歯車の狂った世界【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
鬼人正邪は木に体を預けて、身を小さくする。
ボロボロの服に、足は裸足。スカートはところどころ破けて、顔は泥だらけ。体を抱くようにして震える正邪の手は震えている。しかし、彼女はかわいそうな女の子ではない。
鬼人正邪はお尋ね者だった。少し前に起こった異変の首謀者としてではなく、元凶として幻想郷で追われる身になった一匹にアマノジャク、それが彼女。そう、服が破けているのも体がぼろぼろなのも、彼女の追手とした弾幕ごっこに負けたからだった。
黒と白の混ざった髪が揺れる。それでいながら前髪の一部が赤い、そんな正邪の頭。ちょこんと出た角がかわいらしい。それでも彼女は幻想郷の破滅を願った、悪人である。
「まける、ものか」
そんな悪人は小さくそう言いながら、眠りについた。体が鉛のように重く、そのせいだろう目を閉じると、それだけで幸せだった。
正邪は風呂に入らされた。檜の湯船で正邪は肩まで湯につかり、その後ろから吐息のくさい男が彼女を抱く。正邪の首に付けられた。首輪がちりんと鈴が鳴らす。むろん正邪は何も着ていない。
「まさか、妖怪の間でのお尋ね者が手に入るとはね……」
正邪の前でその男は下卑た笑いを浮かべる。正邪は思う。
(く、くそ、なんだ、なんだよこの状況は)
昨日、追手との弾幕ごっこで敗北して、命からがら逃げだした後、気のそばで眠ったことをだけしか覚えてはいない。おそらくその時に捕まったのだろうが、体にうまく力だが入らないのは疲労だけでなく、何かを飲まされたのかもしれない。
正邪の想像通り、男が通りかかったのはたまたまだった。彼は木の根元で寝ている彼女を見つけて、家に連れて帰ったのだ。助けようという気などない。正邪の容姿をみて、下種な考えを起こしたに過ぎない。だから、正邪の唇にキスをした後、男はしびれ薬を飲ませたのだ。
そして正邪の衣服を全て脱がし、体を舐め。触り、揉んだあと。風呂に一緒に浸かった。あまりのことに正邪自身どのタイミングで目を覚ましたのかわからない。それはしびれ薬のせいでぼんやりしていたからかもしれない。
しかし、それで幻想郷を破滅に追いやろうとした正邪は、ただ一人の下種な男に飼われることになったのだ。
「綺麗な、肌だね」
(か、から、体を近づけるな)
正邪は嫌悪を感じつつも、人間相手に手も足も動かない。男の手は正邪の胸に伸びて、両側から揉み始める。湯船のお湯が波を作って、少しだけ揺れる。
正邪の体が小さい。幼いというよりは、妖怪としての体型だろう。だが、その胸は男の手のひらで包めるくらいの丸みをもっていて、柔らかい。それを男は堪能した。手のひらでぐにぐにとお尋ね者のふくらみをおしおきする。
「はあ。はあはあ」
「!!」
正邪の首筋を男が舐める。そして、そのまま舌を首に這わせながら、肌を舌で味わう。正邪は目を閉じて、口をきつく結んで気持ち悪さに耐えるが、それが男を楽しませる。
男が正邪を少しだけ動かして、横を向かせた。そうして、ぺろりと男の舌が正邪の唇を舐めた。
(!!!!!!)
内心パニックを起こす天邪鬼。その間にも胸は揉まれている。男は正邪の唇をまた舐めて、吸いつく。キスである。正邪は目を見開いた。
ちゅううと正邪の唾液を吸い取るように男は吸い、一度離す。そして、言った。
「おいしい、おいひいよお」
「だっ、めろ、にんげん、ふぜいが」
正邪は声を出してしまった。今まで、男を悦ばせないために、堪えてきたのだが、どうしようもないほどの敗北感と屈辱に声を上げてしまったのだ。それは男には喜ばしいことだった。もっとその声が聴きたいのだ。
「かわいい、かわいいい」
もう一度キスをする男。正邪の胸を揉みながら、硬くなった自らの下半身を正邪の肌に押し付けながら、性欲を昂ぶらせる。正邪の肌は滑らかで、触っているだけで男には幸せだった。
反対に正邪はたまったものではない。彼女はまがりなりにも、妖怪である。本来大した力を持っているわけではないが、策を弄して大妖怪並みの力を得たこともある。この屈辱くが彼女の目から涙になってあふれ出る。
それでも男は正邪の体をいたぶるのをやめない。檜の湯船に正邪の体を押し付けて、その後ろから体重をかける。さすがに男は唇を離した。代わりに、天邪鬼の生意気な下半身に片手を滑りこませた。片手は胸を揉んでいる。
「だめだよ、こ、こんな悪い子は」
わけのわからないことを言う男。正邪は歯を食いしばって、声をあげないようにする。男の指が正邪の桃のような秘部に入っても、そこで指がうねうねと動いて刺激しても、声をあげないように耐えた。
それでも無様なことに、正邪の首輪がちりんちりんと音を鳴らす。飼い天邪鬼だと示されるようにだ。
「こどもを、うませてあげるから……ねえ。せいじゃ」
「は? はあ? だ、誰が貴様なん……ひいい」
まるで恋人に言うように囁く男は下半身でいきり立った肉棒を、後ろから正邪の秘部にハめた。そのまま、欲望の赴くがままに腰を振る。正邪はパニックを起こし、喚く。
「ぬけえ、やめ、ひぎ、やめて」
哀れか、滑稽かたかが人間などのそれも人間の中でも下等な者に懇願する、下剋上を目指した女の子。ある意味正しい姿かもしれないが、胸を揉まれて、下半身を犯されるその姿は情けない。
「こども。うませるから、ひ、あ」
男は唾を全て正邪の肌に吐き。舌をその白い肩に這わす。下半身は調教するために動かす。快感と征服感で男はいっぱいだった。正邪の頬を涙が流れるのは、この上なくよかった。
「やめてへえ。やめ」
嫌悪感を感じても、正邪は流石に感じてしまう。人をおちょくった舌は今、涎をたっぷりとつけて、だらしなく空いた口から出るだけ。
「だ、だすよ」
男が最後に一突きすると、正邪は声を上げてしまった。その高い声が、男の心に響く。その余韻の中で、男は正邪に精をはなった。
「種付、したからね。せいじゃ」
「や、やだあ、はなれろおお」
本当の少女のように泣きじゃくる正邪。自分の中には男の子種が流し込まれたのだと、感覚と男の言葉でわかってしまったのだ。もしかしたら、この一回で男と正邪の間に子供が生まれるかもしれない。それは男を殺そうとも無駄なことだ。
「もう一回、せいじゃ」
せいじゃ、せいじゃと男は言う。下の名前でねっとりと呼ぶ。正邪はもう男の持ち物だった。だから、男がもう一度と言えば、そうなのだ。
今度は向き合う形にされた正邪は前から男の肉棒をつきいれられた。今度は正邪も「ふああ」ととろけた声を上げるが、それでも彼女はしびれた手を動かして反撃しようとした。
両手を捕まえられて、湯船に押し付けられてしまう正邪。そして、その唇も男に奪われながら、吸われてしまう。
二度目の「交尾」で正邪の心は折れた。
それから何日も何日も正邪は犯され続けた。朝も昼も夜も男は正邪にべっとりである。気が向けば犯し、食事を口移しで食べさせるような珍奇なこともやった。
気がつけば、正邪は男の肉棒を舐めることが日課になっていた。
これから白い液を吸い出せば、いくらか体が楽になるのだ。彼女は疑問に思うこともできず、男のそれを舐めて。絶頂した男の精液を舌で受け取る。
白い精液を舌で包んだまま、彼女は犬の様な目で男に懇願する。
「よし、いいぞ。せいじゃ」
男がいうと、ごくりと正邪はそれを飲み込んだ。男に許されないと鬼人正邪はなにもできないのだ。
それでも今日も犯されてしまうのだが。