歯車の狂った世界【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
世の中の秩序を保つための行動は常に道徳と倫理に寄り添っているというわけではない。時には卑劣、卑怯とののしられることが数えきれないほどの人を活かし。抱え切れないほどの通俗的な利益をもたらす。その様な行為が果たして正義といるのかは分からない。
だが、ここに世の中を甘く見ている一人の少女が居た。
暗い部屋、かどうかは分からない。
ジャンヌの目元は後頭部までぐるりと巻かれた金属の黒い目隠をされている。彼女はベッドらしきものに腰掛けて今の状況を確認していた。数日前にとある学園へ侵入し、敗れてしまった彼女。気が付けばこのような状態であった。
着ているのはスポーツや訓練で使うスパッツとぴっちりと体に吸い付くインナーらしきもの。お腹のあたりは肌が見えている。それは眼隠死されていてもわかる。少しジャンヌが動けばちゃりと音が鳴る、両手が後ろで拘束されている。
(……む)
ジャンヌはゆっくりと部屋を歩く。狭い。足の感覚や壁に寄りかかった感覚から、冷たいコンクリ―トの部屋に思えた。もしかしたらさらに頑丈な素材でできているかもしれない。部屋にあるのはベッドと以外にもシャワー室のような場所が別にあった。衛生の為にでも外に出す気はないのだろう。
それもジャンヌの実力を考えれば当然かもしれない。
しかし、ジャンヌの腹は決まっていた。組織への殉死など毛頭する気はない。おそらく政府やそれに準ずるものが司法取引を望むだろう。冷静に考えれば自分の持っている情報は喉から手が出るほど欲しがっているはず、とジャンヌは思っている。
彼女はまだ幼かった。相手が正当な手続きを踏んでくれると無邪気に信じているのである。
「飯だ」
暗い部屋にかたんと音が鳴る。ドアに付けられた小窓からトレーに乗った食事が差し入れられる。ジャンヌにはわからないが、両手に感じていた磁力が弱まり、自由になる。
「食事の時だけはずす訳か……」
手首をさすりながら先ほどの音と手探りで近づく。目隠しは取れそうにない。
トレーのうえにはパンとパックに入った液体がある。少し飲んでみるとただの水のようなものである。無味無臭だった。箸やスプーン、それにナイフなどを使わせない最低限の食事。粗末であった。
(もぐ……かたい)
ついでに言えばまずいパンをもぐもぐ食べながらジャンヌはパックのストローを吸う。透明なストローに青い液体が通っていく。純粋な水ではなさそうである。
放置された。食事くらいしかこの部屋には誰も来ない。ジャンヌは体力を温存するために寝ているか、座っているかしている。視界を封じれられての数日、発狂しないのは根本的な精神が強いのだろう。着替えは毎日食事と共にくる。
「飯だ」
ガタンとなる小窓。多少は疲れているジャンヌは何も考えずにいつものようにパンをかじり、パックの水を飲んだ。そう、今日はただの水である。あの「青い液体」は飲ましてはもらえなかった。
変化は数時間後に現れた。
「あ、あぁ。あ……な、なんだ」
ベッドでのたうち回る聖少女。体が熱い。
はあはあと荒い息を吐きながらシーツに涎が流すジャンヌ。お尻を上げた格好でもじもじと太ももを動かしている。それは彼女の秘所がとてつもなく、せつない為だった。
「ど、どくをも、もられた…か?」
びくびくと体を痙攣させながらお尻を動かす。今すぐにでも股間を「どうにか」したいが、両手は後ろで拘束されているからそれしかできない。
「あ……あ、ぁ」
艶やかな声を出す。もじもじと動かす。数日かけて体に浸透させられた「青い液体」を「取らなくなった」ことで彼女の体は発情させられていた。少し動くだけで体に吸い付いたスパッツとインナーがこすれてしまう。
「飯だ」
がたんと音が鳴る。ジャンヌは体をよじり叫ぶ。
「ま、まて、貴様。わ、私に何をした……お、おい!」
誰も答えない。
結局食事はとらなかった。毒が入っていると思ったのだ。逆に今回はあの液体が支給されていたから、飲めば一時期的には助かった。
「ひ、ひ、……ん」
スパッツを脱いで今すぐに股間を触りたい。
そんな欲望を頭を振ってジャンヌは払う。しっとりと汗が身体に張り付き、仰向けに寝ている彼女の胸が震える。こんな状態で何時間になったかわからない。口元に涎がつき、赤い頬に涙の跡がある。それでも誰も来ない。ただ身もだえする哀れな彼女である。
さらに数時間が立った。ジャンヌは壁シーツを噛んで腰を動かしている。気を紛らしているのだ。カチャカチャと両手の拘束具が鳴る。この手が自由ならばと何度も思った。
扉が開いた音がする。ジャンヌはベッドから転げ落ちるように床に這いつくばり、音の方向を睨む。精一杯強がる彼女は健気である。相手が見えもしなくてもだ。相手は何も言わない。
ただ、ジャンヌの後ろから手を回して。まるで赤ちゃんにトイレをさせるよう格好で股を開かせる。
「は、離せ。あ」
相手の手がジャンヌの胸を揉む。悔しいはずである場面で彼女は悦びを感じてしまう。
「離せぇ」
情けない自分を発見して聖少女は泣きながらもがく。しかし、スパッツの中に手が入ってくることを感じてびくんと体を震わせた。「だ、だめだ」と淫乱な少女は勝手に緩んでしまう頬を引き締める。半日は願っていた「行為」を震えながら期待してしまう。
「そうか」
ぱっと離される。それからつかつかと音がしてドアが閉まる。出て行ったのだろう。
「え?」
ジャンヌは一人困惑していた。一度期待してしまった若い身体が疼いてしまう。
「ま、まて。おい。ま、まって!」
芋虫のように這いずる。何故自分を嬲らなかったと誰もいない部屋で身もだえする。
「…………!!……!っ」
やり場のない情欲を少女は持て余した。
それから一日、食事以外人は来ない。何も聞かれないし、何も要求されない。ジャンヌは足音がするたびに身体を疼かせ、身をよじる。誰かがまた、と思ってしまう。たまに食事を持ってきた誰かに。
「し、しほうとりひきを。とりひきを。も、もうしいれる」
などと言い、無視された。対等の立場を取りたがるうちはまだ誰も来ない。だんだんと泣き声を上げながら。そもそも相手は誰なのかすらわかっていない。
「しっていることは、なんでもしゃべる。こ、ここからだしてくれっ」
と哀願してもするようにすらなった。
だから、やっとドアが開いた時ジャンヌは天使に出会ったように泣きながらすり寄った。相手の姿は見えない。ただ、ベルトを外す音だけが聞こえた。それから相手はジャンヌをお尻を突き出して形で押さえつけ、スパッツを脱がせた。
「気持ちよくしてやる。嘗めろ」
と聞こえる。ジャンヌは目の前に何かがあると思ったが膝立ちをして咥えた。何かは知らない。気持ちよくなりたかった。その場面、聖なる少女が下半身を剥き出しにして男のそれを目隠しされて奉仕している。先祖が見れば嘆き悲しむだろう。
しかし、ジャンヌにはその程度の誇りもない。彼女は拘束を解かれ犬のように四つん這いにさせられたそれから彼女の秘所に固く太いものが入ってきたことを
「あぁ!」
心の底から喜んでいる。
暗い部屋で一人の少女が脱がされたスパッツを横に犯されることとなる。相手は分からない。ジャンヌはお礼を言いながら、涙を流しながら。胸を揉まれ。犯されて子種を貰った。
そしてまた数日放置される。この部屋を出るときにはもう、性行為の中毒になるだろう。情報を取引する程度の知性もなく、垂れ流す小娘として。