※この作品はR-18です。

PSYCHO-PASS~もう一人の監視官   作:晴月

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アニメ第一期
第一話


いったい、何時からだろう。世界がこんなにも変わってしまったのは。社会から"犯罪係数"なんて言葉が生まれたのは、

 

 

 

 

事の始まりは人間のあらゆる心理状態や性格傾向を計測し、それを数値化する機能を持つ「シビュラシステム」

通称"シビュラ"がこの日本に導入されたことでこんな世の中になってしまったのではないだろうか

 

と、ふとそんな事を考えてしまう。

 

「っと、いけない。こんなこと考えてたら俺の犯罪係数があがっちまう。」

 

彼の名は"薙鵺眞 勇魅"(なぎやま いさみ) 監視官の一人である。

 

彼は現在、任務でとある繁華街へと歩みを進めていた。

 

「つっても、俺元々この世界の人間じゃないしな。犯罪係数の影響受けないし、まぁ今は誰も居ないから別にいいか。」

 

そう、彼の言うとおり彼、勇魅は元々この世界の人間ではない。

ある日のこと。勇魅は仕事の帰りに立ち寄った漫画喫茶で偶々目についた漫画「PSYCHO-PASS」を手に取り、全て読み終わったあとに只、一言

 

「こんな世界、変えられるなら俺が変えてやる。」

 

そう言って漫画を棚に戻し帰宅しようとし、個室を出たところで突然何者かに襲われ、そのまま亡くなってしまった。次に勇魅が目覚めるとそこは何もない、只の真っ白な世界が広がった世界が勇魅の目の前に広がっていた。

 

「目覚めたかの」

 

慌てて振り向くとそこには白い髭を腰の辺りまで蓄え、木で作られた杖を右手でついた白髪の老人がそこに立っていた。

 

「あ、あなたは?」

 

「ワシか?ワシはお前さん方が神様と呼んでいるものじゃよ。」

 

老人はそう言いながら白い髭を左手で触りながら

フォッフォッフォッと笑いだした。

 

「お前さんは残念ながら死んでしまった。だから此処にいるのじゃ。」

 

「ああ。やっぱり....そうなんですね。」

 

勇魅はそう言って下を向き、見るからに落ち込んでいた。

 

「そういえばお前さん。死ぬ前に何やら面白い事を言っておったのぉ。」

 

老人はそう言って勇魅を見る。

 

「面白い事?」

 

勇魅は何か言っていたか?と自分が死ぬ前に言っていた言葉を思い出す。

 

「こんな世界....変えられるなら俺が変えてやる。そう言いました。」

 

「そうじゃ。そこでお主にはチャンスをやろうと思う。」

 

「チャンス?」

 

「お主が言った変えたい世界に転生させようと思う。」

 

「!!!」

 

「どうじゃ?悪い話では無い筈だが?」

 

確かにそうだ。 このまま此処に居続ける寄りかは別の世界へと行った方がいいかもしれない。

 

だが....それでも一つ気になる事がある。先ずはそれを確かめてからだ。

 

「....一つだけ、質問してもいいですか?」

 

「構わんぞ。」

 

「もし、俺が転生しなかった場合 俺はどうなりますか?」

 

「どうもならんよ。只、次の転生までこの部屋で過ごしてもらうだけじゃ。」

 

「そうですか。」

 

これで確信した。やはり転生した方がいい筈だと、

 

「それで、どうするかの?転生するもしないもお前さんの自由じゃ。好きに選ぶと良い。」

 

「....では、転生させてください。」

 

勇魅は老人に深く頭を下げる。

 

「....いいのか?転生のチャンスは他にもあるが、」

 

「ええ。折角のチャンスなんですし、それに乗ってみようと思います。なにより、あの世界を変えられるなら変えてみたいなんて言ったのは俺ですからね。自分の言葉には必ず責任を持たないとダメですからね。」

 

勇魅は老人に向かって笑い掛け、覚悟を決めたことを伝える。

 

「分かった。では、お前さんの転生の際にいくつか転生特典とやらを与えようと思う。」

 

「いいんですか?」

 

「構わんよ。元々これはワシが昔から決めていることじゃからな。」

 

老人はフォッフォッフォッとまた笑う。

 

「それで、どんなものがいいかの?」

 

「そうですね......では先ず、犯罪係数が上がらないようにしてください。出来れば常に一定の基準を保っていられるように。....次に二つ目ですが、....俺が生前やっていた護身術や、格闘技なんかの技術をそのまま次の世界に持っていけるようにしてください。」

 

「分かった。お前さんの望み....全て叶えてやろう。」

 

「有難う御座います。」

 

勇魅はまた頭を深く下げる。

 

「別にそこまで頭を下げんでも大丈夫じゃよ。」

 

老人はまた笑った。勇魅が頼んだ転生特典は他にもあるのだがそれはまた後程、

 

それから神様に言われるがまま漫画の世界"PSYCHO-PASS"の世界へとやって来た勇魅だったが、先ず彼はやはりこの世界を変えるならあそこに行くかという事で公安局へと就職し、内部から変えてやろうと行動していた。しかし、彼はそう考えた矢先に自分の同期に所属した人物達に驚いてしまった。なんと、この世界の主人公である

咬噛 慎也(こうがみ しんや)と、原作では監視官の

宜野座 伸元(ぎのざ のぶちか)が勇魅の同期だったからだ

 

(嘘だろ、何でこの二人と同期なんだ?)

 

そう考えたが、やはりここはこの二人と親しくなっておけば後々起こる惨劇を回避することが出来るかもしれないと考え、勇魅から仲良くなろうと二人に近づいた。

 

「やぁ、お二人さん。俺は薙鵺眞 勇魅 宜しくな。」

 

勇魅は笑いながら二人に右手を差し伸べ、握手を求めた。

 

「ああ、俺は狡噛 慎也だ。 宜しくな勇魅。」

 

先に握手を返したのは狡噛だった。彼は勇魅に対して、紳士的対応で勇魅に接した。対して宜野座は、

 

「...宜野座 伸元だ。宜しく。」

 

あまり、興味が無いといった素っ気ない態度で勇魅に握手を返した。

 

(...やはり宜野座はこの反応か....)

 

勇魅は宜野座がこういった反応を返すのは予想がついていた。彼の父親は潜在犯として刑務所に服役している。

その事が彼の少年時代に影響を及ぼし、今現在このように誰に対しても壁を作っている反応を示してしまっていた。

 

「ああ。宜しく 狡噛。宜野座。 」

 

因みにもう一人同期の人物がいるのだがそれはまた今度話すとしよう。

 

──────────

 

─────

 

それから数年経ち、原作の始まる年になった頃には狡噛は執行官に、宜野座は監視官へと成っていた。因みに勇魅は宜野座と同じ部署で監視官と成っていた。

 

そして、現在。

 

勇魅が現場に到着し、宜野座達と合流した。

 

勇「悪い宜野座。少し遅れた。」

 

勇魅はそう言って同僚であり、同じ監視官の宜野座へと謝罪した。

 

宜「はぁ。全く、お前の少しの遅刻はいつも通りだが...頼むからちゃんと5分前には現場に居てくれ。」

 

宜野座は勇魅に対して怒ることを諦めたのか溜め息を吐いて項垂れた。

 

勇「悪い。ちょっと現場の近くを見ておきたくてな。....それで、今日配属される新人の監視官は何処だ?」

 

勇魅はキョロキョロと辺りを見回す。

 

宜「それがまだ来ていない。....初日から遅刻とは...まるでお前と同じだな勇魅。」

 

勇「...出来れば俺と同じような人には来てほしくないんだけどなぁ。」

 

勇魅は頭を掻きながら呟いた。

 

暫くしてからスーツを着た一人の女性が此方に走ってきた。

 

「すいません。遅れました。」

 

女性は慌てて頭を下げて謝罪する。

 

勇「おっ。早速来たみたいだな。」

 

声がした方に勇魅が振り向く。

 

「あの、監視官の宜野座さんと薙鵺眞さんでしょうか? 」

 

女性は息を荒くしながらそう聞いた。

 

宜「宜野座は俺だ。配属早々に事件とは災難だな。」

 

宜野座は淡々と女性に告げた。

 

勇「そして薙鵺眞は俺。まぁ、そんなに緊張しないでも大丈夫だからさ。取り敢えず深呼吸して落ち着いてから話してよ。」

 

勇魅は女性を落ち着かせようとそう言った。

女性は勇魅に言われた通りに深呼吸して落ち着いてからこう名乗った。

「本日づけで刑事課に配属になりました常守 朱(つねもり あかね)です。どうぞ宜しくお願いしま..」

 

宜「悪いが、刑事課の人手不足は深刻でね新米扱いはしてられない。」

 

淡々と彼女 常守 朱(つねもり あかね)にそう告げた。

 

勇「悪いね常守さん。こいつこういうやつで、でも悪気は無いから許してやってくれ。」

 

常「は、はい。」

 

宜「...はぁ。先ずは、」

 

宜野座は左腕に着けたブレスレット状の端末に触れ、対象の情報を勇魅と朱に提示する。

 

宜「対象は大倉信夫。街灯スキャナーで色相チェックに引っ掛かり、セキュリティドローンがセラピーを要求したら拒絶して逃亡。記録したはフォレストグリーン。高い攻撃性と強迫観念が予想される。」

 

犯罪係数はこのように色素で識別され、そして潜在犯として処分される。それが今の世の中の秩序だ。

 

常「そんなに色相が濁るまで治療を受けなかったなんて。」

 

勇魅は対象に思うところがあったのか

 

勇「多分怖かったんじゃないかな、彼。自分がそうなってしまったからもう自分は終わってしまった。だから今まで我慢してきたこと全てやってやろう。そう自暴自棄に成ってしまったんだろうな。」

 

宜「....不適合薬物に手を出した可能性もある。..何にせよシビュラ判定を待つまでもない潜在犯だ。」

 

端末の電源を切る宜野座。

 

勇「それよりも厄介なのは大倉が逃げ込んだこのブロックだ。」

 

勇魅が後ろを振り返って街の一角を見据える。勇魅に続いて宜野座と常守もその街の一角を見る。

 

宜「廃棄区画で中継機が無いためドローンが侵入出来ない。」

 

常守は宜野座の話に耳を傾け、廃棄区画を見据える。

 

勇「それと、逃亡の途中で大倉は通行人を拉致して人質にしているらしい。」

 

常「人質が!?」

 

宜「ああ。目撃者の証言によれば若い女性だそうだ。身元の確認はまだ取れていない。」

 

常「....住民の退去は?」

 

勇「登録上は無人区画だが、お陰で浮浪者の巣窟だ。」

 

やれやれといった感じで勇魅は告げた。

 

宜「とにかく。今から覚悟しておけ。」

 

宜野座は常森に向かって監視官の証であるジャケットを投げつけた。

 

常「うわっ、とと」

 

勇「はいはい。了解。」

 

勇魅は仕方ないとばかりに宜野座の近くに歩み寄り、そのまま自分のジャケットを掴んだ。

 

その時。人混みを掻き分けて執行官が乗せられた護送車が近づいてきた。

 

常「護送車?」

 

護送車は三人の近くに止まると後方の扉が開き中に乗っている人物達が見えてきた。

 

宜「これから会う連中を同じ人間だと思うな。奴らはサイコパスの規定値が係数を越えた人格破綻者だ。」

 

言い過ぎじゃないか?と勇魅は思ったが流石に今は言えないなと口をつぐんだ。

 

宜「本来なら潜在犯として隔離されるべきところをただ一つ許可された社会活動として同じ犯罪者を狩りたてる役目を与えられた。奴らは猟犬。獣を狩る為の獣だ。それが執行官だ。君が預かる部下達だ。」

 

勇「まぁ。俺が常守さんを見てるから大丈夫だよ。」

 

常「は、はい。」

 

護送車に乗せられた執行官達が次々と降りてくる。そして、執行官達が全員降りたと同時に護送車の右側から何かを積んだ小さいコンテナの様な物が下ろされた。

 

そして、全員一ヶ所に固まったところで青いジャケットを着た少年が宜野座に話しかける。

 

「おお。そっちの可愛い娘ちゃんが新入りさんすか宜野さん。」

 

宜「常守 朱監視官だ。今日から貴様らにとって三人目の飼い主になる。」

 

常「つっ、常守 朱です。よ、宜しくお願いします。」

 

常守は執行官全員に頭を下げた。その様子を皆只黙って見ていた。

 

宜「全員対象のデータには目を通してあるな?今から袋の鼠を更に絞め潰す。二手に別れて順繰りに行く。六合塚(くにづか)とかがりは俺と来い。後の二人は薙鵺眞監視官と常守監視官に同伴しろ。」

 

六「了解。」

 

秀「えぇ~~俺は可愛い娘ちゃんと一緒がいいっす!。」

 

宜野座はいつものことなのかかがりの発言をスルーする。

 

秀「げ。ツッコミ無しとかマジ有り得ねぇ。」

 

勇「何言ってんだ秀星。可愛い娘なら六合塚さんがいるだろ?」

 

六「や、止めてください。薙鵺眞監視官。///」

 

六合塚は褒められ馴れてないのか顔を少し赤らめ、顔を背ける。

 

秀「いや、そういうのいいんで。」

 

かがりの反応は明らかに冷めていた。

 

六「あんた、後で覚えておきなさい。」

 

その時の六合塚の反応はゴゴゴと怒りの感情を発していた。

 

勇「あ~あ。俺知~らねっと。」

 

秀「ち、ちょっと勇魅さんどうしてくれるんですかこれ!?。」

 

勇「自分でなんとかしろよ。...ま。緊張が解れたところでそろそろお仕事と行きましょうか。」

 

近くに置いてあった小さなコンテナの様な物が横に開き、中から三丁の機械的な銃が出てきた。宜野座と六合塚、かがりはそれを取るとそのまま現場へと向かった。

 

秀「まったね~~。」

 

六「......。」

 

常「え~っと、あのぅ?どうすれば?」

 

常守は近くにいたトレンチコートを着た男性に話しかける。

 

「あんたが待機を命令してくれれば何の問題も無いんだが。」

 

勇「それは俺に言うべきじゃないですかね征陸《まさおか》さん。まぁ仮に俺に言ったとしても許可はしませんけどね。」

 

勇魅はそう言って常守の左肩にポン、と右手を置く。

 

征「ああ。そういやそうだったな。悪い悪い。」

 

勇「それに、そんな事したら給料泥棒ですぜ。なぁ慎也。」

 

そう言ってもう一人のコートを着た男に勇魅は話しかける。

 

狡「.....今は仕事中だ。その呼び方は止めてくれ。薙鵺眞監視官。」

 

狡噛は勇魅にそう言い放つ。

 

勇「はいはい。狡噛執行官。」

 

勇魅は左手をヒラヒラさせながら狡噛に答える。

 

征「まぁそんなに緊張しなさんなお嬢さん。ドミネーターの扱いは知ってるだろ。」

 

常「い、一応は。」

 

征「こいつは狙った相手のサイコパスを読み取る銃だ。相手が潜在犯だった場合セーフティが解除される。全部ドミネーターの言いなりになって撃てと言われた相手を撃てばいい。」

 

征陸は常守にそう説明した。

 

勇「...俺の言いたいこと全部言われたな。」

 

征「でも合ってるだろうよ。」

 

勇「まぁ、確かに。」

 

しかし、常守は困惑していた。

 

常「う、撃てばいいって?」

 

勇「基本モードならパラライザーだ。撃たれても動けなくなるだけだからそれで身柄を確保すれば解決だ。」

 

狡噛と征陸はすでにドミネーターを手に取り、準備を完了させていた。

 

勇「まぁ、取り敢えず手に取ってみなよ。」

 

常守が勇魅が言った通りにドミネーターを手に取り、何かを聞いていた。

 

征「あーそれな。思考性音声だから握ってるあんたにしか聞こえんよ。ま、最初は小うるさいだろうがそのうち慣れれゃ大丈夫だ。」

 

常守は更に質問を続ける。

 

常「ブリーフィングは、段取りの打ち合わせとかしないんですか?」

 

狡「俺達が獲物を狩り、あんたが見届ける。それだけだ。」

 

常「で、でも」

 

常守はまだ納得していないのか更に聞こうとしていた。

 

征「まー任せとけってことだ。俺達もこう見えて専門家だからな。」

 

狡「俺達には俺達の流儀がある。だがその責任を負うのは監視官であるあんた達だ。だから俺のやり口が気に入らないなら遠慮なくそいつで俺を撃て。」

 

常「なっ...!」

 

狡「俺達も奴らと同じ潜在犯だ。ドミネーターは作動する。」

 

狡噛は言いたいことは全て言ったとばかりに先に現場へと向かった。

 

征「あー紹介が遅れたな。あの唐変木が狡噛 慎也。でもって俺は征陸 智己。宜しく頼むよ お嬢さん。」

 

常「は、はぁ。」

 

勇魅は待っていたのか征陸の話が終わってから話しかけた。

 

勇「自己紹介は終わりましたか?なら行きますか。」

 

──────────

 

暫く廃棄区画を先頭から征陸、勇魅、常守の並びで歩いていた。それから暫くして路地裏に入り、征陸が周りの安全を確認する。

 

常「あの、薙鵺眞監視官。狡噛さんっ...」

 

勇魅は静かにするように常守に合図を促し、征陸の合図を待った。暫くしてから征陸にあっちを頼むと合図を出され、そちらには勇魅と常守が反対方向には征陸が確認に向かった。

 

勇魅と常守は周りを確認しながらドミネーターを構える。勇魅は慣れた感じで周りの安全を確認する。対して、常守はびくびくと怯えながら周りを警戒している。

常守は背後に人の気配を感じ、ドミネーターを構えながら振り向く。しかし、そこにいたのは対象の大倉ではなく浮浪者の一人が酔い潰れたのか以前は何かの店だった場所のカウンターに突っ伏して寝ているだけだった。

 

常守は怯えているのかガタガタと震えながらドミネーターを構えて動こうとはしない。

 

勇魅はそんな常守が浮浪者に向けていたドミネーターを右手で押し下げ、警戒を解くように促す。その時、征陸から口笛で此方へ来いとの合図が出される。

 

勇「....コクッ。」

 

常「....コクッ。」

 

勇魅は常守とアイコンタクトを行い、勇魅が先に戻り、続いて常守が征陸の下へと戻った。

 

暫く歩いていると、征陸から常守に話し掛けた。

 

征「お嬢ちゃんの噂は聞いてるぜ。訓練所じゃ主席だったそうじゃないか?」

 

常「ええ....まぁ。」

 

征「老婆心で言っとくが、あそこで習ったことは全部忘れた方がいい。現場じゃ何の役にも立たんよ。」

 

そこから勇魅も常守に話し掛けた。

 

勇「理不尽だと思うか?....まぁ、そもそも俺達の仕事は理不尽の塊だからな。機械で人の心の全てを見通せる時代だってのにそれでも誰かを憎んだり、騙したり、傷つけようとする連中が何人もいる。これが理不尽じゃなくて一体なんなんだろうな。」

 

常「.......。」

 

常守は勇魅の話の問いの答えをただひたすらに考えていた。

 

薙鵺眞の話の途中で三人の頭上に見える通路の上で狡噛が先に行くとの合図を示し、先に対象の潜伏先へと向かった。

 

それから暫くして、

 

宜野座の部隊から対象を発見し、パラライザーで気絶させてから捕縛しようとするも対象は気絶せずにそのまま窓から女性を連れてそのまま逃走したとの連絡が入った。

 

勇「あ~~不味いことになった。」

 

勇魅が頭を掻きながら端末情報を確認し、そう呟いた。

 

常「こ、これって?」

 

征「シビュラシステムのご託宣だ。大倉信夫はもうこの世に要らない人間なんだとさ。」

 

常「そんな.....只該当スキャナーに検知されただけなのに...。」

 

征「自分で自分を追い込んじまったんだろうな。...こうなったらセラピーも何も通用しない、更正の余地無し....そう判断されちまったんだ。」

 

三人は対象を追い掛けるためにエレベーターに乗り、対象が逃げた地域へと向かうこととなった。

 

征「初陣で嫌な事件に当たっちまったなぁお嬢ちゃん。」

 

勇「なら、胸糞悪くなる前にとっとと終わらせますか。」

 

三人がエレベーターから降りると、対象が三人から見て、左側の通路に向かっているのを確認し、薙鵺眞は征陸と常守を向かわせ、勇魅自信は周り込んで挟み撃ちにするように指示を出した。

 

対象が目の前の下り階段を降りようとしたところで、征陸と常守はドミネーターを対象に向け、止まるように指示する。

 

征「止まれっ!」

 

対象は征陸達を見るなり怯えた表情で、睨み付ける。

 

「く、来るなぁ!!....じ、銃を捨てろぉ!!!」

 

さもなくば女性に危害を加えると言わんばかりだった。

 

征陸と常守は対象の言うとおり、銃を捨て、征陸が対象の方に蹴り渡した。

 

「!!....さ、下がれっ!」

 

二人は後ろに下がり、対象の出方を待った。すると、征陸が両手を上げて降伏するような態度を示した。常守は征陸に従うべきだと感じたのか、同じように降伏するような態度を示した。

 

「ハハハハハ.....死ねぇっ!」

 

ドミネーターを撃とうとするがロックが掛けられていて作動しない。

 

「な、何だこりゃあ!!?」

 

その瞬間対象の背後から勇魅が現れ、拉致されていた被害者に自分が着ていた監視官のジャケットを被せてから抱き抱えるとそのままジャンプして階段を降りた。その瞬間を待っていたのか狡噛は、

 

狡「御愁傷様。」

 

それだけを言うと、ドミネーターを対象に向けて撃った。

 

撃たれた対象はまるで風船が割れるように内部から破裂して跡形もなく消えた。

 

狡「ハウンド3 執行完了。」

 

その際対象が破裂する様子を見ていたのか女性がパニックを起こし始めた。

 

常「はっ、薙鵺眞監視官!!。」

 

常守が慌てて勇魅に駆け寄ろうとするが、

 

勇「来るな!....大丈夫.....大丈夫だ。」

 

薙鵺眞は常守にその場で待機するように伝えると、被害者の女性を諭すようにして落ち着かせる。

 

征「ああ。そういえばお嬢ちゃん。薙鵺眞監視官が何でこんなことしているか分かるかい?」

 

「薙鵺眞監視官にしか出来ない被害者のセラピーケア。通称"サイコブレイク"。」

 

ここで彼"薙鵺眞 勇魅"がこの世界に転生するに辺り、望んだ転生特典の話をしようと思う。

 

勇魅が望んだ転生特典は①自身の色相の色がどんなことが起こっても変化しないようにすること、

②自身が生前身に付けていた護身術や、格闘技等の技術の移植。

 

そして、3つ目に勇魅が望んだものは

 

"自身が対象の近くにいる場合、対象の色相が濁らないようにする能力"を望んだ。

 

この望みは承諾され、この能力のことを訓練所での卒論として提出したところ、是非ウチに来てほしいと精神科病棟等その他諸々の会社が彼の能力欲しさに彼を雇うことを考えた。しかし、勇魅は元々公安局への就職を決意していたため勇魅を雇うことを考えていた会社は全て諦めたのでもはや今となっては過去の話なのだが、

 

因みに公安局の配属初日でこの"能力"を宜野座達の前で実際に行ってしまい、それ以来今回の様な被害者が存在した場合、勇魅が被害者のセラピーを行うことで事なきを得るのだが、

 

勇「くそっ、....今回は何時にも増して遅すぎる。」

 

どういう訳か勇魅が"能力"を使用しても被害者の色相の色になかなか変化が起こらないのだ。

 

征「やれやれ、仕方ないか。」

 

征陸は勇魅が抱き抱えている女性に向かってドミネーターを向けた。

 

常「やめてっ!」

 

常守は征陸にしがみつき、征陸を妨害する。

 

征「何をする!」

 

常「あの人は保護対象です。」

 

征「その為のパラライザーだろうが!今すぐ眠らせて確保するんだ。」

 

常「彼女は混乱しているだけです。そんな乱暴なことしなくても、」

 

征「いいか!ドミネーターはシビュラの目だ。この街のシステムそのものが彼女を脅威と判断したんだ。例え薙鵺眞監視官の力を以てしても治療が出来ないならそれはシビュラにとっての脅威となり得る存在なんだ!その意味を考えろ!」

 

征陸が常守に注意をしている最中に、狡噛が階段を下り、勇魅の元へと向かう。

 

勇「.....やはり、無理なのか。」

 

狡「....だったら俺がやる。俺がそいつを楽にしてやる。」

 

狡噛は勇魅の目を見て、そう答えた。

 

勇「......分かった。責任は俺がとる。....やれ。」

 

狡「了解。」

 

狡噛が撃とうとしたその瞬間、

 

常「待ってください!」

 

振り替えるとそこには常守が息を切らしながら二人を見据え、更に話を続けた。

 

常「狡噛さん。止めてください。....お願いです。彼女は被害者で、」

 

勇「それは甘いぞ常守監視官。」

 

常「え?」

 

勇「いくら彼女が被害者でもシビュラが脅威と判断した相手を匿うのかお前は、それとも他に方法があると?...俺の力でも戻せないとなると撃つしか無いんだ。諦めろ」

 

常「そんなの.....そんなの納得出来ません!」

 

しかし、そんな常守の頼みを聞いていなかった様に狡噛が女性に向けてドミネーターを向ける。

 

『対象の脅威判定が更新されました。執行モード リーサルエリミネーター 慎重に照準を合わせて対象を排除してください。』

 

常「そんな....」

 

勇「ま、こうなった以上仕方ない。諦めろ。」

 

その時、女性を撃とうとした狡噛が常守に何かを呟いた。そして引き金を引いたところで、

 

常「止めてー!!!」

 

常守が狡噛をドミネーターで撃ってしまった。そんな光景を征陸と勇魅はただ呆然と立ち尽くしたまま見ていることしか出来なかった。

 

征「.......」

 

勇「.....本当にやりやがった。」

 

狡噛が倒れ、女性はただ怯えたままの表情で常守を見ている。

 

常「そのライターを捨てて。じゃないとこの銃があなたを殺しちゃう。」

 

常守は女性を安心させようとしてそう言い放った。

 

すると、女性は右手に持っていたライターを捨て、落ち着いた様子を見せた。

 

勇(はっ、そうだ対象の捕縛を、)

 

勇魅が女性にドミネーターを向けたと同時にドミネーターから二つの音声が聞こえた。

 

勇「え?」

 

その瞬間女性が撃たれ、倒れた。勇魅が恐らく撃ったであろう人物がいる後ろを振り替えるとそこには宜野座達がドミネーターを構えたままこちらを睨んでいた。

 

宜「常守監視官。君の状況判断については後程報告書できちんと説明してもらおう。それと、薙鵺眞監視官。監督不行き届きで君も後程始末書にて説明してもらおう。」

 

勇「了解。取り敢えず被害者を連れて撤退するぞほら常守。」

 

常「は、はい!」

 

勇「いいからさっさと撤退するぞ、ほら。」

 

勇魅が常守を立たせて、集合地点へと戻る。

 

征「やれやれ、とんでもない新人が来たもんだ。」

 

こうして、常守朱の初任務は終了し、薙鵺眞勇魅にとっては忘れられない事件となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さん明けましておめでとう御座います。春月です。今回これを二作目として出したのは、ある日EGOISTの名もない怪物を聞いていたらこの話の設定を思い付いて直ぐに作り、そしてやっと今日完成しました。是非読んでください。
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