※この作品はR-18です。

ジャングルの王者ターちゃん~新ファミリー物語~   作:剣聖龍

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第一部 ユンケル帝国編
第4話 オープントーナメントの巻


「せりゃ! うおりゃ!」

 

「よっ、ほっ」

 

 

 今日も朝から快晴。平和なジャングル。

 

 ペドロとターちゃんは日課の組み手。こうがが外から見ていて勉強する、と同時に鉛筆でノートへ何かを書き込んでいる。

 

 

「あらこうがちゃん、お勉強? 感心ねー」

 

「母さん。うん、勉強もあるけど日記をつけることにしたんだ。その話題集め」

 

「成る程。私の事書くなら、美人でとおっても優しいお母さん、って書いといてね♥」

 

「……うん」

 

「でぇえりゃっ!」

 

 

 やってきたヂェーンにこうがが説明する。ヂェーンのは聞き流しておくが「おい」、ペドロの叫びが聞こえてきて、ターちゃんが紙一重でかわす。その手には……何故かあやとり。しかもはしごが出来ている。

 

 

「はしご、なのだ」

 

「参りましたぁ!!」

 

「何やってんのさ父さん」

 

「ペドロとあやとりしながら戦っただけなのだ」

 

 

 ターちゃん曰く。ペドロが毎日毎日稽古をつけてもらっているが、毎回軽く倒されてしまうので、強くなっている自信がないと言ってきた。でもターちゃんから見れば動きにキレが出てきたりと確実に強くなっている。それを分からせようとあやとりしながら戦った、と言うのだが……

 

 

「あぁ……俺はやっぱりまだまだなんだな……」

 

「ほれ、逆効果になってるわよ」

 

「うむむ……ではどうすれば……」

 

 

 腕を組み、うーむと考えるターちゃん。やり取りを見ていたこうがは、以前から気になっていた事を思い、思いきってターちゃんに聞いてみることにした。

 

 

「ねえ父さん」

 

「ん、なんだい?」

 

「どうして父さんはそんなに強いのに、大会に出たりしないの?」

 

 

 いつも動物とジャングルの平和を守る為、ハンターと戦っているターちゃん。最強、とまでは言うつもりはないが、ジープを蹴り壊し、マシンガンの弾幕を掻い潜れる人間がそうそういるとは思えない。そこまで強いなら大会でいい結果を残せるだろうし、賞金で今よりいい暮らしだって出来るだろう。でもターちゃんはそういう事を全くしない、それがこうがには不思議だった。

 

 

「なんでって言われてもなぁ。私はお金とか名声なんて興味ないのだ」

 

「でもそれじゃあ、他の格闘家とかにバカにされちゃうよ。……僕はいやだ、そんなの」

 

 

 ターちゃんの息子として、こうがは誇りを持っているし、憧れている。ジャングルを守る勇者として、優しいのも分かる。でもやはり、ターちゃんが戦う姿を見て、組手で鍛練をつけてもらい、その強さを間近で見ていたら活躍する姿も見てみたいというもの。ジャングルの王者として優しいのも、格闘家として強いのも、ターちゃんが好きだからだからだ。

 

 そんな、強さを気にする息子に、ターちゃんは淡々と言う。

 

 

「あのねこうが。そんな名声やお金がなんだっていうのだ。『座って半畳、寝て一畳』って例えがあるでしょ、いくら偉くなっても、寝るのに一畳あれば十分じゃあないか」

 

 

 欲張り過ぎず、取るに足る、を知るのが大事。ターちゃんの場合、ジャングルと動物の平和、親しい人達を守れればいい。それ以上、欲がないのだ。

 

 

「まあヂェーンは二畳いるけど」

 

「やかましいわい!!!!」

 

「……とにかく、私は名を上げようとか、そういう事には興味ないのだ」

 

「……そう、なんだ」

 

「………………」

 

 

 理由を聞いて、少し残念そうにするこうが。それを見て、ターちゃんもちょっと思うものがあった。

 

 ……ヂェーンにぶっ叩かれたのもあるが。

 

 こんな風に、平和な日々を過ごすターちゃん達。

 

 そんな中である。

 

 

「父さん、父さん宛で手紙が来てるよ」

 

 

 ポストに入っていた手紙をターちゃんに渡すこうが。送り主は、ユンケル帝国38代国王マハラー・ポポ。

 

 

「誰ですか?」

 

「あぁ、前にガイドを頼みに来た王子様よ。なーんか偉そうだった」

 

「王位を継承して、正式に王様になったんだって」

 

「で、内容は?」

 

「えーっと、『第一回異種格闘技オープントーナメント』の招待状?」

 

 

 

 

 

 

「えっ!? 私がオープントーナメントにですか!?」

 

 

 鍛練をしていたペドロ。そこにトーナメントの話をターちゃんから持ちかけられて、その目が輝いた。

 

 

「普段の修行の成果を発揮するいいチャンスなのだ。聞いたことない大会だろうけど、頑張りなさい」

 

「押忍!! このペドロ・カズマイヤー、ターちゃん流空手の名に恥じぬよう、精一杯やらせていただきます!!」

 

「もう参加の返事は出しといたから。ジャングルまで迎えに来てくれるそーだから旅費もいらないんだって」

 

 

 ちなみにだが、送られてきたターちゃんは出ないとの事。ほかの人がかわいそーだから、という理由。

 

 

「はい。ペドロちゃんに餞別」

 

 

 ヂェーンがペドロに渡したのは分厚い札束。ずっしりと手に伝わるその重み。込められた思いと気遣いに、思わずペドロは涙する。

 

 

「こんなにたくさん……何から何まで、申し訳ないです……!!」

 

「いっぱい? 餞別は上一枚よ。あとはお土産書いたノートだから」

 

「出来ればHな本も……」

 

「アニメグッズあったらお願いしまーす」

 

「かしこまりましたぁ~!!」

 

 

 

 

 

 

 5日後。

 

 トーナメントへ参加するペドロを見送りに、指定された場所が書かれた紙を便りにしてターちゃん、ヂェーン、エテ吉、こうがはジャングルを進んでいた。

 

 広場に出ると、真ん中にジェット機が1台、停泊している。

 

 

「あれみたいですね」

 

「まー凄い。自家用ジェットじゃないの」

 

「ぷ、プロペラがないのだ……どうやって飛ぶのだあれは」

 

「きっとトランスフォームするんだ……! ジェットだからスタースクリームだ、やべぇニューリーダー病になったら不味いって!!」

 

「どあほ」

 

 ターちゃん達に気づいて、ジェット機付近にいた、ターバンを巻いたスーツの男性が近づいてくる。

 

 

「お待ちしていました、どうぞこちらへ。今大会の案内役をつとめさせていただいております、アブドラです。よろしくお願いします」

 

「参加者のペドロ・カズマイヤーです」

 

 

 柔和な笑みの真面目そうな男性、アブドラと握手を交わすペドロ。すると、微笑んでいたアブドラの目がぎらりと光った様な気がした。

 

 

「空手、ですね。それもかなりの腕前」

 

「よくお分かりですねーその通りです」

 

 

 これまでたくさんの格闘家を見てきたアブドラは、それによって観察眼が鍛えに鍛えられ、触れただけで相手の強さやどんな格闘家なのかが分かると言う。

 

 ちなみに一緒に来ていたヂェーン達と握手すると、

 

 

「ミセス・ヂェーンです、どうぞよろしく」

 

「ほう……相撲ですね」

 

「あほかい!!!!」

 

「はい、エテ吉握手」

 

「ほほう……お○んこですね、しかもかなりの」

 

「ターちゃん父さん息子のこうがです」

 

「ほうほう……あなたからは大きな伸び代を感じます。これからに期待していますよ」

 

「わーい、ありがとうございます!」

 

 

 

「――おいおい、いつまで待たせんだ、早く出発しろ」

 

 

 

 

 男の乱暴な大声が、広場に響き渡る。

 

 見ると、ジェット機の前で3人の大柄な男性が待っている。スキンヘッドに黒い髭の男性。赤いタンクトップの男。サングラスをかけた色黒の東洋人。彼らを見たペドロは驚きの表情を浮かべた。

 

 

「えぇ~っ! あ、あれは!!」

 

「どしたのペドロちゃん」

 

 

 3人の屈強な男性。彼らをペドロは説明していく。

 

 黒髭のスキンヘッドは全米1の悪役レスラー、“狂える猛牛”の異名を持つバックス・ベイカー。

 

 タンクトップの男は元マーシャルアーツスーパーヘビー級チャンピオン、ラリー・スコット。

 

 サングラスの東洋人はムエタイの現ヘビー級チャンピオン、ナパキャット・ワンタン。

 

 肩書きだけでも凄さが伝わってくる、その道の第一人者達ばかりだ。

 

 

「あ、あんな方達が参加するなんて……」

 

「それはそうですよ、ユンケル帝国国王が初めて開かれ国家行事ですから。世界中の格闘家が参加されますし、メディアも入ります。優勝賞金も、1000万ドルですからね」

 

「いっ、1000万ドル~っ!?」

 

 

 真っ先に反応し、これでもかと大きな口で驚いたのはヂェーンだ。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってよ! そんなのこの招待状には書かれてなかったわよ!?」

 

「あっ! これは申し訳ありません、ミスプリントで賞金の部分が抜けていらっしゃいます」

 

「しぇえええええ~~!!」

 

「い、いっせんまん…………」

 

 

 その額、なんと12億!

 

 一生遊んで暮らすのも夢ではない、とてつない金額。ヂェーンが目がドルマークに変わって奇声を発している。ペドロはあまりの金額に固まってしまう。無理もない。

 

 

「へー、凄い金額だね。札束どれくらいかな?」

 

「そんなにもらって何に使うのだ」

 

「キー(さあ)」

 

 

 興味なさげなのはターちゃんとこうがとエテ吉位。

 

 

「でも私は出ないし、関係な「何言ってんの!! アンタも出るに決まってんじゃない!!!!」え、でも」

 

「12億よ12億!! これを逃さない手はないっ!!!!」

 

「ちょヂェーン?」

 

「アブドラさん! ターちゃんも参加しますので!!」

 

「はい、わかりました。元々参加されると思っていましたので。手続きはこちらでしておきます」

 

「えええぇぇぇ~~!?」

 

「……急展開だね、エテ吉」

 

「キキィ……(全くもって……)」

 

「お、おいおい! あのジャングルの王者ターちゃんが参加するのかよ」

 

「冗談じゃねえ……あんな化物相手はごめんだぜ」

 

 

 あまりターちゃんは知らないが、ジャングルの王者として、その名は世界中に知れ渡っているベイカー、スコットがびっくりしたのがその証拠。

 

 

 

 

 

 

 ……こうして、ペドロさんの見送りに来た筈なのに、ターちゃん父さんがユンケル帝国のオープントーナメントに参加する事になってしまい。

 

 急遽荷造りをして、僕はターちゃん父さん、ヂェーン母さん、エテ吉、ペドロだんと一緒にもユンケル帝国へ行く事になった。

 

 けど僕は、ちょっと楽しみだ。父さんが世界の格闘家を相手に戦う姿を見てみたかったから。僕も強くなれるよう、その姿を学びたい。

 

 △月2日、くもりのち晴れ こうが。

 

 

 

 




こうが
「じゃあ次回予告だよ!」

ヂェーン
「ヂェーンよ。今回から私も参加するからね~」

こうが
「では次回。

ユンケル帝国で始まるオープントーナメント。

ペドロさんの初戦が始まる。世界の強豪相手に、どうなるのか!

そしてトーナメントの裏では、何やら怪しい企みが……。

次回、ジャングルの王者ターちゃん~新ファミリー物語~

第5話 開幕、オープントーナメントの巻

父さんの出番はいつかな?」

ヂェーン
「意外と早いんじゃない? あれ、というかなんか見た事のあるやつが……」
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