二人で俺の部屋に入るなり、さっそく行為に及ぼうかと思ったのだが、すんでのところで踏みとどまる。
考えてみれば俺と智花は先に母さんたちに風呂を譲ってしまったため、まだ汗を流していない。
まぁ、たまにそのまま勢いで始めてしまうこともあるから別に気にしなくてもいいかとも思ったのだが、今回は母さんが風呂が空いたことを呼びに来ることが確定している。
いつ母さんが部屋に入ってくるかがわからないこの状況。
万一合体中の俺たちの姿を見られるというリスクを回避する上でもやはり今は我慢すべきだろう。
加えて、妙な勘繰りを避けるためにも、俺と智花の距離もきちんと節度ある間隔を空けているのだ。
本当は今すぐにでも彼女をベッドに押し倒して、全身をくまなくたっぷりと可愛がってやりたいのだが、ぐっと我慢。
その甲斐もあって、無事母さんを喜ばせてしまうような事態は起こさずに済んだのだが――
「二人ともおまたせー。お風呂空いたわよー」
ドアを開ける時に明らかに俺たちの気配を探っていたのがバレバレだったが、まぁすでにそういう関係なんだし、母さんなりの配慮と思っておこう。
それにしても……。
「ずいぶんと早かったな。別に俺たちに気を使わないで、もっとゆっくり入ってても良かったんだぞ?」
「ふふ。ありがとう、すばるくん。大丈夫よ、銀河くんともしっかり温まってきたわよ」
……もしかして、本当にただ風呂に入っただけだったのか?
それなのに俺と智花は二人に対してイケナイ妄想をしてしまったのでは……。
智花の方も俺と同じ考えに至ったのか、後ろめたさを感じているのか、どこか伏し目がちになっている。
彼女の様子を察したのか、どこか俺たちをからかうような笑み浮かべると、
「すばるくんが考えてることも、ちゃんとしちゃうわよ」
いや、そのカミングアウトはいらないから。
会話もそこそこにひとまず智花を先に風呂へ送り出す。
母さんから「一緒に入っちゃえばいいのに」と言われたが、正直俺たちはまだそこまでの域には達していないから無理だ。
恥ずかしさのあまり多分普通のことすらできなくなってしまいそうだ。
*
いつもより少しだけ早めに戻って来てくれた智花と入れ替わりで俺も手早く入浴を済ませ、自室の前まで戻ってきたのだが、少しばかり緊張。
一度自分の心を落ち着けるために一拍おき、続いて智花が油断中の不本意な姿を俺に見せてしまわないようにと一声かけて入室。
「はぅ。お、お待ちしてました、昴さん」
本当にここが俺の部屋なのかと目を疑うような光景がそこにあった。
智花が俺のベッドにいた。
掛け布団の端を両手でしっかりと掴んでいて、首から下は完全に布団で覆われているのだが、見えている顔が熱でもあるんじゃないかと思わず心配になってしまいそうなくらい真っ赤に染まっている。
そして床には彼女が普段着用しているはずの寝巻一式が丁寧に折り畳まれて置かれていた。
あぁ、うん。要するにこういうことだよね。
俺が戻ってくるのを全裸でベッドイン待機してくれていたと。
いつでも準備OKと。
「あ、あの……昴さん?」
おっと。あまりにも予想外のお出迎えに無言で立ち尽くしてしまっていたせいで不安がらせてしまったようだ。
「ここまでされちゃったら、俺、止まれなくなっちゃうかもしれないけど、いいんだよね?」
「せ、精いっぱいがんばりますので、どうかよろしくお願いしますっ」
お互いの合意が確認されたところで、俺も彼女に倣いいそいそと寝巻を脱ぎ捨てる。
そして、全裸の彼女が待つ布団を捲り上げたところで、唐突に妙な背徳感と興奮が湧き上がるのを感じた。
さすがに彼女の肌が見えてしまうくらいに露骨に大きく布団を捲り上げることはせずに、侵入を開始したのだが、徐々に徐々に彼女の身体を目指して進んでいくという行為に言いようのない胸のときめきのようなものを感じてしまっていた。
考えてみれば、智花と一緒に寝ることは何度かあったけど、智花が寝ている布団の中に潜り込ませてもらうのって結構久々だったよな。
もちろん当時はこんな不純な動機があったわけでは断じて無く、どうしようもない事情があったため仕方なくだが、つくづく智花にトンデモない行為を強いてしまったとかつての自分の愚行を反省する。
その詫び代わりというわけではないが、少しでも彼女の過去の恐怖体験を拭い去るべく、悦んでもらえるようがんばらせてもらうとしよう。
「よし。到着」
さっそく彼女の両肩を抱き寄せ、温かな柔肌の感触味あわせてもらう。
触れ合うお互いの肌から伝わり合ういつもより早いリズムの鼓動。
「え、えへへ……んっ」
はにかんでいる少女の唇に自分のそれを重ね合わせる。
「いつまでも恥ずかしがってるままだと、そのまま俺にいきなり最後までされちゃうぞ」
俺のなすがままになってしまっている少女に軽く危機感を煽ってやる。
さて、どんな反応をしてくれるかな――
「は、はい。その、昴さんを待っている間に、ちゃんと自分でも準備してましたので、いつでもおちんちんを入れて頂いても大丈夫です」
見事なまでのカウンターが俺にクリーンヒットした。
俺があれこれ策を巡らしているというのに、智花は普段お淑やかなくせに、強烈な不意打ちでいつも俺の心にダイレクトアタックを決めてくるのだから、本気でズルい。
せめてものお返しとばかりに確かめるように、細く柔らかな内股に愚息を擦りつけてやる。
「ふぁぁ……す、昴さんのおちんちんも、とってもおっきくなっちゃって、熱いです」
太腿を軽くペニスで突くとすぐに足を広げ、自らの濡れた秘裂へとペニスを誘導され、
蕩けそうな表情でそんなことを呟く少女は、今俺の心を完全に手玉に取っているということに気づいているのだろうか?
この時点では主導権は完全に彼女のものになってしまい奪還も不可能と判断し、すぐに次のステップへ移行する。
相変わらず俺たちの身体は布団で覆われているため、せいぜい露出した肩や小さな膨らみが上から少しだけ覗ける程度だが、特に問題はないはずだ。
普段からいっぱい触りまくらせてもらっているんだ、だいたいどこに何があるかなんて手に取るようにわかるさ。
「だいたいこの辺だよね。智花のおまんこの入口」
片手で握った愚息を小刻みに動かし、智花の濡れている割れ目に先端部を添わせるように擦りつけていく。
「ふわぁぁぁ……」
くにくにと弄られてる感触が気持ちいいのか嬌声を上げているだけだが、おそらく正解だろう。
より正確な位置を把握するためにさらに精密操作を続けて行くと、ついに亀頭部が目的の場所を捉えることに成功したようだ。
智花のエッチな汁でたっぷりと濡れていて、それでいてほんの少しだけ窄まっている小さな入口。
「ここだよね。智花」
「んぅ……ん、はぁぁうぅ………………ふぇ?」
相変わらず智花は艶めかしい声を上げているだけだが、どうやら俺を待っている間に相当切ない想いをさせてしまっていたのだろう。
うっかりイきそうになったのを必死に堪え、俺を待ち続けてくれていたに違いない。
待っててな。今すぐそのもどかしさから解放してやるから。
さらに細かく侵入角を微調整し、完全に入り口を捉えた。
あとはほんの少し腰を押し出すだけだ。
「いくよ、智花」
空いていた片手で智花の体がずれないようにと、しっかりと彼女の腰を掴み、自分の腰をぐっ突き出――
「――待って昴さんっ!! そこ違いますっ!?」
「うおぉっとぉっ!?」
突然現実に立ち戻ったのか、彼女にしては珍しいくらいの大声に思わず動きを止めてしまった。
「違うって、俺、何かやらかしちゃってた?」
悲鳴混じりにすごい大慌てな感じだったけどどうしたのだろうか?
「……………………す、昴さんが今、入れようとしたところ………………………………お、おしりです」
「――ぶっ!? う、うわぁぁぁああああーーーーっ!? ご、ごごごめんっ!! ほんっとーにごめんっ!?」
なんということだ。
智花が寸でのところで止めてくれたから良かったものの、俺は危うく彼女を未知の領域へ連れて行ってしまうところだった。
「すごくびっくりしちゃいました」
「……本当に申し訳ない」
何がいつも見てるから、例え布団で覆われていてもどこに何があるかくらいわかるだ。
とんでもないニアミスで危うく俺は彼女の大切な物を奪ってしまうところだったじゃないか。
「その、お、お尻でするセックスというのもあるんですよね。昴さん妙に自信満々でしたので、てっきり最初はそのつもりなのかな? と思っていたんですが、いつも初めてする時はちゃんと私に確認して下さっていたので、もしかして間違えてしまわれたんじゃと思って……」
「うん、全く持ってその通りです。怖い思いさせちゃって本当にごめん」
「い、いえっ。本当にただ驚いただけですので…………せ、せっかくので試されてみますか?」
智花にこんなことを提案させてしまうなんて……。
自分の愚行が招いた結果だというのに、それを必死にフォローしてくれているだけなのだ。
「気持ちだけで十分だよ。俺は智花が普通のセックスをしてくれるだけで、本当に嬉しいし満足してるんだ。だから、そういう特殊プレイをさせるつもりは一切ないから大丈夫だよ」
「はぅっ。そ、そうですよね。まずは基本をしっかりとマスターしてからですよねっ」
いかん。なんか智花を変な方向に向かわせてしまった気がする。
こうなってしまった以上、智花には本当に申し訳ないが、こっそり花織さんに相談させて頂かないと。
俺ではもう彼女の軌道修正は不可能だ。
それはともかく――
「つ、続きしよっか。普通のやつで」
「ふぁう……は、はい」
「その……場所、教えてくれる?」
「は、はい。ちょっと失礼しますね。えっと……んっ。こ、ここです。ここに入れてください」
なんかナチュラルに智花に自分で誘導させた挙句、まるでおねだりするようなセリフを言わせてしまった気がする。
そんなことを考えつつも、言われた通りに改めて、彼女の腰を優しく掴みつつ、自分の腰をぐっと突き出す。無事侵入成功。
うっかり別室に入ってしまうところだったが、ちゃんと智花のおかげで間違えずに入ることができた。
俺がよく知ってる熱々トロトロでいて、ほんのちょっとだけキツめの締め付けで熱烈に歓迎される。
その慣れ親しんだ感触がとても愛おしく、一気に射精感が込み上げてくる。
「……んぅ、ふ、ふぁぁぁあああぁぁぁうぅぅ~……はぁ……はぁ……」
必死に堪えつつ、突き上げていると不意に智花が体を弓なりに大きく晒しながら、小刻みに震わせ始めた。
その理由に思い当たるのとほぼ同時に、
「す、すみません……さ、先にイってしまいました……はぅぅ」
絶頂直後の弛緩しきった状態で、恥ずかしそうに正直に答えてくれた。
「そんなの気にしなくてたっていいって。俺に入れさせてくれるまで、ずぅっと我慢してくれてたんだろ」
別に先にイくことが悪いとは思っていない。むしろ彼女のがイく瞬間のかわいい顔をしっかりと見せてもらえて嬉しいくらいだ。
かくいう俺ももはや爆発寸前。このまま智花の二回目の絶頂に合わせるまで堪えることなんて無理だ。
「俺ももう限界だからさ、イった直後で悪いんだけど、このまま動くよ」
ほんの少しだけ休ませてから、耳元で囁くように告げると、ゆっくりと腰を前後に動かし始める。
わずかに自分が快感を得られるリズムを崩し、込み上げてくる射精感を煽るようにしながら、徐々に加速していく。
「俺が腰を振ってる間に、どこに出して欲しいか答えてくれ」
「ふ、ふぇぇっ!? ど、どどどこにって、どこですかぁ!?」
ごめん。智花もう動き出しちゃった以上、悠長に説明してあげられる余裕ないんだ。
早く答えないと、
「中か外。こ、このままだと、思いっきり中に出されちゃうよ」
「はぁうっ!? そ、そそそれって、その……」
俺に組み伏されて腰を振られまくっているのに、俺の意図が伝わってないのか、まだ俺の質問に答えられずにいる。
あ、ダメだ。もう――
「これが最後だ早く答え――」
「なっ! 中に出してくださいっ!!」
彼女が『中』という単語を発した瞬間、俺もそのまま膣内射精を開始する。
どくん。と全身が一つの心臓になったような自身の大きな躍動を感じる同時に、彼女の膣内でペニスから精が一気に吐き出される。
「――昴さんの精液いっぱい中に出して欲しいですっ!!
瞬間的に射精量が激増した気がする。っていうか、絶対に増えた。
射精中にさらに体がびくんと跳ね上がり、吸い込まれるような錯覚を覚えたのは多分気のせいではないと思う。
「ふぁぁぁぁ~~。ん……。ふぁう、え、えへへ。いっぱいありがとうございます、昴さんっ」
相変わらず彼女にトンデモナイおねだりをさせてしまうという嬉しい大誤算はあったが。
恍惚とした表情で俺の射精をしっかりと受け止め、たっぷりと余韻に浸り、満足してもらえたようでなにより。
ってか、勢いで中に出しちゃったけど、良かったんだろうか?
ま、いっか。今はこの最高の幸せな時間に集中させてもらおう。
*
翌日。廊下でばったり顔を合わせた親父がムカつくくらいいい笑顔を俺に向けながら近づいて一言。
「昨夜はお楽しみだったようだな」
「お前が言うな」
「へへーん。まぁな。いやーがんばった甲斐もあって、なゆなゆもホント調子よくなったみたいでよかったぜー」
「え? もしかして母さん、どこか調子が悪かったのか?」
そんなの初耳だ。昨日だって全然いつもと変わらなかったじゃないか。
「ん? なんだ、昴。もしかして全然気づいてなかったのか? ったく。俺よりもなゆなゆと一緒に暮らしてるくせにわかんなかったのかよぉ。まぁ、なゆなゆはあんまりそういうの顔に出さないから、気づけなくても無理はないか。俺以外はなっ」
「頼むからもっとわかるように説明してくれ」
朝から親父の相手は疲れる。
「あーもう面倒くせーなぁ。なゆなゆってすっごい働きものじゃん? 普段から昴とか昴とか昴の世話しまくってくれてるわけじゃん? だから密かに疲労とかもいっぱい溜まってるだろ。それを俺が風呂と寝室で銀河特製のマッサージで癒しまくってやったんだよっ」
「なんだ昨日のはそういうことだったのか、俺はてっきり……いや、なんでもない」
危うく自分で盛大な自爆をするところだった。
「あー。もしかして俺となゆなゆがエロいことしてると思ってたぁ?」
「二人の反応見てれば嫌でもそういう発想に至っちまうだろうがっ」
「甘いな昴。俺となゆなゆは、すでにそんな関係など超越しもっと遥かな領域にいるのだっ。ま、もちろんエロいこともするが、その時はちゃんとすばるくんが見てないところでするから安心しろ」
「はいはい。親父の優しいお気遣い痛み入ります」
しつこく着いてくる親父をてきとうにあしらいつつ、なんだかんだでしっかりと母さんのことを良く見ていることには関心させられてしまっていた。
ようやく親父を振り切り外へ出ると、準備運動をしていた少女がこちらに気づくと華やかな笑顔を見せてくれる。
まだまだ俺と智花は二人の領域には遠く及ばないかもしれない。
少なくとも俺も、智花の不調にはちゃんと気づけてあげられるくらいにはならないとな。
胸の中で新たな決意を抱きながら、俺は彼女と一緒に爽やかな朝の街を走り出すのだった。
この子がいてくれる限り、きっと今日も楽しい日になるに違いない。