めだかボックスーー負安定、球磨川禊の弟、球磨川雪、もしくは切り裂け!流血君 作:家上浮太
彼は温厚で寡黙な少年だった。
しかし一度キレると手がつけられない。
時に理不尽な理由で、時々執拗なまでに。
彼は見下されるのが嫌いだった。
産まれ落ちた時から親に見下された。
過保護だったし実際普通に産まれた。
鶴喰梟の実の子ではない。
彼は虐めに加担しようとした。
が。
彼は虐められっ子に突き飛ばされた。
周りには笑われた。
なんで?という気持ちがあった。
あぁ、自分はこんな奴にも見下されたんだ。
後日、彼は凶行に走る。
彼はその虐められっ子を庇う女の子を強姦した、元々、苛立ちを覚えただけで女の子を蹴った事もある、これは逆怨みであり、彼は報復をきっちり行う主義だ。
復讐ではない、噛みつかれたから仕返しをした。
しかし、流石に先生までは出来ない。
彼はおぞましい事に一年に一回先生から暴力を受けた、それはまるで一年に一回祭りが起きるようなルーチンワークだ、彼は問題児であった。
しかし、彼から問題を起こした事はない。
理由は理不尽であっても全て報復であった。
親はそんな彼を心の病院に連れてくが彼はその女医を見て、哀れんでる、同情している、こいつも見下してやがる、と更に心に澱みを増やした。
そして、中学生の頃には喧嘩を売られた。
初めの二人は自分を弱いと言ってきた。
初めの一人は誰かに自分より弱いと言われると突然暴力を振るってくる知的障害者だった、それをやり返す度に先生から同じように叱られる、やがて、他の虐めっ子を助けたら?と言ったらそんなんだから虐めは無くならないんだと逆ギレされた、殴られた、だから、その初めの一人目は母親を呪ってやって事故死させた、その次は隣のクラスの席の子がきさくに話しかけるのを受け答えしていただけなのに、浮気しているとされて、彼女の恋人が喧嘩を売ってきた、彼はその彼を黒板に執拗に叩きつけた、脳震盪を起こし、しかし、自分が誤解が招いたのは事実だとして、縁切れの呪いとして腕を鋏でリストカットした、彼のどこかが歪んできた。
喧嘩を全うに売られたがそれはごっこだと思う。
自分が相手の唇を切っただけで終わった。
相手は報復として自分をリンチにかけた。
その後、やはり彼は報復をした。
少し耐えて、この一線を越えたら。
自分は狂ってしまうと思った。
だからその不登校は戒めだ。
しかし、結局登校を再開して。
またその相手とそのグループにからまれ。
技術室で盗んだハンマーと椅子を振り回し蹂躙した、それが虐めの果ての話に繋がり、祖父には『窮鼠猫を噛む』と言われて、そこでも見下されてると感じた、精神薬を飲むようになっても、何故自分が頭おかしい扱いされているのか分からなかった、自分は報復しただけだ、不良漫画なら当たり前だ、そこで彼は不良に成ろうとしたが、結局二十歳になるまでグレる事は出来ずに、偽りの日常を送る、その間、ずっと彼は両親のそんな自分を愛してくれる事もまた見下されてると感じ続けて、『なればこそ』報復は成されてしまうのだった。
「…………つまりやられたら必ずやり返す、か」
「都城王土君とは別の王者の風格ね」
「どんなスキルなんだ?」
「彼はね、報復をしようとすると理性のストッパーが外れるの、怒るよりその先よ、噛みつかれたから報復するを忠実に行えるのは獣よ、そのスキルを、箱庭総合病院のとある医師はこう名付けたわ『
「血は力なり、か……」
「えぇ、彼は生態系が違うの」
「そうか、ならあいつのマイナスは」
「えぇ、悪評や醜聞そのものに偽りはどこにもないわ、彼は、他人から見れば狂ってると思われるような凶行を繰り返して来たわ、しかもマゾヒストは自称で本性はサディストよ、罵倒を浴びせたら言質をとったとばかりに喜んで報復するわ、それはマイナスの在り方よ、蝶ヶ崎蛾々丸とは意気投合して一緒にゲーセン行く仲だし志布志飛沫を姉御と呼んで慕ってるぐらいだしね」
「そんな事より不知火はどうなるんだよ!」
「やぁ遅かったじゃないですか人吉君」
不知火半袖は全身青アザの裸体だった。
「てめぇ…………」
「貴方も私を見下してますね?」
「女殴ったら見下されるに決まってるだろ!」
「正論ですね、正論過ぎる、ですがマイナスに正論を言っても今さらじゃないですかね? 酷い事をされたらやり返すのは当然の理論なのでは?」
その不気味さ、その理不尽さは怪異。
祟られてるか、障ってしまった感じ。
おぞましい、とにかく失禁が容易くなる凶悪。
「球磨川先輩が弟扱いするわけだぜ…………」
「ですね」