第3話、後編です。どうぞ。
「全員、そこに並びなさい」
「ひ、ひえぇ……」
「さっさとする!!!」
「は、はいぃ~!」
パメラとその仲間ハンターにターちゃん達が襲われた、次の日の朝。
捕まっていたパメラ達はヂェーンに叩き起こされた、かと思うといきなり家の前に並ばされた。その手にはハンターが使っていた拳銃!
「じゃあ行くわよ」
「き、きっと俺達を撃ち殺す気だぜ……」
「死にたくねぇよ……まだやりてえことたくさんあんのに」
「布団下のH本……どうしよう」
「クッ……」
「むー……」
怯えたり、頭を抱えたり、非常に重大な事忘れていたりのハンター。何も出来ない苛立ちで奥歯を噛み締めるパメラ。
ヂェーンはそんなパメラとハンターを一人一人凝視。足の先から、頭のてっぺんまで。
カチリ。
手にしていた拳銃(リボルバー)の撃鉄を下ろす。弾倉が回転、弾丸が装填されて発射準備完了。
ああ、これから撃たれるんだ。
パメラとハンターがそう悟る。
カチャリ。ヂェーンが拳銃の引き金に指をかけた。
そして……!
「いつまで寝とんじゃいあほんだら!!!!」
パンパンパンパンパンパーン!!
「「ひええぇぇぇぇ~~~!?」」
「「「「だあッ!!!?」」」」
家の中でグースカ寝ていたターちゃんとこうがへ撃ちまくって、思わずずっこけるパメラ、ハンターであった……。
「おはよーヂェーン……」
「おふぁよぉ~」
「おはよう。はい、二人とも並ぶ」
「「は~い」」
「って、起こしただけかよ……」
ハンターの一人が諦めた口調で言った。ヂェーンに横にターちゃんとこうがが並び、更に後ろにはいつの間にかペドロ、ゴリさん、エテ吉がいて、逃げられる感じが全くない。
完全に逃げられないようにしてからやるつもりなのだろう。ハンター達は項垂れた。
「じゃあ始めるよ」
「あぁ……終わった何もかも」
「はい! 両手をあげて!」
「「「「はいぃぃぃ!!」」」」
ちゃ~んちゃーらちゃちゃーちゃ、ちゃ~んちゃーらちゃちゃーちゃ~♪
「「「「へっ?」」」」
朝のラジオ体操でした。
「「「「前フリ長いわッ!?」」」」
「まーまーこんな作者だから仕方ないって。そいじゃ、皆に紹介するわ」
「今日から君達の教育係、ターちゃん先生なのだ。よろしく」
「教育!?」
「俺達を殺すんじゃないのか!」
「どあほかい。私達はね、野蛮人じゃあないのよ」
今まではジャングルの平和を乱すハンターどもはぶっ飛ばしたりと、力づくでなんとかしてきたターちゃん達。けど、それだけではあまりハンターが減る様子がなくて、やり方を変える事にした。ハンターをターちゃん達の所で更正させてから帰すやり方だ。
「まずは自分達のした悪い事を謝る。ターちゃん先生、お手本」
「寝坊して、ごめんなさい!!」
ヂェーンへ腰を90度、綺麗に折り曲げ、ターちゃんは謝った。
「こうがちゃんも。はい」
「寝坊してごめんなさい!! あと母さんのおやつのカステラ、食べちゃってごめんなさい!!」
「お前かい食ったんは!? ……まあいいわ。今は許してあげる」
「それと、寝るときにパメラさんのタンクトップ引っ張っておっぱい見ました! ごめんなさい!!」
「僕もおっぱい見ました! ごめんなさい!!」
「何やっとんじゃいおのれらは!!!!」
「えぇ……」
ドン引きのパメラ。そりゃそうだ。
「と言うわけで、まずは謝る。そこからよ」
「「「「暗殺しようとしてごめんなさい!!」」」」
「うん。よろしい」
「謝ったけどぶたれたよ僕ら」
「なんでおっぱい見たのはゲンコなの?」
おバカ2名は置いといて。
ターちゃん先生の元、ハンターへの初更正開始である。
「じゃあ朝ごはんまでは畑仕事をやってもらうよ。道具はこれね」
鍬や籠を渡して、畑の耕し方、雑草取りの仕方、取ってしまう虫等を教えるターちゃん。こうがも手伝い、各々農作業を始める。
「……後は任せましたぜ」
「わかってるわよ」
ただし、何やらハンターとパメラがこそこそと打ち合わせているのに気づかぬまま……。
「出来たわ。ヂェーン特製コーンスープよ♥」
「(肝心のコーンが見えない……)」
ヂェーンとペドロは朝食の支度。いつもはターちゃんが作っており、今回作ったのはヂェーン。グツグツと音を立てる鍋にはキャベツ、玉ねぎ、ニンジン、きのこ等々……野菜がてんこ盛りの美味しそうな野菜スープだ。
……名前のコーンが見えない以外。
「どーおペドロちゃん。久々に料理作ってみたんだけど」
「いいんじゃないんでしょうかー(ごめんなさい凄く不味いです)」
そしてヂェーンの家事スキルが高くはないので、見た目はよくて、味はアレ、というやつ。ペドロは口と心で正反対に言ってなんとか乗り切った。
完成したので、ヂェーンはエテ吉にターちゃん達を呼んでくるよう頼み、少ししてターちゃんとこうががやってきた。
ただ、何故か二人とも表情が優れない。ターちゃんは鍬3本を抱えていて、こうがは籠2つを持っている。
そして、口をもごもごさせて、申し訳なさそうに言う。
「あのさーヂェーン……」
「どーしたの」
「……パメラ達、逃げちゃったんだけど」
「「え」」
事件の流れはこう。
『トイレに行ってきていいかしら』
『いいよー』
そう言い、最初はパメラが持ち場を離れた。
するとそれから数分おきに、
『お、俺もトイレに』
『行ってきたら』
『の、喉が渇いたから水飲みに行ってくる』
『はいはい』
『俺もトイレ……大きいやつ』
『早めに戻ってきなよ』
とまあ、こんな具合。仕事に集中していたターちゃんはハンター達の言葉を鵜呑みにしてしまい、こうがも畑を耕していて気づかなかった。
いつまでも帰ってこないのを不審に思ってたら、残されていたのは農具だけ……という事。
「すまないのだヂェーン……初めからこんなんで」
「ごめんなさい母さん……僕も気づかなかったから」
「……いいのよ。本当に悪いのは逃げたハンターだから。二人は気にしないで。次をしっかりやりましょ」
自分のせいだ、と責めるターちゃんとこうが。その肩をぽんと叩いてヂェーンは励ました。
落ち込んでいた二人はそれで元気を貰って、次に切り替えようとする。そこで、意外な声が一同にかけられた。
「勝手に話を進めないで頂戴」
「ぱ、パメラ!?」
そう、真っ先に逃げた、とターちゃん達に思われていたパメラだ。
驚くターちゃん達へ、涼しい顔で近づいてくる。残りのハンターはパメラが止めたにも関わらず逃げてしまって、仕方なく自分だけ戻ってきたのだという。
「ご、ごめんなさいねー! 勘違いしちゃったわ。あ、朝ごはん食べる?」
「いただくわ」
変わらず涼しい顔のパメラは、悪者扱いしてしまったヂェーンには抗議している様に思えて、慌てて取り繕う。
スープをお椀によそい、パメラへ手渡す。パメラはいただきますを言って、スプーンで一口。
「おええええぇぇぇぇぇ~~……」
「ヂェーンさんが作りました、あれ」
「「あ、なるほど」」
「どういう意味じゃい!!!!」
「じゃあパメラ。今度はジャングルのパトロールなのだ」
「分かったわ」
ハンター更正は始まったばかり。
朝食が済むとターちゃんはじジャングルのパトロールに向かう。更正として、パメラがそれに同行する。
「ううぅ……お腹が……」
「よく食べたねー、こうが」
「確かに」
「あんたらねぇ……」
ハンター達の分も入れて作っていた朝食。パメラが戻ってきたとはいえ、いかんせん量が多くて、こうがが残り全部をなんとか完食。
代償にお腹はパンパン、苦しいし不味くてお腹を壊してしまいしばらく動けない。
「(パトロールだなんて。私は騙されないわよ)」
「じ、じゃあ気を取り直して行くのだ……」
ヂェーンにしばかれたターちゃん(あとペドロ)を見ながら、パメラは警戒する。
戻ってきたのは更正する、なんていうバカ正直ではない。ターちゃんを始末する為だ。今履いているホットパンツのボタン。それはボタンに見せかけた超小型爆弾で、ターちゃんについていきながら隙を伺う。
「ちょい待ち!」
そこでストップをかけたのはヂェーンであった。まるで探るような目で、パメラの方を睨み付けている。
「まだあんたの事、信用してないから。これつけてきなさい」
「(しまった!?)」
一挙一足を見逃さんと凝視していたのを怪しまれたか。パメラが振り返ると、ヂェーンがなんとケース入りナイフを持っていてターちゃんに近づく。
しくじった、もうダメかもしれない。
思わず、パメラはそう諦めたかけた……。
「外したら浮気とみなすから」
「え~?」
「そっち!?」
と、思って。
ターちゃんのチ○チンにナイフケースを装着したヂェーンにずっこけるパメラ、ヂェーンが睨んでいたのはターちゃんがオーマン湖や今朝みたいにスケベやらかさないか、だったのである。
「あ、お尻でも触られたらナイフ使っていいから」
「はぁ……」
「信頼ゼロなのだ~!」
おバカなやり取りにため息混じりな返事になってしまう。
まあ、何はともあれ今度こそパトロールに出発。
パメラはターちゃんについていきながら、その動きを注意深く観察する。
「この辺りはハンターがいるかもしれないから気を付けてね」
「分かったわ(何を言うの? この辺りは国立の自然公園じゃない)」
動物達を保護している国立自然公園、しかもここは禁猟区。そんな場所でハンターが出る訳がない。パメラはターちゃんに疑いの視線を向ける。
今まで殺し屋として、パメラはたくさんの命を奪ってきた。しかし、殺してきたのは法で裁けない悪人達。だから、パメラは正義の殺し屋と言われていた。
今回のターちゃん抹殺の依頼を受けたのも、それが関係している。
依頼主曰く、
・ターちゃんはジャングルの王者を名乗った極悪人である。
・動物達の平和を守るといいながら、自然のバランスをバランスを取る為、やむ無くハンティングをする善良なハンターを痛め付けている。
・それだけでなく、殺されたハンターもいる。だが善人面に騙され、周りは気づいていない。
と、涙ながらに語っていた。
オーマン湖や朝での姿を見た限りではそんな風には見えなかったがそれは本性を隠す嘘。今も自然公園に訪れた観光客でも襲うのだろうと、警戒している。
「……ムッ!」
「ちょっと、どこ行くの!?」
前を歩いていたターちゃんが、いきなり走り出した。慌ててパメラは追う、周りが茂みだらけの中を走っていくと、遠くよりガガガガガガ、という何かを撃つ音が聞こえてくる。
茂みを抜け、開けた場所に出ると、パメラは信じられないものを目の当たりにした。
「逃げるんじゃねー!!」
ガガガガガガガガガガガガッ!
「き、禁猟区で狩りを!?」
「ジャングルの平和を乱す奴は許さん!!」
「ぎゃっは!?」
禁猟区にも関わらず、ハンター達がガゼルへ銃を撃ちまくっていて、ターちゃんが突撃し、ハンター達が乗っているジープを蹴り壊す。
ターちゃんのキックやパンチで、ぶっ飛ばされていくハンター達。
「あれは……チーター!」
よく見れば撃たれた動物もいて、絶滅危急種にあるチーターだ。数が減っていて、絶滅するかもしれない動物。体から血を流して倒れているチーターの姿に、パメラは膝から崩れ落ちた。
「あいつら……騙していたのね……!」
ハンターどもこそが本当の悪者だった。ターちゃんは本当の善人。依頼主はハンティングに邪魔なターちゃんを自分を使い消そうとした、といったところか。
騙されていた事への怒り。悔しさ。ターちゃんを疑ってしまった申し訳なさで、拳を握りしめるパメラ。
「ぐ、くそ……」
するとターちゃんにやられ倒れたハンター、その一人がピストルをターちゃんに向ける。ターちゃんは別のハンターと戦っていて、そいつに気づいていない。
「ターちゃん危ない!!」
すかさずパメラは立ち上がり、ホットパンツを脱ぐと爆弾のスイッチを入れ、ハンターへ投げつけた。
「ほぎゃあああああ!?」
ハンターはぶっ飛ばされ黒焦げになって気絶。
ターちゃんを狙うハンターはもういない。それを思うと、急に強く沸き上がってくる悔しさでパメラの両目から涙が零れていく。
「悔しいっ……あんな奴等に騙されていたなんて……!」
「………………」
一方、ハンターを叩きのめしたターちゃんは固まっていた。そりゃそうである、ターちゃんからすればどうしてかパメラが泣いていて、しかもホットパンツを投げ捨てたから下半身はパンツ一丁だからである。
スケベなターちゃんがそれを見て、反応しない訳がなく……
ビリッ……。
「あぁ!? け、ケースがぁ~!」
もっこりでナイフケース……という名の封印が解かれてしまった。
ここで今の状況を整理してみよう。
・股間のナイフケースが破れている、浮気とみなされる。
・パメラは泣いている。
・しかも下半身はパンツ。
即ち。
「この状況で帰るのひじょーに不味いのでは~~~~っ!!!!」
「だからねー……深い訳があってねー……」
「ターちゃんが……ターちゃんが……」
バババババババババババババッッッ!!!!
「この状況で何言っとんじゃいこの浮気もんが!!!!」
「せ、先生……」
「……庇えないよ、父さん」
こうがです……げふ。
帰ってきた父さんが母さんにしばかれています。
何か言いたげですが、泣いていて下はパンツのパメラさん、破れたケース……これで切り抜けられる理由があるなら知りたいです……。
……でもこの後。泣き終えたパメラさんが全部理由を話してくれて、誤解は解けました。
パメラさんは改めて謝り、その後は動物を保護するレンジャー活動を手伝っているそうです。
○月1日、晴れ。こうが。
こうが
「次回予告!
強くなるべく、今日も練習練習。
そんな中で、父さんに届いたオープントーナメントの招待状。
日頃の成果を試すため、ペドロさんが出場することになったんだ。
次回、ジャングルの王者ターちゃん~新ファミリー物語~
第4話 オープントーナメントの巻
えぇっ!? 父さんは出ないの!?」