一回戦をどうにか勝ち抜いたターちゃん達白華拳。
そんな彼らの前に現れたのは、白華拳と同じく西派32門派の一つ。このトーナメントで西派の実権を一番強く求めている流派、黒龍拳の拳士達であった。
「久しぶりだな、梁よ」
「……十年ぶりか、王翬」
先頭にいる白髪混じりの男性、王翬(おうき)。纏う空気は梁と同等かそれ以上。彼こそが黒龍拳の最高師範たる男だ。
「西派を統率する白華拳の一回戦にしては、随分と情けない試合だったな」
「まぁ三人も師範が流行り病でぽっくり逝ったのが災いしたんだなぁ。くくくっ」
「何を、貴様らが毒殺したくせに!!」
「よせ趙!」
おかっぱの青年が白華の痛いところをいやらしく突くのを、趙が反論しようとして梁が止める。
「……王翬、借りは試合で変えさせてもらうぜ」
それだけを言い白華拳は下がる。
観客席まで移動したところでこうがが梁に質問。
「梁師範が話してたおじさんが大将みたいでしたけど、強そうですね……」
「あぁ、信じられねぇくらい強かった。十年前のトーナメントで俺は決勝戦であいつと、王翬と戦ったからな」
「結果はどうなったんだ?」
ターちゃんが聞くと、梁は顔の斜め傷を指差す。
「その時につけられたのがこの傷さ」
「じゃあ、負けたんですか?」
次に胴着を開いて右肩を見せて、
「もう一つ、傷をつけられた場所がここだ」
次に次にお腹を出して、
「倒れたところにつけられた傷がここで」
最後にお尻を出して、
「逃げ出したところをつけられた傷がこのバッテン傷ね」
「……つまり」
「半殺しにされて負けた訳ね」
梁師範の話はここまで。
西派トーナメントの一回戦の試合が行われていく。
拳を使う拳士、武器を使う拳士。気の力を纏わせ、様々な戦いが繰り広げられる。
怪我をしたアナベベとペドロは早く休ませないといけないので先に村へ戻らせて、ターちゃん、ヂェーンにこうが。梁と趙が観客席で試合を観戦する。次に戦うかもしれない相手の試合目に焼き付け、自分だったらどうするか等をイメージする。
「それまで! 一回戦第七試合、2人残し勝者緑心拳!!」
そしていよいよ、白華が警戒する『あいつら』の番がやってくる。
「続いて一回戦第八試合、黄ショウ拳対黒龍拳の試合を始めます」
「いよいよ黒龍拳の登場ね……」
「黒龍拳先鋒、前へ!」
新しく買ったお菓子の袋を抱えるヂェーンが緊張しながら呟く。闘技場には先程、王翬の後ろにいた禿げ頭の男の一人、色白で黒目の男が上がる。
「いーか、奴らの戦いを見ておくんだぞ。俺達と黒龍は必ずどっかでぶち当たる。控えの選手にも注意しとけよ」
そう言い梁が警戒する、黒龍拳の陣営はというと。
「ぬっ、あっイカン! ピよったぞ!」
「任せとけ閃光玉! そして粉塵!」
「おお、助かったぞ」
「ハハハ。腕を上げたな李功よ」
「真面目にやれよおめーら!!!!」
「梁師範落ち着いて……」
「けどなんなんだ、後の四人の余裕ぶりは」
白華に嫌味を言ってきたおかっぱの青年、李功(りこう)を初めとし、呑気に遊んでいる黒龍の四拳士。
まるで初めから戦う気がないような……先鋒だけで試合が片付いてしまうかのような振る舞いだ。
「先鋒一人で片付くだろうさ。ヂェーンさんがそのお菓子を食べ終わる頃には黒龍拳が勝ってるだろうよ。十万元賭けたっていい」
ヂェーンのお菓子(たまごポーロのビッグサイズ)を例えにそれだけ黒龍拳は
強いのだと言う梁。
「それでは試合……始め!!」
「よっしゃ十万元もーらい、あ~~~」
「梁師範この人あと二秒で食い終わりますけど」
「黒龍拳がんばれ!!!!」
「「「だぁ~っ!!」」」
……趙や周りの観客がずっこけている間に黒龍拳の試合は始まっている。
【煉精化気……煉気化神……】
相手の黄ショウ拳先鋒は気を練り上げ両手に溜め始める。
「………………」
が、黒龍拳先鋒は何もせず突っ立っているだけ。気を練る様子すらない。
「なめるなよ黒龍! はぁぁっ!」
ならば先手必勝、と黄ショウ拳先鋒は気の拳で殴りかかる。狙うのは顔面。
対し黒龍拳先鋒は、両手で拳を挟み受け止めた。気で皮膚が少し焼けつく。
だがここで、思いもよらない現象が起きる。
黄ショウ拳先鋒の手に貯めた気。その気が、“黒龍拳先鋒の口へ吸い込まれていく”のである!!
「あれは……『化勁(かけい)』!! まだあの技を使える拳士がいたのか!」
「梁師範、化勁って一体!?」
「相手の発する気を食って、自分の力に変える技だ。早く抜け出さんと、気を吸い付くされるぞ!」
梁の言う通り、どんどん気を食っていく黒龍拳先鋒。黄ショウ拳先鋒は必死に離れようとするが、挟み込まれた手を引き抜く事が出来ない。
やがて、貯めていた全ての気を食い尽くすと……。
「が、あ、あ……」
黄ショウ拳先鋒はやつれ、まるで老人のような姿にされていた。
気とは精力、即ち生命力。血管等、体の経路を通って体の各所、神経や内臓を循環し人間のエネルギーとなっている。それを食い尽くされた結果が、細くやつれてしまった黄ショウ拳先鋒の姿だ。
「よっ……」
更にここで、黒龍拳先鋒は予想外の動きをする。懐から細長い金属の針を取り出したのだ。
これには梁と趙の方がより驚く。
「そんなまさか!!」
「徒手武術派の黒龍が武器を使うだと!?」
素手で戦う流派の筈の黒龍拳が、その針を……なんと口に突っ込んだ!!
「これやると気が歯に挟まるんだよなー」
「「「だぁ~~っ!?」」
」
「爪楊枝かーい!!」
「ま、参った……」
闘技場では黄ショウ拳先鋒が膝をつき降参する。気を奪われた以上、勝ち目はない。
先鋒戦は黒龍拳の勝利。
だが、黒龍拳はそこで終わらなかった。
「待てよ。お前から奪った気……返してやる」
そう言って、まだ膝をついいる黄ショウ拳先鋒の背中に手を当てる黒龍拳先鋒。
審判が止める暇も無く、次の瞬間。
ボッッッッ!!!!
「うわ!?」
気の光が爆発して閃光が発生。
それが収まると、黒龍拳先鋒の前にいた筈の、黄ショウ拳先鋒の姿がなくなっていた。
「あ、あ、あそこに……」
震える声でこうがが指差した先に、黄ショウ拳先鋒は“埋もれていた”。
化勁で奪った気をぶつけ、石で出来た闘技場の中へと無理やりめり込ませていたのである……!
「き、黄ショウ拳! 早く同胞を助けるのだ、死ぬぞ!!」
「うっ……うげぇ……」
「大丈夫こうがちゃん!?」
「ヂェーン、こうがをここから離してくれ。こんなの……子供が見ていいものじゃない」
「こちらへ。私が案内します」
酷い有り様に気分が悪くなってしまったこうがを、ヂェーンが支え、趙の案内で観客席から離れていく。
今の光景に観客は静まり返っている。それもただの観客ではなく、各流派の高弟達。黒龍拳の使う気の強さに、皆青ざめている。
「これが奴らのやり方さ……。圧倒的な力を見せつけ、押さえつける」
黒龍拳に実権が移るとは、このやり方が実行され西派を支配するという事。
力による、恐怖支配が始まるという事なのだ……!
◇◇◇◇◇◇
「……先にペドロとアナベベを帰らせておいてよかったのだ」
休憩所で休んでいたこうがと合流してから、帰り道に呟くターちゃん。その声には少しだが恐れと怒りを含んでいる。
その後の試合は『酷い』の一言だ。
先鋒のやられる様を見て戦意を無くした黄ショウ拳を、黒龍拳先鋒がひたすらいたぶり、ボコボコにしていた。それには流石のターちゃんも血の気が引いて、黒龍拳がどういうものか嫌でも理解した。
「これで分かっただろう、黒龍拳の恐ろしさが」
「そんなに、酷かったのか……」
(……もしも、父さんが戦ったら。本当に大丈夫なんだろうか)
不安を隠せないこうが。父たるターちゃんが負けるとは考えにくいが、気という強力な武器に、非道な黒龍拳。
『うわぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!』
敗北。殺人。毒殺。
考えたくないが……最悪の未来を思い浮かべてしまい、直ぐにブンブンと頭を降って考えを追い出そうとする。
「ターちゃん、こっちから頼んでおいてなんだが、降りてもいいんだぜ。この先、怪我じゃすまないかもしれない」
「梁師範、それは」
「ーーいや、私は降りないのだ」
「……えっ?」
「この階段は下りるけどねー」
「どあっ!?」「あほ」
黒龍拳のやり方を目の当たりにし、警告を聞いて尚、トーナメント辞退をしないターちゃん。
ターちゃんにその考えはない。何故ならば。
「黒龍のやり方を見て、より放っておけなくなったよ。あいつらの好き勝手にしちゃいけない」
「父さん……」
その決意表明として、ターちゃんは一つ提案する。
「梁師範。明日の二回戦、私が先鋒で出ていいかな」
「何?」
「気は使えないけどさー」
ターちゃんは近くにそびえる、身の丈以上の大岩わ前へと立ち、
「--ふんっっっ!!!!」
ボゴォッッッ!!!!
右ストレート、ターちゃんパンチ!
一撃で大岩を粉砕、欠片が辺りに降り注いだ。
「こんくらいは出来るからね」
「……あのー父さん、梁師範が」
「は、破片が頭に……がくっ」
「それぐらいよけてね!!!!」
◇◇◇◇◇◇
次の日。
白華拳は二回戦に望む。相手は赤い胴着の赤羅漢拳。
ターちゃんの提案を受け入れた白華拳は、先鋒として胴着に着替えたターちゃんが。
相手の赤羅漢拳は猿顔の男が闘技場に上がる。
「見てください観客席を。黒龍拳の拳士達が偵察に来ていますよ」
「ホントだ」
最高師範の王翬を除いた四人。果たして目的は本当に偵察か。もしくはからかい半分か。
隣にはこの場には場違いなスーツの白人二人が座っており何かを話している。
「隣の白人は何者でしょうか?」
「さぁな」
「あいつら、父さんの戦いを見たらきっと驚きますね」
「それはいいけど、こうがちゃんは気を付けてね。昨日気分悪くなったんだから」
「分かってるよ母さん」
(父さんの戦う姿を、しっかり見ておくんだ)
昨日の事から、子供のこうがは村で待っていてもいいとターちゃんから言われていた。戦う姿がもしかしたら、こうがに悪影響を及ぼすかもしれない、と。
けど、こうがはトーナメントの最後まで試合を見ると譲らなかった。来たのは自分の意思だし、何より尊敬する父の戦い様を、強くなる為に絶対見逃したくなかったからだ。
(父さん……頑張って!)
「試合、始め!!」
「破ッッ!!」
「おっと」
試合が始まるなり、赤羅漢拳の先鋒が先制の一撃。鋭い蹴りを上体を反らしターちゃんはかわす。
続いて左、右の二連撃を首を捻り、また上体反らしで回避するターちゃん。
「すばしっこいやろーだ、ならこれだ!」
「……来るか」
赤羅漢拳先鋒が距離を取る。
梁はそれを新たな攻撃手段の切り替えと見て警戒を促す。
「気を付けろターちゃん。そろそろ相手が、得意の“猿拳”に切り替えてくるぞ」
「「さるけん???」」
「ウキィーーーッ!!」
ターちゃん親子が首を傾げると、相手の先鋒が猿の様な叫びを上げる。
中国拳法の中には動物や虫の動きを取り入れたものがあり、その動物になりきる事で、動物の様な早く力強い動きが出来る。
猿拳もその一つで、使い手は心身共に猿になり、軽やかに戦うのだ。
「キー……キー……!」
「ほ、ホントに猿みたいになってる!」
(……あれ? でもこれって父さんには通じないんじゃ)
「キィーーーッ!」
「猿かー。ならば……反省!!!!」
「キッ……! キキ」
「……あのー手をどかしてくれるかね」
「「「調教されてどーすんだよ!!!!」」」」
猿の様に素早く飛びかかる赤羅漢拳先鋒、しかしターちゃんの一言で反省のポーズを取らされてしまう。
この拳法、ジャングルの王者たるターちゃんに通じる筈が無かった。
「バッカねー。ターちゃんは生まれてからエテ公に育てられたエテ公のエキスパートよ、猿真似したって無駄無駄」
「キキキッ! キーキー! キキウキ、ウキーー!!」
「? キキーキキキ(この人なんて言ってんの)」
「キー(さあ)」
「キキ(わかんね)」
「えっ」
ターちゃんとエテ吉とこうががサル語で会話し相手の言葉を知ろうとする。
ずっとアフリカで暮らしてきたので動物の言う事が分かり、言葉も喋れるターちゃん。息子のこうがもターちゃんから教えられたので動物語が使える。
……これを猿拳を使う相手の前でやるターちゃん親子。
「キーキキ、キキキキー、キキキキキキキ(そーだ、昨日ナンパした赤毛ザルのリンリンに聞いてみようかー)」
「キキキー(えーあたしわかんない)」
「キキキキ、キーキキ(リンリンだなんて、もう呼び捨てかよー)」
「キーキキキキー(手が早いなぁ)」
「キ、キキ……」
※サル語なので周囲には何言ってるか分かりません。
「おいおい、対戦相手が泣きそうになってるからその辺で止めとけばー」
「く、くそ~~! ワシが今までやってきた血の滲むような修行はなんじゃったんじゃ~……!」
対戦相手からすれば屈辱の連続である。
自分の修行成果をあしらわれただけでなく、普通に猿と話している事。そして何が悲しくて猿がいちゃつくのまで見せつけられねばならないのか……。
悔しさで思わず半泣きになりながら、赤羅漢拳の先鋒はターちゃんへ突進する
「破ッッ!!」
「危ないターちゃん! 前!!」
「むっ」
趙の警告を聞きつつ、冷静にターちゃんは対応する。首を僅かにずらして紙一重で拳を避けると、自分から相手に近づき、
ぐにっ
「参った……」
「ふっ、味な真似しやがる」
急所の相手の金玉を掴んでいた。これで勝負あり。
「ハッ、なんだありゃあ。ふざけたやろーだぜ」
場所は代わり観客席では黒龍拳の一人、化勁を使う男、化剄(かけい)がターちゃんの戦いを笑い飛ばしていた。
あんな奴なら俺でも勝てる。そう言わんばかりだが、後ろから蹴りと共に「馬鹿か」と声が飛んでくる。
声と足の主は以前、白華をバカにしていた青年、李功。あの時とは違い、表情は真剣そのもの。戦いを冷静に分析していたからだ。
「格段の実力差あってこそ出来る芸当だろうが。何見てんだ」
「それまで!」
「いぇーい」
内容はともかく先鋒に勝った白華拳。
続いて次鋒戦。黒髪の男が出てくる。
「確かに実力はある。だが、気の拳は簡単にはよけれんぞ。あのターちゃんとやらが西派拳の恐ろしさを知るのはこれからだ」
李功に頷きつつそう簡単にはいかないと言うのは三つ編みの男、劉宝(りゅうほう)。李功の義兄。
「次の次鋒は赤羅漢拳一の気の使い手だ。ターちゃんも本気で戦わなければ危ないぞ」
白華陣営から梁が警告する。
気を理解し、使うからこそ、その強さを理解しているからこその言葉。西派拳法の師範として、どれだけ気を重要さが警告には込められていた。
「分かったよ梁師範。気の攻撃には気を付ける」
「父さん、気を付けて!!」
「うん!」
息子にも頷き、いざ試合に望むターちゃん。
「試合、始め!!」
【煉精化気……煉気化神……】
開始早々、気を練り上げ両手に貯める赤羅漢拳次鋒。素早くチャージすると気の拳でターちゃんへ襲いかかる。
「破ッッッ!!」
「ふに!」
「なぁ!? はぁっ!」
「ふにっ!」
「せいやあぁぁ!!」
「ふに、ふに、ふにふにふに~~っ!!」
「出たぁ父さんのふにふに避け!」
「「「「なんじゃそりゃ~っ!?」」」」
「舐めとんのか西派拳法を!!!!」
「梁師範、味方なんですけど……」
……あれだけ言っといてやったのがコレでは梁が怒る無理はないのだが。
「いいか、動物の真似はこうするんだよ」
相手から離れたターちゃんは屈んで精神を集中。体に動物の力を宿らせる動物パワーを発動させる。
「父さんの動物パワーだ!」
「一体どんな動物が乗り移るの!?」
ターちゃんが顔を上げる。
今回の乗り移った動物それは……目の周りに黒い部分がある中国お馴染みの動物!
「きゅいっ」
「……パンダ?」
ではなくて。
「違う。アライグマよあれは!」
「そう、アライグマパワーなのだ!」
エサを洗ってから食べる事で有名なアライグマ。正確には水に手を突っ込んで獲物を探しているのが、手を洗うように見えたからその名前がついた。
そんなアライグマから繰り出される動物パワーとは!?
「はーいキレイにしましょねーゴシゴシゴシゴシゴシゴシー♪」
「あはぁ~~~……」
洗剤ぶっかけての全身洗い攻撃。……特に股関を念入りに。
「とことん舐めとんのか拳法を~!!!!」
「味方ですって……」
「あぁ~参ったぁ~……」
「参らないでくれぇ~!」
次鋒にも勝利。
こんな具合で、おちゃらけながらも赤羅漢拳と戦っていくターちゃん。
次の中堅戦。
「ターちゃんパンチ!」
「ぐわぁ!?」
「それまで!」
「あ……」
相手の攻撃にターちゃんパンチでカウンターしKO。
四番目の副将戦。
「おりゃ、せいや、うおおおぉぉ~!!」
「ふにふにふに~!」
「……それまで」
「あぁ……」
ふにふに避けで攻撃を回避。疲れた所を攻撃して決着。
最後の大将戦。
「アライグマパワー! キレイキレイにしましょうねー」
「あひぇ~~……」
「………………それまで」
「あぁ~……」
全身と股関をくまなく洗われた相手が降参。これにて決着。
「それまで! 五人残し勝者、白華拳!!」
「今年の白華はおもしれーぞ!」
「いいぞーもっとやれー!」
「やーどうもどうもー」
(……恥ずかしい……)
観客から浴びせられるは声援ではなく大笑い。
西派を統率する白華がこんなんでいいのか……と鼻水垂らして顔を真っ赤にする梁であった……。
そんな彼らを黒龍の拳士達……特に李功と劉宝が注目している。
(なんかあいつら……こっちを見てるな)
ぶるるっ
(っ!? おいおい、マジかよ……)
「戦いはふざけているが、あのターちゃんとやら、なかなかやるな」
「あぁも簡単に拳士をあしらうなんて……」
「もし目障りならば、“また”我々が排除致しますよ? 白華の師範を毒殺した時のようにね」
スーツの白人がただならぬ内容を黒龍と話している。この白人の正体は黒龍拳が企む西派拳士の国外流出に賛同したスポンサーであった。
元は暗殺拳であった西派拳法は暗殺者にはうってつけ。アジアやアメリカ、アフリカといった国がその力を欲しがり、ビッグビジネスとして裏で進行してい
た。
このあと、黒龍拳も二回戦を勝ち抜き白華拳と同じく次の三回戦へ駒を進めた。
互いの思い、野望が絡み合いながらトーナメントは進んでいく……。
だが、しかし。
「アナベベさん、それってどういうことですか!」
「どうもこうもねー。言ったままだよ」
白華拳の方で一つの問題が発生した。
原因は助っ人の一人、アナベベが言った衝撃の一言。
「俺ぁこのトーナメントをおりさせてもらうぜ」
こうが
「次回予告!
アナベベさんがトーナメントからおりる!?
まさかの事態に白華拳はメンバー不足。
このピンチ、どうやって切り抜けるの!?
次回、ジャングルの王者ターちゃん~新ファミリー物語~
第18話 アナベベの決意の巻
足りないメンバーを補うのは……えっ、まさかぁ!?」