---七草真由美---
入学試験の当日。生徒会も入試の手伝いに駆り出された。それはそれで問題は無いのだけど、ソワソワしてしまう私。あの子、大丈夫かな?筆記試験は四葉家の担当で、実技試験は七草家が担当して、教え込んだ。まぁ、両家の当主の推薦もあるし、下駄は履かせて貰えるはずである。
「おばさぁ~ん♪」
心地良い声…声の主が、私に抱きつき、頬を擦り寄せてきた。
「ネギ君、名前で呼んでって言ったでしょ?」
「あぁ…てへへへ♪」
笑顔で誤魔化すネギ君。
「会長をオバさん呼びで、抱きつくって…コイツは何者ですか?」
後輩で副会長のはんぞー君に訊かれた。
「降って湧いた甥っ子のネギ君よ。血縁的には、おばさんで間違っていないけど、2歳しか違わないのよねぇ~」
「へ~…おばさんの仲間入りですかぁ~」
「はんぞー君には言われたくない!」
「真由美…朝から不純異性行為なの?」
目の前に現れた摩利から冷たい声。でも、
「え?摩利さんだぁぁぁぁぁ~♪」
ネギ君が私から離れて、摩利へダッシュして抱きついた。
「え?ネギ君?」
摩利の頬に自分の頬を重ねるネギ君。しかも、摩利の胸を揉んでいるし…
「ゴッホン!摩利、どういうことかしら?」
立場が逆転した摩利は、バツが悪そうだ。
「え?いや…彼は千葉道場の後輩ですよ」
胸を揉まれてもイヤそうにしない摩利。怪しい…しかし、指摘はしない。自分に降りかかる災難でもあるから。
「そういう、真由美はどういう関係なの?」
「うちの狸親父の初孫なの。なので、叔母と甥の関係なのよ」
驚いている摩利。
「そうなんだ…」
「摩利…どうしよう…自信ないよ~」
摩利に甘えるネギ君。なんで、肉親である私に甘えないのよ~!
「大丈夫、いつものように自信を持って、やりなさい」
摩利がネギ君の額に口付けをした。見てはいけないものをみてしまったのか、はんぞー君、あーちゃんが摩利に背を向けた、
「うん♪がんばってみるよ。ありがとう、摩利」
摩利から離れ、試験会場へ走って行くネギ君。なんか、摩利がうらやましい。
---四宮ネギ太郎---
筆記試験…CAD関連は丸暗記した内容をそのまま書く。魔法関連は、僕なりの考察を書いていく。問題は魔法師の魔法と魔導師の魔法は別物であること。まぁ、その辺の違いもかいておく。僕は魔法師でなくて、魔導師だから。
で、試験終了。脳ミソが灰になった気がする。完全燃焼だ。耳の穴から灰が出て来そうだ。
「ネギ!どうだった?」
達也さんが、僕を見つけて、近寄って来た。
「ダメかも…」
「実技で逆転をしろ。ただ、魔法を間違えるなよ」
あぁ、大惨事は避けないとね。
「深雪がお弁当を作ってきたんだ。一緒に食べないか?」
達也さんの後に付いていくと、屋上でマットをしいて深雪が、準備をしていてくれた。
「栄養をつけて、午後の実技を乗り切りましょうよ、ねぇ、ネギ君♪」
どうなんだろう?栄養付ければ、良い点って取れるのかな?
---千葉エリカ---
筆記試験は終わった。そこそこ点数を稼げたと思う。筆記試験場の会場となった教室を出て、ネギを探す。受験番号を訊いておけばよかった。こんなに受験生っているんだな。周囲を見回すガネギが見付からない。
「エリカ!」
あぁ、幼なじみの幹比古に見付かってしまった。
「弁当は?」
コイツに勉強を習った。ネギが帰省なんかするから。で、報酬は、試験の時に弁当の差し入れになったのだ。
「ほい、これだ」
弁当箱を手渡した。渾身の自信作…いわゆる、ドカベンだ。
「重い…期待できそうだな」
期待していいぞ。おいしい飯に、梅干しとタクワンだ♪
食べる場所を探し歩く。こういう時は屋上が穴場か?二人で屋上へ向かった。そこには…ものすごく美人な女性に、弁当を食べさせてもらっているネギがいた。
「ネギ!」
「あれ?エリカじゃん。おぉぉぉぉぉ~!彼氏を連れて試験かぁ♪」
はぁぁぁぁ?彼氏?隣を見ると、まんざらでも無い表情の幹比古がいた。
「ここへお座りください」
って、ネギに餌付けをしていた女性に言われた。
「ありがとうございます。助かったな、エリカ」
って、幹比古が、言われた通り、座っているし…
「そうか…エリカは幹比古と付き合っていたのか…」
エライ誤解をしているネギ。
「ネギ…その女性は誰だ?」
「うん?深雪だよ。僕のお友達だよ」
お友達…ガールフレンドがいたのか…ネギは私だけで無いのか?
「どこで知り合ったんだ?」
「公園で…で、隣の家に住んでいたんだよ。偶然って恐いよね」
隣の家…偶然過ぎるだろ、それって…
「僕の祖母のお姉さんの子供なんだよ」
へ?それって、親類ってことか?取り乱すことは無かったようだ。
「ネギ君がお世話になっております。ネギ君の婚約者で司波深雪といいます」
落ち着いた私の心をざわめかせる、ネギの親類の女性。はぁ?婚約者?
「親類なのに、婚約者なのか?」
「はい♪」
嬉しそうな女性。ネギは、婚約者の意味がわかっていないのか、ぽっか~んとしているが。
「ねぇ、エリカは幹比古の婚約者?」
ネギが訊いてきた。
「単なる幼なじみだよ!」
「へぇ~幼なじみで婚約者かぁ。いいなぁ♪」
誤解していることに、目を輝かせているネギ。違う。違うんだよ~
「え?!」
後で幹比古が驚きの声を上げた。弁当箱の禁断の蓋を開けたようだ。
「これは…エリカ…栄養バランスって、考えて居ないのか?」
「考えているよ。梅干しだけではアレだから、タクワンも入れて置いた」
固まっている幹比古。
「はい、ネギ君」
手に持ったサンドウィッチで、ネギに餌付けをする女。
「深雪、おいしいよ♪」
笑顔のネギ。くそっ…
「幹比古、お弁当を交換しよう」
「いいのか?ネギ…」
「エリカが一生懸命作ったんだ。食べないとダメだよ」
ネギが…自分の弁当と幹比古の弁当を交換した。
「深雪にバランス食をもらったから、大丈夫」
「うまい…この卵焼き…」
「僕のメイドが作ってくれたんだよ。美味しかったって言っておくよ」
メイド…ネギって、貧乏じゃなかったっけ?あれ?
「なんで、メイドがいるんだ?」
「祖母が付けてくれたんだよ」
祖母が金持ち…両親はいないけど…そういえば、餌付け女はお嬢様みたいだ。ネギの祖母って当主クラスなのか?
「ごちそうさま♪千葉道場のタクワンは美味しいよね、エリカ♪」
自分なりに考察している間に、完食をしてくれたネギ。そうだ、コイツ、うちで飯を食う機会があったから、タクワンと梅干しのおいしさを知ってくれていたんだ。少し感動してしまった。
「じゃ、午後の試験を乗り切らないと」
うん?あぁぁぁぁ~!私、食事していない…
---七草真由美---
実技試験場を見て廻る。不正している者がいないかのチェックである。たまにいるのだ。後方にいる者に代理でサイオン弾を撃ってもらう、偽魔法師がね。
ドッカ~ン!
どうした?検査機器が消失している…試験者の顔見て、頭を抱えてしまった。ネギ君だ…魔法を間違えて撃ちだしたようだ。急いで駆け寄る。そして、優しく抱きつく。プチパニックを引き起こしているようなので、心を落ち着かせる。
「はんぞー君、検査器具をチェックして」
「無いです。本当に焼失したようです」
そうすると、ヘビーメタルバーストかな。金属系を一瞬で焼失させると言う。
「ネギ、落ち着きなさい。ゆっくり息を吸うのよ!」
涙目で頷いたネギ君が深呼吸を始めた。
「大丈夫だから。ねぇ♪」
背中を優しく叩く。
「うん…テスト…ダメだね」
哀しそうなネギ君の声。
「おい、七草!どういうことだ!」
十文字君が、血の気の引いた顔で近づいて来た。
「どうしたの?」
「危険なレベルなサイオン量を検出したぞ」
え?ヘビーメタルバーストではなく、サイオン弾で焼失させたのか…はりきりすぎて…ネギ君自体は誤射だと思っているようだ。
「規格外な子なの…撃った本人が一番驚いているの。連れて帰るわ。暴走すると危険だから」
ネギ君をつれて家に帰った。
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さすがの狸親父も、口をパクパクさせている。実技試験の顛末を話したところ、父さんは言葉を失っていた。
ネギ君は妹達に頼んで、興奮状態を和らげるようにしてもらっている。
「サイオン弾で検査機器が…」
検出したデータシートを父さんに見せた。
「ネギ太郎…張り切りすぎだろう…フルバーストしたのか?」
「本人は誤射してしまったと思って、物凄く落ち込んでいるのよ。どうしたら、いいかな?」
単なるサイオン弾で、この被害…もし、同じサイオン量で誤射したら…学内にいた全員が焼失したであろう。そんなレベルである。
「誤射しないように訓練はしたが、サイオン量の調整までは訓練をしていなかったなぁ」
普通の魔法師はCADで威力を調整出来るのだが、ネギ君の場合はCADを使わずに撃てるので、サイオン量に威力が比例してしまうのだった。
「七草家のミスだ。ネギ太郎の素質を甘く見過ぎていた。入学までに、サイオン量の調整を仕込もう。四葉家には俺から伝えておく。1ヶ月くらい、うちで預かるぞ」
頷く私。
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夜、私の寝床にネギ君が入って来た。私の胸狙いである。谷間の香りを堪能して、乳房に抱きつき、乳首を咥える。それだけしかしないネギ君。私は母親になった気分になっている。それは、彼が我が家に合宿中、毎晩行われた。お陰で、乳首が…大きくなったような…
誤射防止とサイオン量の調整が、出来るようになってきたネギ君。一応、合格はしたのだが、問題はあった。この危険な魔法師は誰が管理するかである。私は学年が違うので、授業中に一緒には居られない。
彼の祖母方の者が傍にいれば良いのだが、彼女は一科生での合格であった。ネギ君は筆記に難があり二科生扱いであるのだ。
「彼女に二科生として通学して貰うのが良いと思うけど」
「彼女は了承してくれています」
摩利が既に打診をしてくれたようだ。
「ただ、彼女が学年トップなんですよ」
学年トップとは、筆記と実技の合計点数の一番高い者の称号であり、入学式の際には新入生代表として壇上でスピーチという栄誉もあるのだ。
「諦めて貰うしか…」
「いえ、彼女はすべて了承してくれています。問題は学校側の立場です」
学校としては、前例は作りたくないよな。でもなぁ…ネギ君は現役最強の魔法師になれる逸材である。学校は教えるのを放棄するのか?まして、四葉家と七草家にケンカを売れるのか?
校長、理事長、生徒会で話し合いが行われ、学園トップの司波深雪さんを、二科生として、扱うことになった。問題はもう1つ…扱いの問題だそうだ。筆記試験の一位の司波達也君、総合一位の司波深雪さん、実技一位のネギ君。入学試験での部門トップ三名が二科生にいる異常さだという。
「この三名は、異常だ。一科生よりも優れているのだよ。そんな生徒を二科生の教師陣で教えきれるのか心配だよ」
って、校長が泣き言言っている。そこをどうにかするのが学校だろうに。
「その三名は生徒会預かりにしてもらう。いいね、七草君」
預かっても、授業ではどうにもならないのだが、生徒会で教えろってことか?
---四宮ネギ太郎---
そして、入学式…前の日から真夜さんと葉山さんが泊まりに来てくれた♪おニューの制服に袖を通して、お二人にお披露目♪
琴鳴は教師見習いとして一高で働きながら、ガードをしてくれるらしく、スーツ姿であった。
「皺になるから、抱きつかないでね、ネギ君」
琴鳴に諭される。
「ネギ、ヨダレを付けないでね」
って、真夜さんにも注意され、誰にも抱きつけない。
「私はお留守番ですから、抱きついて良いですよ」
って、水波が救いの手を差しだしてくれた。が、
「ネギ!あなたの制服が皺になるでしょ?初日くらい、甘えないの!」
と言いながら真夜さんが、優しく抱き締めてくれた。心が安定していく、甘えん坊な僕。
家を出ると深雪と達也さんが待っていた。
「じゃ、車に載りなさい。皆で行くのよ」
って、真夜さんの号令で、車に乗り込んだ。
学校の駐車場で車から降りると、校長先生達が、真夜さんを待っていた。
「どう?私の孫は?」
「えぇ…申し分無いです…」
何故か皆、真夜さんを震えてみていた。