---四宮ネギ太郎---
エリカが同居を始めた。う~ん…
寝る時に隣にいる…いるだけである。抱き枕にされるのは僕の方…う~ん…なんかなぁ。
学校の授業は楽しく無い。知っていることか、必要とは思えないことを習うから。深雪、達也さん、真由美、琴鳴、水波により、知識を得ている僕には、面白味は欠けているが、人間とのコミュニケーションを学ぶには良い場ではある。人間である僕が、こんな言い回しをするのは変だと思うけど。
僕にとっての楽しいは、放課後の生徒会であった。真由美、摩利とのスキンシップ。服部先輩、十文字先輩との組手…居心地の良い空間であった。
「ネギ君、だから、家でやりなさい。みんなに示しがつかないよ~」
真由美の膝枕での昼寝。最高な一時である。
「ネギ君は真由美が大好きなのね」
って、摩利。
「おば…じゃなかった。えぇっと…そうだ!真由美の纏うオーラが心地良いんだよ」
「うぅぅぅぅ~」
真っ赤な顔の真由美が、顔を伏せて僕を見つめている。
「七草キラーだな。ふふふ♪七草でもそんな表情をするので、安心したよ」
って、十文字先輩。
「そんなって、何よ?!」
怒った声をあげた真由美。
「ダメだよ、おばさん!オーラが乱れるって」
「あぁ、ごめんね、ネギ君。後、おばさん呼びは学校でしないでね♪」
笑顔だけど、威圧的なオーラを纏う真由美。怒っているのか?
「なんで、怒っているの?」
「えっ…怒っていないわよ。ただ、名前で呼んでね。さん付けが無くてもいいから」
服部先輩の押し殺した笑い声。真由美が睨みを入れると、服部先輩の顔から血の気が引いていった。
「ねl、十文字先輩。真由美って恐いの?」
「私が恐い訳ないでしょ?十文字君、答えなくていいからね!」
感情二刀流の真由美。スゴいなぁ♪あっ、強面の十文字先輩が苦笑いしている。一番恐いのは真由美なのかな?僕には優しいけど…
「で、反魔法師団体の方は、どうなっている?」
「二科生を中心に加入者を募集しています」
魔法師の高校に反魔法師のサークルがあるらしい。魔法師で無いと入学できない学校なのに、妙な話である。
「何がしたいのかしらね」
「師族に恨みがある節があります。いや、師族に限らず、数字付きの者にかな」
服部先輩が仕入れてきた情報を報告していた。
「バックに妙な団体がいそうです」
達也さんが報告をしている。
「俺と深雪も誘われましたが、断ると監視が付くようになったようです」
「監視?うちの生徒?」
「違います。どうみても、工作員ぽいです」
「はんぞー君、十文字君、校内の警備レベルを上げて、生徒でない者は排除してくれる?」
「わかった。できる限りやってみる」
「あっ!ネギ君は何もしないでね。達也君、深雪さん、ネギ君を頼むわよ」
「ですね。ネギ君が動くと、街が無くなりそうだし」
深雪に苦笑いされた。う~ん、威力の制御が甘いからなぁ、僕は。まだ、真由美に習っている最中なので、迂闊に攻撃は出来無い。
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深雪達はやることがあるとかで、エリカ達と帰宅する。一人での登下校禁止と、生徒会に言われているので…
「ふ~ん、反魔法師団体か。胡散臭そうだな」
って、エリカ。
「数字付きがターゲットだと、エリカって獲物か?」
って、レオ。
「数字付きであるけど、魔法師では無く、私は剣士だよ~ん♪」
など、話して歩いていると、知らない男性達に囲まれた。
「千葉エリカだな?ちょっと、来い!」
剣を手にして襲ってきた一団。エリカは剣状のCADを手にして応戦する。
「レオ!幹比古と美月を護れ!」
しかし、相手の方がエリカより、手練れのようだ。まずいなぁ。って、僕は愛用の刀を手にして、エリカと敵の間に入り込み、エリカをガードする。あれ?エリカがガーディアンでなかったか?まぁ、いいか。
「貴様、何者だ!」
「ファントムドラグーン見習い、ネギ太郎♪」
ファントムドラグーンとは賢者様のチーム名で、ケンカを買った時の僕の身分だそうだ。
「はぁ?なんだ、それは?」
僕に斬り掛かってくる一団。的確に首筋を狙う。僕の持つ妖刀菊一文字は、菊の花を一輪ずつ斬り落とすように、首を斬り落とせる一降りである。首元に的確に入れば、だけど…
ボトン!ボトン!と、斬り落とした頭部が落ちて、地面で跳ね上がる。頭部を無くした胴体の首から血柱が上がっていく。
「人斬りか…」
相手のリーダーらしい者が呟いた。
「ふっ…神殺しだよ」
「何?お前…聖域の…引け!」
その声を合図に、逃げていく一団。これで、一難去ったかな?
「エリカ、大丈夫か?」
エリカに手を差し伸べたのだが、
「お前…なんで、そんなに冷静でいられるんだ?」
後ず去りしてレオの背中に隠れるエリカ。
「おい!来るな!お前、何をやったか、分かっているのか!」
レオが叫んだ。うん?何を怒っているんだ?
「来ないで…近づかないでぇぇぇぇ~!」
美月が怯えている。なんで?
「どうして?なんで?」
心当たりの無い僕。
「それすら、わからないのか…わかったよ。お前をあきらめろって、父さん達が言っていた意味がな!お前は平気で人を殺せるんだな」
エリカが哀しそうな顔で僕に叫んだ。
「だって、やらなかれば、エリカ以外、殺されていたよ。生き残るより死を選ぶなんて、ナンセンスだよ」
「わからないだろ?」
「わかるよ。アイツらの目は殺戮者の目だったから」
「お前がそうだから、わかるのか?」
「どうだろうな。僕はまだ見習いだから…わかったよ。あいつらを殲滅して、僕は帰る。この世界は僕の居場所で無いんだな?そうだろ?エリカ…」
僕の問い掛けをスルーするエリカ。人間と化け物の壁かな?しょうがないか。僕はアイツらの残留オーラを追跡し始めた。
---七草真由美---
うちの下校中の生徒達が、反魔法活動を行う政治結社である「ブランシュ」に襲われたと、七草家から連絡が入った。現場に急ぐ、私達。その生徒達の中には、ネギ君がいたらしい。
現場は斬首された遺体が複数あった。一面、血の海状態だ。遺体に生徒がいないことを確認して、生徒達から話を聞くことにする。が、警察が話を聞いているようで、それを傍観することになった。
「エリカ、危なかったな。こいつらテロ組織だ。お前を誘拐して、目撃者は始末すうつもりだったようだな。全員、国際指名手配犯だった。アイツらの誤算は、ネギがいたことだ」
やはり、ネギ君は巻き込まれたようだ。でも、ここに彼はいない。
「でも、殺す事は…」
「エリカよ。ネギの肩を持つ訳では無いが、ネギの判断は正しい。やらなければ、お前の友達3名は死体だったぞ」
「うそっ…」
「で、ネギはどうした?」
「帰ったよ…」
「どこにだ?!」
達也君が物凄い形相で、話に割って入った。
「えっ!達也君…家にでしょ?」
達也君は情報端末で、どこかに次々に連絡していく。ネギ君…家に帰っていないのか?
「マズいなぁ…あいつ、どこに行ったんだ…」
いつも冷静な達也君の顔が険しい。何かマズい事態になったようだ。
---四宮ネギ太郎---
エラそうな態度の男性が奥の方にいて、戦う気満々な輩が、ソイツを護るようにして、僕達にハンターのような視線を浴びせている。
「ファントムドラグーン見参♪僕のチームの見習いに、酷いことをしてくれたな」
「ファントムドラグーンだと?どこの不良グループだ?ここは「ブランシュ」の日本支部だぞ」
「知っているよ」
賢者様が来てくれた。僕なんかの為に親衛隊の方々と。
「ネギの…弟子の心に土足で入った罪は重いぞ!地獄で反省するか?それとも闇の世界で反省するか?選ばせてやる」
「はぁ?お前、厨房か?何、訳分からないことを言っているんだ?おい、殲滅していいぞ!」
「「おぉぉぉ~!」」
ハンター達が襲い掛かってきた。賢者様の親衛隊は陣形を崩さすに迎え撃った。敵と交差する瞬間に血柱が上がっていく。何本もの柱が出来る。ハンターの数だけの柱が出来ていく。
「何?瞬殺だと…」
「はぁ?当たり前だろ?人間風情相手に、手こずるわけ無いだろ?」
「人間風情?おい…お前ら、人間で無いのか…」
相手のリーダーの顔が強張っていく。賢者様の死を感じさせるオーラが、この場に吹き荒れていた。
「なんだ、寒い…身体の芯から…」
「おい、お前達のボスは誰だ?うん?!そうか、ドールテイマーがラスボスか」
相手のリーダーの記憶を読んだ賢者様。
「顧 傑のヤツか。今回は先に退場してもらおうかな。ドールは嫌いだからな」
グシャ!
相手のリーダーの頭部を握り潰した賢者様。
「おい!顧 傑の配下を掃除する。ファルコン、指揮を頼む」
賢者様は、親衛隊の隊長のファルコンさんに、指示を出した。
「わかりました。24時間中に終わらせます」
親衛隊の皆さんがファルコンさんと共に消えた。どこかに転移したようだ。
「で、ネギ。どうする気だ?」
「ここは僕がいていい世界では無いです。帰りたい…」
僕の希望を伝えた。
「う~ん…ネギの想うところはわかる。だけど、お前に課した任務は放棄か?」
課された任務?あれ?なんだっけ?
「おいおい…お前の素直さ、真っ直ぐさは好きだが、そのボケはどうにかしろよな」
頭を抱える賢者様。
「お前の任務は真夜の心を満たすことだろ?」
あぁ、そうだった。そうですよね。帰っちゃダメだよな。
「いいか。お前の帰りたい気持ちはわかる。だが、任務が優先だよ、見習い君♪強いだけじゃダメだ。いいか、どんな任務でも辛抱強くこなせて、一人前になるんだぞ」
血塗れた手で、僕の頭を優しく撫でてくれる賢者様。
「また、お前だけで不安になったら、行動を共にする。だから、任務をこなせよ、ネギ。出来るか?」
「やり遂げたいです。で、また、任務を忘れたら…」
「あぁ、思い出させてやる。だから、自信を持って任務に当たれよ、ネギ♪」
笑顔で僕を見つめる賢者様が、転移して消えた。うん?僕もどこかへ転移したようだ。ここはどこ?
「ネギ君…どうしたの?どこか怪我したの?」
大きく見開いた目で僕を見た水波。すぐに、僕に駆け寄って来た。
「全部、返り血だよ」
「お風呂、今湧かすから…脱衣所にいて」
「うん、わかった」
お風呂の自動運転のスイッチを入れてから、水波は誰かに連絡をした。
「達也さん…ネギ君が血塗れで転移してきました。今からお風呂に入れて、怪我が無いかチェックします…えぇ、戻って来て下さい。一人では不安です」
それから、僕の部屋から僕の着替えを持ってきてくれ、僕の服を脱がし、水波も服を脱いだ。
「さぁ、入って下さい。いま身体を洗いますから」
スポンジにソープを付けて泡立て、僕の身体と髪の毛を洗い上げてくれた。
「う~ん、怪我らしい怪我は無いみたいですね」
泡をシャワーで流してくれた。
「痛い処とか、しみる処は無いですか」
「無いよ。ちょっと疲れたかな…」
水波の谷間に顔を埋める僕。
「ダメだよ。ここで寝ちゃ…ねぇ、ネギ君…」
水波の心地良いオーラに包まれ、水波の声が遠くへと離れて行く…
---七草真由美---
達也君、深雪さんと共に、ネギ君の家に着いた。メイドさんの話では、疲れて部屋で眠っているそうだ。
「一安心ね」
「そうですね。大規模な災害は起きていないようだし」
魔法の暴走は起きなかったようだ。でも…ネギ君の心に傷は入ったかも知れない。千葉さんの記憶を読んだ達也君の話では、『平気で人を殺せる』と言われたそうだ。
「この世界は自分の居場所で無いと言ったそうです。アイツの居場所の世界…ここでは無いんだと想います」
「彼…調整体なの?」
それまでに抱いた疑念をぶつける。頷く達也君。
「ネギ本人は人間だと思っています。だから、アイツには言わないで下さい」
調整体…遺伝子を弄られた作られた人間。所謂人造人間である。その多くは20歳前半で寿命を迎えるらしい。
「後5年しか、ネギ君の傍に居られないんですよ。あんなに真っ直ぐで良い子なのに」
深雪さんが哀しそうに呟くように言った。そうだね。真っ直ぐで…かわいい甥っ子だよ。
「彼の居場所の世界って、どこなの?」
達也君に訊いた。何かを知っている気がしたから。
「たぶん、聖域だと思います」
「それって、都市伝説な話じゃないの?」
「聖域については、昔の書物に書かれている程度のことしか、わかりませんが、たぶん、存在するんだと思います」
ネギ君の持つ魔導師としての術。この世界には無い物であった。転移術なんか、魔法師の魔法で再現は出来無い。
「推測ですが…叔母は以前、聖域に迷い込んだのかもしれません」
達也君の叔母さんって、四葉家の現当主だったわよね。
「迷い込む?どうして?」
四葉家の暗部を話してくれた。あの1つの国を消滅させた原因を…
「えっ!父さんが、達也君の叔母さんの婚約者だったの…」
知らなかった事実。そして、それはネギ君の出生に関しての謎の部分になる。
「子供を産めない身体の叔母が、真由美先輩の父との間に子供を作るのは、不可思議なんです。ですが、聖域が絡んだと考えれば可能です」
人間では無い者達の集う世界である聖域。人間の技術では無理なことすら、可能にしてしまう技術があるらしい。そう考えると、父さんの精子を盗んだのは、父さんの精巣から…産んだ年齢を考えると、父さんが精子バンクに精子を預けるよりも、遥か以前であるから。
「そうなると、ネギの父親は聖域の者である可能生がある」
聖域で産まれた子供から、調整体を作ったってことでもある。そうなると、ネギ君は、人間の調整体では無い可能生が濃厚である。
「ネギ君は何者なの?」
「ネギ君はネギ君ですよ。私の婚約者で、真由美さんの甥っ子なんですよ」
深雪さんが断言した。そうだよね。単純に考えれば…
「叔母の狂気を具現化したのがネギです」
達也君は言い切った。狂気が具現化して、彼は最終兵器となったのだろうか…それは、考えたく無い事実だ。
「そう考えると、アイツの異常な攻撃力の説明はつきます。いいですか、あんなに戦略級の魔法を詰め込んだ上、8つもアイドリング状態って、人間には無理です」
達也君の目は、どこか哀しげであった。