歯車の狂った世界【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト。その名を持つリーゼルタニアの第一王女は優しい。
「落星雨(インペルディア)」によってそれまでの世界を支配してきた組織や国家が衰退し、代わって無数の企業が統合され生まれた統合企業財体の主導する世界では王女であることは決定的なステータスにはなりえない。
それは王女という存在が彼女の祖国にある孤児院が貧窮していることを救う助けることもできないという現実を彼女は思い知らされたことでわかるかもしれない。支配された議会と傀儡たる王権などその程度の物である。
しかし、高潔な彼女は諦めなかった。星導館学園に入学し、《華焔の魔女(グリューエンローゼ)》という二つ名を得るほどの才能と努力を積み上げた。
《星武祭》に優勝をする。そして孤児院と友達を救う。彼女は純粋に思った。
現実は非情である。ユリスは念願としていた《星武祭》で敗北を期した。ある日、窓の外に飛ばされそうになったハンカチをあわてて掴んでしまったユリス。大切なそれを失くさずにほっとする彼女だったが、そのことが自らの運命を決定的に変えてしまったことには気付く術がなかった。いや、それはもはや存在しない可能性だったと言っていい。
しかし、統合企業財体とて人の集団である。機械でない人は常に欲を持っている。ユリスの持つ「王女」というステータスは政治的意味で言えば全く無力であるが、犬と同じく血統書としてならば価値がある。
そんな彼女の強みであり、原動力である孤児院の救済を欲望の道具として使われれば、どうなるだろうか。《星武祭》を観戦していた支配者たる統合企業財体の人間で考えてしまった者がいても不思議ではないだろう。
麗しい桃色の髪をした少女。無理に作った余裕の表情で立ちすくんでいた。
滴る汗とわずかに震える握り込んだ拳。わざわざ着せられた制服。上部が白、胸元から下は黒の色のピッチリしたインナーと丈の短いスカート。そこから伸びる太ももがまぶしいくらいに白い。
とある狭い部屋。彼女の後ろには取っ手の無い自動ドア。彼女の意思で出ることはできない。
ユリスの前に並べられたモニター。そこは真っ黒な画面だけがぼんやり映っている。そして四方に付けられたカメラ。
ユリスは泣きそうなになるのを懸命に抑えていた。カメラの向こうには大勢の人間が居るのだろう。少なくとも自らの位置くらいは分かる。この場はいわば品評会である。
国家の上に存在する組織。
そこに所属する者たちの地位は王位よりも尊貴でなくとも富貴である。ならば配偶者もそれなりの者がいる。例えば王女である。
経済援助とユリスの個人的願望を叶える見返りと政治的圧力による彼女の政略結婚を目的とした品定め。そんな統合企業財体からの申し入れに彼女の国は屈した。誰と結婚させるかはともかく今後の支配とユリスの美貌を凌辱できる欲望を叶えたいものが居るのだろう。
しかし、ユリスは自身が犯されるまでそれを知ることはできない。皮肉にも《星武祭》で頑張らなければこうはならなかったかもしれない。
機械音声が流れる。
『ヌイデクダサイ』
ユリスは分かっている。頭に浮かぶ孤児院のことや国のこと。いろんな思いが駆け巡り、悲壮な表情をする。もちろんカメラに収められている。
上着を脱いで落とす。
「……や、約束は守れよ…」
『シゴハツツシンデクダサイ』
「ぐ……」
その程度の自由すらも許されない囚われの姫。助けに来るものなどいない。
自らを高く売る為に脱がなければいけない。歯を食いしばりながら悔し気な表情でインナーを胸の当たりで留めているファスナーを下におろす。
ユリスの顔が赤くなり。目元に涙がたまる。あまりの恥ずかしさにぐるぐると視界が回るような錯覚を覚える。今全て記録されているのだ。そしてこれからも。
ゆっくりした手つきはささやかな抵抗である。ユリスはファスナーを下ろしていく、艶やかな肌が覗く胸元と健康的に育った胸が見える。淡い桃色のブラジャー。縁にフリルがついているそれはきっと彼女が可愛いと選んだのだろう、今では商品としてよい「飾り」なっている。
インナーを脱ぐと細い肩と鎖骨が見える。もちろん胸元を隠すのは「かわいい」下着しかない。
ユリスはがくがくと膝が震えているのが分かる。腰を少しまげて胸元を両手で隠す。可愛らしい少女としての仕草。男の欲望の的である。
『ハヤクシテクダサイ』
「わかっている……」
王族としての矜持か威厳のある言葉遣いをしているつもりの彼女。そんな哀れな少女はスカートに手をいれて、ぱちりと留め金を外す。太腿を通って脱ぐ仕草がなまめかしい。
下に穿いた淡い桃色のパンツが見える。良い形をしたお尻を包んだそれを大勢の前でさらけ出された。
『ソレモヌイデクダサイ』
「……」
『ハヤクシテクダサイ』
半裸になった少女へ機械的な音声が囃す。ユリスは唇を噛んで、ブラジャーを外すために手を後ろに回す。ぱちり、とフックを外す小さな音がしてしゅるしゅると肩ひもを取る。彼女は片手だけは胸元を隠しつつ、脱いでしまったブラジャーを床に落とした。
カメラの向こうでは欲望を滾らせた誰かが居るのだろう。ユリスはできるだけ強がる表情をしている。胸の一部分だけを隠していることがその表れだろう。
しばらくして。意を決して片手をパンツの縁に手を掛けようとする。
その瞬間である。この部屋自動ドアが開いた。ユリスは驚きの表情で振り向くとそこには何人かの女性が立っていた。何れこの世界の支配者の「慰み者その一」になるユリスを他の男性に汚させるわけにはいかないだろう。
彼女達はそれぞれ手にアナル用の注射器と手錠と太ももの付け根に固定できるローターを持っている。
「な……なんだお前ら」
ユリスは近寄って来る女性たちに怯えながら言った。ニコニコと彼女達は一言もなく歩み寄って来る。
「やめろ! ち、近寄るなぁ」
少女の絶叫を残し自動ドアが閉まる――
「ひ、ひっ、あっああ」
少女のダンスが行われていた。あれから僅か15分しか経っていない狭い部屋でユリスは泣いていた。別の言い方をすれば15分間嬲られて録画されたともいえる。お尻の「処女」を最低の形で奪われてもいる。
豊かな乳房を揺らすのはわざとではない。後ろで手錠をさせられたユリスに隠すすべも抑えるすべもないのである。しっとりと汗を張り付けた胸は淫美である。ユリスはびくびくと体を痙攣させながら、涎を垂らし、それでいて必死にカメラを涙目で睨みつけている。
可愛い乳首を隠すことはできない。それでいながら止まることはできない。
彼女の股間、つまりパンツの中が膨れていた。機械音を出す何かが入っている。それの留めるバンドだろう、太ももの付け根に装着されている。
お尻に入れられた媚薬。隠すことのできない胸。そして機械のローターに嬲られ続ける下半身。ぶるぶると膣に入ったそれが若い体を正直にさせる。
「と、とれぇ。いや、いやぁ」
股間から漏れる愛液。震える膝。それでも倒れようとしない健気な心。全ては未来的にカメラの向こうのだれかに犯される前の予行練習でしかない。全てを人質に取られた可哀想
な王女の映像は長く人の間で取引されるだろう。
「あ……!」
ローターが強まる。きゅっと股を閉じるユリスの顔。歯を食いしばった泣き顔がだんだんと荒い息で乱れていく。
「あ、ぁ……あ…と、とってぇ」
なんとか耐えようとするのは無駄としか言いようがない。