どう思う?」
「俺は…深雪のガーディアンですよ!」
「だから?状況が変わったのよ。四葉家は達也さんのしたいようにしていいわ。私は、ネギがいるから♪まぁ、深雪さんの気持ちは大切にします。彼女がイヤなら、イヤで良いですよ。ネギの気持ちもあるし。まぁ、二人のことは、私の希望程度です」
達也さんは困惑しているようだ。うふふふ♪
---司波深雪---
真夜叔母様と通話を終えて、お兄様が戻っていらした。
「どうでしたか?」
顔色が優れないお兄様。何か遭ったのは確実である。
「叔母様の希望なんだが、そのネギってヤツと深雪が一緒になって欲しいらしい」
えっ!耳が熱い…いや顔全体が熱い。嬉しいというか…
「どうなんだ?深雪は?」
「うん?一緒にいたいです。ネギ君と…彼の傍にいてあげたいんです」
「どうして?まだ、一度しか会っていないんだろ?」
「どうしてかな?そういう気持ちになったのは確かです。彼氏っていうか、弟みたいな感じです」
いや…彼氏になって欲しい。引き込まれるような瞳…心が持って行かれる感じだった。それと共に、抱えていた重荷も持って行ってくれた気がする。傍にいれば幸せになれそうな気になる不思議な子であった。
「だが…出生に疑問が残る。叔母様は子供が産めない身体だったはずだ。なのに…それも、なんであの人の血が入った子供が生まれるんだ?」
「あの人?」
ネギ君の出生に秘密があるのか?単純に叔母様の孫ってことでは無いのか?
「アイツは調整体かもしれない…」
調整体…多くの者は、二十歳くらいまでしか生きられない、人工的に造られた子供…まさか…
「あっ!だから、母親と父親の記憶が無いのかな…」
不安が過ぎる。傍にいたい。でも残りは5年程度しか無い…
「母親は叔母様の娘だと言っていた。その娘も調整体の可能性がある」
調整体の子供?それは聞いたことが無い。調整体は主にガーディアンという役目に就く。なので、子作りなんかしている暇は無いはずである。
「ガーディアン用途では無く、最強のラスボスを作る為の調整体のか」
あの無邪気に見えるネギ君が、ラスボスって…有り得ない。
「ネギ君は、そんな子じゃないです、お兄様!」
「彼はそうでなくても、彼の身体はそうだってことだ。アイツは俺と違って、直ぐにマテリアル・バーストを撃ち出せるそうだ。CADなんかも必要が無い。常時アイドリング状態で保持しているんだ」
お兄様の切り札を常時アイドリング状態で保持?それって、危険である。沖縄で艦隊を1つまるまる消滅させてしまった魔法であるから。何かの弾みで発動すれば、街の1つを消滅させることは可能である。
「深雪…アイツを暴走させるなよ。傍にいてやれ」
「はい♪勿論ですわ、お兄様」
ネギ君をボーイフレンドにする許可が、お兄様から下りた。
---四宮ネギ太郎----
冬が近づいてくる。聖域には四季が無かった。季節の移り変わりを感じるのは良いのだが、寒いのは嫌いである。この国の冬は寒いらしい。
「おい!ネギ!お前、高校はどこに行くんだ!」
エリカが元気そうな声を張り上げた。
「え?国立一高ってとこ。推薦枠で入れるらしい…」
「え?一高に推薦枠だと!お前、魔法師なのか?」
「魔法師?う~ん、僕は魔導戦士を目指しているんだけど…」
「一高って魔法師の養成高校なんだけど…」
ジト目で僕を見るエリカ。
「って、言われてもなぁ…祖母がそう言っているので…」
「うん?お前の家って魔法師の家系なのか?」
「両親はもういないのでわからないけど、祖母はどうなのかな?」
「祖母は関係無い、両親の問題なんだが…そうだったな、ネギに両親はいなかったな」
エリカが凹んでいる。僕の地雷を踏んだ気になっているのかな?
「エリカはどうするの?」
「え?私か?勿論…ネギを追いかけるよ。ダチだからな!」
---千葉エリカ---
ネギの前で大見得を切ったのだが…魔法による剣技には否定的な立場である私が、そんな学校に行っていいものか?う~ん…
「エリカ!なんか、悩みか?剣に迷いが有るぞ!」
兄上から警告された。
「え?いや、ネギがさぁ…一高に行くらしいんだよ…」
「あぁ~彼のことか。一高か…摩利に勉強を習えよ」
って、あの女の手助けは受けたくない。
「私…一高に行ってもいいのかな?」
「問題無い。行けるものなら行けよ。稽古に心が疎かになるより良いことだ。そうか、彼が一高に行くから♪」
「そ、そ、そんなことじゃないって…べ、べ、別に…ネギは関係ない!」
「ふ~ん…」
笑顔で私を見ている兄上。
「学費は国立だから安いから、家計の助けにはなるな、エリカ」
父さんまで笑っている。
「違うって、ネギは関係無いって!ただ…ほら、ダチだから、傍にいて上げたいだけだ!」
「そうか…男を追って国立を受験かぁ~♪」
父さんが嬉しそうだ。
「違うって言っているだろ!娘を虐めるなよ~、父さん…」
---四宮ネギ太郎---
深雪と、深雪の兄さんの達也さんも、僕と同じ一高を受験するそうなので、三人で受験勉強をしている。
「CADが分からない…ン」
そんな補助装置は使わないので、よくわからない。っていうか、魔法に補助装置って、ズルだと思う。
「意味とか簡単な構造がわかれば良いはずだ。詳しい内容は、受かってからの授業で習うことだ」
真夜さんから頼まれたのか、達也さんが家庭教師をしてくれている。
「問題は実技だよね…ネギ君はサイオン弾は放てるの?」
って、深雪に訊かれた。
「オーラ弾は撃てるけど…それとは違うのかな?」
「サイオン弾は魔弾と言われるものだ。オーラ弾はたぶん気弾だと思うから、違うだろうな」
「そう…試しに魔法を撃てば良いのかな?」
「いや、魔法は撃つな。その魔法の使い方を習わないと危険だな。持ち主に効くのが早いが…紹介状を書いてもらって、それで、早い内に訊いてきた方が良いかな」
持ち主?祖父ってことかな?誰だろう?葉山さんだといいな♪自分の持っている魔法がよくわからない。使い方もだ。なので、達也さんからも真夜さんからも、迂闊に撃つなと言われている。
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翌日、真夜さんから紹介状が届いたので、一緒に届いた住所を頼りに、魔法を習いに出掛けた。住所に書かれていた家の門番らしき人に、紹介状を手渡して、暫く待った。
「旦那様が会われるそうだ」
と、旦那様と呼ばれる人の前に連れて行かれた。
「お前が四宮ネギ太郎か?」
室内なのに何故か、サングラスを掛けたオジサンに訊かれた。
「はい、そうです。真夜さんの孫に当たります」
『真夜』と言う名前に狼狽える男性。
「真夜の…そうか…で、お前、『八重唱』を隔世遺伝したと言うのは本当か?」
「わからないです。真夜さんがそう言っているので、そうなんでしょうけど、どう確かめれば良いですか?真夜さんには魔法を迂闊に撃つなって言われているんですが…」
「そうなのか…ちょっと、来い!」
地下にある研究所みたいな場所に連れて行かれた。そこで、検査装置で検査をされた。
「何…確かに『八重唱』があるな。俺の子供達には遺伝しなかったのに…そうか隔世していないからか。で、何かが既に8つセットされて…え?おいおい…」
オジサンの顔から血の気が失せていく。
「真夜のやつ、飛んでも無い孫を造りだしたなぁ…おい、ネギ!魔法は放つなよ!」
「いや放ち方がわかりません」
「そうだったなぁ…えぇっと…魔弾の撃ち方だったなぁ。俺も娘に教えさせる。だから、落ち着けよ!」
いや、オジサンが落ち着いた方が良いと思う。
---七草真由美---
父から飛んでも無いことを言われた。私達兄妹に甥ッ子がいる事実…誰の子供よ?
「兄達に子供がいまぜんが、どこのどなたの子供ですか?」
「う~ん…精子バンクに預けていた精子が、盗まれて…それを使われたようだ。俺は、不倫はしていない」
この狸親父は怪しい。何人愛人がいるのか、わかったものでは無い。
「で、どちら様の子供なんですか?!」
「う~ん…俺の娘の子供らしい。持っている魔法から考えて、俺の娘の子供であるのは確かだ」
その子供…甥っ子には父の『八重唱』が隔世遺伝していたらしい。
「俺の娘自体は、もう故人だそうだ。ネギの両親はもういないそうだ」
甥っ子の名前はネギ太郎と言うらしい。父にとっては初孫になる。
「どうして、死んだのですか?」
「家督争いに巻き込まれたようだ」
「家督争いで死者?事件になるでしょ?」
「あの家系はアンタッチャブルだからな。警察すら手が出せない」
『アンタッチャブル』…ソレが表す家系は1つだ。四葉家…え?七草家と四葉家の孫…
「おぉ、真由美は理解が早くて助かるよ。まぁ、そんな感じでだ。で、真由美にはネギにサイオン弾の撃ち方を教えてやって欲しいんだよ。一高を受験するのに必要だろ?」
実技テストで必要だけど…えぇ~!一高を受けるの?
「って、言うかサイオン弾程度撃て無い者が、受験って論外だと思いますが」
基本の基本である。それすら出来無いのであれば、魔法師は失格である。
「そうなんだが…八重唱には、既に8つ魔法がセットされ、どれもアイドリング状態なんだよ」
それって、もしかして…
「サイオン弾を放ったつもりで、アイドリング中の物を放つ危険性が大だ。なんせ、ネギは、選択して撃つ方法を、まだ知らない。俺のようにたわいの無い魔法がセットされているなら、問題は少ないのだが…」
いやいや、父の魔法も結構な物だと思うが…こんなにテンパっている父を見るのは初めてだと思う。見てはいけない物を見たのか、相当テンパっている父。
「間違って撃つと、街1つ2つが確実に消えるレベルなんだよ。ネギの魔法って…」
え?街が1つ2つ消えるレベル?何ですか、それは…
「何がセットされていたのですか?」
「細かくは言え無い。いや、言いたくない。その位のレベルだ。そのレベルの魔法をだ、サイオン弾を撃つ感じで撃てるんだよ…」
最後の方は声が震えている。マジにヤバいようだ。
「って言うか…そんなヤバい生徒はイヤですよ~」
まかり間違えれば、私は簡単に消えるレベルでは無いか。
「だから、お前の『狙撃』で、サイオン弾だけ、撃ち出すように、教えてやってくれよ。なぁ、真由美、頼む。俺の初孫を助けてやってくれよ」
あなたの初孫ならば、私にとっての初甥っ子で有るけれども…
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家族会議の結果、私が教えることになった。13使徒のうち8人分がアイドリング状態であるって、父の脅しを受けた為だ。誰かが教えないと、七草家が何かをやらかしたことになるらしい。
そして、七草家の専用のトレーニングルームに、彼、四宮ネギ太郎と二人でいる。
「初めまして、四宮ネギ太郎です♪」
人懐っこい笑顔…胸がキュンとする…その事に自分自身が驚いている私。
「七草真由美です。よろしくね」
「で、どうすれば、サイオン弾って撃てるんですか?」
彼の瞳…心が引き込まれそうになる。まずい、気をしっかり保たないと。心が奪われそうになる。着ている物が奪われていく…そんな気持ちになる。ブラから解放された撓わに実った果実が、揺れている。
彼は、母親の乳房に憧れていたのか、私の乳首に吸い付き、母乳を得ようとしている。彼は母親に飢えているのか?全裸な私の身体よりも母乳を探しているようだ。子供を身籠もるってこんな感じなのかな?まるで、彼が自分の子供のような感覚に落ちていった。
あぁ…気持ちが良い…水に浮かんでいる気分だ…何をしていたんだっけ?そうだ、彼に魔弾の撃ち方を教えて…え?!全裸で彼の上に載っていた。全裸で彼と身体を重ねていた。なんで、こんなことに…
「もっと、奥まで…」
目に映る景色がコマ送り状態である。意識が飛んでいる。なんで、こんな事に…
意識がしっかりしてくると、四つん這いになった私の後から、彼が入れていた。抵抗せずに、自ら腰を振っている私。乳房が重力に負けて、垂れ下がり、前後に揺れている。惨めな姿…口から唾液が漏れている。なんて姿だ…
「叔母さんの胸、大好きだよ♪」
叔母さん…甥っ子から見たら…そうだけど…高校二年生で…ちょっと…
「名前で呼んで…ネギ君…」
彼に『大好き』と言われて、嬉しい自分もいる。
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「そうか、真由美、でかしたぞ。そうか、ネギは『狙撃』を覚えて、サイオン弾だけを撃てるようになったのか」
父は喜んでいる。まさか、私の『狙撃』をマスターして、サイオン弾専用魔法にしてしまうとは。相当なレベルの魔法師の予感だ。普通は他人の得意な術なんか、マスターできない物である。そう言う物は、特有な物が多いから。なのに、ネギは吸収してマスターしていた。
「この国の最終兵器レベルだな、ネギは…」
周りの者が彼を真っ直ぐに育てていかないと、彼は危険な者になってしまう。それは、父も私も、四葉の方々も思っていることだろう。