僕は、今見ている光景が信じられなかった。
「ぐ、うぅ」
父さんが膝をついていた。あの父さんが。
父さんのスピードにもついてくる相手、そいつに一撃をもらい、ダメージを受けた。
銃を持つハンターにも負けなかった、いつも僕に格闘を教えてくれている、とてつもなく強いあの父さんが。
「ぬん!」
「父さんっ!」
そこへ相手、劉宝の拳が襲ってきた。
危ない! このままじゃまた攻撃を食らう、僕は思わず立ち上がった。
「なんの!」
「うぉっ!?」
だが父さんは、立ち上がり避けるんじゃなくて、下半身を逆エビ反りの様に振り上げ相手の顎を蹴り上げた!
あの態勢から攻撃に繋げるなんて!
しかもその勢いで立ち、後ろへ宙返りして距離をとる。
「阿ッ!!」
突っ込んでくる劉宝。
顔面狙いの右蹴りを首を傾けてよけると左腕と頭でホールド。だけど右足を捕まれたまま、下半身を捻りあげ残る左足蹴りが迫る!
「ぬんっ!」
「ちぃっ……! ふん!!」
「ぐぁ!?」
父さんは肘で右足を迎え撃った、でも劉宝はそこから上半身を腹筋みたいに持ち上げ父さんの顔面を殴る!
その衝撃で足のホールドが外れた。落ちていく劉宝の背中を父さんは蹴りつける、お返しとばかりに相手の左蹴りが再び顔面直撃!
「ぐぁ……!」
「ぐっ……!」
二人は石の闘技場へ背中から倒れこむ。
すごい攻防だ……周りの皆も声を上げるのも忘れてただ試合を見ている。
僕もその一人。見て分かった、あの劉宝って相手は……父さんと同じくらいに強い!
「やるな……」
「……お前もな」
「馬鹿か劉宝! 何を手間取っている、勁で一気に仕留めろ!!」
相手の王きが叫ぶと、劉宝は、“気を練り始め勁の発動”に入った。
不味い! 父さんでも勁を使われたら不利だ!
「父さん! 勁の技が来る! 気を溜めさせないで!!」
【錬精……】
「そうはさせるか!」
相手に突進、左拳からの右蹴りで勁の発動を邪魔する父さん。
「そうだターちゃん! 気を溜める隙を与えるな!」
「接近して戦え!」
「小癪な。劉宝、間合いをとるのだ!」
どうにか相手は距離をとって気を使おうとする。
父さんは絶対にやらせないと、近づいたまま殴る、殴る、殴られても殴り返す!
「おのれっ!」
「ぐっ! ふん!!」
「がっ! ぬぅ!!」
互いに殴り、殴られ、殴り返し、殴りまくる。
防御はない、ノーガードでの殴りあいだ。
「キーッ!! キキキ、キー!!」
「キキー!?」
「うるさいよエテ吉!!」
いきなり叫んで。こんな大事なときになんだよもう!
そんなことより試合だ試合。もう父さんも劉宝も何度殴られたか分からない。
顔は色んな場所が腫れて、切れて、鼻からも口からも血が出て、血まみれだ。
ダメージで二人ともフラフラしていて、いつ倒れてもおかしくない……!
「ぐ……ふぅん!!」
父さんが、殴る。
「が……ぬぅぅ!!」
劉宝が、殴り返す。
互いにぐらつきながら、同時に右拳を放つ。
「がっ!!」「ぐぉ!!」
クロスカウンター。血飛沫が飛ぶ。
更に左でのクロスカウンターでもう一撃ずつ。
衝撃で後ろへ吹き飛ぶ二人。
……いや、違う!
「ぬ……」
劉宝は残った気で勝負を決める気でいる!
ここで決められたらいくら父さんでも……っ!
「れ、れんせ」
「――ターちゃんパンチ!!!!」
ドゴッッッッッ!!!!!!
「ぐはぁ……」
「最後に気を使おうとしたことが、お前の敗因なのだ……!」
父さんの最後の一撃で、背中から倒れた劉宝。
起き上がっては……こない。
「そ、それまで」
「や、やったぁ!!」
「やったぞ!!」
「先生ー!」
「「「ターちゃん!!」」」
「キキーッ!」
ワァァァァァァァッ!!!!
「いいぞターちゃん世界一!」
「その調子だ、白華拳!」
「「「先生! 先生!! 先生!!」」」
副将の劉宝まで倒した!
よし、あとちょっとで優勝だ!
でもこの戦いでかなり攻撃を食らったはずだ。
大丈夫かな父さん……。
その父さんは相手の劉宝に近づいて何か言っていた。一体何を話していr
「地獄へ……落ちろ」
劉宝が、父さんの足を掴んだ?
「死ねターちゃん」
「えっ」
なんだ今のどこから――
「――っ!」
バキューーーン
突然の銃声が響き渡って。
放たれた鉛弾が、父さんの体に突き刺さった。
こうが
「次回予告!
父さんが撃たれた!? 誰がこんなことを、何のために!
トーナメントの裏に隠された策略。そこまでするって言うのか!?
そして遂に、西派トーナメント最後の試合が始まる……!
次回、ジャングルの王者ターちゃん~新ファミリー物語~
第25話 決戦、黒龍拳!!後編2の巻
父さんの、動きが……!?」」